プロトンと逃げ集団の間を行き来して時間差をチョークボードで伝えるオートバイは、モトと呼ばれる。プロロードレースではお馴染みの存在だ。
情報伝達以外にも、(ヒルクライムとかの)コース内に押し寄せてくる群衆をかき分けて、選手の安全を確保する役目とか、テレビクルーを乗せて中継撮影する役割もある。
/ こういうバイクですね \
MAVICニュートラル・モトに関する興味深い記事
↓ 55mph - 自転車ロードレースを支える黄色いTMAX(ヤマハモーター)
モトは近代レースでは欠かせない存在なのだが、そのモトを「風除けに利用する」選手も後を絶たないそうで、物議をかもすことがあるらしい。
実際、何人もの選手がそのことに言及している。
アンドレ・グライペル(Andre Greipel)
↓
ダン・マーティン(Dan Martin)
↓
セップ・ヴァンマーク(Sep Vanmarcke)
↓
トッシュ・ヴァンデーサンデ(Tosh Van Der Sande)
↓
といった選手側の苦情もあって、そろそろ主催者側も何らかの対策を打たねばならない時期に来ている。
ただ、モトが果たしてどれくらい風除けに役立つのか、誰にもわからないし、データもない……ということで立ち上がったのがGlobal Cycling Network 。
「What Difference Do Motorbikes Make In Bike Races?(モトの有無でレースに違いは生まれるのか?)」
実験方法はこうだ。
↓
ダンさん
マットさん
時速43キロはホビーサイクリストから見るとかなり速い。必死にもがけば出せるけど、維持するのは相当ツラいし、鍛えている人でも決して楽ではない。風除けなしで単独で走るとなると、長い時間は続けられない。
ちなみに自分の予想では、「5メートル後ろはちょっとの効果はあるだろうが、10メートルならほぼゼロじゃないの?」だったのだが、観てみたら大はずれ。
↓
マットさん
↓
気のせいだとか、時と場合による…とかって理屈は通用しないくらい、明確な差が出た。10メートルですら、しっかり数字で現れている。
/ さすがに10メートルも離れていては…\
節約できたワット数をパーセンテージで表すとこうなる。
ダンさん
↓
マットさん
↓
これにはお二人とも、「5メートルだとかなりの空力削減を感じたが、10メートルはバイクから相当離れているし、さほど効果はないと思っていたんだけど…」 と驚いた様子。
10メートルも離れていても、空力が10%もカットできるとは、自分もビックリ。そして、プロですら自覚がなかったのはダブルで衝撃である。
ただし、実験の条件はプロロードレースとはちょっと違っており、実験時のスピードは「時速43キロ」だった。素人からすれば速いけど、プロの世界だとかなり遅いほう。
似たようなフラットな道路だったら、ワールドツアークラスは時速55キロ(!)で走っているそうな。なので、当然数値も変わってくるだろう。ちなみに時速55キロって、一般人がサーキットコースの下りでぶん回してようやく出る…くらいのスピード。平地で時速55キロ巡航するなぞ、一般サイクリストにはまずムリ。
さらに、実験ではオートバイは1台だけだった。実際のレースでは複数のバイクがいて、なんならサポートカーやニュートラルカーだって連なって走っていることもある。そう考えると、レース環境のほうが空気抵抗がより少ないスポットが多い…とも考えられる。
ということは、やろうと思えばいくらでもモトや車両を利用できてしまえるし、してない選手からすると、「ずるい」ってことになる。
クルマとバイクをなくせばいいのか?というと、そういう単純な問題ではもない。テレビ放送、写真撮影、選手の安全確保のためにもクルマとバイクは欠かせない。台数を減らせばいいのかもしれないが、根本解決になるわけじゃない。
「車(&モト)は集団から○○メートル離れなければならない」とか、レギュレーションで取り締まることはできる。しかし、ドライバーだって目視で常に距離を測る訳にはいかない。ときには補給のために近づかねばならないこともある。それに、レギュレーションを作ったところで、高速移動するいくつもの集団をコンスタントに監視する……のも現実的ではないだろう。 (監視車両なんて用意したら、本末転倒だし)
