自転車には車検制度がないので、極論すると維持費はかからない。が、言い換えるとメンテナンスに関する法律的な強制力がないということは、自己責任でやらなくっちゃいけない。

タイヤやチューブ、チェーンにカセット、各種ワイヤー類、バーテープといったものは劣化具合が目に見えるので「そろそろ交換するかー」ってなれるんだけど、目に見えないボトムブラケットとかヘッド、ハブ内はメンテのタイミングがわからない。

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そこでやるのがオーバーホール(Overhaul)。「いったんバラして、普段は目に見えない&指が届かない部分の掃除をしたり、グリスを塗ったり、必要あらば部品交換する」本格的なメンテナンスのことですね。自分でできる人は少ないだろうから、ショップでメカニックさんにお願いすることになる。(自分もそうです) 

自分は「オーバーホールは2年ごと」って決めていて、2014年1月に買ったBOMA の Refale の1回めのオーバーホールは2016年5月だった。今回やってみて思ったのは、「2年に1度では遅すぎる…」ってこと。

いや、バイクコンディションや劣化具合なんて一概に決められるものではなくって、使っている機材、保管方法、オーバーホール以外の定期メンテ、乗り方、走行距離、住んでいる地域などによって千差万別。

なので、各自が各自のベスト頻度を見極めて行くべきなのだが、自分にとっては「2年では時すでに遅し」なのだと痛感した。というのも、メカニックさんの開いた口が塞がらないほど酷い劣化具合だったから。予想外すぎて自分も大衝撃だった。

ということで、今回のオーバーホールとそこに至った経緯をご紹介したい。

目次


ロードバイクの乗り方はこんな感じ

まずは自分の乗り方を紹介しておきますと、

  • 月間走行距離:400キロ(ミニベロは200キロ)※合計600キロ
  • 乗り方:ロングライドメイン。レースは基本出ない(エンデューロは1年に1回程度だが、記録は狙わずマイペース)
  • ブルベ:経験なし
  • 保管方法:屋内
  • 輪行:月に1~2回
  • 三本ローラー:週に1〜2回(1回60分&タオルでヘッドを覆い、汗から守っている)
  • 基本的メンテ:注油や外装の掃除はこまめにやってる
  • 雨天走行:しない(雨天決行のイベントで年に1回走ることがあるかどうか)
  • 部品交換:カセット、チェーン、タイヤ、チューブの消耗品は寿命迎える手前でしっかり交換している(メンテナンスノートで走行距離を記録している)

…こんなかんじ。

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※消耗パーツは早めの交換を心がけている


どうだろうか。「サイクリストとしてごく普通の走行距離だし、そこそこ愛車を大切にいたわっているほうに入るんじゃね?

って印象ではないだろうか。

初回のオーバーホールもかなり汚れていた

2016年5月に最初のオーバーホールをやったとき、かなりヘッド内が汚れていて、ボトムブラケットも錆びていた。原因ははっきりしてて、雨天走行をかなりの回数やってしまって、その後のメンテを怠ったから。

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※お食事中の方、スミマセン…(2016年5月)

酷いときなんて、「フレームの中にチャポチャポ水が溜まったまま」数ヶ月乗ってたこともあった。三本ローラーやり終えてよっこらせってバイクから降りて、床に広がったでかい水たまりを見て、「こんなに汗かいてない…なんだこれ…」って恐れおののいてショップに駆け込んで判明(笑)。

あと、汗対策もしないまま三本ローラー回してしまっていた。頭にタオルを巻いときゃ大丈夫っしょってかんじでヘッドむき出しだった…。(なんというバカなことをしてしまったのか)

汗や水分に対する知識が乏しいまま乗っていたので、初回時のサビやグリスの抜けは(今思えば)理解できる。

違和感があって原因究明のためにショップに寄ったら

それから2年後の2018年5月、自宅から鎌倉まで走ったときに決定的な違和感があった。第二京浜の川崎~横浜区間は路面がわりと荒れててガタガタする区間なんだけど、それにしてもハンドル周辺のビビリがすごかった。

うーん、ハンドルから受ける衝撃がなんか不快だなあ。ヘッドが緩んでいるのかな。それとも単に路面のせいかな」ってかんじでよくわからないまま鎌倉に到着。路面がキレイな道だと違和感は消える。が、細かなハンドル操作が渋いというか、わずかなザラつきと引っ掛かりがあった。

