3RUNさんの主催するロードバイク・セミナー『目指せ自己記録更新!座学&実走トレーニング(全8回セミナー)』に参加してきた。前回は神奈川県の宮ヶ瀬湖で開催された実地形式だったが、今回は再び座学。
テーマは、「冬シーズンインに向けて、ヒルクライム&ロードレース/パフォーマンスを引き出す機材力」である。コンポーネント、ホイール、各種パーツ、カスタマイズ、軽量化…男子であればヨダレがこぼれそうな話題設定。これは楽しみで仕方ない。
※和な雰囲気の中でのセミナー
講師は、フリーランスジャーナリストの橋本謙司さん。 自転車雑誌「funride」、ランニング 雑誌「ランナーズ」の編集者を経て、スポーツジャーナリストとして独立された方。 スポーツバイク歴11年、マラソン歴20年だそうな。キャリアが長い。
過去のセミナーの様子はこちら
>> 実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(前編)
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(後編)
「ロードバイクは機材スポーツ」というフレーズ、どっかで聞いたことがあると思うんだけど、その通りで、機材の選択でがらりとパフォーマンスが変わるもの。
その比率は「身体:機材=8:2」らしく、今回は「2に当たる機材」のお話である。エンジン(己の身体)が大事なのは当然なのだが、テーマから外れるので今回は触れない。
※機材の話って、ほんと~~~~~っに楽しいですよね(なんでだろ)
では、それぞれについて詳しく見ていこう
※オクサマは、「機材の何がおもろいん?」と真顔で訊いてくる(´・ω・`)
とくに、肉体が触れるサドルとハンドル(&バーテープ)をコンフォート仕様にすると、格段に心地よく走れる。それはカンタンに想起できる。しかし、気づきにくいのがタイヤとホイールが持つポテンシャル。このふたつがもたらす効果も計り知れない。
ロードバイクのタイヤ幅は23cがこれまでの主流だったが、ここ1~2年で25、28cのエアボリュームが多いタイヤの存在感が増してきた。一般サイクリストだけでなく、プロレースの世界でも25cが使われることが増えていると聞く。
エアボリュームが増えれば、そのぶん空気圧を下げることができ、乗り心地をよくすることが可能。
ホイールは「オールマイティーなセミディープ(35ミリくらいのハイト)がバランスがいい」そうな。というのも、ディープリム(50ミリ以上)は直線平坦路ではスピード維持がし易いけれど、ロングライドって海沿いを走ることも少なくない。そして海沿いは、高い確率で横風の影響受ける。
リムハイトが高いと、風の当たる面積が増えて足を引っ張る。バランスをとることに神経を使わされ、疲れてしまっては元も子もない。高速スピードをさほど求めないロングライドでは、(回転するスポークが生む)乱気流の発生を抑えることにそこまで躍起にならなくてOK。
慣れていない初心者の場合、サドル痛に悩まされるのが常でして、前後にお尻を動かしてごまかすことがあるのだが、横から見て波を打つようにグネグネしたデザインのサドルは、お尻にカチッとフィットしやすいが、位置を変えられないのがマイナス点。
※なお、個人的にもフラットタイプが好みで、かつ尿道を圧迫しないセンターに溝のあるタイプを好んで使っています。
そのための保険として、軽めのギアを用意しておきたいところだが、何丁のギアであれば大丈夫なのかは本人の体力にもよる。(というか、それがでかい)
坂の途中で息も絶え絶えになっているときにシフトダウンしようとして、シフターが虚しく空を切り、「すでに一番軽いギアで走っていたのか…」と気づいたときの絶望と諸行無常感は筆舌に尽くしがたい。
※橋本さんの私物
「これを選べば、100%だいじょぶ!」とは一概には言えないんだけど、ごくふつうのサイクリストであれば、32Tがあれば十分。なお、エントリーモデルの完成車であれば、32Tがついていることが多い。
28Tでもまあ十分ではあるが、初心者であれば安心のためにも32Tがあるスプロケットを選んでおけば間違いない。シマノの105、アルテグラなら32Tが用意されている。ただし、デュラエース(CS-9000)だと最大が28Tまでしかないのでご注意をば。
