車と違って自転車はメーカーが世界中に無数にあって面白いです。常に発見があります。

今回登場するのは「No22 Bicycle Company」というカナダのメーカー。チタンのバイクを専門で作っています。取材するまでまったく知りませんでした。

IMG_20200611_163916_2

<オーナーさん>
  • Tさん(20歳・男性)
  • 新潟県十日町在住
  • No22 Bicycle Company の Great Divide Disc
  • カラーはパープルゴールドフェード

目次


ロードバイクを始めたキッカケは?

中2だった2014年からです。オートバイク好きだった父が、母から「降りて」と言われ、自転車を趣味にしました。父が持っていた650c のロードバイクに乗ってみろと言われて試してみたんですが、最初は硬いわ、細いタイヤで不安定だわで怖くて楽しめませんでした。

当時乗っていたバイクは650cのチューブラー。しかも19c!です。25cが主流になった頃から始めた人からしたらそれはもうビックリするほど細いんですよ(笑)

でも、1週間後には好きになってました。どうもサドル位置が高すぎたっぽくて、下げたらいい感じになりまして。で、坂を登ってみたら性能に感動しました。あ、ちなみに新潟県は坂だらけの土地で坂には事欠かないんです(笑)。

高校時代は入学後に買ったTrekに一人でひたすら乗っていました。手伝いをしたりして約2年半貯金をしてようやく買えたので、納車時の興奮もひとしお。初めてカーボンのフレームを持ったときの驚き、そして自分で頑張って買ったからこそ味わえる達成感は忘れられません。

自転車部を作ろうと思ったんですが、入部したがる人が自分以外にいなくて頓挫。部活には入らずに一人で走っていました。元々友人が少なくてボッチだったのが、その後自転車を通じてたくさんの人に出会えるようになったことが良かったですね。

高校時代はたまにロングイベントに参加する以外は、ソロライドばかり。バイト禁止だったのでお金もほぼ使わずに楽しんでいました。

高校卒業後にGreat Divide Discを買ったんですか?

工業系の高校を卒業して社会人になりまして、その時点ではまだTrekです。

次に買ったのがヨネックスのエアロフライト。ヨネックスは新潟の企業でして、そのかっこよさに一目惚れしました。Madone、Venge、SystemSixも考えましたが、それらが素晴らしいバイクだってことはもう分かっているというか、証明されてしまっているので、あえて未開の地に進んでみたかんじです。

エアロフライトのフレームにGOKISOのホイール、できる限りの妥協を捨てeeBrake等で組んでいくとかなりの金額になってしまいます。が、どうしても買いたかったので、1年間貯金に励んで購入しました。

試乗せずに買ったので一抹の不安はありましたが、ヨネックスの品質には疑いの余地はありません。男のロマンを大事に、夢を抱いてエアロフライトを選びました。

ヨネックスのエアロフライトの感想は?

正直、性能的にはMadoneのほうが上かなと感じました。決して遅いわけではありませんが、強いて言うなら発展途上かなと。でも後悔はありません。エアロフライトはサードパーティのパーツでカスタムしやすく、カスタム幅が広いのが良いですね。「自分はこのバイクとともに生きるんだ!」と決心していました。

ただ…。

交通事故でエアロフライトが全損に

購入の2ヶ月後、交差点で右折車に横から突っ込まれました。かなりふっとばされたのに、奇跡的に骨折していなかったのは不幸中の幸い。脚を7針縫っただけで済みました。

救急車で運ばれていく途中で、隊員さんから「自転車が真っ二つになっていた」と聞かされたときは涙が止まらなかったです…。なぜあの道をあの瞬間に走ってしまったのか、己の運命を呪いました。

カーボンドライジャパンで対応できるかもとは言われましたが、形だけ整えても元の性能は発揮しませんので修理は選びませんでした。幸いにも保険で全額対応できたので、それをGreat Divide Discの原資にしたというわけです。フレームとホイールはダメになったので、コンポーネントだけを引っ越しさせました。