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その後、自走で帰ろうか迷って「でもヘッドの違和感を感じたまま80キロ戻るのも…」と思って、一応用意しといた輪行袋で地元まで帰り、ついでにショップに立ち寄った。(これが正しい判断だったと直後に判明)

ヘッドの緩みを締めて一件落着……って軽く考えていたのが、とんでもない。下手したら最悪の事態を迎えていたかもしれないことを知る。

ヘッド内のシールドベアング、すでに死亡

メカニックの大将は、ヘッドを触ってすぐ、

( ´ー`) 「ヘッドそのものは緩んでないですね」

(´・ω・`) 「あら、じゃあなんだったんだろ」

( ´ー`) 「いや、待って。ハンドルにガタが来ています。ヘッドのボルトが緩んでいないのにガタがあるってことは、もしかして…」

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恐る恐るトップキャップを開けて「ぎゃーーーーー」とびっくり仰天。なんだ、何があったというのだ。



( ´ー`) 「ドロドロに錆びてます。グリスが抜けて、しかもベアリングが死んでいる」

(´・ω・`) 「ええええっ!ど、どういうことすか」

( ´ー`) 「シールドベアリングなのに、中に水分が浸透して内部から崩壊してしまってますね……。こんなの、メカニック人生でまず見ない事例です」

(´・ω・`) 「雨天走行しないし、ブルベも出ないし、そんな激しい劣化するわけないんだけど…」

( ´ー`) 「でも、これはそうとう劣悪なコンディションで年間数万キロ走るプロレベルの汚れ」

(´・ω・`) 「そんなバカな…」


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フォークを抜くと完全にドロドロ。おびただしい汚れ。こんな状態で走っていたのか…。


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サビで崩壊したシールドからベアリングがポロポロと地面に落ちる。


( ´ー`) 「真っ二つに割れたシールドベアリングって、なかなかお目にかからないですよ」

(´・ω・`) 「一体どういう乗り方をしたらこんなになるのか…。他のお客さんでもこういう事例あります?」

( ´ー`) 「ないない。中山さんだけですよ」

(´・ω・`) 「それにしても、シールドベアリングがぶっ壊れててよく走れたな…」

( ´ー`) 「フォーク側の下のベアリングがかろうじて生きてたから、ハンドル操作ができたんでしょう。下手したらハンドルがロックして動かせなってたかもしれません。首の皮一枚つながってましたね」

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※上のが死に、下が生きてた


(´・ω・`) 「さっき鎌倉まで行ってきたんですけど、道中で違和感あったから輪行で戻ってきまして」

( ´ー`) 「賢明な判断です。というか、この状態でよく鎌倉まで走れましたね…」


ともかく、こんな状態で走ることはできない。即その場で徹底的に掃除、グリスアップ、上下両方のベアリング交換で応急処置をしていただく。幸い、フレームにダメージはなかった。

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グリスもたっぷり塗り、30分後キレイに復活。試乗してみると「新車か!」って舌を巻く状態に戻った。

こんなにも傷んでしまった原因はなんだったのか?

