冬のサイクリングは寒い。何年走っても、三度の食事よりロードバイクが好きでも、寒いものは寒い。

自分は「自転車は通年スポーツ」だと考えているので、季節を問わず走りまくるが、やはり12月〜2月の3ヶ月間はほんの少し億劫な気分になる。(走り出せば大丈夫だけど、玄関の外に出るまでが精神的に一苦労w)

これまで、何度も冬ライドのコツとか工夫について書いてきたが、Global Cycling Network の「7 Hacks For Winter Cycling(冬サイクリングを快適に楽しむ7つのコツ)」という動画が役立つ内容だったので、自分の経験&考えも添えつつお届けしよう。



冬のサイクリング・ノウハウその1.タイヤの空気圧を下げる

(英国はそうらしいのだが)冬はウェットコンディションであることが多く、さらには落ち葉や砂等が路面に増える季節でもある。グリップを確保するにはタイヤをウェットタイプにするのもアリだが、抜本的に改善したいなら太めに交換するのが近道。

動画に登場するダンさんとマットさんは、1年間を28cで走ってみて「何の問題もないどころか、快適だった」という結論に達したそうだ。28cだと(ロードでは一般的な23cや25cよりも)空気ボリュームが増えるので、そのぶん空気圧を低く設定できる。よってグリップ力が増え、乗り心地も良くなるわけだ。

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/ ダンさん(左)とマットさん \

ちなみに、ダンさん(体重72キログラム)は60PSI、マットさん(ダンさんよりも重い)は「パンクリスクが怖い」という理由で、70PSIに設定してある。ちなみに60PSIは「約4.13 Bar」、70PSIは「約4.82Bar」である。ロードバイクの空気圧の世界には、大きくBar(バール)とPSIがあるが、「1 Bar = 14.5 PSI」、もしくは「1 PSI= 0.07 Bar」で覚えておけばOK。


余談だが、自分はこれまでずっと23cしか履いていなかったのを、2017年8月からIRCのAspite(アスピーテ)の24cに交換した。(インプレは下記記事をどうぞ)

>> パナレーサー(Race L Evo 3)からIRC の Aspite Pro(アスピーテプロ)にクリンチャータイヤを交換し、あるトラブルに気づく

>> 月間サイクルガジェット 2017年10月号


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すでに2,000キロ以上走らせてみたが、24cで何の問題も違和感もない。まあ、正直23cと24cだとさほど劇的な変化を感じ取れないものだが、それでも「直進安定性とコーナーでのグリップ」はちょっと良くなった印象がある。

いますぐ28cに交換するつもりはないけど、Aspite(アスピーテ)の次のタイヤを24cのままでいくか、25cにするか、それとも慣れ親しんだパナレーサー(23c)に戻すかは決めかねている。
※キャリパーブレーキだと、28cは輪行時の脱着で干渉してしまう…というデメリットがある。なので、たぶん28cは選ばない予感。ディスクブレーキであればクリアランスの心配が無くなるのだが…。

冬のサイクリング・ノウハウその2.保温ボトルを活用

保温ボトル(CAMELBAKのポディウムチルとか)は夏用のイメージが強いが、ぬるま湯を保温することもできる。長時間はもたないのでロングライドでの効果は薄いものの、通勤のような1時間前後のライドであれば、十分に効果を発揮する。

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/ 自分も愛用してる \

ただ、ここ数年はただの水しか自分は飲んでいない。当然ながら真冬なのでキンキンに冷えているわけだが、あまり気にならなくなった。

>> 冬のライドは寒いので、防寒対策として白湯を飲んでおります

冬のサイクリング・ノウハウその3.冬用シューズの活用

冬のライドで困るのは、身体の末端(指先&つま先)の冷え。体幹がいくらホカホカでも、末端が寒いととたんにサイクリングが辛くなる。

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/ シューズカバーです \

夏用シューズに「シューズカバー」をかぶせるのが一般的な対策。これ1枚で冬シーズンを凌ぐこともできるが、気温3度かそれ以下の時期はこれだけでは不足することも。保温性の高い(厚手の)ソックスを追加してもいいが、足先が窮屈になるのがデメリット。アルミホイルをつま先に巻くのもいいが、真冬だと気休めにしかならない。ではどうするか。


そこで、さらに保温力の高い「冬専用のサイクリングシューズ」の登場だ。

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/ カバーすら不要 \

こういうシューズが存在するってことすら自分は知らなかった。ベンチレーションの穴やメッシュ素材はないので通気性は期待できない。そのかわり、複数の保温素材レイヤーで冷気を完全にシャットアウトしてくれる。

厳寒期の使用に限定されるだろうが、マットさん、ダンさんは「夏用シューズにシューズカバーをかぶせるよりも、段違いに暖かい」と語っている。冬の長い季節のサイクリストの方は、一考の価値があるかもしれない。

冬のサイクリング・ノウハウその4.防水性のあるサドルバッグ

サドルバッグにマルチツールを入れている場合、専用カバーで包んでおこう。裸の状態で入れていると、外からの圧力や湿気のせいで予備チューブを傷つけて穴があき、肝心のときに使い物にならなくさせてしまうリスクがある。冬のライドでパンクして、予備チューブに穴があいてた…なんてことになったら大悲劇である。

