まったく買うつもりのないフィアットのアバルト500(Abarth 500)のことについて、調べまくっている自分がいる。パンダで十分に満足しているし、不満はゼロなのに、いったい自分は何をしているのだ・・・。

どうやら、アバルト500のカッコよさにしびれてしまったらしい…(笑)。

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※写真は595です

予算的(車体で約300万円!)にも、用途的(4人家族)にも、2ドアスポーツカーなど我が家において許されるはずもなく、オクサマにも「1ミリでも買えると思うんじゃねえぞ」と太い釘を脳天に刺されている。ですので、あくまで妄想だけのために、海外のインプレ動画を観まくってリサーチしております。

余談だが、自動車のインプレッション動画をココ数年、趣味として視聴することが多いんだけど、国産と海外産を見比べてはっきりとわかったことは、日本のインプレ動画は総じてクオリティが低いってこと。プロ野球と草野球くらいの大差がある。

日本の動画はトークが冗長、批判は(ほぼ)皆無、言葉の表現が抽象的であやふや。しかも、本音ではなく建前ばかり……観ていてぜんぜん面白くない。

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結果的に、海外の動画ばかり視聴することになった。ユーザー目線があり過ぎて、「そこまで言うか?」、「スポンサーから怒られないのか!?」ってツッコミを入れてしまうような動画が山のようにある。

検索結果の量の多さも圧倒的に違う。楽しくて役に立つ自動車インプレ動画を観たいのなら、アルファベットで検索することをオススメする。法人が運営するチャネルだけでなく、個人のインプレも手が込んでいて、本格的である。

で、アバルト500のインプレ動画を観まくった結果、「情報の量と質においてベストだな」って思った動画がこちら。

Fiat 500 Abarth Review (Tiny Turbos Pt.1) -- Everyday Driver



everydaydriverという、スポーツカーを主に扱う自動車コンテンツプロダクション。youtubeチャネルもあるし、記事コンテンツもあるし、ポッドキャストもしている本格的な会社のようで、2007年から活動しているようだ。  

どこの国の会社が運営しているのかはわからなかったけど、右側通行での撮影だったのと、英語の発音から推測するに、どうやらアメリカのよう。車の良いところだけをあげつらう提灯記事的な作りはせず、ダメなとこはダメと一刀両断にするトークが耳に心地よい。

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※クリス・フルームに似ているよーな気も…

こういう本気度が高いインプレ動画は海外にはたくさんあって、こっちも前のめりで視聴できる。エンターテイメント性を重視しているのがヒシヒシと伝わってくるね。日本の自動車評論業界もこの姿勢はぜひ取り入れていただきたい。

さて、ではアバルト500がどのような評価をされていたのかを以下にまとめますね。

アバルト500のカブリオレは高すぎるので選択肢から外してOK

カブリオレは単純に高すぎる。普通の屋根付きのモデルを買おう」とのことだ。予算と好みの問題ではあるが、いきなり「カブリオレは選択肢から外してOK」というぶっちゃけトークに(いい意味で)驚いた。

うむ、自分も「アバルトを買うのなら、自転車を屋根に積むのが前提だろう。ルーフキャリアはセットで購入せねば」と考えていたので、ちょうどよかった(どうせ買えないくせに…)。

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※オシャレではありますね、カブリオレは

アバルト500の運転席のヒップポイントは意図的に高く設定されている

通常のスポーツカーとは異なり、アバルト500のヒップポイントは意図的に高くされている。たまたまこうなったのではなく、「視界確保&ノーマルの車をスポーティに楽しむ」という理由があってのことらしい。

「スポーツカーなので、個人的にはもっと低く着座したいんだが」とか、「走りはスポーティなのに、目線が高いのがちょっと違和感あるね。横に狭く、縦に高いパッケージの車だ」とコメントしていた。

個人的に着座位置は高く置きたいので、むしろ自分には好都合。パンダもその視界の良さがメリットのひとつだし。

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エクステリアデザインはミニ(BMW)に通じるものがある

ノーマルのチンクエチェントは車高がかなり高く、可愛げはあるがスポーティとは呼べないシルエット。それが、アバルト500では引き締まったスタイリングになっている。BMWのミニのコンセプトにも似てるが、アバルト500は可愛らしさを演出しつつも、「アグレッシブすぎない」味付けにしている。

サソリのバッジは好みがわかれるかもしれないが、クールだし、他の車では味わえない独特の雰囲気がある。

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※しびれる…

アバルト500の全長は3655ミリ。ちなみにチンクエチェントは全長3545ミリ。アバルトのほうが110ミリ長いということになるが、原因はバンパー周りのエアロパーツのせい。全幅1625と全高1515(mm)はまったく同じなのだ。

てっきりアバルト500のほうが全高を抑えていると思ったのだが、そうではない。 ノーマル500とアバルト500の比較に関しては、とてもわかりやすい&詳しい解説記事を見つけたのでそちらをご覧ください。

