前回、ミニベロ(ダホンのMu)でジュニアスプロケットを愛用していた話とそのインプレッションについて書いた。

今回はロードバイク(BOMA の Refale)で使ってきた「12-25T(CS-6800)」と「「11-28T(CS-5800)」のスプロケットの比較について。

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無難な「12-25T」をまずは選択

BOMAは完成車販売をしておらず、すべてフレームから組んでいく方式。2014年1月に購入した当時、デュラエースで組む度胸はなかったので、まずはフル・アルテグラで組むことにした。

トップギアに関しては、豪脚でもないし、レースでぶん回す乗り方もしないので11Tは捨てて、12Tで十分と判断。ローギアは23Tだと(見栄えは良いが)登りがキツい。かといって28Tはサイズが大きくなってルックスがいまいち。そこで中間を取って25Tに落ち着いた。

という思考を経て、人生初ロードバイクは「12-25T(CS-6800)」で始めることに決めた。ちなみにギア比は「12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25」である。

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「12-25T」のインプレッション

トップを12Tにしておいたことは正しい判断だった。12T、13Tですらめったに使わないので、11速は不要だった。エンデューロレース等で、サーキットコースの下りでぶん回して時速50キロを越えると、ようやく12Tを回しきってしまうことがある。

しかし、それもほんの一瞬のことに過ぎない。それ以外のシチュエーションで11Tがほしいと思った瞬間はない。ちなみにBOMAのチェーンリングは「50-34T」のコンパクトクランク。

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※50-34Tのコンパクトクランクです

三本ローラーでけっこうがんばって回しても、トップの12Tを使い切ったことはない。使うのはせいぜい8速(15T)か9速(14T)までで、10速(13T)と11速(12T)は無縁。なお、ふだん三本ローラーを回すときは、時速30~34キロの間で漕いでいる。

ぶん回すというよりは、淡々と回す…程度のペースである。もっと高速でトレーニングする方だと、トップに11Tが欲しくなる可能性はあるね。

ヒルクライムでは、「12-25T」が不満

平地巡航や少々の坂しかない街乗り(埼玉県内&東京都内)ではなんの不満もない「12-25T(CS-6800)」だけど、激坂ではしんどい。登りが得意な方は25Tでも大丈夫らしいが、自分はアップアップ。

1~2時間もの長時間、ひたすら登り続けるヒルクライムでは、筋肉ではなく、ケイデンスを高めにして心肺機能で登る必要がある。さもないとあっという間に疲労が溜まってしまう。

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これまで登った峠は、白石、山伏、定峰等の秩父の山々。その他にもヤビツ、箱根、美ヶ原、奥多摩、物見山、嬬恋、子ノ権現、妻有等を登ってきたが、そのすべての場所で「もう1枚ギア(28T)があれば…」と思っていた。

25Tでなんとか誤魔化しながら登ってはきたが、子ノ権現坂でついにギブアップ。自分の脚力では25Tで子ノ権現無理ということがわかった。

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重すぎるギアで登って筋肉痛に

2015年に参加したツールド妻有の120キロのヒルクライムイベントでも、「28Tがないと身体がボロボロになるぞ」と思い知らされた。走行距離が120キロで、獲得標高が2,600メートルあるツールド妻有は、ほぼ終日登っては降りるをひたすらに繰り返す。

元気な序盤は25Tで問題なくても、70キロを過ぎたあたりで徐々に疲労がたまり、25Tを回すのが苦しくなる。「もうコレ以上軽いギアがないのか…」ってわかった上で登るのって、精神的も辛いし、脚にも来る。

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※終りが見えず、延々と続く坂はペース配分が難しい

とくに長距離のヒルクライムでは、筋肉をなるべく使わずにケイデンスを高めて心肺で登るべきなのだが、それを知っていても軽いギアが選べなければ、重いギアで筋肉をいじめて踏むしかない。

昨年のツールド妻有では、筋肉痛のせいでイベント終了後にホテルの階段を登るのが辛、ペンギンのようによちよち歩きしかできなかった。筋肉痛は翌日も続き、リカバリーで軽く走ることすら無理だった。今年はそれは避けたいと思い、もう1段軽い「11-28T(CS-5800)」を導入しようと決心したわけ。

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28Tのおかげで筋肉痛ナシ!

2016年のツールド妻有の詳細はこちらに書いたので省略するが、結論から述べると、「CS-6800 11-28T(11速)のおかげで筋肉痛がゼロ」。昨年よりもはるかに快適に完走できた。レース後もふつうに歩けたし、筋肉も痛くない。これはハッキリとした差となって現れた。

ツールド妻有での最大の難所のひとつ、ラスト7~8キロあたりで登場する激坂がある。10数%の急な斜面が延々と続き、休みどころがない場所だ。 「坂を登りきったところでカレーライスが振る舞われるあそこ」といえば、参加された方々は「ああ、あのキツいとこね」とピンとくるはず。
※難所だらけなので、どこが最大とは言いにくいが(笑)

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※ココが問題の坂


ツールド妻有における最後の坂とあって、ここにたどり着くまでにかなり消耗しきっている。115キロほど走ってからの激坂は本当にしんどくて、漕げども漕げども進まず、頂は遠く、心臓が口から飛び出しそうになる。

昨年、12-25Tで挑んだときはたまらず足をついてしまい、50メートルほど歩いてしまったのだが、今年は28Tのおかげで(息も絶え絶えではあったが)足をつかずに登り切ることができた。「ありがとう、28T。君のおかげだ…」という感謝の気持ちでいっぱいになった。

いけるところまで25Tでいき、保険として28Tを残しておく走りをすることで、「28Tがオレには残されているんだぜ…使おうと思えば、いつでもシフトダウンできるんだぜ…フフフ」という精神的余裕を持つことができたのは大きかった。

ツールド妻有後も「11-28T」を使い続けることに

イベント終了後は「11-28T(CS-5800)」から、元の「12-25T(CS-6800)」に戻すつもりだったが、いまのとこそのまま。今後も頻繁に坂を登るつもりだし、その都度スプロケットを脱着するのもめんどうなので、当面「11-28T」で過ごしてみることにした。

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なお、「11-28T」と「12-25T」をギア比を比較するとこんな感じ。

11-28T(105)

11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28T

12-25T(アルテグラ)

12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25


11-28T(CS-5800)」には15Tと18Tがないのが殘念なポイントではあるが、今のところ山以外のシチュエーションでも違和感、使いにくさは体感していない。街中や(平地メインの)ツーリングではたして「11-28T(CS-5800)」で支障がないか、「12-25T(CS-6800)」のほうがベターなのか、結論はもう少し検証を重ねてから下そうと思う。