これからロードバイクかクロスバイクを買おうと思ってるんだけど、どんな基準で何を買えばいいの?」という質問をよく受ける。

上級者サイクリストであれば、「好きなのに乗っておけばいいんだよ。細けぇこたぁ、考えるな」って言ってしまうかもしれない。その気持ちもわかる。人のためではなく、自分のために乗るのだから、好みのロードバイクでもクロスバイクでも買えばいい。

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しかし、である。

そもそも選ぶ基準がない人に「好きなのを」は酷な話。パソコンに詳しくない人はCPUがどうのとか、メモリがどうのとか、チンプンカンプンで選べないのと同じように、スポーツバイクに不慣れな人は、持っている情報が少なすぎて一歩が踏み出せない。

自転車もパソコンもそこそこ万円してしまう、小さくない投資になるので、失敗はしたくない。

用途や好みにもよるのでロードとクロスのどっちが良いとは断言できないが、個人的にオススメしたいのはロードバイク。

そこで今回は、「本当はロードが欲しいんだけど、なんとなく不安でクロスバイクで手を打とうと思っている」方に向けて、ロードバイク特有の得体の知れない不安を取り除いてみよう。

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※ミニベロかクロスか、でも迷いますよね

ドロップハンドルが怖い

ハッキリ言い切ってしまうが、ドロップハンドルは怖くない。形状はヤギのツノのようで猛々しさを感じさせるが、自転車ハンドルを究極的に追求した結果がこれ。

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えー、だってツールドフランスの選手が使ってるじゃなーい。一般人の私にはムリー

1日に数百キロ走る選手らにとって、もっとも疲れにくく、操作しやすく、快適なのがドロップハンドルなのだ。理にかなっているからプロの世界で使われている。プロにしか使えない特種なモノではない。

「でも、オレ(わたし)はプロじゃないし。スピードを追求するつもりはない。ただ気持ちよく走りたいだけ」

大丈夫。ドロップハンドルは、べつに速く走るためだけのものではない。のんびりツーリング…なホビーサイクリストにもドロップハンドルは問題なく使える。40キロ以上走るとわかるが、フラットバーハンドルの方が、よっぽど腕が疲れる。

人間の骨格にとって、ドロップハンドルとブラケット(手で握る部分)がもっとも握りやすく、力を発揮しやすく、バイクコントロールしやすい。ちゃんと乗り手を考えて作られている。よって、「バイクに自分が合わせなければ…」と気負う必要もない。

オクサマのボードウォークをフラットバーハンドルからブルホーンに交換したときも、散々怖がられたが、使わせてみたら大感激。「なんでこのハンドルにしなかったんだろ?なにを怖がっていたんだろ?」と大喜びでブルホーン仕様のボードウォークに乗っている。もちろん、フラットバーに戻すつもりはない。

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>> ボードウォークのハンドルをフラットバーからブルホーンに交換した

>> 【小柄な女性でのOK!】 ボードウォークをフラットバーからブルホーンバーに替えてみてのインプレッション

>> バーコントローラーとブレーキの角度を変えることでブルホーンバーを持ちやすくした様子をイラストで解説


結局は慣れの問題。すぐに当たり前になる。目安は30分。たったそれだけ。パシコンをマックから始めた人でもWindowsに切り替えられるのと同じようなものだ。

パソコンを使ったことのない人が、マックかWindowsか、どっちのキーボードが使いやすいのか…って悩んでたら、「どっちでも大丈夫だよ」って言うでしょう?「ちゃんと使いやすいように設計されているんだから、どっちから始めても問題ないよ」って伝えるでしょう?そういうことです。

対策:すぐ慣れるので問題なし

変速ギアの使い方がわからなくて怖い

ドロップハンドルからニョキッと伸びた黒い物体。ブレーキと変速する器具ということは明らかだが、どう操作するのか。「素人で大丈夫なのだろうか…」と心配する初心者サイクリストもいらっしゃるが、ノー・プロブレム。誰にでも、直感的に操作できるようにシマノさん、カンパニョーロさんらは設計してくださっている。

