ロードバイクで集団走行するときは、守るべきルールとエチケットがある。高速走行する乗り物ゆえ、事故のダメージは計り知れない。

一人の不注意のために集団全員が事故に巻き込まれる…となっては残念すぎるので、全員知っておきましょうというお話しである。

Totalwomencycling.com の「Road Cycling Etiquette for Riding in a Pack(集団走行する際に守るべきエチケット)」という記事が勉強になったので、翻訳してご紹介しますね。

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わざわざ集団走行する理由=そのほうが速いから

いわずもがなですが、トレインを組むほうが空気抵抗を分散(ドラフティング効果)できて楽に速く走れるから、ですね。

先頭が風を受ける間、後続は少ないエネルギーで巡航できる。先頭を順番に交代することで、全員がそのメリットを享受できるというわけ。

そういえば、平昌オリンピックでのスピードスケートもまさに同じで、空気抵抗を避けるためにトレインで走る姿はカッコよかった。 自転車並の速度なのでそりゃあトレインも必要になるなと思った。

ただ、ドラフティング効果を発揮するには、集団がなるべくくっつく必要がある。(離れてしまうと隙間に空気が入り込むので)

そのために、全員が共通ルールを守り、意思疎通をはかるわけである。

どのフォーメーションを組むかの合意と共通認識

グループ全体で「どうやって走るのか」、「どんな用語やボディランゲージをどのタイミングで使うのか」は事前に決めておくとよい。一人でも不安を抱えた状態でスタートするのは危険。

レースの仲間であれば、阿吽の呼吸で問題なかろうが、レベルが異なる人が混じった場合とか、初対面同士であれば欠かせない。

レースとかエンデューロで見知らぬもの同士でトレインを組むとか、集団の後ろに着く場合はことさらに注意が必要。


「身勝手な走行をする(ラインを勝手に変える等)」
「前後左右のライダーのことを考えていない」
「ラインがフラフラしてて動きの予想がつかない」


といった、明らかにルールをわかってないライダーには近づかないようにしよう。口頭で注意を促してもいいが、瞬時に学んでくれるかどうかも怪しいし、意図が伝わるかどうかもわからない。

それに、走行中にしゃべることで自分が注意散漫&前方不注意になる可能性もある。危なっかしい人からはさっさと距離を置くほうがよいだろう。

トレイン(Paceline)

もっとも単純でわかりやすいフォーメーションがこれ。グループが一直線になる、お馴染みのトレインですね。

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先頭は10〜30秒くらいの間隔で交代していく。体力があるライダーがなるべく長く先頭を牽き、そうではないライダーは短めに…がよいだろう。(この辺も意思疎通をしておくのがオススメ。レベルが違いすぎる者同士のトレインならなおさら)

肘を横に突き出すのが後続への「先頭替わるよ」のサイン(わかりやすければなんでもいいが)で、横にズレる前には軽く後方確認もすること。

先頭が横にズレたら気持ちペースを下げ、2番手が先頭に押し上げるのを待とう。

チェーン・ギャング(Chain gang)

トレインよりはやや複雑なフォーメーション。が、覚えてしまえばなんてことはない。上から見るとこんな感じ。あたかもチェーンがグルグル回るかのようにライダーが回りながら風を避ける。

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チェーン・ギャングのメリットは、二列なので直線状のトレインよりフォーメーションを短くできること。人数が多めのときは都合が良い。

このフォーメーションではライダーがわりとコンスタントに動き続ける。先頭交代のやり方はトレインと基本は同じで、先頭が「替わるよ」のサインを出し、後方確認し、横に移動し、ペダリングを緩め、二番手の上がりを待つ。で、自分は徐々に後ろに下がっていく。

で、このとき気になるのが「自分がいつ殿(しんがり: いちばん後ろ)になるか?」でして、ボケっとしてると、いつのまにか自分の後ろに誰もいない状況になる。

あらヤダ!あたしが最後尾だったわ!前の人に追い付かなくちゃ

と余計なパワーを浪費させられることがあってもったいない。

それを避けるためのコミュニケーションが、殿のライダーが速いほうのラインに移動すると同時に「(私が)ラストです!」と声を出すこと。この一声で、次に殿になるライダーが「あ、私がラストになるのね。では次に速いほうのラインに移動しなくては」とわかる。

