日本ではイヤホンをしながら公道で自転車を走らせることは基本的にNGだが、屋内ローラーなどのトレーナーマシンでは使っている人も多いだろう。

Global Cycling Network に「Can Music Make You Cycle Faster?(音楽はロードバイクのパフォーマンスに影響するのか?)」と題した動画があって、ゆったりした曲、リズミカルな曲、無音の条件でもがいてみたらどれくらい違いが出るのかを実験していた。



結論を先に書くと、「リズミカルな曲>無音>ゆったりした曲」の順番に高パフォーマンスが発揮され、まあそうだよねってかんじではあったんだけどそれはそれとして興味深く見させてもらった。

以下、動画の翻訳です。

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/プレゼンターはChris Opie(クリス・オーピエ)さん\

過去にJohn Moores University(ジョン・ムーア大学@リバプール) で同様の検証は行われたそうで、そこでの結果によれば(ビートの速い)リズミカルな曲は高いケイデンスと高いパワーを生みだし、同じ時間でより長い距離を走った。ゆったりな曲だとその反対の結果となった。 (予想通りって言えば予想通り)

それを踏まえてのGlobal Cycling Network による公道でのテストは「7分間、全力でもがく」というもので、合計21分…なかなか長い。出演していたChris Opie(クリス・オーピエ)さんも「どうして7分に設定してしまったのか…2分でもいいんじゃないって提案したんだけど、いつのまにか時間が伸ばされてしまった…しかも撮影に付き合ってくれる人を募ったのに誰もこないし…」とぼやいていた(笑)。

余談だが、Chris Opie(クリス・オーピエ)さんは1987年生まれの31歳。Bike Channel–CanyonとかONE Pro Cyclingのコンチネンタルチームに所属していた元プロ選手である。俳優のジョン・トラボルタに似ているので、トラボルタさんというアダ名で呼ばれることが多い。

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/たしかに若かりし頃のジョン・トラボルタに似てる\

さて、「そもそも公道でイヤホンして走っていいの?交通違反じゃないの?」って思った人も多いと思うが、UKではなんと合法。ロンドンの喧騒と人混みの中をイヤホンしながら走っても構わないわけだ(やるかどうかはさておき)。だから事故が多いんじゃないかと心配になるが…。

もちろん、危険だという意見もあって、サイクリストの中には「左耳(歩道側)だけつける」という人もいるそうな。(それでも危険だけど)

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ちなみに、ヘルメットのストラップにイヤホンを一周させると外れにくいというコツは(日本では関係ないが)覚えておいていいかもしれない。まあ、AirPodsとかワイヤレス全盛なのであまり関係ないかもしれないが。


本題に戻ろう。

まず、wahoo(サイコンですね)は取り外す。心拍、スピード、ケイデンス、速度、あらゆるデータをシャットアウトして走る。

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Chris Opie(クリス・オーピエ)さんの感想は…

◇ テスト1: 無音 まずこれで基本となるデータを取る

◇ テスト2: ゆっくりな曲
  • 音が運動の邪魔をしてくる
  • リズムに釣られて呼吸も遅くなってしまう
  • でも不思議なことに走っている間は速く走れていると感じた

◇ テスト3: リズミカルな曲
  • 高強度で走りやすい
  • 「現役の頃はレース前にローラーでウォームアップ中にお気に入りのプレイリストをよく聞いたが、その感覚が蘇ってきた」とのこと

テストしてみての発見は?

結果は以下の通り。

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予想通りというか、パフォーマンスはリズミカルな曲>無音>ゆったりな曲の順番となった。

Chris Opie(クリス・オーピエ)さんは「ゆったりな曲のときがもっとも違和感があって、音楽に気を取られてしまってパワーが出しにくい」とコメントしていた。

リズミカルな曲が脳を興奮させ、パフォーマンスを引き出すのは当然で「現役の頃、レース前にやる気を高めるために音楽を使っていたので効果はよくわかっていた」とも。

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あくまで一人のテストなので、データとしては不十分ではあるが、屋内トレーニングでは音楽を積極的に活用してみて損はないのではなかろうか。

ちなみに、自分が3本ローラーに乗る時間は45~60分と決めているんだけど、その時間を無音で過ごすのは退屈すぎて発狂しそうになるので、音楽を聴くかYouTubeを見る。そうすると時間経過が早く感じられて一石二鳥。(ローラートレーニングで音楽も何も使わないって人はむしろ珍しいような気もする)

各国の視聴者からのコメント欄がおもしろい

Global Cycling Network は世界中にファンがいるので、コメント欄も賑やかだ。

以下、いくつか抜粋してみると…

  • 静かな道でだけイヤホンをしているわ
  • 骨伝導イヤホンを使っているけど、音は悪くないし、周囲の音もちゃんと聞こえるぜ
  • 最近は危険なドライバーも多いから、あえて危険を犯そうとは思わないかなー
  • ポータブルスピーカーをボトルケージに挿しているよ
  • ゆっくり走るときは聞くが、速いテンポのときは邪魔になるからオフにしている
  • 長距離を走るときは音楽が疲労感を薄めてくれる実感があります
  • Rage Against the Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)がお勧めだぜ!
  • ※映画マトリックスでも使われていた「Wake up」は名曲  
  • ユーロビートもいいよ~
  • コロラドの山をDoors(ドアーズ)の「The End」を聞きながら登ってたんだけど、とつぜん上空に5機の軍ヘリコプターが現れたときは、1979年公開の映画『地獄の黙示録』を思い出したよ(※なんちゅー曲を聴きながら走っているんだ…w) 
  • 僕自身は音楽家なんだけど、音楽を聞くのは家だけで、ロードバイクでは聞かない。無音を走るのが僕の癒やしなんでね
  • Trekz Titaniumって骨伝導イヤホンを愛用している。耳に差し込むタイプはとても危険だよ。車を想像してみればいい。運転しながらイヤホンしたら周囲の音が聞こえないけど、ステレオなら大丈夫だろう?骨伝導イヤホンはそれに似ている
  • オーストラリアの道路は危険だから、僕はゼッタイ音楽は聞かないぞ
  • インドのムンバイ在住なんだが、ここは危険なのでイヤホンはしないほうがいい
  • ロッキーのサントラに2つおすすめの曲がある、Hearts on FireGonna fly nowだ!※Hearts on Fire: Rocky IV 、Gonna fly nowは言わずとしれたロッキーのテーマ 
  • Prodigy と Clashがいいよ!※個人的にはProdigyの「Firestarter」、「Breathe」が好き

関係ないが、Prodigyのフロントマン、Keith Flintが2019年3月4日に自殺してた…享年49歳。お悔やみ申し上げます…。


蛇足だが、トレーニング時に使う個人的に好きなリストも挙げておく。

◇ The Chemical Brothers (90~2000年代のダンス系)
・Star Guitar


・Hey Boy Hey Girl

※リピートかけていると時間を忘れる

◇ RUN DMC(80~90年代のヒップホップ系)
・It's like that [Remix RUN DMC vs Jason Nevis ]
※高めのケイデンスにとてもマッチして良い

◇ Fatboy Slim(90年代を代表するテクノ、ハウス系)
・Right Here, Right Now


・Rockafeller Skank

※バンド名がイカしてるし曲も良い


以上、Global Cycling Network の「Can Music Make You Cycle Faster?(音楽はロードバイクのパフォーマンスに影響するのか?)」の翻訳でした。


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