フランスのロードバイクメーカーといえば、まず思い浮かぶのはLOOK、TIME、LAPIERRE…等のメジャーどころ。が、今回登場するのは「Origine Cycles」というフランスの工房がつくるグラベルロードです。

わざわざ連絡をとって、言語や支払い方法等の面倒な手続きを乗り越えて発注したそうですが、なぜそこまでしたのか…どんな魅力がOrigine Cyclesにはあるのか…というお話を伺いました。

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<オーナーさん>

目次


本格的に自転車を始めたのは58歳になってから

中学の頃はブリジストンロードマンに乗ったりしてはいたんですが、社会人になってからは縁遠くなってしまって、自転車にを再開したのは58歳になってからでした。

それまでも「運動しなくては」って思って、冬はスキー、夏は登山に勤しみましたが、日常生活の延長線上でもできるスポーツを…と考えて手を出したのがキャノンデールのMTBでした。

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なぜMTBなのか…ですか?若い頃にMTBが流行ったから、とりあえず若い頃にほしかったものを手に入れたかったんだと思います(笑)。新卒入社2年目のころ、カーボンのMTBが出始めていたんですが、高すぎて買えなかったんですよ。その夢を35年後に実現したわけです。

ハードテイルのMTBは街乗り最強マシンですね。段差を気にせず自由に走れるので、街乗りにはもってこいです。

ロングランドならロードバイク、とは考えなかった

最初はロードバイクは眼中になく、軽井沢のグランフォンドやアワイチもMTBで走っていたほど。

が、ツールド東北にMTBで出場したとき、足切りにあってしまったんです……。そのタイミングではロードバイクは考えず、「脚力をつけよう」と決めて、2020年にブルベをMTBで走ってみました。

200kmを2回やって1回目は足切りでリタイア、2回めは残り時間15分のギリギリ滑り込みで完走。

この調子だとさすがに300kmは厳しいな……と考えて、ついにロードバイクを検討しました。グラベルロードならバイクパッキングしてMTB的な使い方もできるし、MTBより速いしですしね。

ということで、グラベルロードを真剣に検討し始めたワケです。
※【管理人追記】新しいマシンで9月に300km 、10月に400km 無事完走されたとのこと!

フランスの Origine Cyclesに行き着く

bikecafeというフランスのウェブサイトがあります。

MTB、グラベルバイク、パーツレビューとか、コース紹介しているサイトを以前から読んでいまして、そこでOrigine Cyclesを知りました。

フランス語は読めないので、英語翻訳して読んでます。日本語に直に訳すとトンチンカンになってしまうのですが、英語訳だとだいたい意味は通じます。

フランス車が好きなので、フランスのグラベルバイクに乗ることに

Origine Cyclesは、日本でいうこじんまりした工房……くらいの規模で、直販しかやっていません。フランス国内でも通常は本社工場にアポをとって納車するって方式らしいです。2014年に最初のロードバイクを発売した、比較的新しい工房で従業員は20人程度のようです。

ただ、Origine Cyclesを日本から買うとなるとけっこうな手間です。面倒でもそうしたかったのは、Graxxに一目惚れしたのもありますが、グラベルってカーボン製のが少ないのと、あっても日本国内だと50万円を超えるモノが多かったからです。

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というわけで国内だと選択肢が少ない。加えて、カスタマイズができない&融通がきかないってのもあります。バラ完って方法もあるものの、めんどくさい。

Origine Cyclesのウェブサイトのonline configuratorでホイール、ドライブトレイン、ハンドル等をカスタマイズできるイージーオーダーシステムがユニークでして、好みのパーツで自由に構成できるんです。

ただ、さすがにオンライン購入だとジオメトリちゃんと計測しないと怖いので、スペシャライズドのサービスでデータを取っておきました。

根っこはフランスが好き、だから

フランスという国とそこの作るモノが好きなんです。車はカングー、その前はシトロエンに乗っていました。

あと身長は182cmあって、体格もヨーロッパ系です。スーツもフランス製のつるしのほうが、日本で作ったオーダーよりもフィットするくらいなんです。

Origine Cyclesは日本でも購入できる

誰でも、世界のどこからでも買えます。

が、小さな工房ゆえ国外販売を想定していません。よって、クレカはNGで送金するしかありません。私の場合はユーロでおこないましたが、べつに面倒ではなかったです。

唯一怖かったのは「Origine Cyclesってちゃんとしたメーカーなのか?」って点でした。まあ、愛読しているTop Vélo MagazineでBike of the YearにOrigine Cycles Axxomeが選ばれたので「大丈夫なはず」と安心はしていましたが。

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余談ですが、コロナ騒ぎでユーロが115円にまで暴落して、良いタイミングで32万円で買えました。2800ユーロが定価なのでその後35万円くらいまで戻りましたね。

ただ、計算外だったのが送料でキャニオンの4倍(8万弱)もしたんです。キャニオンの送料が2万なので2倍以内に収まるかな~?と思っていたら誤算でした。

ただ、キャニオンだと完全に乗れる状態で届かないのに比べ、Origine Cyclesはきっちり乗れる状態で組み上がって届きました。

Frame: Origine Cycles Graxx Carbone (size XL)

  • Drive train: Shinano GRX
  • Derailleur: GRX812 1X11
  • Cassette: M800 11-42T
  • Crank: GRX810 40T 172.5mm

  • Wheel: Campagnolo Zonda Disc HG
  • Continental Grand Prix 5000 32mm(一番太いやつ)

  • Handlebar: Ritchey Streem II WCS Carbon 420mm
  • Stem: Ritchey WCS C-220 120mm
  • Bar Tape: Sella Italia Smootape Nubak