Great Divide Discを2020年3月に購入

何を買ってもヨネックスと比較してしまうだろうって考えて、カーボンはあえて離れることにしました。

新たに見つけたのは、No22 Bicycle Companyという「チタンのバイクだけ作っている」メーカーです。チタン(Ti )の原子番号22が22でして、それがブランド名の由来になってます。

1586308095214

中2のころからチタンに興味はあって、カタログを眺めるのは好きでした。あと、マーベルのアイアンマンが好きで、彼はチタンスーツを着ていますからね。それでチタンの存在を知りました。

No22 Bicycle Companyのウェブサイトやブログをウェブ翻訳して読んでみて、かっこいい!惚れた!ってなりました。ただ、エアロフライトを失ったショックが大きすぎて記憶が抜けてて、どうやってNo22 Bicycle Companyを見つけたのか覚えてないんです(笑)。

日本には取り扱っているお店がないので実車は見れないし、乗れません。周囲には「パナチタンにしておけば」と諭されました。でももう惚れてしまってて、翻訳ツールで英文メールを作ってメーカーにコンタクトして、直に取り寄せることにしました。

第63回に登場されたZEROUNOBIKES(Atomic HCSL1 カスタム)の方と同じパターンです。

20-06-11-17-00-21-369_deco

会社はカナダにあって工場がアメリカにあるんですが、支払い時に「カナダドルで払ってほしい」と言われました。難しいことはよくわからないのですが、日本の銀行から国際送金できないことが判明し困ってしまって、「米ドルレートに換算して支払わせてほしい」と頼んでOKをもらいました。

ただ、分割は認めてもらえず、一括支払いです。アルテグラ完成車(油圧ディスク&ヒモ)で99万円というなかなかのお値段になってしまいました。

Great Divide Disc のインプレッション

チタンなので「カッチカチに硬いんじゃないか?」って不安はあったものの、乗ってみたらすごく乗り心地が良いです!まさに硬すぎず、柔らかすぎず…の絶妙なラインです。

フィッティングデータに則ってパイプから組んでくれているのでジオメトリは完璧。Boydのホイールは軽くて加速も言うことなし。ダボ穴もあってツーリングマシンに変身させることもできます。

20-06-11-16-54-06-314_deco

これといって大きなデメリットはゼロですが、強いて言うならフレームが小さめなのでシューズの先がタイヤに接触してしまう現象があること…くらい。 スピードが出るバイクでも、軽いバイクでもありませんが、それは承知の上で買ったので気にしていません。

あと、個人的に油圧ブレーキは調整が難しいので苦手です(苦笑)。スラムのE-TAP は油圧しか出さないそうですし、TREKはリムブレーキモデルを廃止するって言ってますのでこれも時代の流れなのかも?Great Divide Disc はリムブレーキモデルも選べましたが、将来的なことを考えてディスクブレーキモデルにしておきました。

ローターがむき出しになるので、輪行はちょっと気を使いますね。あ、でも電車&バスの乗り換えとか乗り継ぎとかめちゃくちゃ苦手なので、そもそも輪行はしないタイプではあります。

どんなパーツ構成ですか?

こんなかんじです!

  • コンポーネント:DURA-ACE,ULTEGRA mix
  • ホイール:BOYD 36mm ROAD DISC WHEEL
  • ハンドル:3T Ernova Team Stealth 400mm
  • サドル:S-WORKS power carbon
  • ペダル:TIME XPRO15
  • タイヤ:Continental GRANDPRIX5000 25c
  • チューブ:Panaracer R'air
  • BB:Enduro bearings T47


その他細かなパーツはこんなかんじ。

  • ボトルケージ:KING titanium bottle cage NO.22オリジナルカラー
  • サイクルコンピュータ:GARMIN edge830
  • バーテープ:CICLOVATION Leather Shinning Touch Metallic アメジストパープル
  • チェーン:KMC X11SL ゴールド
  • プーリー:RIDEA RD6C60 オイルスリック
  • シフトケーブル(アウター・インナー):ニッセンケーブル
  • ライト:VOLT800, RAPID X3
  • ベル:Knog Oi ブラック

ホイールはクリンチャー?チューブラー?

