仕事でも趣味でも、外から入ってきた人は知らないことがたくさんあります。いわゆる、ローカルルールですね。

こんなツイートが伸びて&まとめられていました。

新しく職場に入った人にとって辛い事の1つが、知らないうちに『ローカルルール』を破ってしまった事により叱責される…です。

自分は「知らなくて当然」の地雷を踏んだ後輩を怒るようなことは決してしたくはないので、この種のローカルルールには努めて自覚的でありたいと思っています。

これ、サイクリングの世界でもあるかなと。

どんなローカルルールが自転車界隈にはあるのかな…?と考えて、思いつくまま挙げてみました。

目次


ローカルルールと不法行為の違い

その前に、この2つは似て非なるものです。

不法行為はれっきとした法律違反なのに対し、ローカルルール=不文律(暗黙の了解)のこと。明文化された禁止行為じゃないけど、それを破るのはよろしくないとされる行為…ですね。

ウィキペディアにはこう書いてあります。

ある特定の地方、場所、組織、団体、状況などでのみ適用されるルールのことを指す。

その国の法体系上、必ずしも合法であるとは限らない。たとえば、「校長になるには教育委員会幹部に贈賄が必要」「落札業者は入札参加業者の談合で決める」というのも、その地域の関係者全員がそれに従って動いているからにはローカルルールと言えるが、日本国の法律上は違法である。また、かつてのアメリカ南部や南アフリカなどでの、「バスなどで白人が立っている時は黒人が席を譲る」というような慣習のように、ローカルルールであり違法でもないが人道・良識の上から問題のある場合もある。

自転車でいえば、「原則、車道の左側端を通行する」はローカルルールではなく、法です。

さすがに「自転車=左側走行」は一般常識だとしても、路側帯の走り方を正確に知ってる人は少ないかもしれません。このへんが法とローカルルールの境界線が曖昧になってくるとこで、神奈川県警察のサイトには「路側帯がある場合の通行方法」が載ってます。

自転車が通行することができる路側帯内であっても、歩行者の通行の妨げとなる場合は通れません。また、通行する場合は、進行方向左側の路側帯に限られます。路側帯内で双方向に通行することはできません。

とあります。

図解するとこう。

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さらには、自転車の歩道走行が認められる3つの例外があって、

1.標識や標示により自転車の歩道通行を許可しているとき
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※↑これがある場合はOK

2.13歳未満、70歳以上の方又は身体の不自由な方が自転車を運転するとき

3.自転車の通行の安全を確保するため、歩道通行することがやむを得ないと認められるとき

さらに、やむを得ないと認められるときとして、もう2つあって、

4.道路工事や連続した駐車車両などのために、車道の左側部分を通行することが困難な場合

5.著しく自動車の交通量が多く、かつ、車道の幅員が狭いなどのために、追い越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合

ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するために、歩道を通ってはならないことを指示したときは、歩道を自転車に乗って通行してはいけません。

……だそうです。長いし、ややこしい…。


加えて、「やむを得ない場合」ってのが主観に委ねられるので、グレーではあります。

で、本題に戻り、すべてのローカルルールを把握してからでないと自転車を始めちゃダメって言われると、初心者さんは「じゃあ、もういいや…」ってなってしまいます。

自分は「ローカルルール知ってから自転車に乗れ!」じゃなくて、「●●●なルールがあるからそれ守れば大丈夫だよ」って説明できる人でありたい。

前置きがめっちゃ長くなりましたが、自分がロードバイクに乗り始めてから知ったローカルルールがこちら。

すれ違いざまの会釈

登山とかハイキングでは馴染みがありましたが、自転車でもするんだ~って乗り始めてから知りました。これは良い文化。

交通量の多い街中とか、道幅が広い場所…ではまずしないですが、峠道とか、サイクリングロードのようなちょっと非日常的空間とか、道幅が狭いとこで互いのスピードが落ちている瞬間とか。

そういえば、ヘルメットをかぶっていない人は会釈はしてこないし、こちらからもしないような気がします。(不思議)

すね毛をそる

「剃るのが当たり前」って聞いたときは驚きました。マッサージがしやすいとか、ケガの手当てがしやすいって理由は理にかなってはいますが、最初は抵抗感ありました。まあ、一度やると慣れて、なんとも思わなくなりました。

空気抵抗が減るとも言われてますが、ホビーサイクリストならほぼ影響ないかなと。

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もともと毛が薄い私は剃るのは気になりませんが、濃い人ってどうしているんだろう…?上半身はボーボーで下半身だけツルツルってのも違和感あるかも。

まあ、剃る・剃らないは完全に自由なので、気にしなくて良いローカルルールです。

上下ピチピチのサイクルウェアでレストランに入ったり、電車に乗らない

ここは感覚的なもので、平気な人もいるし、そうでない人もいます。

人によっては「(サイクリストじゃない人が大半を占める)公共の場で上下ビブは不快感を与えるんじゃない?」って意見で、私もどっちかというとこっち派。「ちょっと抵抗を感じる」ので、輪行するってわかっているときはハーフパンツを履きます。

上下ビブで走るときは、なるべくちゃんとしたレストランは避け、コンビニかファーストフードちっくな場所を選んでます。

コンポとホイール(のメーカー)を揃える

私のロードは「シマノのコンポーネント×カンパニョーロのホイール」でず~っと通しているんですが、機材にこだわりのある人から「コンポーネントもカンパニョーロで揃えないんだ?」と訊かれたことはあります。