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専用カバーに入れるか、なければビニール袋でぐるぐる巻きにして、鋭利な部分をカバーしておこう。防水仕様のサドルバッグを併用するのもよいが、それでもマルチツールは何かしら包んでおきたいところ。

なお、自分が愛用しているのは、トピークの小型マルチツール。それに加え、ホームセンターでアーレンキー(4ミリと5ミリ)を別途携行している。
※シートポスト、サドル、ヘッド、シューズのクリートなど、使うシーンが多いサイズなので。あと、マルチツールだけだと長さがないのでしっかりねじ込めない場合がある。

>> ツール缶には4ミリと5ミリのアーレンキーを持っておくと、マジで捗るYO

冬のサイクリング・ノウハウその5.冬は廉価版バイクでしのぐ

英国のような、冬季も雨が多く、ウェットコンディションの中を走らなければならない地域でのコツとして、「冬の間は廉価版バイクに切り替える」というのがある。

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大事にしている1軍バイクは冬季は家に保管しておき、2軍バイクを冬に使う。2軍バイクであれば、思い切り汚れてもさほど気にならないし、消耗スピードが早くても許容できる。

たとえば、安めのアルミフレーム、下位グレードのコンポーネントとホイール、耐パンク性高めのタイヤ、さらにはマッドガードをあしらえば、路面の濡れや水たまりを通過するときに、「大切なバイクが汚れちゃう…」といちいち気が滅入ることもない。

重量が増してしまうのは致し方ないが、冬であれば長距離ヒルクライムもしないだろうから選択肢としてアリである。

2軍バイクを用意するのはなんとかなりそうだが、問題は「保管場所をどうするか」だろうか。我が家はすでにロードバイク1台(寝室)、ミニベロ2台(居間)があり、これ以上増やすのはスペース的に難しい…。

冬のサイクリング・ノウハウその6.ウェットティッシュを携行する

動画内では「Baby Wipe」と表現されていたが、ようするにウェットティッシュのこと。レストラン等で提供されるアレをサドルバッグに二つほど忍ばせておこう。たいしてスペースもとらないので気にならない。

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パンク修理やチェーン落ちで作業すると、どんなに気を使っても指が汚れる。汚れた指のままブラケットを握りたくないし、ウェアに黒いシミを付けたくないもんね。

ただ、ウェットティッシュは時間が経つと湿気が蒸発してしまい、ビニール袋の中でカピカピになっていることもあるので、ときどきチェックして入れ替えてあげましょう。

ちなみに自分は以前は律儀にウェットティッシュを持っていたのだが、使った後のゴミが増えるのがイヤなので今は持っていない。指が汚れたらそのへんの雑草で指をこすってごまかしている。

冬のサイクリング・ノウハウその7.なるべく平坦路を走る

冬の山は気温が下がって、路面凍結の危険がある。それにくわえて、登坂で汗をかいてしまうことで、ダウンヒル時に身体が冷え、風邪をひく…ことも。真冬のダウンヒルは寒い。汗をかいた状態だと、ウィンドブレーカーを着ようが何をしようが、絶対に寒い。たとえるなら、巨大冷蔵庫の中で長時間ジッとしているかんじ。

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真冬でも、坂を登るととたんに汗をかく。一度濡れたインナーはなかなか乾かず、汗冷えで苦しむ。替えのインナーをバックパックに詰めておく…という対処法もあるにはあるが、そこまでするよりは、なるべく緩やかなアップダウンで留めておき、本格的な峠越えは春までとっておく…のがよいかと思う。

自分のコツ:カイロを背中に貼る

サイクリング仲間がやっているのを見て知った方法なのだが、インスタントカイロを背中(具体的には首から背中にかけた「肩甲骨の間のやや上」)に貼るという暖のとり方。

体の一部分を局地的に温めるだけで効果あるの?背中だけ暖かくても意味なくない?」と尋ねたら、「と思うでしょ?それがやってるとやってないとではぜんぜん違うんだな~」と得意気に語っていたので、効果があるのは間違いなさそう。

どーにもこーにも寒さに耐えられん!となったらコンビニに駆け込んで1枚買って試してみるつもり。

あと、冬に限った話ではないが、ワイヤーロックは常に2個持参する。冬はトイレが近くなるし、1回あたりの休憩時間が長くなりがち。なので、なるべく強度高めのロックを持っておきたい。自分はABUSのロックをずっと使い続けている。


最後に自分の心がけをひとつ紹介しますと、冬ってそもそも”布団から出る”ことで苦労しませんか?逆にいったん起きあがってしまえば、慣性の法則で身体が勝手に動き、ウェアを着たり、ヘルメットやグローブを装着できるもの。そう、冬サイクリングの最大の敵は「布団から出られるかどうか」にある。

枕元にモッフモフに暖かいフリースと、室内用の厚手のソックスを置くのが自分のコツ。目覚ましを止め、布団の中でモソモソとフリースとソックスを着ると、わりと元気よく掛け布団を「ふんっ」と弾き飛ばすことができる(つまり、気持ちよく立ち上がれる)ものです。


以上、Global Cycling Network の「7 Hacks For Winter Cycling(冬サイクリングを快適に楽しむ7つのコツ)」に自分の経験を添えてお届けしました。


>> 冬の自転車通勤をより快適にするコツ8つ+アルファ


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