富士通スタジアム川崎で行われた、3RUNさん主催の講習会に参加した。

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/アメフトのピッチが広い!\

これまで3RUNさんのイベントや講習会には何度か参加させてもらっていて、参加するたびに大きな学びを得ている。

ロードバイクセミナー参加レポート 『非力でも勝てる!効率的なペダリングでライバルに差をつける&女性でもスピードは出せる!』

MAXのパフォーマンスを引き出すには、どの機材でカスタマイズすべき? ヒルクライム、エンデューロ、ロングライド別に解説いただいた

正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(前編)

正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(後編)

実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した

今回のイベントは座学と実践をミックスした内容で、なんと富士通スタジアム川崎を貸し切って行われる。それもトラックを周回するのではなく、人工芝の上をロードバイクで縦横無尽に走りまくる。人工芝をロードで走るとどんな感じなのだろう? 

ちなみに、このスタジアムは5年前にソサイチの大会に参加したときにきたことがあるので、今回で2回目。まさか、ここをロードで走る機会に恵まれようとは・・・。

以下、当日の様子をレポートします。

まずは座学で走り方の基礎を学ぶ

講師はウォークライドの須田晋太郎さん。国内トップカテゴリーでロード選手活動を行い、競技引退後はカイロプラクター、バイクフィッターとして国内ツアーに帯同しプロ選手のコンディショニング、フィッティングに関わる方だ。宮ヶ瀬湖でのヒルクライム講習でも指導を受けたが、須田さんの説明はすごくわかりやすい。

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お持ちの資格とか肩書はこんな感じ。

  • (財)日本体育協会公認自転車競技コーチ
  • IMBA(国際マウンテンバイク協会) ICP LV2 MTBインストラクター
  • JAM(日本マウンテンバイク協会)公認マウンテンバイクインストラクター
  • バイクフィット社公認プロバイクフィッター
  • カイロプラクティック師
  • 国民体育大会神奈川県代表監督
  • 元湘南ベルマーレコーチ

選手の経歴はもちろん、メカにも詳しい。しかも本職がカイロプラティック師なので、体の使い方や部位の動きや役割を熟知されている。よって内容が理にかなっているし、言われた通りに体を動かすと「そういうことか」とストンと腹に落ちる。

バランスとり方、前後の体重移動、重心の置き方、コーナリングのありがちなミスとその対策…を教わった上で実践に移る。

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ひとつ「なるほど!」と膝を打ったのが、ゆるいコーナーでの両足の置き場所。きつめのコーナーでは逆足(外側のほう)をぐっと踏ん張るのがセオリー。しっかり体重をかけてグリップを失わないようにするわけなのだが、緩いカーブだとそこまでする必要がなく足を水平にすると思う。

そのときって、右足と左足、どっちを前(&後)に置くのが正しいのか?「べつにどちらでもやりやすい方でかまわないのでは?」と一瞬迷ったんだけど、これにもセオリーがあって、左カーブなら左足が前、右カーブなら右足が前がよい。なぜなら、フロントタイヤと足のつま先が接触するリスクがあるから。

下の写真を見ると一目瞭然。

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/左にハンドルを切ると、前に出した右つま先が当たりそう\

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/自分の場合、1センチの隙間が生じるので当たらないが、これは人次第\


足の大きさ、フレームのサイズ、タイヤの角度によってはつま先がタイヤに当たるポイントがあるのだ。考えようによっては何気に怖い。コーナリング途中でつま先とタイヤが接触したら…落車リスクがかなり高そうだ。
※ちなみにミニベロは(タイヤ径が小さいので)問題なし

このように、ほんのちょっとのことだけど走りにすごく影響するコツとか対策を知れるのって「すごく学びになる!」って思える。これが自分的には座学でのハイライト。

人工芝にマーカーを置いて走るだけなのに、地味に難しい

人工芝にマーカーを置き、8の字を描いたり、蛇行したり、ハイスピードでダッシュしてからの急ブレーキをしたり…と、須田さんの指示に従って走るセッション。

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都度、重心の置き場所や体重移動の仕方、視線の置き方、腕の角度、ペダリングの注意点をフィードバックいただきながら繰り返す。須田さんの模範を見るぶんには「そんなん、超カンタンちゃいます?」って思うんだけど……やってみると大違いで「あれ?あれれ?」ってバランスを保つのが何気に難しく、スムーズにできなくて不甲斐ない気持ちに(笑)。

人工芝のせいでスピードを出しにくいのも影響しているとは思うが、もっと根本的な部分でスキルが身についていないんだなと痛感する。アスファルトの上だとごまかせてしまうのが、不安定な場所だととたんに馬脚を現してしまうわけか…。