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こだわる人はここを揃えるんですよね。美意識の問題なので、別に守らなくてもOKです。が、揃っているとたしかに統一感あってカッコいいな~とは思います。

ちなみに、私はコンポとホイールのメーカーを合わせたい欲求はなく、シマノ&カンパの組み合わせを続けるつもりです。

サイクルウェアのメーカーを上下で揃える

ウェアは上下で揃えるのは当然なので、ローカルルール以前の話です。

が、服装に死ぬほど無頓着な私は、ジャージはRapha、ビブショーツはDHB、ソックスはカステリ…とか平気でやってます。一応、色だけは意識はしますが、ファッションセンスのある人が見たら「ゲテモノか」と思われても仕方ないかも。

サッカーをしてたころ、アディダスの練習着、ナイキのパンツ、アシックスのスパイク、ディアドラのウインドブレーカーをかぶる…的なちゃんぽんだったので、当時の感覚を引きずったままです。

ただ、後ろから見ても、上下セットで揃えている人はカッコいいなあと思います。

フレームメーカーとジャージのメーカーは揃える

トレックのジャージを着てるけどバイクはビアンキ…的な感じです。好みなので当人の自由なんですが、日産のTシャツを着てトヨタ車に乗るくらいの違和感はあるかも?

ファッションセンスゼロな私でも、「そうぜざるを得ない事情があったのかな…?」と想像を巡らせます。メイン機がオーバーホール中で、セカンドバイクしか手元になかったとか。

ハンドサインがたくさんある

最初、ものすごく戸惑いました。左右折は腕で指し示すだけなので直感で理解できましたが、減速とか停止とか(左右に)寄れ…は謎だったので、出した人に意味を確認したのを覚えています。



ストップのハンドサイン

腰に手を乗せて、後方に手のひらを見せる。後続車に対して「ちょっと待った!」というようなイメージですね。

減速のハンドサイン

腰に手を乗せてグーパーさせることで減速のハンドサインになります。右斜め下に腕を出して、手のひらを下にして上下させる、などがあるようです。 自動車のブレーキランプのイメージに近いかも知れません。

寄せのハンドサイン

前方に路上駐車してある自動車があるとか、障害物があるとかで、左右どちらからに後続車を寄せたい場合や、自分が移動することを後続に伝える場合は、後方に向かって寄せる方向に手を振るような仕草をする。右寄せの場合は左手で、左寄せの場合は右手で出すのが基本。

お先にどうぞのハンドサイン

右手を後ろから前方向にアンダースローのように動かすことで抜いて前に出てください、というハンドサインになります。

障害物を知らせるハンドサイン

道路に石や異物などが転がっている場合に障害物がある場所や注意スべき場所を指差して知らせるハンドサインです。目視しながら指示するとより分かりやすくなるでしょう。

「右折」「左折」「徐行・停止」の3種類の手信号については、自動車の免許を取得する際にも教わる内容ですし、教則本にも書かれている内容なので、自動車やオートバイの運転手でも手信号の意味を知っている人は多い(というか知ってないといけない)ので、いろいろな場面で使用できるのではと思います。

購入していないお店にメンテナンスを頼む

自転車屋さん文化といってもいいかも。買ってないお店でメンテナンスを頼むと、お店によってはお断りされます。初心者のころは「え、なんで」って思ったものです。自転車なら引っ越した先で別のディーラーさんが面倒見てくれるけど、なんで自転車は違うんだ?と。

べつにいじわるではなく、自店舗で診たモノでないと責任が取れない…から。とくにネット通販で買ったものとか、オークションで手に入れたバイクをお店はメンテナンスしたがりません。メンテした瞬間、責任の所在が発生してしまうのが理由です。

なので私も、ずっと同じお店(ハクセン鳩ヶ谷さん)で10年以上、一貫してメンテナンスをお願いしています。鎌倉から川口市まで距離はありますが、遊びに行くのを兼ねてときどき顔を出しています。

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※10年間お世話になってるハクセン鳩ヶ谷の長尾さん

最近は「自店舗で買ってないバイクの面倒も診ますよ」ってお店も増えているので、そういう意味ではありがたいです。

二段階右折はローカルルールではなく、道路交通法です

たまに右折車線から華麗に右折していくロードバイクがいます。明らかに上級者と思われるバイクとウェアなので、分かっててやっていると思いますが、くれぐれも真似しないように。

二段階右折は時間もかかるし面倒なんだよな~って気持ちは分かりますが、むしろ私は右折車線から曲がってもOKって道交法が改正されたとしても、怖いのでぜったいにやりません。

(オマケ)珍しいローカルルール

アメリカのアイダホ州には、“Idaho stop”(アイダホストップ)と呼ばれるローカル・ルールがあるそうな。自転車に限って「交差点で赤信号や一時停止の標識を無視してもよい」のです。

もちろん、赤信号を突っ切てもOKってことではなく、赤信号 or 一時停止だったりしても、クルマ・オートバイ・歩行者などが来ていなければ、徐行を条件に赤信号や標識を無視してもOK。

ちょっと危険なんじゃないの?って思ったんですが、アイダホ州って日本の本州よりも少し小さい面積に対し、人口は福岡市と同じくらいしかいないので納得しました。人っ子一人いない交差点でサイクリストがポツン…と律儀に信号を守っても意味なくね?ってことなんだと思います。


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