自分が好きなサイクリングスタイルは、行ったことのない場所に無計画でふらっと出かけるやつ。

無計画ってのがポイントでして、旅行ってふつうは計画を事前にしっかり立てるじゃないですか。あそこ行って次はそこに行ってそれからここにも立ち寄って時間配分はこんなかんじで…ってかっちりやる旅行も悪くないけど、自分はそのときの気分とか本能に任せて行き先を決めるほうが性に合っている。

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計画を立てすぎるとそれに振り回されるというか、工程をクリアすることが目的化してしまう気がして気が焦る。せっかく心のデトックスをしに来ているのに、ストレスを溜めては本末転倒。一度の旅行で回りきれなかったら、「また来れば良い」って考える。旅行って一度訪れたら終わりではなく、同じ場所に何度行っても良いものなのだ。

【サイクリングとは基本的に孤独なスポーツ】 ぼっちライドは超楽しいのでみんなやるべき…というお話し

安曇野を観光してきたんだけど、自転車乗りとしてパラダイスかもしれないと思った

ふだんは日帰りが多いのだが、今回は一泊二日で長野の安曇野をソロツーリングしてきた。目的地と宿を決めた以外は完全にノープラン。どの道を走るかも、そこに立ち寄るかも考えず、出たとこ勝負でとりあえず新宿を出発したのだが、これがサイコーにステキな旅だったので激しくオススメしたい。

ノープランひとり旅をしようと思ったキッカケのツイートがこちら。



この行動力…あっぱれだと感心。「やってみたいからやる」というシンプルかつ軽いノリでソロキャンプを楽しんでおられる…この姿勢は全力で見習いたい。

ということで、こんな感じにノープランソロツーリングを楽しんできましたよって紹介をさせてもらおうと思う。コツってほどじゃないけど、何かしら参考になることがあるかも。

目次


出発前日まで行き先も宿も決めない

じつは松本と安曇野って決めたのは金曜日(行ったのは土日)で、ギリギリまでどこにいくか決めていなかった。決めていたのは「一泊で遠方に行く」ってことだけ。

金曜まで決めなかった理由は、天気予報次第で目的地を変えようと思っていたから。あらかじめ複数の目的地を脳内にリストアップしておき、前日の予報で雨のエリアを消しこむ。たまたま快晴予報だったのが松本&安曇野だったわけ。第二候補は高崎、第三候補は水戸ってなんとなく決めていた。

複数の離れたエリアを持っておけば、どこかは晴れになるはず。サイクリングは晴れているほうが景色がいいし、気持ちもいいので、天気最優先で決めるわけだ。週間予報では外れることもあるので、前日かせめて前々日まで待つことをオススメする。

混雑する時間帯をずらして特急に乗る

ただ、ギリギリまで待つことのデメリットとして、指定券が売り切れになってしまう…がある。新幹線で45分程度なら自由席に突撃し、席がなければ立って過ごす…というギャンブルができるが、新宿~松本はスーパーあずさで2時間半ほどかかる。立ちっぱなしはさすがにきつい。

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そこで出発時間をあえてずらす。朝イチ~午前早めの時間帯は人気だが、午後3時以降だと比較的空いていて予約しやすい。もちろん、座席後ろをバイク置き場として使える最後尾のシートを押さえよう。

宿も前日に予約する

チケットの目処がついたら同時に宿も取る。順番はどっちでもいい。いわゆるホテル&温泉宿予約サイトから絞り込むのもいいが、人気観光地でしかも前日だと、希望条件でなかなか見つからないことも多い。

自分は観光ホテルや温泉宿はハナから対象にしておらず、狙うのはビジネスホテル。もしくはペンションか民宿。何しろ安い。ビジネスホテルなら素泊まりが基本だし、ペンションの場合は夕飯は付けず、朝食のみにする。

