自転車の経験を積んでいくと、徐々に「もうちょい速く走れるようになりたい」と欲が出てくるものだ。サイクリングロードや峠で他の人にシュパーーーって抜かれると、そういった想いも強くなる。

で、そのために軽量化に凝ってみたり、筋トレに精を出してみたりするも、「なかなか思うように結果が出ない…」と悩むこともあるかもしれない。

そんなときは、「もしかして、無意識のうちにスピードを殺すような走り方をしているかも?」と振り返ってみるのもムダではないだろう。

Global Cycling Network で「7 Ways You’re Slowing Yourself Down Without Realising(知らず知らずのうちにスピードダウンさせているかもしれない7つの原因)」という動画がアップされており、なるほどなと感じたので翻訳してお届けしたい。



目次


ペーシング

非効率でムダの多いペダリング&ペース配分をしていないだろうか?たとえば登坂で筋力任せにゴリゴリとペダリングするかと思えば、頂上近くの緩やかな場所で足を止めたりしていたらペース配分がまずい証拠で改善のチャンス。

登坂ではむしろ抑えめにペースを守る。序盤ではなおさらそうだ。逆に坂が緩やかになってきたり、山頂に近づいてきたら登り切るところで休まず、勢いを保ったまま下りに入る。せっかくのスピードを殺してはもったいない。

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/はじめは淡々と\

チャリダー☆」の番組内で講師の誰かが言ってて(確か山の神こと森本誠さん)記憶に残っているアドバイスで、「ヒルクライムの途中、平坦に入ったとこで休んじゃダメ。ケイデンスは上げたまま走れ」ってのがあった。「えー、休んじゃダメなのー」って思ったが、タイムを狙いたいなら平坦路はむしろスピードアップする区間なんですって。

◇ 【CLIMB JAPAN レベル別攻略法/中級編】山の神 森本誠氏に訊くヒルクライム心得(FUNRIDE)

ブレーキング

下りの勢いを過剰なブレーキングで無駄に殺してはいないだろうか?スピードを意識したブレーキ操作をマスターするのは難しいが、速く走りたいなら重要なスキルのひとつ。ずっと握りっぱなしにするのではなく、必要なところで短く強めにかける。オンオフをつけるかんじですね。

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よく言われるのは、カーブに侵入する直前で減速しておき、カーブでのコーナリング中はブレーキをかけない(かけるとしても軽めに)。カーブ進入のギリギリまでスピードを維持したくなる気持ちはわからないではないが、コーナーでグリップを失って落車することもあるし、壁(ガードレール、側溝)→落車ってケースもある。
※ガードレールを乗り越えて崖から墜落って悲しい事故もたまにある。

じゃあ、最初からブレーキレバーを握りっぱなしで下れば安全じゃん

確かにそうなんだけど、握りっぱなしだと指と手首が疲れてしまい、しまいに「握れない…」という危険な状態になる。よって、ブレーキングにメリハリをつけつつ、手首の疲労を溜めないラインをキープしながら下る必要がある。あとは、ブラケットではなく「下ハンドル&ブレーキ」で下るとか。下ハンだと指先の力だけでブレーキングが可能なので疲れない。

いずれにせよ、握力がやばいと思ったら無理は禁物!躊躇せずに路肩で停まって小休止しましょう。「止まりたいのに(握力がないせいで)止まれん!」は一度経験すると骨身にしみてわかるが、マジで怖いっす。

正しく食べ、飲む

食べずに元気に動けるのはざっと90分。それを越えるとパフォーマンスががくっと落ちる。どんなに身体がフィットしていようが、燃料が空っぽでは意味がない。クルマにガソリンを入れずに走ることができないように、サイクリングも同じである。

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1時間のサイクリングで必要な炭水化物の目安はざっと「60グラム」。小分けされた(5個入り百円みたいな)アンパン1個くらいだろうか。さすがに1時間でメロンパン1個…とかは食べすぎ(笑)。数時間走ってドカンと食べるよりも、1時間ごとにちまちまかじるほうが胃にも優しくて効率的だ。

消化の良さを重視するならジェルとかスポーツ羊羹のようなものを選ぼう。自分は「歯ごたえがないと補給した気にならない」性格なので、あえて固形物にこだわっている。ちなみに好んで食べるのは「カロリーメイト(フルーツ味)」。