余談ですが、25Tでツール・ド妻有2015に参加して死にかけた自分は、2回目からは28Tのスプロケット(アルテグラグレード)で走り、事なきを得ました。
>> 12-25Tのスプロケットを2年半使ったものの、激坂に耐え切れず11-28Tに変更してみる
>> シチュエーションに合わせてスプロケットを交換するという楽しみ方(ロードバイク編)
「でも、エンデューロって言っても、場所によってコースプロファイルはバラバラだけど?」
その通りでして、コースによってホイールチョイスは変化する。
たとえば、富士スピードウェイのような高低差が激しめのコースだと、ディープリムではその重さが仇となって、登坂で失速してしまうこともあるんですって。
※富士スピードウェイにて
自分も、昨年に富士スピードウェイのエンデューロに出場したから分かるんだけど、ホームストレートに戻る前の坂を見て。「ふつうの坂やん!筑波とかもてぎよりぜんぜんキツいやん!」って閉口した。
※筑波サーキットは平坦基調、ツインリンクもてぎはアップダウンはあるものの、斜度はキツくない
感覚的な目安でしかないが、コース内でもっともキツい坂をエイヤでかけあがれる程度の軽さのホイールを選ぶほうが良いそうな。つまり、起伏が多いコースであれば、軽量&ローハイトのホイールでもぜんぜんOK。
※よって、富士スピードウェイでは「ディープさより、重量」重視で行くのが良いかと
※こっちは平坦な筑波サーキット
ちなみに、筑波サーキットは平坦メインなのでディープリムは合っていると思う。エンデューロといってもコースプロファイルはバラバラなので、事前に出場コースを調べておくのが良いでしょう。
※集団走行は、慣れていなければやめておこう
>> 土砂降りの雨の中、筑波サーキットで8時間耐久レースに参加した
>> 富士スピードウェイチャレンジ100に参加したので、ツインリンクもてぎとのコース比較をしてみる
まず思いつくのが、ハンドルやヘルメットをエアロタイプにすること。カーボンのエアロハンドルってカッコイイですよね…。ウネウネしてたり、ペッタンコだったり。自分も、人様のバイクを見てて、うっとりする。
ただ、橋本さんによれば、「そこまで劇的な効果は見込めないので、お金に余裕があれば・・・」とのことだった。まあ、空力効果はそこそこでも、精神的満足度は大きいと思う(笑)。
※人様のバイクを眺めて、一人でハアハアと興奮する
前面投影面積をもっとも手っ取り早く下げるには、「痩せる」に尽きる。バイクの小さなパーツをさらに小型化したところで、さほど体感できるわけでもない。それより、胴体回りの贅肉を5キロ落とすこと。空力&軽量化のダブルで効果がある。
↑
これは自分に言い聞かせています(滝汗)
その理由は、高速コーナーが多いこと、が挙げられる。エンデューロでのコーナリング中にグリップを失ったら、とんでもない大規模な落車事故になってしまう。自分と周囲の安全を守るためにも、グリップ性能には妥協しないこと。
※私はパナレーサー派
最近はタイヤとホイールのワイド化が進んでいるけど、「23cよりも、25c以上のワイドタイヤのほうが変形率が小さく、グリップを発揮しやすい」とのこと。 ううむ、そうなのか。
転がり抵抗も25cのほうが優れているという話はひんぱんに耳にするが、イマイチメカニズムを理解していなかった。このことについても、橋本さんは丁寧に解説してくださった。
幅があるタイヤだと、バイクを倒したときに接地面が増え、しっかりグリップしてくれる。しかも、直線走行時は接地面積が23cより少ない(ので転がり抵抗が小さい)・・・と良いことづくし。
※なお、講師の橋本さんお気に入りのタイヤは、「Vittoria(ビットリア) corsa [コルサ]」ですって
この話を聞いて、「じゃあ、これからは23cを選ぶ理由がないじゃん。28cはさすがに太すぎる気がするけど、ロングライドでも、エンデューロでも、25c標準で行くほうがいいじゃん」って思ったので、素直に橋本さんに投げかけてみた。
すると、
「ロングライドとエンデューロでは25cでいいと、個人的には思いますよ。ただし、ヒルクライムを除いては・・・( ̄ー ̄)ニヤリ」
と不敵な笑みを浮かべるではないか。そう、ヒルクライムだけは23cのほうが向いているそうなのだ。