無事に元通りになったのは良かったのだが、理由がわからないと今後の再発防止の対策のとりようがない。


(´・ω・`) 「それにしても、平凡なサイクリストでしかない私のバイクが、なぜにこんな酷い状態になっちゃったんでしょうね」

( ´ー`) 「雨天走行はしないってことですよね。ほかに心当たりはないですか?」

(´・ω・`) 「三本ローラーにはよく乗るけど……週に2回ペースです」

( ´ー`) 「その可能性が高いな… 汗対策は?」

(´・ω・`) 「してますよ。ヘッドにタオルを乗せて汗が浸透しないようにしてるし」

( ´ー`) 「ただタオルを乗せるだけでは完全に抑えられないですよ。吸い込んで下に行きますもん。毎回何分回してますか?」

(´・ω・`) 「60分です」

( ´ー`) 「扇風機を回したり、夏場はエアコンかけてます?まあ、それをしたってかなり汗をかくでしょうが」

(´・ω・`) 「そりゃあもう、ボトボト滴ってます。真冬は窓を開けてても汗が止まらない。床に古新聞敷いてますけど、畳の下に染みて嫁に怒られてます(笑)」

( ´ー`) 「古新聞の汗が下に染みるのと同じ理屈ですよ。タオルだけでは不十分です」

(´・ω・`) 「ということは、今回の悲劇の原因は……」

( ´ー`) 「三本ローラーの汗でしょうね」

(´・ω・`) 「それにしても、たった2年でここまで劣化するもの?」

( ´ー`) 「ふつうはまず起きないです。三本ローラーの汗がじわじわ侵食したんでしょう」

(´・ω・`) 「浸水対策を見直します…」

( ´ー`) 「仮にこの状態で乗り続けていたら、フレーム側がイカれていた可能性もあります。フレームに致命傷がつく前に気づけてよかった。中山さんのような乗り方をする場合、1年に1回はヘッド周りのグリスアップと洗浄を習慣にしておいてもいいかもです」


心当たりがありすぎて凹んだ…。

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再発防止のためにおこなった対策

三本ローラーを回す際は完全防水で臨まねばならない。もともと、額の汗が滴るのを抑えるためにタオルを頭に巻いていたが、それでは顎からの滴には効果がない。顎にもタオルを巻こうか…でも口まで覆うと呼吸できないし…巻き方を工夫しなくては…といろいろ思案をしている。(←三本ローラーをやめるという選択肢はない)

ヘッドを何で包めばいいのか?ビニール袋ではわちゃわちゃしてうっとうしい。そうだ、サランラップだ。「サランラップをヘッドに巻き、さらにタオルをかぶせる」作戦を編み出し、やってみたらいいかんじ。ラップの粘着力のおかげでいいかんじにヘッドにくっつく。

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※まずサランラップで完全に包囲

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※その上からタオルを被せる

大将は苦笑いしていたが、「まあ効果はあるでしょう」と言ってくれたので、これでいくことにする。

後日、完全なオーバーホールを施す

前回のオーバーホールから2年たっているし、「そろそろ時期かな」って思っていた矢先だったので、その1週間後に入院させオーバーホールを実施。

ヘッド内のベアリング以外で交換したのは、ボトムブラケット、ブレーキのインナー&アウターワイヤー、シフターのインナー&アウターワイヤー、タイヤ、チューブ、バーテープ。(スプロケットとチェーンは交換してまだ数か月なのでそのまま)


なんと、ボトムブラケットは錆びて白く変色していた…。

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「表面上だけの問題で、機能的には問題ない」とのことだが、丸2年使ったのでこれも R9100に交換。

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あと、タイヤ(IRCのASPITE Pro(アスピーテプロ))も寿命を迎えつつあったので、シュワルベワン(SCHWALBE One)(23c)に変更。中のチューブももちろん新調。かかった費用は、なんだかんだで5万円(工賃込み)ほど。

インプレ記事もどうぞ(^^)

シュワルベワン(SCHWALBE One)のインプレ ~アスピーテプロ(Aspite Pro)のインプレを添えて

定期的なメンテナンス大事、マジ大事

ということで、定期的メンテナンスはむっちゃ大事というお話でした。パーツは徐々に劣化していくけど、オーナーはずっと乗っているせいでなかなか変化に気が付きにくい。よって、違和感があったころには時すでに遅し…ってことも。

今回の自分がそのいい例で、ハンドルのしこりはそういえば数か月前からあった。「気のせいかなあ」って無視していたことで、取り返しがつかない状態にまで進行してしまったわけ。大いに反省した次第である…。
※自転車における違和感はだいたい合ってて、なにかしらのトラブルの予兆

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オーバーホールのタイミングは人それぞれなので、「2年に1度」とか「いや、毎年!」と断言できないのが難しいところだ。 なのでヘタに自己判断せず、バイクの調子が悪くなくてもショップにふらっと顔を出して、メカニックさんらと交流するのは個人的に強くオススメしたい。自分では気づかない劣化(&劣化の予兆)を一発で発見してくれるので、トラブル予防になる。

「買ってからずっと乗りっぱなしで、大掛かりなメンテナンスは一度もしたことないなぁ」って方は、一度お店でチェックしていただいてはいかがだろうか。


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