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/1時間で60~80g の炭水化物を\

が、最近はジェルタイプのアミノバイタルを背中にひとつ保険のつもりで入れている。食べた気にはならないが、確実&素早くエネルギー補給できるので、ロングライド終盤の疲れたときに重宝している。

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/塩タブレットも美味しくて効果的\

走るコースのマンネリ化

いつも同じコースばかり走っていないだろうか?身体が刺激に慣れてしまい、他のコースでは変化についていけなくてヘタってしまうという罠である。人間の体とは不思議なもので、ひとつのことを繰り返しているとそれに最適化してしまい、応用が利かなくなる。

いつものコースを逆回りしてしてみるだけでも斜度や強度が変わることもあるので、そこから始めてみてもOK。いつも平坦ばかりなら坂を取り入れるとか、とにかくバラエティ豊かなコースをせっていしよう。そのほうが体力がつくだけでなく、退屈しないというメリットもある。

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誰しも「慣れ親しんだ道」のほうが安心して走れるので、つい無意識のうちにいつものコースを選んでいるはず。道を開拓するつもりで、「いままで走ったことのないこの道を行ってみるか…」とプチ挑戦しながら走れば、地理にも詳しくなって一石二鳥である。


◇ ツーリングの行き先で迷ったとき「まだ行ったことのない場所に行く」と決めたら、わりと快適な件について

休憩のとり方のミス

サイクリングとカフェでの休憩は切っても切り離せない。というか、カフェでのひと時を味わうために自転車に乗るのだって人も多い(自分もそう)。

問題となるのが、いつカフェ休憩をするか。もしかして、あまり走っていない前半で休みすぎていないだろうか。休むタイミングを間違っている可能性もある。最初に休んでしまうと、それはそれで快適なので長居してしまい、「あんまり走らなかった…」ってなることもある。

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であれば、なるべくライドの終盤かもしくはライド終了後に設定するようにしよう。楽しみは後にとっておいたほうが頑張れる。

あと、これは自戒を込めて書くんだけど、走った距離や時間を言い訳に食べすぎている可能性も疑ってみよう。「いやー、今日は追い込んだからポテチとコーラで家でゴロゴロしてもバチは当たるまい…」ってノリでやらかしてしまうことが自分はよくある(笑)。ポテチは開けたら最後、ミニサイズだろうがお得ファミリーパックであろうが完食してしまう魔力があるので、どうしても食べたいならミニサイズの食べきりサイズで留めておこう。

速く走る云々とはちょっと離れているかもだけど、「走っても走っても体重がビクともしない」のなら、補給のしすぎの可能性大である。

服装の選択ミス

着すぎてしまうとモコモコして、それだけ風の抵抗を生みやすい。で、熱くなってジッパーを下ろすと、今度はパラシュートのように風を受けてしまって更にブレーキに…。余計な服はバックポケットに入れるか、そもそも着ない。
※サイクリング経験が浅いと「どれだけ着ればいいのかわからない」のでつい着込んでしまう。その辺は経験で取捨選択できるようになる。

そもそもジャージのサイズが大きすぎて風を受けてしまうこともある。店頭で試着したとき、ついふつうの服の感覚で多少のルーズさを求めてしまうのは初心者が陥りやすいミス。前傾姿勢をとって(両腕を前に出し、前かがみになってみる)みて、ピチッとフィットしたウェアを選ぼう。迷いがあるなら店員さんに確認すること。ベストサイズを選んでくれる。たいてい、思ってたのよりワンサイズ小さくなるものだ。

「ええっ!?ピチピチでなんか恥ずかしいんですけど」

大丈夫。サイクリングジャージはフィットしているほうが美しいし似合う。体型に自信ないし、ラインを隠したい…って気持ちでルーズなのを買うと後悔するので注意。

フィットした服だとバタつかず、空気を切り裂くような感覚で気持ちよく走れて気持ちいい。

あと、走行中に暑くなってジッパーを下ろすなら、中途半端におろさない。ガバッと下まで下ろし、垂れ下がったジャージの裾を背中にキュッとつめてしまうというハックが紹介されていた。

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見た目はカッコいいとは言えないが、風の抵抗を受けにくくはなるので覚えておいて損はないと思う。

メンテナンスをサボっている

定期的にチェーンの汚い油を落として新しいオイルを挿しているだろうか?タイヤのチェックはどうだろう?磨耗し切ってしまってはいないだろうか?