  • Seat post: Ritchey 1B Superlogic Carbon 27.2mm
  • Bottle cage: Elite Cannibal XC (x2), Custom Race

ここまでがOrigine Cycles onlineで購入、組付けられて届いた状態です。
自分でやることは前輪の取り付けだけでした。

念のため、日本のショップに持っていってみてもらったところ「ぜんぜん問題なし!」とお墨付きをもらいました。

Origine Cycles Graxxの反応は良く、乗り心地も良い

走らせた印象ですが、当たりはきつくなくて乗り心地が良いです。同時に反応は良好でよく進むんです。カーボンも定番のT800に加えてM50/M40という「高強度ではないけど高弾性のカーボン」を使っているせいか、ロングはすごくラクです。

全長1400kmのライドイベントがフランスで開催されたとき、Origine Cyclesが出してたのがこれGraxxでして、むしろ長距離ライドに向いているマシンだと思います。

不満要素はほぼ見当たらないです。塗装も思い通りきれいで、丁寧に造っているのがわかりますね。実際に造っている工場は台湾にあるようです。塗装組立はフランスですが。

注文まではずっとメールでやり取りしていたんですが、社長から直に届きました(笑)。小さか会社なので、どうやら営業も兼ねているようですね。

シマノのコンポーネント「GRX」の使い心地

アルテグラとかデュラエースと比較したことがないので、わからないです(苦笑)。

フロントが40Tでシングル、リアが11-42T。ハイ側のギア比がジュニアスプロケットに近く、ロー側はかなりMTBっぽいです。ファイナルローだと軽すぎてロードバイクではまっすぐ走れません。できればハイ側にもう1枚ほしいかな…。

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ギアがクロスレシオではなく、かなり飛んでいるのでレースだと使いづらいかも。

GRXで荒れた道を走っても、まずチェーンは外れません。メカ側にスイッチがあって、クラッチオンにするとチェーンテンションすごく上がります(笑)。ただ、オン状態だとギア変速はやや重くはなります。なのでいつもはOFF。

GRXはよくできたコンポーネントだと思いますが、う~んと思う点がひとつあって、シマノは全般的に変速の音が安っぽい。トヨタのエンジン音って、静かだけど心躍らないんですが、それに似ているかな。イタリア車はエンジン音までもエンジニアリングされていて官能的なんです。

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その点、スラムのほうがエモさがあって、その気にさせる音の演出がうまい。私の周囲ではスラムは評判が良いんですが、「シマノと同等の性能で音もCOOL」なのがその理由じゃないかなと感じています。

Zonda Disc HG の使い心地

これも比較対象がないからよくわからないです(汗)。良いホイールだと思いますが、なにかに特化してはおらず、オールマイティーなホイールかなと。

Zonda Disc HGを選んだ理由は「自分の脚力にあうのがこれだった」から。アルミスポークは硬いので避け、ステンレススポークにしました。そのほうが修理もしやすいですしね。

パリ~ブレスト~パリ(PBP)で有名なプロサイクリストの三船雅彦さんがZonda を愛用しているので、間違いないはずだって思ってます。インタビューで「アルミスポークだと足に来るのであえてZondaにしている」とおっしゃっていたので、あの人クラスでもZondaでじゅうぶんなんだから、自分もOK!なんです。

まあ、リムはカーボンにしたかったですけれど……(笑)。

バイクパッキングのバッグの中身

工具、カギ、雨具…ですね。雨具を常備している理由は「夜と雨でも気にならずに走れる」からで、雨だと人が少ないし、走りやすいんです。

雨天走行がなぜ苦にならないかといいますと、MTBの経験とか自転車通勤(16km)のせい。仕事なので雨でも走らざるを得ないんですよ。

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多摩川は晴れていると人が多いので、走るのは雨の日ばかり。ディスクブレーキなので問題はないです。ただ、細いタイヤだと怖いので32mmの一番太いのにしています。あと、細いタイヤだとグラベルに似合わないってのもありますが。

ちなみにゴアテックスの雨具でも5~6時間もするとさすがに浸水してくるので、防水靴下と服の予備も入れてます。

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この装備は天気に関係なく、バイクに付けたままで走っています。外すのが面倒だし、これがアタリマエだと思えば苦になりません。

自転車に乗ると地図の見え方が変わってくる

電車移動がメインの人は電車の路線、車の人は幹線道路や高速道路で考えるものですが、サイクリストは川沿いで考えることってないですか?信号がないルートを選ぼうとしてそういう脳になるんじゃないかなって思ってます。

私の場合、多摩川、鶴見川と支流の川のネットワークを頭に描いています。川沿いはアップダウンも少なくてラクだし、多摩川と鶴見川は道路をくぐれる構造になっていて信号に引っかからず走りやすい。

知らない道や支流を見つけたら、とりあえず走ってみます。どこかにつながるわけなので、迷子にならないのもメリットです。

川沿いメインに走っていると、今までなかったタイプの地図が脳に構築されていくかんじです。ちなみに、旧街道は川沿いにあることが多い印象がありますね。

グレードアップには興味ない

べつに速くなるわけではないし、あるものを使いこなすのが先って考える性格です。1つのものを大切に使いたいです。

自転車には関係ないですが、以前はシトロエンXMに乗っていて、30万キロ走りました。

今の愛車はカングーで、自転車をそのまま立てて積めるのが便利です。

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フランス車にフランスのグラベルロード……オシャレでカッコいい!
あと、GRXにも興味が湧いてきました。ありがとうございました!\(^o^)/ヽ(^o^)丿

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