選手側に、「バイクの後ろを走るべからず」ってルールを設けることも可能だが、狭い道だと「否が応でもバイクの後ろを走らざるを得ない」ってことも。レース中の選手を取り締まることで、レースの面白さが損なわれては、選手もファンも不幸になる。
さらにマットさんが興味深い指摘をした。
ダンさんも
人生をかけて闘うプロに、「なるべく風よけにしてはダメですよ~」なんて甘っちょろい不文律は通用しない。サイモンさんの言葉は選手の声を代弁してくれたと思う。
プロはこのような事情があるけど、我々アマチュア&ホビーサイクリストにとっては朗報ではなかろうか。なんせ、10メートル離れていても風よけ効果はあるわけなので、集団走行するときは利用しない手はないだろう。
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情報伝達以外にも、(ヒルクライムとかの)コース内に押し寄せてくる群衆をかき分けて、選手の安全を確保する役目とか、テレビクルーを乗せて中継撮影する役割もある。
/ こういうバイクですね \
MAVICニュートラル・モトに関する興味深い記事
↓ 55mph - 自転車ロードレースを支える黄色いTMAX(ヤマハモーター)
モトは近代レースでは欠かせない存在なのだが、そのモトを「風除けに利用する」選手も後を絶たないそうで、物議をかもすことがあるらしい。
実際、何人もの選手がそのことに言及している。
アンドレ・グライペル(Andre Greipel)
↓
Fairplay. That is what we want. @UCI_cycling. 「フェアプレイを。それが我々がUCIに求めるものだ」
ダン・マーティン(Dan Martin)
↓
Dear @UCI_cycling Rules are worthless without enforcement. Nothing has changed regards moto. 「UCIへ ルールは施行されなければ意味はない。モトに関しては何も変わっていない」
セップ・ヴァンマーク(Sep Vanmarcke)
↓
I take my hat off for the performance of @ryanmullen9 today! Impressive how he stayed strong against a motorpaced peleton for so long! 「Ryan Mullen(キャノンデールドラパック)の今日のパフォーマンスには敬意を表する。(モトのペースで走っていた)プロトン集団に負けない逃げをしたのだから」※暗にプロトンがモトを風除けにしたことを批判している
トッシュ・ヴァンデーサンデ(Tosh Van Der Sande)
↓
This has to stop! or you buy a proper telelens or you ride on the other side of the road... 「もうたくさんだ!望遠レンズで撮影するか、道の反対側を走るようにさせないと…」
といった選手側の苦情もあって、そろそろ主催者側も何らかの対策を打たねばならない時期に来ている。
ただ、モトが果たしてどれくらい風除けに役立つのか、誰にもわからないし、データもない……ということで立ち上がったのがGlobal Cycling Network 。
「What Difference Do Motorbikes Make In Bike Races?(モトの有無でレースに違いは生まれるのか?)」
実験方法はこうだ。
↓
- 2.2キロのフラットな道路を3本走る
- スピードは時速43キロをキープ
- オートバイを前に走らせる(5メートル、10メートル)ことで、ワット数にどれくらい変化があるのかを計測する
ダンさん
- 1本目はオートバイ無し
- 2本めはオートバイの後方5メートルの位置で
- 3本めはオートバイの後方10メートルの位置で
マットさん
- 上記の逆の順序で走る
時速43キロはホビーサイクリストから見るとかなり速い。必死にもがけば出せるけど、維持するのは相当ツラいし、鍛えている人でも決して楽ではない。風除けなしで単独で走るとなると、長い時間は続けられない。
ちなみに自分の予想では、「5メートル後ろはちょっとの効果はあるだろうが、10メートルならほぼゼロじゃないの?」だったのだが、観てみたら大はずれ。
衝撃の実験結果
ダンさん↓
- オートバイ無し:319ワット
- 後方5メートル:256ワット
