ビンディングペダル&シューズに抵抗のある女性は少なくない。

シューズとペダルを接続して固定させるビンディングペダル=コケたらどうするの!?」という恐怖が先に立つみたいで、メリットをいくら語っても耳に入ってこないのだ。「だって危ないじゃん」と。

03
※購入直後のデフォルトのボードウォーク

オクサマもその一人。2010年から乗っているダホンのボードウォークは今もフラットペダルのままだ。100キロ走ろうが、山に連れて行こうが、スニーカーで漕いでいる。「ソレで問題ない」と、ビンディングペダルは無視してきた。(プラスチック製の純正ペダルはヘナヘナなので早々にwelgo製に交換したが)

しかし、ついにビンディングペダルに興味を示してきたのだ。しかも自ら。いったいどんな心変わりがあったのか?きっかけとなる出来事があったのか?不安が消えたわけではないらしいが、「やってみたい」と言う。

43
※フラットバーハンドルだけ残して、いじりまくったボードウォーク


どうやら、毎度毎度100キロ近い距離を走ることで、「ビンディングペダルだと、もっと楽に走れるのかな…」と妄想するようになっていたらしい。たしかに、フラペで100キロ走るなんて、そんなシンドいサイクリングは自分はゴメンである。

ビンディングペダルを使うメリットは、なんといってもペダリングの効率アップ。踏み込みの動作、脚を引き上げる動作、どちらでも力を伝達することができる。ペダルから足が意図せず外れてしまうこともないので、ダウンヒルやヒルクライムではむしろ安心できるスグレモノ。

「そうか、ついにやってくれる気になったか」とウレシイ気持ちになった。

59
※ブルホーン化して、ほぼカスタマイズが終了したボードウォーク


ただ、どんな製品群があって、どれを選べばよいかチンプンカンプンなので、自分が全面的に助けてあげることになった。ようやく絞り込みができたので、その過程を晒しつつ、ビンディングペダルを使うかどうか迷っている方の参考になれば幸いである。

シマノ一択で即決

自転車歴7年になるオクサマは、年数だけで言えばけっして初心者ではないが、実質は初心者。およそ考えつくあらゆるメンテナンスはしたことがなく、どのパーツの調整もできない。タイヤ交換なんて夢のまた夢。いまだにタイヤとホイールを混同するくらい。

そんな人間にレース用ペダルは無用。豚に真珠。よって、SPD-SL、タイム、LOOK、スピードプレイは検討さえしなかった。シマノのエントリーレベルで十分である。

05
※今使っているフラットペダル


ということで、「安くて、踏み面が広め(力が入れやすい)のSPDでいいか…」と大雑把に絞り込んだ。

SPD-SLとSPDって何が違うの?

ちなみに、「SPD」と「SPD-SL」は名称は似ているが中身はまったく違う。初心者は「どっちがどっちやねん」という気持ちになるはず。

クリート(止め具)をシューズの裏にはめ込んで、ペダル側(溝)と噛み合わせて固定するのがビンディングのざっくりした説明。ようするに、凹凸がぱちんと合体するイメージだ。それは「SPD」も「SPD-SL」も同じ。

41
※SPD-SL です。ちょっとゴツくて、歩くときにペンギンみたいになります

「SPD」は、マウンテンバイク(MTB)向けペダル

バイクを降りて未舗装路を歩くことが考慮されている。よってクリートは小型だし、出っ張りがシューズから飛び出さないよう設計されている。マウンテンバイク用と書いたが、べつに街中で使用しても問題ない。むしろ、舗装路はとても歩きやすい。

ペダルタイプもいろいろあって、オフロードレース向け(泥が詰まりにくい)、片面フラット(スニーカーでも乗れる)、両面タイプ(どちらからでも装着できる)等がある。

14
※これはSPD(元々はMTB用ですが、街中でも余裕で使えます)


ちなみに自分が使っているのは、SPDの「PD-A600」の片面タイプ。SPDの中で最軽量で、見た目がスマートなのが選んだ理由。ダホンMu、タイレル(Tyrell)のCSI 、BOMA の Refale…とすべてのロードバイクとミニベロで「PD-A600」を使い続けている。

たぶん、これ以外のSPDペダルを今後選ぶことはない・・・くらい気に入っている。

57
※PD-A600。アルテグラグレードで、SPDでは最軽量

「SPD-SL」はロードレース向けペダル

踏み面が広く、固定力もあって、高い負荷をかけることができる。ロードバイクでレースをする人、そうでないツーリング志向の人、日本でもっとも普及しているのが「SPD-SL」だと思う。

弱点は歩行性能。そもそも歩くことを考慮した設計になっていない。クリートがシューズからドーンと出っ張っており、カチカチと音を立てながら歩くことになる。しかもクリートが樹脂製のため、歩行や着地のたびに少しづつ削れ、経年劣化もする。

38
※SPD-SL に似てますが、こちらはLOOK。シマノ以上に劣化が早い

クリート用のゴム製カバーを取り付けることで多少はクリートの消耗を抑えられるが…実際問題、歩行するたびにそれをするのは面倒。せいぜい、輪行の際に「よっこらしょ」と装着するかんじかなと。