ヒルクライムのカスタマイズはわかりやすい。レース系ヒルクライムの場合、軽さを取って、快適性は捨てるのがセオリー。タイヤは抵抗が少ないタイプを選択。コーナーに高速で突っ込むシーンもほぼないので、グリップもさほど大事ではない。
※帰還の下りもあるので、グリップ完全無視でOKではないんですが、複雑になるのでいったん置いておきますね
1位:タイヤとホイール
2位:駆動系(ドライブトレイン)
3位:重心位置の高いパーツ
である。1と2位はすぐ理解できるけど、3位の重心ってどういう意味だろ・・・。
橋下さんが好きなヒルクライム用の決戦タイヤは、「ビットリアのクロノCS」だそうで、なんと、20c! ただし、軽さを追求しすぎると、トレードオフでパンクリスク高まるし、持ちも悪い。そのへんはお財布と相談しながら・・・ですかね。でも、決戦用と割り切ればそうそう距離も伸びないだろうし、1セット持っておくのも悪くないかも。
※愛用しているのはカンパニョーロのシャマルミレ(コレしか持ってないけど)
次にホイール。高い買い物になるけど、タイヤ&チューブ以上に効果は大きい。アルミクリンチャーならトップモデルで1300~1400グラムがまあ限界。それがカーボンチューブラーなら、1,100グラム台まで落とせる。ウン十万円を払えば、1,000グラム台のもあるけど、一般人にはちょっと現実的ではないプライスですな・・・。
重量で有利なホイールは議論の余地なくハッキリしてて、「クリンチャー < チューブラー」である。ここは財布に相談で選んでください。余裕のある幸福な方はカーボンチューブラーで。
※カーボンチューブラーのカッコよさは危険
なお、チェーンリングは50Tがいいだろう。53Tは強者でない限りそうとうキツいし、下手すると回せないので。いわゆるコンパクトクランクと呼ばれる50-34Tを前にし、スプロケットは28Tか32Tを用意しておく・・・のは、軽量化以前のマスト対策ですね。
なんとなく、浅い知識で「セラミックベアリング系は動きが滑らからしい」って思っていたんだけど、橋本さんは愛車にビッグプーリーをつけていらっしゃった。そのビッグプーリーの効果だが・・・「正直、単体だけで体感するのは難しい(笑)」とのこと。
※橋本さんのビッグプーリー
動画でセラミックベアリングのプーリーが回転する様子を見せてもらったんだけど、デュラエースのプーリーがぜんぜん回転せずにすぐ止まるのに対し、セラミックベアリングのビッグプーリーが延々と回転しててビックリした。
体感は難しくても、抵抗低減には確実に効いているはずって思った。
ステム一体型のハンドルを使うのも手だし、見た目がカッコイイのでそそられるけど、軽量化という意味では劇的な変化は生み出せない。
※ステム、ハンドル別々に買ってもほぼ同じ重さになることが多い
よって、一体型がよほど好きでない限り、ステムとハンドル、別々にわけて考えましょう。ステムはアルミでもカーボンでも重量に大きな違いが出せないので、ステムはアルミのままでもOK(安いですしね)。
ハンドルは、アルミだと350gくらいなのが、カーボン製にすると200~250gにできるので、一気に100g以上の軽量化が可能。軽量化を考えるなら、ハンドル部分でってことですね。
以上、フリーランスジャーナリストの橋本謙司さんによるセミナーの様子をお届けしました。いや~、機材の話って、本当に楽しいですね。これで酒とつまみでもあれば最高なんじゃないでしょうか。
イベント後、主催の3RUNさんに、「そんなイベントしません?」ってノリで提案したら、そっこーで「スポーツジャーナリストの“ハシケン”こと橋本謙司が解説する、最新ロードバイクのギヤをテーマにしたトークイベント。飲んで、食べながら、ロードバイク初心者にもわかりやすい解説で、機材スポーツの世界を紹介します」というイベント(有料)を企画された…(仕事はやい!)。
開催日は2月24日(金)の19時半から。
場所は五反田の私の勤務先(freee)の会議室。
テーマは、
>> 実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(前編)
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(後編)