シマノ、カンパニョーロ、スラム等色々種類はあれど、どれでも慣れの問題でしかない。操作のちょっとした差こそあれ、じきに慣れる。いや、瞬時に「あぁ、そういうことね」ってなれる。むしろ、ママチャリでは味わえない「スパン、スパンッ」というクリスピーなギアチェンジが楽しくて、ついついムダに変速してしまうこと請け合いである。

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※ボードウォークにはデフォルトではターニーが付いてきました(操作感はそれなり)


ただ、コストを下げたいのであれば、シマノのコンポーネントを選んでおくとよい。

対策:迷ったらシマノが無難。定番は105、予算があればアルテグラ。

前かがみな姿勢が怖い

ロードバイクはそのジオメトリーゆえ、どうしても前傾姿勢になり、「ブレーキをかけたら身体が前に吹っ飛ばされるのでは」という不安が来る。

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実際はそんなことはなく、これも「慣れますよ」と断言してしまう。もしも恐怖が消えないとしたら、腕に体重を乗せすぎているのかも。だとすると、止まるたびに身体が前に引っ張られる感覚があって、気持ち悪いだろう。

その場合、ドロップハンドルが理由なのではなく、(サドル高、サドル位置、ステム長などを含めた)ポジションを微調整したほうが解決の近道かと。ブラケットの取り付け位置&角度も影響してくる。

乱暴な表現になるが、「スペーサーを足してハンドル位置を高くし、アップライトにすればとりあえずラクになる」ので、乗り始めはハンドル高を高めにし、慣れてきたら低くしていく…のが良い。

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そういう意味では、初心者ほどお店でプロにフィッティングしてもらうことを勧める。フィッティングしないままの我流ポジションで乗っていると、「なんだか苦しい >> ツラい >> 楽しくない >> 乗らなくなる」という悲しい末路をたどることになる。

対策:アップライトなポジションにセットしよう

タイヤが細くて怖い

「細い=ブレーキ効かない」、あるいは「ミゾにハマってこける」という恐怖があるようだ。ブレーキに関しては、ちゃんと止まるので問題なしなのだが、ミゾにハマる可能性は確かにママチャリやマウンテンバイクよりは高い。

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注意すべきはグレーチングと縦方向にヒビ割れたアスファルト。たいていのグレーチングは道路脇にあるので予測可能だけど、縦方向のミゾは自分も怖い。横方向なら乗り越えるだけで済むが、縦方向のはスポッと入り込むことがあるからね…。

あとは轍(わだち)。走行方向と並行して連なる轍って、大型車両の通行が多い幹線道路やバイパスに多くって、熱くなったアスファルトが溶けて、重いトラックの重量で道路脇にムニッーって押し出された結果できるもの。こいつに乗り上げると、タイヤの太さ関係なく冷や汗をかく。

ロードバイクに乗り始めると、タイヤの細さのせいで、路面状況にかつてない程注意を配るようになる。じっと路面を見つめているわけじゃないけど、間接視野で「石や空き缶が落ちてないか」、「穴ぼこがないか」、「砂や砂利がまかれていないか」を常にモニタリングしている感覚はある。

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※夜中にガツンとなると怖い

ただ、この心がけはタイヤの太さに関係なくやるべきだとは思う。23cだから気をつける、28cだからテキトーに走っても事故らない…なんてことはない。23cはちょっと…って方は、ちょいと太めのタイヤを履くのが良いだろう。

対策:25か28cを履かせる

ペダルで固定するのが怖い

いきなりビンディングペダルで足を固定するのは怖いはず。だからしばらくはフラットペダルで大丈夫。「えー、ロードバイクなのにフラットペダルなの?」という反応をもしも受けたら、「そうですが、何か?」と返せばいい。卑屈になる必要もない。べつにフラットペダルでだってロードバイクは楽しめる。