ABARTHとFIATの違い①【エクステリア&デザイン】
ABARTHとFIATの違い②【スペック】
ABARTHとFIATの違い③【パフォーマンス】 

これはじつによいコンテンツ。読んでいたら、ますますアバルト500が欲しくなってしまって困る(笑)。 

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※これはノーマルのチンクエチェント

インテリアデザインは基本的にノーマルを踏襲しつつも、独特の世界観

車内の造詣はノーマルのチンクエチェントとほぼ同じ。奇をてらわないボタンのレイアウトは使いやすいものだし、よく考えられている。色あいもスポーティで、ノーマルとは雰囲気がぜんぜん違うね。

インパネのメーター類は、コンパクトかつ上手にレイアウトされている。デザイン性は見事なのだが、各種数字が1か所に集中しているため、走行中に素早く読み取ることができない。とくに、スピードメーターの数字が小さすぎるのは問題。

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※パット見はカッコイイけど、実用性はいまいち

ただ、スポーティな雰囲気はよいのだが、「シートポジションがアップライトになってしまうのがやや気になる」とのことだ。個人的には、アップライトな着座姿勢のほうが好きなので、自分にとってはポイントアップである。 ヘッドレスト一体型の専用シートがカッコイイ。

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マニュアルの3ペダルのポジションも最適化されており、ヒール・アンド・トウもしやすいとのこと。なお、ヒール・アンド・トウとは、マニュアルトランスミッション車の運転技術のひとつ。右足でブレーキペダルと同時にアクセルペダルを踏む操作で、かかと(英語: heel)とつま先(英語: toe)の両方を使ってペダルを操作することに由来する。

後席は大柄な欧州人にはあまりに狭過ぎるとのことで、大人4名で乗る車ではなく、2名用+荷室と割り切ったほうがよさそう。あと、ラウンドボディの弊害で、後席のヘッドルームはミニマムである。

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意味不明なスポーツボタン

アバルト500には、なぜか「スポーツボタン」が装備されている。コメンテーターは「そもそもコンセプトがスポーツカーなのに、そこにあえてこんなボタンを用意する意味が分からない。アバルトのような車は常にスポーティであるべきで、いちいちドライバーにこんなボタンを押させるのはなんか違う」と一刀両断していた。

これは自分も100%同意。尖ったコンセプトの車なのだから、常に尖ったままでいてほしい。いちいちボタンのオンオフなんて用意しないでほしい。それこそが、アバルトを購入する意味であり、価値なのだから。

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馬力は海外と日本モデルで異なるようだ

動画内では、アバルト500は160馬力と紹介されていたが、日本モデルはMTで135馬力、ATで140馬力。海外バージョンよりやや大人しめにチューンされてしまっているようだ。(ちょっぴり残念)

エグゾースト音がセクシーすぎる

アバルト500の何がいいって、エグゾースト音が素晴らしすぎる。コメンテーターは、「このエグゾースト音だけを聞いて車種を当てろって言われたら、もっと上位カテゴリのスポーツカーを想像してしまうと思う。このエグゾースト音は・・・もはやポルノだと呼んでもいいくらいだ!エグゾーストポルノ(当然、造語w)だ!」と感激していた(笑)。

「いいか、エグゾースト音の良さだけで車は買ってはいけないぞ!でもな、、、アバルト500の音は確固たるキャラクターなんだ。このエグゾースト音だけでも、アバルトを買う理由になる!」とも話していたね。それ、すごくわかる。

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アバルト500はコーナーが楽しい車

スポーツカーにしては車高が高いため、コーナーで若干のロールがあったり、ライン取りの正確性が他のスポーツカーには劣る。ハードウェアとして、スポーツカーとしてアバルトを評価すると、どうしたって高級なスポーツカーには負けるのは揺るがない事実。

しかし、それを差し引いても、「とにかく運転していて楽しい車だ」だそうな。コーナーをついつい攻めたくなる、「冒険に出かけたくさせてくれる、小さくて元気な車」らしい。アクセルをガシガシ踏みつけて走らせるには、アバルト500はピッタリなようだ。

アバルトを所有することは、小さな龍を飼うようなもの

アバルト500を所有することは、小さなドラゴンを飼うようなものだ」って名言も飛び出した。「アバルト500=Small Dragon」らしい。

身体のサイズに似合わないパワーを持ち、カンペキでないもののポテンシャルが高く、日常生活では扱いにくい面もあるものの、「でも、龍を飼っているんだ!それで十分じゃないか!この車はカンペキな車ではない。だがしかし、それゆえに楽しいのだっ」って結論に持って行かれてしまった(笑)。

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※「アバルト500は小さな龍」と断言してた(笑)

このオジサン、なんだか好きになってしまったので、今後もeverydaydriverをあれこれ視聴させてもらおうと思う。


以上、アバルト500の魅力を余すところなく伝えまくっている動画の紹介でした。この動画を観ていると、「ディーラーさんに、試乗させてもらいに行こうかしら…」って気持ちになってくるので、非常に危険(笑)。