先頭に役割があるように、最後尾にも役割があるということ。

この一声がないと、「まだあたしの後ろに誰かいるのかなー。いるかもしれないからもうちょい待つか…」と判断が遅れ、「ゲッ、誰もおらんやん!回さな!追い付かな!」となってしまう。フォーメーションは崩れるし、ムダなペースアップも強いられてしまう。ラストの選手の一声だけで予防できるので、ぜひ覚えておいていただきたい。

エシュロン(Echelon)

斜めからの風をグループ全体でカバーするフォーメーションがエシュロン。対角線のラインを作る。

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集団走行時の厳禁行為

ホイールをハスらせ(オーバーラップさせ)ない

前後のバイク同士でホイールをかぶらせないのは超大事。 こういう状態がそれで、前のライダーがラインを変えて後のライダーの前輪に触れると、後続のほうがカンタンに吹っ飛び落車する。

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集団走行だろうが、2人だろうが、鉄則である。 自分がそれをしないのはもちろん、集団のなかでそれをしているライダーがいたら教えてあげよう。集団走行では、一人のミス&不注意が全員に影響する。

ペースを一定に維持する

先頭交代で走るとき、やりがちなミスは「先頭に出たとたん、無意識に頑張ってしまってペースを上げてしまう」こと。集団を引っ張らねばという責任感がそうさせてしまうのだと思うが、張り切りすぎると自分も集団も疲弊させてしまう。

もちろん、先頭は空気圧を一身に受けることになるため、スピードを維持するのにプラスアルファの力を使わねばならない。が、スピードは同じまま・・・が理想である。

仲間とのツーリング等、レースではない状況であれば、


「体力に自信がないので、先頭は早めに交代させてほしい」
「時速⚫⚫キロ以上での巡航は正直キツい」


・・・と、グループ内で体力差が明白なら事前にその事実を伝えておくのが望ましい。

動く前に周囲を見て確認&意思表示はハッキリと

「急」な動きは集団内ではご法度。さきほどの「ホイール同士をハスらせてはダメ」にもつながるが、急な動きをされると周囲は対応できない。仲間との接触にもつながるし、不必要に驚かしてしまう。

動く(ラインを変える、ペースを上げる&下げる、誰かを追い越す)前に周囲を観察し、自分が何をしようとしているのか仲間に伝えること。声でもいいし、ハンドサインでもいい。

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ただ、個人的には集団走行中のハンドサインはあまり現実的ではないというか、片手運転になって不安定だし、サインを出しているタイミングでブレーキをかけなければならなくなったら対応できないので、なるべく最低限にし、「声のコミュニケーション」を積極的に使うのはがベターだと思う。

別のライダーを追い越す場合、「右から抜きます」と一声あるだけで前走者は安心できるし、「オッケー、では自分はラインを替えないようにするね」となるので事故予防にもなる。声はどんどん使っていこう。

なお、声は”風にかき消される”ことを計算して、 「ちょっとでかすぎるかな?」くらいシャウト気味の発声でちょうどいい。

ラインをキープする

ラインキープも集団内の鉄則。 こういう走り方ですね。
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コーナーでアウトーインーアウトな走り方をするのは極めて危険。
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だが、これをする人はエンデューロ等で必ず目撃する。で、事故原因を作っている。

これまで10回ほどエンデューロに参加したが、目撃した落車の多くが「ラインを守らなかった一人が接触を起こし、周囲が巻き添えを食らう」パターンだった。 つまり人災。


これなんか、最悪。事故る原因が走っているようなもの。
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対応策としては、


1 君子危うきに近寄らずで、ルールを知らないライダーからは離れる

2 「ラインキープ!」と怒鳴って、変な動きをさせないよう警告する のどちらかだろうか。


エンデューロで集団がコーナーに突っ込むとき、ラインを替えようとする輩に対して、「ラインキープしろや!」と罵声を浴びせる諸先輩方がいらっしゃるが、べつに憎くてそうしているわけではない。むしろ優しさである。

事故予防のためにそうしているだけなので、「何よ、あの人…ちょっとライン替えようとしただけで怒鳴ってきて…失礼しちゃうわ」とは思わず、「警告してくれてありがとう!」と感謝しましょう。(「ちょっとライン替えようと思った・・・」が大事故の引き金になるものなので)



以上、Totalwomencycling.com の「Road Cycling Etiquette for Riding in a Pack(集団走行する際に守るべきエチケット)」 のご紹介&体験談でした。

集団走行で味わう高速巡航は気持ちがいいものだけど、一歩間違うと大惨事になるので、どうか慎重にご走行くださいませ…。



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