テーマは、「冬シーズンインに向けて、ヒルクライム&ロードレース/パフォーマンスを引き出す機材力」である。コンポーネント、ホイール、各種パーツ、カスタマイズ、軽量化…男子であればヨダレがこぼれそうな話題設定。これは楽しみで仕方ない。
※和な雰囲気の中でのセミナー
講師は、フリーランスジャーナリストの橋本謙司さん。 自転車雑誌「funride」、ランニング 雑誌「ランナーズ」の編集者を経て、スポーツジャーナリストとして独立された方。 スポーツバイク歴11年、マラソン歴20年だそうな。キャリアが長い。
過去のセミナーの様子はこちら
>> 実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(前編)
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(後編)
ロードバイクは「身体:機材=8:2」のスポーツ
機材の重要性、選択時の注意点やコツ、シーンでの使い分けについて、3つのシーン別にお話しいただいた。その3つとは、「ロングライド」、「エンデューロ」、「ヒルクライム」である。「ロードバイクは機材スポーツ」というフレーズ、どっかで聞いたことがあると思うんだけど、その通りで、機材の選択でがらりとパフォーマンスが変わるもの。
その比率は「身体:機材=8:2」らしく、今回は「2に当たる機材」のお話である。エンジン(己の身体)が大事なのは当然なのだが、テーマから外れるので今回は触れない。
※機材の話って、ほんと~~~~~っに楽しいですよね(なんでだろ)
ロングライド、エンデューロ、ヒルクライムそれぞれで重視されるもの
わかりやすさ重視でざっくり表現するとこんなかんじ。ロングライド
- 快適性
- 長時間(6~8)
- ゆっくり目
- 軽さは捨てる
エンデューロ
- そこそこ快適
- そこそこ長時間(2~4時間)
- 速い
- 軽さはそこそこ
ヒルクライム
- 快適性は捨てる
- 短時間(60~90分)
- ゆっくり目
- 軽さ大事
では、それぞれについて詳しく見ていこう
※オクサマは、「機材の何がおもろいん?」と真顔で訊いてくる(´・ω・`)
ロングライド
乗り心地に貢献するカスタマイズ
ロングライドで重要なのは「快適性」。そのためには、バイクとの接点の快適性を高めるのがセオリー。具体的には、サドル、ハンドル、タイヤ(とホイール)だそうな。とくに、肉体が触れるサドルとハンドル(&バーテープ)をコンフォート仕様にすると、格段に心地よく走れる。それはカンタンに想起できる。しかし、気づきにくいのがタイヤとホイールが持つポテンシャル。このふたつがもたらす効果も計り知れない。
ロードバイクのタイヤ幅は23cがこれまでの主流だったが、ここ1~2年で25、28cのエアボリュームが多いタイヤの存在感が増してきた。一般サイクリストだけでなく、プロレースの世界でも25cが使われることが増えていると聞く。
エアボリュームが増えれば、そのぶん空気圧を下げることができ、乗り心地をよくすることが可能。
ホイールは「オールマイティーなセミディープ(35ミリくらいのハイト)がバランスがいい」そうな。というのも、ディープリム(50ミリ以上)は直線平坦路ではスピード維持がし易いけれど、ロングライドって海沿いを走ることも少なくない。そして海沿いは、高い確率で横風の影響受ける。
リムハイトが高いと、風の当たる面積が増えて足を引っ張る。バランスをとることに神経を使わされ、疲れてしまっては元も子もない。高速スピードをさほど求めないロングライドでは、(回転するスポークが生む)乱気流の発生を抑えることにそこまで躍起にならなくてOK。
サドル選択は個人差が大きいので難しい
サドル選びでひとつ言えるのは、ロングライドでは、「(横から見て)フラット目」のモノのほうがよいらしい。疲労等で姿勢変化させるとき、座る位置を前後にずらすことができるのがその理由。慣れていない初心者の場合、サドル痛に悩まされるのが常でして、前後にお尻を動かしてごまかすことがあるのだが、横から見て波を打つようにグネグネしたデザインのサドルは、お尻にカチッとフィットしやすいが、位置を変えられないのがマイナス点。
※なお、個人的にもフラットタイプが好みで、かつ尿道を圧迫しないセンターに溝のあるタイプを好んで使っています。
スプロケットは32Tがあるとよい