探すにはgoogle map を使う。目的地周辺で「ビジネスホテル」とか検索して、ヒットした宿名で検索。そして電話。これでだいたい大丈夫。

ただ、経験上でいうと、観光地にあるビジネスホテルはハイシーズンは週末限定で値段を変えてくることが多い。観光需要が高いのだろう。松本駅周辺のビジネスホテルに片っ端から電話してみたところ、平日は素泊まり7,000~8,000円なのに、三連休は25,000円(素泊まり&シングル)とか平気であった。さすがに3倍は足元見すぎだろ…と思って辞退し、ペンションを探す。

松本駅周辺は人気なのか、満室が多い。安いとこは満室、空きがあっても法外な値段…うーん、困った。だが、駅から離れていけばなんとかなるものだ。豊科、穂高と北上して行ってようやく穂高駅すぐそばのペンションにたどり着いた。中心街から離れていけば、空いてる宿はわりとアッサリ見つかるものである。

泊まったのはラリーグラス(Laligurans)さんというペンション。

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※泊まった翌朝に撮った写真

電話で女将さんと話したら、「うちは通年で素泊まり(朝食付き)で6,500円なのよ。ハイシーズンでもこの価格なの!」っておっしゃってもらえたので二つ返事で予約した。この時点で、ウェブサイトは電話番号を確認しただけで、部屋も設備もほぼ見ていない。なーに、どうせ夜に到着して疲れているのですぐ寝てしまうわけで、豪華な場所である必要はまったくない。

それにしてもラリーグラスとは、どういう意味だろう…?と思ったらウェブサイトに書いてあった。

サンスクリット語で「紅い石楠花」。春3月から4月、ヒマラヤの山麓を真紅に染めるこの花は、殊のほか名花でネパール連邦民主共和国の国花でもある。

とのこと。 (へぇ~)


列車の便が遅い時間帯だと、駅到着が夕方になっていることも多い。そこからバイクを組み、薄暗い道を走るわけで、何時に到着できるかわからないのだ。走ったことのない未知の土地なので迷うかもしれないし。夕飯は道中で食べればいい。ファミレスか松屋でも構わないくらいの心づもりで行く。

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/スーパーあずさの中\

ちなみに15時半の新宿駅発で、松本駅の到着は18時。そこから安曇野までは16キロほど。普通に走れば1時間かからない距離だが、道中がびっくりするほど真っ暗だった。街灯がぜんぜんなく、フロントライトだけだと心細い。慎重に走ったので1時間ちょいで宿に到着。土地勘はないが、Google map さえあればまったく迷わずにたどり着ける。

ひとつ、宿を取るときのコツとして、

  • 自転車で行きます
  • 高価なモノなので屋内保管させてほしい
  • べつに部屋保管でなくてもよく、建物内の安全な場所に駐輪させてほしい

と伝える。

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たいていの宿泊施設には物置スペース的なバックヤードがあるもので、保管自体は問題ないことがほとんど。これまで一度も断られたことはない。「輪行バッグに入れるのなら、部屋に入れてもらってもOK」って言ってくれる施設も多い。

ただ、突然自転車で行くと向こうが準備ができないので、事前に伝えて許可を取っておくのがマナーだろう。

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食堂のスペースにバイクを置かせてもらえてよかった。

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/松本駅から穂高まではこんなかんじで走った\

宿に到着後の過ごし方

宿と切符だけ決めて目的地に着いた。次はどうするか?明日のプランを立てるか?それよりも先に夕飯だ。夕食抜きプランなので外に行くしかない。宿に向かう道中で目星をつけておいた店に行くもよし、宿の女将さんに「地元の美味しい店ありますか」って助言を求めてもよい。

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/松本駅(とてもキレイ)\

自分は穂高駅そばの宿に泊まったのだが、女将さんの意見に従って地元の方々が集まる中華料理屋さんに行った。

せっかく観光地に来たのにどこにでもあるメニュー…と気を落とす必要はない。まあ、そりゃあ名物を食べたい気持ちがないと言ったらウソになるが、走った後で腹ペコなのでなんだってめちゃくちゃ美味しい。