フラットならいつでも足を地面につけるので安心。こける心配はない。まずはバイクそのものの扱いに慣れ、車と並走しながら車道を走るのが当たり前になるのが先。

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「もっと快適にロングライドしたいぞ」

とか

「足が固定されていないことで、ペダルを踏み外しそうになることがあるから対策したいな…」

と思い始めた段階でビンディングペダルは検討すれば良い。

対策:フラットペダルで乗り始める

家の中に置き場所を確保できないかも

ママチャリは平気で雨ざらしにする人でも、「さすがに10万円以上も投じるロードバイクを外に置いておく気はない」と考えるのが普通のようで、「ロードバイク、欲しいんだけど…家に置き場所がないんだよね」とこぼす人がいる。置き場所がない問題である。

しかし、冷静に考えると、そりゃそうだ。だって、いままで自転車がなかったんだからそんなスペースが用意されているわけがない。スペースは作るのだ。工夫して生み出すのだ。

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※これぞ至高…


一人暮らしであれば、「それは捨てるな」と反対する人はいないので己の努力で解決できる。読まなくなったマンガ、なんとなく積読になっている書籍、粗大ゴミに出そうか迷っている壊れかけのレディオ、自転車購入を機に断舎離しましょう。

スペースを確保したら、何はともあれメンテナンススタンドをひとつ買いましょう。後輪を持ち上げて固定するタイプで、たいていのメンテナンスはこれでできる。安いものだし、1回買えば半永久的に使える。

スタンドがあるクロスバイクなら、べつに不要じゃね?スタンド使って置けばいいんじゃね?

違うのだ。屋内保管の際はメンテナンススタンドで保管した方がいい。理由は安定性とメンテナンス性の確保のため。チェーンを拭いたり、注油する際に後輪が浮き上がっていないとむちゃんこ難儀する。見た目よりも安定していて、地震などで倒れたことはない。洗浄やメンテナンス作業中も問題ない。

>> 【マジかよ…】 自転車のディスプレイスタンドの正しい使用法を初めて知った


蛇足だが、置き場所は部屋(家)の一等地にするのがコツ。つまり、TVの真横とか、ソファに座ったときに自然に視界に入ってくる場所のことだ。「ときどきしか乗らないから…」と奥まった場所に押し込んではダメ。

なぜわざわざ部屋の一等地に自転車を置くのか?もちろん、一杯やりながら愛車を愛でるためである。舐め回すようにじっくり、ねっとり、心ゆくまでありとあらゆる角度から目で愉しみ尽くすのだ。

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10万円以上払ったバイク、それはあなたにとってたいそう愛おしい存在のはず。仕事で疲れて帰宅し、部屋の灯りをつけたとき、愛車が「お疲れさま」と迎えてくれる。ホッと一息つける瞬間だ。

視界の目につく場所に置くことで、あなたの生活に彩りが生まれる。おはようからお休みまで、愛車と過ごす生活。スペースを少々奪ってしまうのは事実だが、「これも悪くないな…」と思える日は遠くない。

あまりオススメはしないけど、どうしても部屋に置き場がないのなら、カバーを掛けてベランダに置くのもアリ。ただ、いくら厳重にカバーしても結露ができたり、雨の湿度や温度変化にさらされるので、基材の劣化は早まってしまう。5万円くらいのクロスバイクであれば、この保管方法でもOKだが、10万円オーバーのバイクにこれはあまりしたくない。

対策:断舎離して意地でもスペースを確保する



以上、「本当はロードバイクが欲しいんだけど、なんとなく不安でクロスバイクで手を打とうと思っている」方々に向けて、ロードバイク特有の得体の知れない不安を取り除いてみました。

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もちろん、積極的にクロスバイクを選ぶシチュエーションもあるわけで、なにがなんでもロードバイクやで!って主張する気はない。クロスにはクロスならではなの気軽さ&利便性、軽快な街乗り感がある。ただ、「本当はロードバイクがいいんだけど、なんとなく気後れして…」って方がクロスバイクで妥協してしまうのはもったいない。

そんな方々の一助になれば幸いです。


それでも不安であれば、クロスバイク系ムックを読むのもオススメ(^^) 

個人的に、【完全ガイドシリーズ170】 自転車完全ガイド が読みたくて仕方ない。ミニベロ系雑誌やムックって悪魔的な魅力があるんだけど、なんででしょうね?(ミニベロ、買う予定ゼロなのに…)




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