完全にフラットだけのロングライドはなかなかないもので、どこかで必ず坂はある。体力が削られた後半に迎える斜面はキツい。なにもかも投げ出したくなるくらいキツい。そのための保険として、軽めのギアを用意しておきたいところだが、何丁のギアであれば大丈夫なのかは本人の体力にもよる。(というか、それがでかい)
坂の途中で息も絶え絶えになっているときにシフトダウンしようとして、シフターが虚しく空を切り、「すでに一番軽いギアで走っていたのか…」と気づいたときの絶望と諸行無常感は筆舌に尽くしがたい。
※橋本さんの私物
「これを選べば、100%だいじょぶ!」とは一概には言えないんだけど、ごくふつうのサイクリストであれば、32Tがあれば十分。なお、エントリーモデルの完成車であれば、32Tがついていることが多い。
28Tでもまあ十分ではあるが、初心者であれば安心のためにも32Tがあるスプロケットを選んでおけば間違いない。シマノの105、アルテグラなら32Tが用意されている。ただし、デュラエース(CS-9000)だと最大が28Tまでしかないのでご注意をば。
余談ですが、25Tでツール・ド妻有2015に参加して死にかけた自分は、2回目からは28Tのスプロケット(アルテグラグレード)で走り、事なきを得ました。
>> 12-25Tのスプロケットを2年半使ったものの、激坂に耐え切れず11-28Tに変更してみる
>> シチュエーションに合わせてスプロケットを交換するという楽しみ方(ロードバイク編)
エンデューロ
ホイール選択は、コースプロファイル次第
エンデューロは、3つの中ではもっとも速い速度域で行うイベント。速度が速いだけでなく、延々と一定で続くのが特徴。よって、ホイールはディープリム(ハイト40ミリ以上)がビンゴ。スポークによる乱気流が起こりにくいので、高速巡航に適しているのだ。「でも、エンデューロって言っても、場所によってコースプロファイルはバラバラだけど?」
その通りでして、コースによってホイールチョイスは変化する。
たとえば、富士スピードウェイのような高低差が激しめのコースだと、ディープリムではその重さが仇となって、登坂で失速してしまうこともあるんですって。
※富士スピードウェイにて
自分も、昨年に富士スピードウェイのエンデューロに出場したから分かるんだけど、ホームストレートに戻る前の坂を見て。「ふつうの坂やん!筑波とかもてぎよりぜんぜんキツいやん!」って閉口した。
※筑波サーキットは平坦基調、ツインリンクもてぎはアップダウンはあるものの、斜度はキツくない
感覚的な目安でしかないが、コース内でもっともキツい坂をエイヤでかけあがれる程度の軽さのホイールを選ぶほうが良いそうな。つまり、起伏が多いコースであれば、軽量&ローハイトのホイールでもぜんぜんOK。
※よって、富士スピードウェイでは「ディープさより、重量」重視で行くのが良いかと
※こっちは平坦な筑波サーキット
集団走行できると、とってもお得
ディープリムを履いていなくても、空気抵抗を減らす方法はあって、それは「集団走行」。集団で走る技術と脚がある前提になるけど、複数人数で走れば空気抵抗を減らせるので、ホイールの重要性はさほどクリティカルではなくなる。ちなみに、筑波サーキットは平坦メインなのでディープリムは合っていると思う。エンデューロといってもコースプロファイルはバラバラなので、事前に出場コースを調べておくのが良いでしょう。
※集団走行は、慣れていなければやめておこう
>> 土砂降りの雨の中、筑波サーキットで8時間耐久レースに参加した
>> 富士スピードウェイチャレンジ100に参加したので、ツインリンクもてぎとのコース比較をしてみる
前面投影面積をいかに小さくするかがポイント
スピード域が上がれば上がるほど、空気抵抗対策が課題となる。前面投影面積(正面から見た自分とバイクがつくる面積)を最小化することがポイントとなる。まず思いつくのが、ハンドルやヘルメットをエアロタイプにすること。カーボンのエアロハンドルってカッコイイですよね…。ウネウネしてたり、ペッタンコだったり。自分も、人様のバイクを見てて、うっとりする。
ただ、橋本さんによれば、「そこまで劇的な効果は見込めないので、お金に余裕があれば・・・」とのことだった。まあ、空力効果はそこそこでも、精神的満足度は大きいと思う(笑)。