それに考えてみてほしい。地元の人しか来ないような、車で走っていたら見過ごしてしまうようなこじんまりした中華料理屋に、残りの人生で再び訪れる日が来るのだろうかと。答えはおそらくNO。つまり、その店の料理は一期一会。店員さんとも一期一会。きっと二度と人生ですれ違うことのない人となる可能性が高い。どうだろうか、そんなことを考えながら食べる豚ニラ炒め定食が美味しくないわけがない。

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自分は知らない土地で食事するときは、常にそう考えるようにしている。けっこうこれでうまくいく。

余談だが、豚ニラ炒めに紅ショウガが付いてきたんだけど、これがすごくマッチしてご飯が進んだ。ニラレバ炒めにも合うような気がする。

食後は宿に戻り、部屋のテレビをつけ、ベッドに寝っ転がって翌日のプランを立てる。立てるといってもふわっとでよい。ちょうどキングオブコント2018を放送中だったのでゲラゲラ笑いながらである。

コツは、ガイドブックは使わないこと。「エリア名+観光情報」ってクエリで検索もしない。ついつい検索結果を眺めて、沢山の情報からよりどりみどりしたくなるが、これをすると欲張りなプランを立ててしまいやすい。人間とは強欲なもので、選択肢が多いと目移りし、詰め込んでしまいやすい。

せっかく交通費と時間をかけてやって来たのだから、いっぱい詰め込みたくなる気持ちはわかる。が、回りきれなければ、それもまた良し。再訪する理由になるではないか。

観光ガイドブックではなく、Google mapを使う

Google map はナビとしてだけでなく、観光地を探すのにも使える。自分がやるのは「史跡」「神社」「城跡」あたり。ロケーションが地図に表示されるので距離もすぐわかるし、順序の組み立てもカンタン。写真やクチコミも見れるので、事前にイメージが掴めるのもナイス。

ガイドブックだと「いいな」って思って地図で調べたらとんでもなく離れてた…ってこともままある。見ていてワクワクはするけど、実用性ではウェブに負ける。

安直だが、宿の人に尋ねるのもアリ。観光スポットでなくても、地元で人気の美味しいパン屋さん、絶景が味わえるこじんまりしたカフェとか紹介してもらえることも。Google map は優秀なので活用しよう

自分が目星をつけたのは、国営アルプスあづみの公園堀金&穂高地区のほう)と大宮熱田神社松本城。締めくくりは浅間温泉にある立ち寄り湯。すべてを地図上で確認できるので、もっとも効率のよい順番で回ることができそう。

ロードバイクで移動しながら観光する

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朝食後、8時半に宿を出る。天気は予報通り快晴!空気が乾いていて、とんでもなく快適。朝の空気はちょっとひんやりするかな…と思ったが、サイクリングにはちょうどよい。

最初に向かったのは国営アルプスあづみの公園

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入園料がかかる(大人450円)が、マジでオススメ。自転車関係なくオススメ。キレイな景色とアルプスが眺められてつい長居しそうになる。徒歩で回るにはやや広すぎる敷地だが、自転車ならカンタン。公園の端から端までサッと移動できる。道路を挟んで反対側には安曇野の田園風景があり、また違った味わいがある。

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ちょっと離れた場所には「大町・松川地区のほうのあづみの公園」という同じ公園なのだが別地域の公園もある。そっちには行けなかったので、次回に挑戦したい。
※マウンテンバイクをレンタルできるそうな

お次は大宮熱田神社。人っ子ひとりいなかった…。

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ひたすらに静寂。だが、これはこれで悪くない。おみくじがあったのでやってみた。

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/肝に銘じる\

果樹園を抜けて松本市街へ。松本市内ならランチの場所があるかと思いきや、意外になくって結局モスバーガーに。まあ、モスバーガー美味しいからいいけど。

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お次はド定番の松本城。国宝である。戦国時代の永正年間に造られた深志城が始まりで、現存する五重六階の天守の中で日本最古の国宝の城とのこと。黒と白のコントラストがアルプスの山々に映えて、見事な景観である。