ロードバイクを何年か乗っていると、なんとなく「いや、ゆーても自分はその辺の初心者よりは全然うまいはずやろ」って考えてしまうもので、自分も「そこそこできとるんちゃう?」って根拠のない自信があったんだが、思い切りダメ出しを食らった気分になってしまった。反省。

秩父でBMXの取材をした際にダートを走らせてもらったとき、自分を嫌悪したくなるほど走れなかった苦い思い出が蘇った。凸凹のダートを狙ったライン取りしながら走るの、すんごい難しいです。人工芝の比ではないです。その様子は3回にわけて書いた。

秩父滝沢サイクルパークBMXコースの見学させてもらったよ(前編)

秩父滝沢サイクルパークBMXコースの見学させてもらったよ(中編)

秩父滝沢サイクルパークBMXコースの見学させてもらったよ(後編)


※登場するプロライダーの高山さんに教わった。彼はこともなげに走っているが、これがもうめっちゃむずい。というか、普通の人は真似したらダメ。



上は全日本選手権の準決勝と決勝の様子。こんなんできるなんて、超人的なバイクコントロールスキルとバランス感覚があってこそ。初心者BMXコースをゆっくり走るのすら危うかった自分には、これをやってのける人間がもはや宇宙人にしか思えない。

「あー、自分はまだまだなんだなー、学ぶことが山のようにあるなー、たぶん一生学び続けるんだろうなー」と思った。こうやってできない自分を認識し、課題を自覚することが実践型セミナーで得られる一番の成果なのだ。

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ちなみに、ペットボトル2本立てて8の字を描くようにスムーズに走る練習をするだけでも「かなりバランス感覚とバイクコントロールが身につきますよ」とのことだった。慣れてきたら徐々にペットボトルの間隔を狭めていけばいい。これなら家の前で練習できそうだ。

集団走行を実践で学ぶ

基本スキルを学んだお次は、人工芝ピッチ全体を使って走る。レースやイベントは他人との集団走行になるので、事故の危険は常に隣り合わせだ。

自分が事故の原因を作ってはならないし、マナーを守らない&危険な走行を無自覚にする人の巻き添えを喰らわないようにする知恵が必要。典型的なのがアウトインアウトで走る人。人とシェアして走っていることを忘れてはいけない。

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順位を競わないイベントだろうが、タイムで争うレースだろうが、社会人として最優先すべきは「事故らない、怪我しない、人様に迷惑をかけない」の3つ。タイムや順位なんて二の次。安全に帰宅することが一番大事だ。

想像してみてほしい。

骨折で1週間入院→松葉杖生活で家と病院を何度も往復→痛いけどやらないと関節が固まるのでリハビリ繰り返す→落ちた筋肉を戻すための筋トレ→1年後にボルトを抜くための手術→再び入院→傷口が閉じるまで悶々とする(あと、麻酔が抜けた後は痛い)。

その間、仕事に集中できないし、周囲に多大な迷惑をかけてしまうのは必至。まっとうに働いている社会人であれば、「それはいやあぁぁぁぁぁぁ!」ってなるはずだ。
※29歳のときにサッカーで骨折(危険なタックルのせい)してまさにこれをやって、二度とやりたくないと思った。

かっこよく走る、人より速く坂道を下る、レースで勝負に勝つ…のは自分はまったく目指してない。欲しいのは、

「安全に走るためのバイクコントロール&バランス、ペダリングスキル」

「いつまでも健康で楽しく乗り続けられる体力と気力の維持」

「危険な行為やシチュエーションを避けられる察知能力と回避能力」

である。それが講習会に参加してプロに学ぶモチベーションとなっている。

まとめ

実地形式の講習会に参加したことのない人、ポジショニングや走り方に自信のない人、スキルを向上させたい人であれば、ぜひ試してほしい。

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技術に自信がない方はもちろん、中級以上の経験者でそこそこ「できてる」と自認している人も損はないはず。「とんだ誤解だった…」「まだまだやな…」って自分自身を振り返られると思う。

考えてみれば、ロードバイクって書籍やウェブからが情報源のメインじゃないですか。つまりそれって独学なので、習熟度には差があるし、誤解していても誰も指摘してくれる人がいないと、それがおかしな癖になって身についてしまう。

講習会は有料であることが大半だが、参加するたび「十分元を取ったどころか、とんでもないボリュームの学びがあった。参加して本当に良かった」、「もし今日学んだことを知らないまま過ごしていたら、きっと後悔しただろう」って実感する。

自転車は誰でもそれなりに乗れてしまうからこそ、専門家に基礎を教わるには能動的に行動を起こすしかなかったりする。行くまでは「めんどーだなー」ってなるし、「周囲についていけなかったら恥ずかしいなー」って躊躇したくなる気持ちもよくわかる。(自分もそうです)

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が!自分は今後も積極的に学びの場を見つけては参加してくるつもりなので、引き続きレポートしていきますね。


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