サイクリングを始めた6年前(2010年)も、なんなら今もなのだが、「坂を登るときってダンシングとシッティング、どっちが適しているの?」という疑問を持ち続けている。

サイクリストの間でもたまに話題になることはあるものの、もちろん結論は出ない。なぜなら時と場合によるし、個人の好み、適性もあるし、どちらも組み合わせて使うものだから。それに、どれくらいの距離を何分かけて登るかにも左右される。よって不動の正解はない。

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それは百も承知のうえで、それでも「どっちがベターなのかなあ」というモヤモヤ感は残っていた。

そんなタイミングで見たのがGlobal Cycling Network のこの動画。 「30%の激坂で検証!ダンシングとシッティングがどちらが速く登れるのか」である。撮影場所は坂の多い街で有名なサンフランシスコ。


In The Saddle Vs Out The Saddle: Which Is Better On A 30% Hill?!


斜度が30%!!!

一般的なサイクリストなら、聞いた瞬間に尻込みするレベルだ。足を地面につかずに登りきれる人は相当な健脚と呼べる。子ノ権現阪がマックスで40%だがあくまで部分的の話で、大半は10%後半から20%そこそこ。(自分は子ノ権現でたまらずに地面に足をついてしまった

修善寺にある日本サイクルスポーツセンター(CSC)の坂でも、最大斜度は12%らしい。それを踏まえた上で動画をご覧いただきたい。

チャレンジしたのはサイモンさん。サイモンさん自身、「自分もシッティングとダンシング、どっちが速く登れるのか、試したことがないからわからないよ」と話していた。

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※サイモンさん背後の坂の異常具合いに注目


サンフランシスコがどれくらいの激坂の街かは、この方の記事を読むと一発でわかる。ちょっと引用させていただくと… 
サンフランシスコは坂の多い街です。かつては、登坂には馬車が使用されていたそう。でも過去には、馬が坂で足を滑らせ、馬車が坂の下まで落ちて5頭の馬が死ぬという事故があったのだそうです。

自転車やクルマはもちろんのこと、徒歩ですら滑らないよう、転げ落ちないよう、慎重に歩かねばならない。

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この付近の坂を走る際には、オートマチック車をおススメします。理由は、坂の途中に何度も一時停止サインがあるため。ここでの坂道発進では、AT 車でもかなりの勢いで車が下がります。MT 車での坂道発進は、あまりにアドベンチャーでおススメできません。
引用元:車が消える?…サンフランシスコの坂で、ジェットコースター体験! 


前置きが長くなってしまった。ではサイモンさんのシッティングとダンシングを比較してみる。

まずはシッティングから。 そもそも、シッティングだけで30%の坂を登れてしまうサイモンさんがすごい。さすが第一線で走ってらっしゃった元選手。自分はとてもマネできない。なんと、シッティングだけで登り切ってしまった…。

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※階段(写真左)が用意されるレベルの激坂

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ここでサイモンさんからの「シッティングで登るときのコツ」を紹介すると、”サドルの先端に近い方に座るほうが登りやすい”とのこと。

理由は2つあって、ひとつは体重をペダルに乗せやすくし、ペダリング効率を高めるため。 もうひとつは、体重を後輪にかけすぎて、前輪が浮いてしまうのを防ぐため。15%以下の坂なら前輪が浮き上がることはまずないが、15%を越えると、乗り方によってはウィリー状態になってしまう。30%の激坂なら、なおさら意識する必要がある。

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※かなりサドルの前に座っているのがわかる


あと、ギアチェンジについてもサイモンさんからアドバイスがあった。
ダンシングしながらの変速はしにくい。というか、激坂途中でそれをすると危険だよ。コツとしては、坂を登り切るときに使うであろうギアを最初から選んでおき、そのギアのまま登ること。最初はペダルが軽すぎると感じるかもしれないけど、結局はそのほうが速く&無理なく登ることができる

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しばし休憩を入れて復活してから、2本目はダンシングでおこなった。

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※さすがのサイモンさんも、30%の坂はキツいようだ


で、気になる結果だが、予想通りというべきか、よりトルクをかけられるダンシングのほうが速く登れた。

  • シッティング:30秒
  • ダンシング:24秒

とはいえ、「ダンシングのほうが速いのか。じゃあ、どんな坂でも&いつでもダンシングで登り続ければいいんだ!わーい」と考えてはダメ。なぜならダンシングで力を発揮できるのは短時間だから。

基本はあくまでシッティング。ときどき現れる急なポイントをダンシングでクリアしたり、シッティングとは違う筋肉部位を使って体を休ませたりって感じで組み合わせていただきたい。 まあ、自分はただのオッサンサイクリストなので、きちんとした情報を網羅されたい方はヒルクライム系の書籍&雑誌を読まれることをオススメします。

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