ツール・ド・フランス出場チームのメカニックさんは、いわば自転車メカニックのトップ中のトップ。寿司の世界で言えば、ミシュラン三ツ星の銀座一流の店の職人…といったところだろう。

そんな一流のメカニックの方々に、「自転車メンテナンスのコツ」を教わったらなんと答えてくれるのか、を取材したGlobal Cycling Network の動画を翻訳して紹介しよう。

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Pro Mechanics' Top Tips | Tour De France 2014


なお、撮影されたのは2014年のツール・ド・フランス会場。なので、現在のチーム名とはやや異なる(スポンサーの関係で)。

ガーミン・シャープのGeoff Brown さん

いつも自転車をキレイに保つこと!1週間に10分でいいから、愛車の掃除をしよう。チェーン、前後のディレイラー、タイヤ、ホイールをだ。

それだけで故障やトラブルの予防になるよ。サイクリストの大半のトラブルは、メンテンス不足(油汚れ、泥)に起因するのさ。
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愛車を屋内保管している人はおそらくキレイにしてあると思うのだが、これはマジで大事。チェーン、ブレーキ、コンポーネントの汚れは乗るたびにやったほうがいいと思う。

ウェス(無ければ着なくなったTシャツ)でさっと拭くだけなので、数分ですむ。フレームとBBは路面を向いた下側が汚れやすいので、ときどきひっくり返してみよう。ディレーラー類の掃除もやりやすいよ。パーツクリーナーとチェーンルブは必須だね。

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BMCレーシングのIan Sherburne さん

僕のアドバイスは、「ライドに出かける前に、タイヤに詰まった小石やガラス片がないかのチェックをする」だね。見つかったら、ツマヨウジ的なモノで取り除いてあげよう。

前のライドでタイヤに残った異物が、徐々にタイヤに入り込んでパンクの原因になるのさ。これを習慣にするだけで、パンクトラブルが減るよ。
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サイクリスト的には常識だけど、初心者からすると、「え、ロードバイクってそんなにパンクリスクがあるの?」と驚くことだろう。事実として、ママチャリに比べてロードバイクはパンクしやすい宿命にある。

でも、こういった心がけで一気にリスクを下げられるのもまた事実。自分のパンク予防の心がけは、「出発前に空気を入れなおす」である。このおかげか、2年近くパンクとは無縁だよ。

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ジャイアントシマノのMarcel Van Rossum さん

落車事故を起こして、バイク屋ヘルメットを痛めたら、お店に持って行ってプロのメカニックに診断してもらおう。壊れたまま(かもしれない)装備やバイクで走るのはとっても危険だからね。
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落車以外にも、バイクをぶつける等大きなショックが加わったらプロに診てもらうことをオススメする。見た目がなんともなくとも、エンド金具がゆがんでいるとか、アライメントが出ていないってことは十分にあり得るので。

あと、落車でヘルメットをぶつけたら、それは交換したほうがいい。一度大きなショックを受けたヘルメットは、同じ効果を発揮してくれないからだ。(ヘルメットは、自らが壊れることで頭部を守ってくれる構造だから)

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チームスカイのGary Blem さん

エンド金具のアライメントが正しくなっていること。交換可能な部品なので、ずれていたら交換すること。これを守っていれば十中八九はトラブルと無縁でいられるよ。
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見た目だけではわからないんですよね…。予兆としては、「変速に違和感がある」とか「シフトの上げ下げが気持ちよく決まらない」だろうか。専門工具でチェックしないと判別できないことも多々あるので、原因特定で悩んだら、素人判断せずにショップに駆け込もう。

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オリカ・グリーンエッジのAndrzej Pozak さん

タイヤの空気圧が大事。ちなみにオリカ・グリーンエッジはコンチネンタルを使っていて、空気圧は路面や天候に左右はされるけど、9 bar に設定しているよ。
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9 bar はちょっと高めだが、プロの世界なのでそういうものなのだろう。重要なのは、タイヤに明記された適正空気圧を守ること。たいていのロードバイクのタイヤであれば、7 bar 以上は入れらえるはず。

自分はフロントは7 bar で、リアは7.5 bar にしているよ。豆知識として、ツールドフランスのニュートラルカーに積まれているタイヤ圧は「7 bar で、リアは7.5 bar で統一」されていると雑誌で読んだ。

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ベルキン・プロサイクリングのVincent Hendriks さん

僕のアドバイスはブレーキシューだ。ちゃんと厚みが残っているか、時々確認してね。ブレーキに問題があると・・・死ねるよ(笑)。あと、電動メカをウチは採用しているんで、バッテリーがフルかどうかも注意している。電池切れになると変速できなくなってしまうんだ。
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ブレーキシューって、タイヤよりは一般的にもつので、ついつい交換時期を忘れてしまうことがある。が、古くなったシューは音鳴りしやすいし、最悪のケーズだとむき出しになった受け側の金属がリムを傷つけてしまうこともあって、そうなると高価なホイールをダメにしてしまう。

自分はカンパニョーロのシャマルミレに2015年8月に交換して、まだ一度もブレーキシューを交換していない。こないだ確認したら、いいかんじに減っていたので、そろそろ交換しようと思う。

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※カンパニョーロ指定の専用ブレーキシュー(良く効くけど、減りは早い)


以上、Global Cycling Network の 「Pro Mechanics' Top Tips | Tour De France 2014」をお届けしました。皆さんに共通しているのは、「愛車は大事にメンテしようね!」ってことだね。

「ロードバイクのメンテってどうやるの?」って方は、ロードバイクメンテナンスの書籍が参考になる。

プロのアドバイスをもとに、安全にロードバイクをお楽しみください。