まとめると、初心者はマウンテンバイク系の「SPD」でよいだろう。ミニベロにつけるのであれば、なおさらである。(そういえば、ミニベロで「SPD-SL」を付けている人に出会った記憶はない。いるかもしれないけど…)

レーシーなシューズはイヤ

シマノのカタログを見せてみたら、「青とか赤とか、レースの人が履くようなのはヤダ。黄色なんてとんでもない」とのたまう。まあ予想どおり。そもそもミニベロだし、カジュアル系のサイクリングウェアで走るので、レーシーなシューズはミスマッチ。

57

それに、レーシーなシューズはほぼ漏れなくSPD-SLなので、オクサマには関係ない。スニーカータイプの「SPD」向けシューズを選ぶことになった。

運動神経がなくても問題ないのか?という不安

オクサマの最大の不安がここ。ビンディングペダルを使いこなすには、特別な才能とかセンスが必要だと思いこんでいる。そんなわけはない。万人に等しく作られているからこそ、広くサイクリストに普及しているのだ。

しかし、使ったことのないパーツに恐怖を持つのももっともな話。それに、おせじにもオクサマは運動神経があるほうではない。球技はさっぱりだし、泳げない(←沖縄出身のくせに)。

29
※カタログとにらめっこして悩むオクサマ

ただ、オクサマは大のスキーが苦手。若い頃にスキーでコケまくってべそをかいてほうほうの体で雪山から逃げ帰ったことがある。以来、二度とスキー場には足を踏み入れていない。「足を固定され、自由を奪われる恐怖」が、いまだに残っているのだと思う。


( ´_ゝ`) 「センスなんて不要だから!性別関係ないし、ましてや運動神経云々なんてもっと無関係。1~2回コケればすぐ慣れる!」

J('ー`)し 「コケる前提かよ」

( ´_ゝ`) 「そうだよ」

J('ー`)し 「怖いよ」

( ´_ゝ`) 「コケないように指導するから」

J('ー`)し 「たのむ…」


ということで、ようやく覚悟を決めてくれたようだ。

01
※こんなレーシーなのはオクサマには不要(笑)

SPDも悪くないが、初心者に適しているのはクリッカー

「SPDで行くか」とほぼ腹ぎめして、ショップの大将に相談してみたところ、


大将 「SPDも悪くないけど、初めてのビンディングで不安があるならPD-MT50 CLICK'R PEDAL(通称:クリッカー)のほうが向いているかも

自分 「あら、シマノにクリッカーなんてのがあるんだ」

大将 「SPDの脱着バネを最弱設定するよりも少ない力で外せるから、初心者女性にはオススメ

自分 「なるほど」

大将 「しかも踏み面も広めなので、ペダリングしやすい


とのこと。

54
※クリッカーです。見た目は無骨で少々重い。


PD-MT50 CLICK'R PEDAL(クリッカー)


産経サイクリストに詳しい記事が掲載されているので、くわしく知りたい方はどうぞ。

>> サラッとはまるビンディング 「シマノクリッカー」のシューズ&ペダルで快適街歩き(産経サイクリスト)


時間がない人のためにまとめると、こんなビンディングシューズである。
  • 日本人向けの幅広設計
  • 見た目はスニーカー
  • 芯、EVAミッドソール、ラバーソールの3層構造で歩行性もバッチリ
  • ベロ部分(クッション)は厚みがあり、くつひもで締め加減が調整可能
  • 結んだくつひもが自転車に絡まらないよう、ひもの先を通す輪っかもある


PD-MT50 CLICK'R PEDAL(クリッカー)はけっしてスタイリッシュなデザインではないし、むしろ、「だせぇ…」と思ってしまったのだが、オクサマに写真を見せて解説したら、「それでいい。よくわかんないし」と即決。お前にはこだわりというものがないのか…。

なお、マルチリリースという横にひねる以外の様々な角度から取り外せるタイプのものもあるが、シングルリリースタイプにしておいた。「横にひねって外す」というシンプルなルールで運用させたいためである。あと、マルチリリースは予期せず外れてしまうリスクを孕んでいるのも、やめておいた理由。

32

ということで、(まだ買っていないけど)PD-MT50 CLICK'R PEDAL(クリッカー)で決定しました。今後装着して、練習をしばらく指導することになるかなと。無事に使いこなせるとよいのだが…。

オマケ: コケるときのコツ&自分の経験

ビンディングペダルを使っていて、「立ちゴケしたことない」という人は滅多にいない。立ちゴケはすべてのサイクリストがいつか通る道。

ということで、来るべき日を迎える前に、こちらの記事もどうぞ。自分の立ちゴケ体験とか、リスクを下げるコツ等を書いた記事です。

>> 【再現ドラマで完全解説】 三本ローラーから落車するとこうなる

>> ミノウラの三本ローラー(モッズローラー)を1年間使ってわかったこと