「たかがチェーンオイルでそんな差なんてでないでしょ」ってのはまあその通りで、目に見えるレベルでは変化を感じないとは思う。が、マイナスにしかなっていないのは間違いない。でも、キレイでコンディションの整ったマシンのほうが気持ちいいじゃないですか。

自分はおまじないのつもりで、ヒルクライム前は必ずチェーンとプーリーをきれいに掃除し、オイルを挿すようように習慣化している。滑らかでスムーズにペダリングできたほうが、ほんの少しかもしれないが速く走れる気がするので。


以上がGlobal Cycling Network の「7 Ways You’re Slowing Yourself Down Without Realising(知らず知らずのうちにスピードダウンさせているかもしれない7つの原因)」のご紹介でした。

で、蛇足ではあるが自分で心がけていることもあるのでついでにいくつか紹介したい。

前日の晩に十分な睡眠をとったか?

寝不足のライドほど疲れやすく、そして危険なものもない。しっかり寝ること。誰しも「自分は最低でも◯時間寝ないと調子が出ない」ってラインがあるはずで、それはなんとしても死守しよう。

飲み会で帰宅が遅くなったら、翌朝の出発時間を遅めにずらそう。集合時間が決められているライドなら、就寝時刻は逆算して導けるはず。早朝出発であれば飲み会は欠席する勇気を持つ。

自分の経験でいうと、昨年の真夏に残業で遅めに帰宅→睡眠時間4時間で眠い目をこすりながら早朝起床→新幹線輪行→猛暑の中ヒルクライム(しかも荷物をたくさん背負って)した結果、峠の中腹で足が止まってしまった。
※自分の要する睡眠時間は6時間。これだけは妥協しないようにしている。

頭に血が上り、意識が朦朧としかけたんだけど、あれは日射病の2歩くらい手前だった気がする。無理せず日陰に逃げ込んで20分くらいじっとして回復するのを待って事なきを得たものの、あれは怖かった…。(介抱してくれた仲間に感謝)

このときの話です…。

◇ 『グルッとまるごと栄村100キロサイクリング』に参加してきました(アクセス編)
 

睡眠不足は確実にツケとなって返ってくる。無理はぜったいに禁物。睡眠時間は最優先して確保しよう。逆に言うと、しっかり睡眠をとった翌朝のサイクリングは無茶苦茶快調だったりするもので、身体はつくづく正直なものである。

背負う必要のないリュックを背負っていないか?

ヒルクライムのときに顕著なのだが、やはり荷物は少ないほうがいいし、なるべくなら何も背負わずに走りたい。

輪行だと輪行バッグや付随するパーツを持って走らなくてはいけないが、背負わずにバイクに装着できるものならそうしたほうがいい。背中にリュックがあるだけで下に引っ張られてしまって邪魔である。夏場はリュックのせいで背中が濡れる&蒸れるで不快指数がアップする。背中に何もないほうが圧倒的に涼しい。

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最近では「バイクパッキング」って自転車本体に荷物を装着する手法もあるので、大容量のサドルバッグを導入するのもいいだろう。もしくは、駅のコインロッカーに不要な荷物は預けてしまうってのもひとつの手。コース設定で縛りが発生するデメリットはあるものの、肩の荷が降りて一気に快適になるメリットは捨てがたい。

ちなみに自分はバックポケットとトップチューブバッグに荷物を入れて走ることが多いんだけど、配置はこんなかんじ。

  • 右:chumsのミニ財布とカギ
  • 真ん中:目薬とか補給食
  • 左:OTTOLOCK(鍵)
  • トップチューブ:塩タブレット&スマホ用外付けバッテリー

◇ 全サイクリストへ朗報 軽量性・コンパクトさ・丈夫さ(堅牢性)の三拍子そろった「OTTOLOCK(オットーロック)」を使ってみた(インプレッション)


輪行時は、輪行バッグはボトルケージに挿し、シマノのリュック(9L)を背負って走っている。

バイクパッキングはまだ試していないが、そろそろ真剣に導入を検討中。


以上、ちょっぴりでも皆様の快適なスピードアップのお役に立てますように…。( ´ ▽ ` )


◇ 【僕らは皆、かつてロードバイク初心者だった】初心者がやらかしがちな失敗&その回避法を全力でお伝えしたい


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