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遠くから見たことしかなく、来たのは初めて。城内(天守、本丸庭園内)に入るのは有料(大人610円)。入りたかったけど、待ち時間が40分なので断念。

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まだこの後お風呂にも立ち寄りたいし、17:00くらいの特急に乗りたかったので、外側から見るだけにした。それだけでも十分に雰囲気は味わえた。

締めくくりはお風呂。浅間温泉の奥座敷にある「枇杷の湯」へ。

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適当に見つけて入ったのだが、けっこうな歴史があるそうで、温泉の公式サイトによれば遡ること400年の昔、初代松本城主 石川氏が浅間に湯御殿を造営し、湯殿を整備したことから始まったんですって。初代の湯守である先祖の「石川晶光(改易後 小口楽斎)」は、石川数正公の三男康次の子で、戦で負傷し歩行困難の身となったことで御殿守の役職に就いたそうな。文禄三年(1594年)の話とのことだが、家康が江戸城に入ったのが1590年で関ヶ原の戦いが1600年。ちょうどその間の出来事らしい。

小一時間ほど過ごし、暗くなる前に松本駅を目指す。距離は5キロ弱。涼しいので汗はかかなかった。

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/こんなルートでした\

まったりとバイクを輪行バッグにしまい、さーて、スーパーあずさのダイヤを確認してチケットを買いますか…となったのだが、ここでひとつミスを犯したことに気づく。

帰りの切符を買っておくべきだった

松本駅から新宿行きの切符(スーパーあずさ)を買おうと16時半に駅に到着した。輪行準備をしているとき、「やけに人が多いな…」とやや不安になり、恐る恐る切符売り場に行くと、そこはかなり長めの行列が。

ここで「しまった」と思った。サイクリストは自分だけだが、登山客が多い。自分と同じタイムスケジュールで動く人が結構いたか…と後悔した。

まあチケットが売り切れることもないだろう、松本駅は始発だし~と気を取り直して電光掲示板を見たら、軒並み売り切れ!全ての指定席にバツ表記が。なんなら最終便まで全部アウト。まずい…指定が取れないかも…どうしてもダメなら自由席。2時間半立ちっぱなしは考えたくないが、そんなことは言ってられない。

最悪、松本駅近くで予定外のもう1泊をして、翌朝の便を予約するか…でも宿代が高いだろうなあ…困ったなあ…とほぼ覚悟を決めたとき、自分の順番になった。
※三連休の中日でした

ダメ元で新宿行きの指定を頼んだら、

あー、ちょうどラスト1枚です。最後尾ですけどいいですか?新宿行きはこれしかなく、この便以降はぜんぶ埋まってます

もちろんである。なんとも運が良い。

「3分後の17時発ですが、大丈夫ですか?」

大丈夫もへったくれもないので即購入し、脱兎の如き素早さで(といってもロードバイクを背負っているのでノロノロだが)1号車を目指す。プラットフォームに降り立ったら…なんと9号車のとこ(笑)。発車しないでぇ~~~と心の中で叫びながらドタドタと移動し、車両に無事乗り込む。そして50秒後くらいにドアがプシューと閉まった。文字通り間一髪であった…。

やはり帰りの便はおさえておくべきだったと反省。つか、最初からえきねっとを使えよって話ですね。まさかこんなに混むとは思ってなかったので、余裕をぶっこいていた。よい勉強になった…。

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/冷や汗かきながら撮った1枚w\

新宿駅からは、涼しかったので自走で川口市へ戻る。それにしても心底リラックスできた素晴らしきひとり旅だった。こういう旅はどんどんやっていこうと思う。


ツーリングの行き先で迷ったとき「まだ行ったことのない場所に行く」と決めたら、わりと快適な件について

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