- 後方10メートル:283ワット
マットさん
↓
- オートバイ無し:312ワット
- 後方5メートル:258ワット
- 後方10メートル:279ワット
気のせいだとか、時と場合による…とかって理屈は通用しないくらい、明確な差が出た。10メートルですら、しっかり数字で現れている。
/ さすがに10メートルも離れていては…\
節約できたワット数をパーセンテージで表すとこうなる。
ダンさん
↓
- 5メートル:マイナス19.6%
- 10メートル:マイナス11.5%
マットさん
↓
- 5メートル:マイナス17.5%
- 10メートル:マイナス10.6%
これにはお二人とも、「5メートルだとかなりの空力削減を感じたが、10メートルはバイクから相当離れているし、さほど効果はないと思っていたんだけど…」 と驚いた様子。
10メートルも離れていても、空力が10%もカットできるとは、自分もビックリ。そして、プロですら自覚がなかったのはダブルで衝撃である。
ただし、実験の条件はプロロードレースとはちょっと違っており、実験時のスピードは「時速43キロ」だった。素人からすれば速いけど、プロの世界だとかなり遅いほう。
似たようなフラットな道路だったら、ワールドツアークラスは時速55キロ(!)で走っているそうな。なので、当然数値も変わってくるだろう。ちなみに時速55キロって、一般人がサーキットコースの下りでぶん回してようやく出る…くらいのスピード。平地で時速55キロ巡航するなぞ、一般サイクリストにはまずムリ。
さらに、実験ではオートバイは1台だけだった。実際のレースでは複数のバイクがいて、なんならサポートカーやニュートラルカーだって連なって走っていることもある。そう考えると、レース環境のほうが空気抵抗がより少ないスポットが多い…とも考えられる。
ということは、やろうと思えばいくらでもモトや車両を利用できてしまえるし、してない選手からすると、「ずるい」ってことになる。
モトの風よけチートの解決策は?
ない。見つかっていない。誰に責任があるか?選手なのか、クルマやバイクか、それともオーガナイザーか……誰かだけに押し付けられるものではなく、全員で取り組むべき共通課題だろう。ここまでのデータが揃った以上、看過することはできない。クルマとバイクをなくせばいいのか?というと、そういう単純な問題ではもない。テレビ放送、写真撮影、選手の安全確保のためにもクルマとバイクは欠かせない。台数を減らせばいいのかもしれないが、根本解決になるわけじゃない。
「車(&モト)は集団から○○メートル離れなければならない」とか、レギュレーションで取り締まることはできる。しかし、ドライバーだって目視で常に距離を測る訳にはいかない。ときには補給のために近づかねばならないこともある。それに、レギュレーションを作ったところで、高速移動するいくつもの集団をコンスタントに監視する……のも現実的ではないだろう。 (監視車両なんて用意したら、本末転倒だし)
選手側に、「バイクの後ろを走るべからず」ってルールを設けることも可能だが、狭い道だと「否が応でもバイクの後ろを走らざるを得ない」ってことも。レース中の選手を取り締まることで、レースの面白さが損なわれては、選手もファンも不幸になる。
さらにマットさんが興味深い指摘をした。
僕たちはプロとして闘ってきた過去があって、正直に告白するとアタックをかけるとき、バイクを利用することはあった。僕もやったことはあるし、ダンだってきっとそうだと思う。
ダンさんも
そのとおりだ。プロ選手は勝つためならなんだってするようトレーニングされた存在だ。風よけにできるものはなんだって利用するだろう。と正直に話している。
人生をかけて闘うプロに、「なるべく風よけにしてはダメですよ~」なんて甘っちょろい不文律は通用しない。サイモンさんの言葉は選手の声を代弁してくれたと思う。
プロはこのような事情があるけど、我々アマチュア&ホビーサイクリストにとっては朗報ではなかろうか。なんせ、10メートル離れていても風よけ効果はあるわけなので、集団走行するときは利用しない手はないだろう。
以上、「What Difference Do Motorbikes Make In Bike Races?(モトの有無でレースに違いは生まれるのか?)」 をお届けしました(^^)
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