※人様のバイクを眺めて、一人でハアハアと興奮する
前面投影面積をもっとも手っ取り早く下げるには、「痩せる」に尽きる。バイクの小さなパーツをさらに小型化したところで、さほど体感できるわけでもない。それより、胴体回りの贅肉を5キロ落とすこと。空力&軽量化のダブルで効果がある。
↑
これは自分に言い聞かせています(滝汗)
エンデューロで大事なのが、タイヤのグリップ
橋本さんに指摘されるまで、考えたことがなかったのが、「エンデューロにおけるタイヤのグリップ」だった。サーキットコースだと、舗装状況が良いので「放っといてもちゃんとグリップしてくれるっしょ」くらいに軽く考えていたのだが、「エンデューロでこそ、グリップが良いタイヤを選ぼう」と力説されており、思わず姿勢を正してしまった。その理由は、高速コーナーが多いこと、が挙げられる。エンデューロでのコーナリング中にグリップを失ったら、とんでもない大規模な落車事故になってしまう。自分と周囲の安全を守るためにも、グリップ性能には妥協しないこと。
※私はパナレーサー派
最近はタイヤとホイールのワイド化が進んでいるけど、「23cよりも、25c以上のワイドタイヤのほうが変形率が小さく、グリップを発揮しやすい」とのこと。 ううむ、そうなのか。
転がり抵抗も25cのほうが優れているという話はひんぱんに耳にするが、イマイチメカニズムを理解していなかった。このことについても、橋本さんは丁寧に解説してくださった。
幅があるタイヤだと、バイクを倒したときに接地面が増え、しっかりグリップしてくれる。しかも、直線走行時は接地面積が23cより少ない(ので転がり抵抗が小さい)・・・と良いことづくし。
※なお、講師の橋本さんお気に入りのタイヤは、「Vittoria(ビットリア) corsa [コルサ]」ですって
この話を聞いて、「じゃあ、これからは23cを選ぶ理由がないじゃん。28cはさすがに太すぎる気がするけど、ロングライドでも、エンデューロでも、25c標準で行くほうがいいじゃん」って思ったので、素直に橋本さんに投げかけてみた。
すると、
「ロングライドとエンデューロでは25cでいいと、個人的には思いますよ。ただし、ヒルクライムを除いては・・・( ̄ー ̄)ニヤリ」
と不敵な笑みを浮かべるではないか。そう、ヒルクライムだけは23cのほうが向いているそうなのだ。
ヒルクライム
坂においては、軽さこそ正義
ヒルクライムといっても、ロングライド的な1日かけて山登りを楽しむマイペース系のモノもあれば、60分1本勝負!的なガチのレース系もある。ここでのヒルクライムは後者です。ヒルクライムのカスタマイズはわかりやすい。レース系ヒルクライムの場合、軽さを取って、快適性は捨てるのがセオリー。タイヤは抵抗が少ないタイプを選択。コーナーに高速で突っ込むシーンもほぼないので、グリップもさほど大事ではない。
※帰還の下りもあるので、グリップ完全無視でOKではないんですが、複雑になるのでいったん置いておきますね
ヒルクライムでは25cよりも23cがベター
タイヤも軽さが大事なので、より軽量な23cが効果的。ちなみに、ヒルクライムにおける、軽量化しやすいカスタマイズパーツのトップ3は…1位:タイヤとホイール
2位:駆動系(ドライブトレイン)
3位:重心位置の高いパーツ
である。1と2位はすぐ理解できるけど、3位の重心ってどういう意味だろ・・・。
1位:タイヤとホイール
回転系のパーツは走りに直結するので、効果高し。しかも、タイヤは他のパーツより安いわりに、効果大。それと、目に見えないチューブは忘れやすいけど、軽量のものを選ぶとさらに軽くできる。橋下さんが好きなヒルクライム用の決戦タイヤは、「ビットリアのクロノCS」だそうで、なんと、20c! ただし、軽さを追求しすぎると、トレードオフでパンクリスク高まるし、持ちも悪い。そのへんはお財布と相談しながら・・・ですかね。でも、決戦用と割り切ればそうそう距離も伸びないだろうし、1セット持っておくのも悪くないかも。
※愛用しているのはカンパニョーロのシャマルミレ(コレしか持ってないけど)
次にホイール。高い買い物になるけど、タイヤ&チューブ以上に効果は大きい。アルミクリンチャーならトップモデルで1300~1400グラムがまあ限界。それがカーボンチューブラーなら、1,100グラム台まで落とせる。ウン十万円を払えば、1,000グラム台のもあるけど、一般人にはちょっと現実的ではないプライスですな・・・。
