2016年3月とちょっと前だけど、ITmediaビジネスオンラインで、ローディとして興味深い記事を見つけた。

 一周して最先端、オートマにはないMt車の“超”可能性(ITmediaビジネスオンライン)

AT全盛の自動車業界において、マニュアル車の魅力と性能が再評価されていることが書かれているのだが、自分も「マニュアル車はもっと評価されて良い」と思っている一人。

けっこうな数がシェアされているところを見ると、マニュアル車に興味のある潜在層が実はたくさんいるのかもしれない。で、マニュアルの良さ&楽しさはロードバイクで存分に味わえるというお話し(に強引につなげる)。

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マツダ車のマニュアル販売比率がものすごく高い

マニュアル車に乗る人は圧倒的に少ないけど、メーカーも努力はしていて、トヨタの86で、ホンダのS660、マツダのロードスター、スズキのスイフトなどがさっと頭に思い浮かぶ。 記事ではマツダについてくわしく書かれていて、驚いたのが意外に高いマニュアル車の販売比率。

  • アテンザ 10%
  • アクセラ 10%
  • デミオ 7%
  • CX-3 7%
  • ロードスター 75%
※CX-5にだけマニュアル設定がない

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※こちらはCX-3

ロードスターだけ75%と突出しているが、キャラクター上「まあ、そうだよね」という感覚。しかし、アテンザ(Dセグメントセダン)の10%がマニュアルというのは、ちょっと信じられない高い数字だ。あんな大きなセダンをマニュアルで乗る層が一定数いるということか…。

MTの魅力はドライブトレインのダイレクト感

筆者さんは、MTの面白さについてこう書かれていた。

MT派の人たちの意見の多くは「意のままに操れる」というものだ。変速のタイミングやギヤのセレクトが自由という意味だと思われる。それはそれで間違いではないと思うが、実はMTの最大の魅力はドライブトレーン全体のダイレクト感だと筆者は思っている。

アクセル操作でおこなうクルマの進路調整のダイレクト感において、MTは極めて優れているそうな。ATが特定の場面においてMTに肉薄することはできても、MTを越えることはできないとのこと。

つまり、アクセルによる挙動コントロールのリニアリティの理想型はMTなのだ。前述した「意のままに操れる」快感があるとしたら、この挙動変化の自在さにこそ最も意味があるのだと思う。

車のマニュアルと、ロードバイクのギアを同列に並べるのはちょっと違う気もするけど、挙動変化の自在さってフレーズはすごく腑に落ちる表現だった。

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※チンクエチェントの内装

ローディはすでにマニュアルの楽しさを知っている

クルマを運転しない方、もしくはクルマに興味のない一般女性だと、「マニュアルって、バスの運転手さんがコキコキ動かしているアレのことだよね。常時ギアを手作業で動かす意味がわかんない。マニュアルに良さなんてあるの?」って首を傾げるかもしれない。

でも、ロードバイクに乗っている時点で、無意識のうちにドップリとマニュアル操作の楽しさが身に染みているはず。自力で走るロードバイクは、クルマよりはるかに頻繁にギアチェンジをする。

道路状況、斜度、疲労具合い、出したいスピード……10~11速のギアを備えたバイクであれば、ほぼどんな状況にも適したギア比が選べるのがよいところ。

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ちなみに自分の愛車(フィアット・パンダ)はATだが、MTっぽさを残したシングルクラッチのメカ。マニュアルチックな変速が面白い車である。 さらに、記事にはこう書かれていた。

「人は誰しもチャレンジすることが楽しい」ということだ。ゲームでもスポーツでもそうだが、あまりに一方的な展開になると人は興味を失う。簡単過ぎても難しすぎても、退屈だったり屈辱的だったりしてやる気になれない。だが、適度な歯ごたえのある攻略対象に向上心を持って臨めるとき、それは興奮の対象になる。米国の心理学者、ミハイ・チクセントミハイはこれを「フロー体験」と名付けた。

そうなのだ。ココを読んで思わず膝を叩いた。マニュアル操作は純粋に楽しいのだ。そして、ロードバイクの運転もまさしくそれなのだ。

ロードバイクはとっくに10速化している

同じく、ITmediaビジネスオンラインにこんな記事もあった。

ついに「10速オートマ」の時代が始まる (ITmediaビジネスオンライン)

ホンダが10段ギヤを持つトルコンステップATを準備中という記事。これまで最も多段化が進んでいたのはダイムラー(ベンツ)の縦置き9段とZFの横置き9段(2013年登場)らしく、そういう意味では「ついに自動車の二桁超多段化が実現するのか!」という気もする。

でも、ロードバイクはとっくに11段化しているのよね。しかも、フロントディレイラーを加えれば、20~22段にまで増える。そういう意味では、クルマよりもロードバイクのほうがなお一層リニアな走りを体感できるスーパーマシンというわけだ。

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余談だが、クルマに興味ゼロのオクサマは、自動車のギアが一般的に何段くらいあるのかを知らない。彼女はそういった概念を超越してクルマを運転する。で、「オートマ限定」免許なので、問答無益で我が家の車はオートマになってしまう。

これまでインプレッサ(1994~2000)、ゴルフ(2000~2007)、ポロ(2007~2014)、パンダ(2014~)と乗り継いできたのだが、ギア数を気にすることなく、ただアクセルとブレーキを漫然と踏むだけの運転を繰り返してきた。(今もだが…)  

そんなオクサマも、ボードウォークにはリアに10速あって、フロントに2速、合計20段のギアが選べることは(ようやく)認識してくれた。


(´・ω・`) 「クルマのギア数は5~6段がいまだに主流なので、20段ものギアを持つ自転車がいかにすごいかわかる?パンダは5速、ポロは6速、信じられないかもしれないけど、ゴルフIV なんて4速だったのよ」

J( 'ー`)し 「えええっ!?クルマってそんなもんしかギアがないの?ロードバイクの圧勝じゃん」

(´・ω・`) 「そうなの。ボードウォークはフロント2段、リア10段なので20段のギアが選べるのよ」

J( 'ー`)し 「超ハイテクじゃん。ボードウォークやべぇ」

(´・ω・`) 「だからボードウォークに乗るときはスプロケットとリア&フロントディレイラーのことも少しは思い出してね。ちなみにノーマル状態のボードウォークは7速だったのよ」

J( 'ー`)し 「オーケー」

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「最近、ほしいマニュアル車がないな~」って不満を抱えている方がいれば、ぜひ11速化したロードバイクに試乗してみてほしい。その場でロードバイクの楽しさにハマってしまうこと請け合いである。