重量で有利なホイールは議論の余地なくハッキリしてて、「クリンチャー < チューブラー」である。ここは財布に相談で選んでください。余裕のある幸福な方はカーボンチューブラーで。
※カーボンチューブラーのカッコよさは危険
なお、チェーンリングは50Tがいいだろう。53Tは強者でない限りそうとうキツいし、下手すると回せないので。いわゆるコンパクトクランクと呼ばれる50-34Tを前にし、スプロケットは28Tか32Tを用意しておく・・・のは、軽量化以前のマスト対策ですね。
2位:駆動系(ドライブトレイン)
次に軽量化を図るべきは、チェーン、クランク、ボトムブラケット、スプロケット、プーリー。軽量化だけでなく、抵抗を少なくするという意味合いもある。パワーの伝達効率につながる重要なカスタマイズなんですって。なんとなく、浅い知識で「セラミックベアリング系は動きが滑らからしい」って思っていたんだけど、橋本さんは愛車にビッグプーリーをつけていらっしゃった。そのビッグプーリーの効果だが・・・「正直、単体だけで体感するのは難しい(笑)」とのこと。
※橋本さんのビッグプーリー
動画でセラミックベアリングのプーリーが回転する様子を見せてもらったんだけど、デュラエースのプーリーがぜんぜん回転せずにすぐ止まるのに対し、セラミックベアリングのビッグプーリーが延々と回転しててビックリした。
体感は難しくても、抵抗低減には確実に効いているはずって思った。
3位:重心位置の高いパーツ
重心が高い位置のモノを軽くすると良い理由は、「ダンシングの振りのしやすさにつながる」から。具体的には、サドル、ハンドルの軽量化がそれに当たる。ステム一体型のハンドルを使うのも手だし、見た目がカッコイイのでそそられるけど、軽量化という意味では劇的な変化は生み出せない。
※ステム、ハンドル別々に買ってもほぼ同じ重さになることが多い
よって、一体型がよほど好きでない限り、ステムとハンドル、別々にわけて考えましょう。ステムはアルミでもカーボンでも重量に大きな違いが出せないので、ステムはアルミのままでもOK(安いですしね)。
ハンドルは、アルミだと350gくらいなのが、カーボン製にすると200~250gにできるので、一気に100g以上の軽量化が可能。軽量化を考えるなら、ハンドル部分でってことですね。
以上、フリーランスジャーナリストの橋本謙司さんによるセミナーの様子をお届けしました。いや~、機材の話って、本当に楽しいですね。これで酒とつまみでもあれば最高なんじゃないでしょうか。
イベント後、主催の3RUNさんに、「そんなイベントしません?」ってノリで提案したら、そっこーで「スポーツジャーナリストの“ハシケン”こと橋本謙司が解説する、最新ロードバイクのギヤをテーマにしたトークイベント。飲んで、食べながら、ロードバイク初心者にもわかりやすい解説で、機材スポーツの世界を紹介します」というイベント(有料)を企画された…(仕事はやい!)。
開催日は2月24日(金)の19時半から。
場所は五反田の私の勤務先(freee)の会議室。
テーマは、
1.ロードフレーム、コンポーネント、ホイールの最新事情
2.シーズン直前!ロードバイクのカスタマイズ術
3.ヒルクライムバイクの作り方
ロード好きには堪えられない!ヨダレが出る!
お申込み制なので、気になる方は上記リンクからどうぞ~。
\(^o^)/ロード好きには堪えられない!ヨダレが出る!
お申込み制なので、気になる方は上記リンクからどうぞ~。
>> 実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(前編)
>> 正しいウォーミングアップ、身体のケア、ペダリングとポジションの基本をロードバイクセミナはでみっちり学んできた(後編)
コメント
コメント一覧 (4)
しかしヒルクライム用にタイヤを20Cとは。
むかぁ〜しクロモリ乗ってたときは19か20だったんですけど、細い分神経質な感じで気疲れした記憶が蘇るんですが、ヒルクライムならそういう選択もアリなんですね。
ずっと同じバイクで走っていると、身体が順応してしまうというか、それが当たり前になってしまいますね\(^o^)/