ホイールはチューブレスレディですが、タイヤはクリンチャーです。ホイールは購入後から変えていません。というのも、ホイールにもNO.22の文字が書かれていて、変えるに変えられないんです(汗)。

IMG_20200412_150117

購入時はシュワルベワンの Pro One(チューブレス)が付いていましたが、今はContinental GRANDPRIX 5000(クリンチャー)を履かせています。バイク購入後すぐに替えても良かったのですが、最近流行りのチューブレスを体験してみようと思い、しばらく使っていました。

ただ、チューブレスはパンクしたときが大変でした…。パンク直後はシーラントが飛び散る。タイヤを外してもシーラントでホイールがベタベタに。「チューブを入れて使えばクリンチャーとしても使える」と聞いていたのでチューブを入れようとチューブレスバルブを外そうとしたけど外れず。仕方ないので穴をイージーパッチとタイヤブートで塞いで応急処置しました。

さあ空気を入れようと思ったものの、今度はビードが上がらない。ボンベのバルブを一気に全開放して勢いでビードを上げましたが、半分しか上がらずもう一本ボンベを使うはめになりました…。もう、チューブレスは二度と使いたくないです(苦笑)。

他にほしいバイクはありますか?

考え出したらキリがないですね……ミニベロ、TTバイク、リカンベントバイク、ピストバイク、フルサスMTB、BMX,etc...要するに全部です(笑)。ただ私は「同じタイプのバイク」はあまりほしいとは思いません。ロードとファットバイク、クロスバイクは持っているので、それに関しては今のもので満足しています。

IMG_20200526_111212_3

そんな物欲の塊のようなところから1つ選ぶとしたら、気楽にちょこっと出掛けられるシティサイクルです。雨上がりでも気にしなくて良いフルフェンダー。立てかける場所を必要としないスタンド。常にくっついている頑丈な鍵。電池切れを気にしないハブダイナモライトがあれば完ぺき。

好きなサイクリングコースは?

  新潟は基本的に山だらけの県なんですが、魚沼スカイラインの山道はいいですよ。

『にほんの里100選』に選ばれた松之山・松代地域にある「星峠の棚田」はとても美しいです!

棚田マップ(十日町観光協会)

長野の志賀高原も走りやすくて好きです。十日町から志賀高原まで片道100km なので日帰りで往復することも。獲得標高は3,000m ほどになりますが、志賀高原まではたいして起伏が無いのでわりと余裕で走れます。

2020-08-15_07h01_48
※車だと85kmくらいみたいです

メンテナンスを自分でする2つの理由

単純にショップが遠いので、自力でメンテナンスせざるを得ないという事情があります。なんせ片道40km ありますから。これ、田舎あるあるかなと。

自転車を始めた頃はまだ学生、でショップまで自転車を持っていく手段がなかったので(汗)。社会人となった今ではショップにお願いすることも増えました。自力でメンテナンスと言っても、「自分でできるからショップに任せなくても」なんて毛頭思っていません。

シマノのPDFファイルをダウンロードして読み、試行錯誤しながらいじってます。YouTubeでメンテ情報を収集することは少ないですね。

自分で整備をするようになったのには「ショップまでが遠い」以外にもうひとつ理由があって、『自転車の整備士になるのが夢だった』からです。

ただ「自分が自転車が好きだから」だけではなく、「もっと多くの人に自転車の楽しさを知ってもらいたい」からサイクルショップで働きたかったんです。

その思いを加速させたのはとあるショップの店員で、露骨に客の足元を見てくる人でした。 私の父の年代の人は収入も安定していて「お金を出してくれる人」に見えるんでしょう。笑顔で快く挨拶し、親身に相談に乗ります。

しかし、私のように若者には態度がまるっきり違いました。入店しても横目に見て挨拶すらなし。それだけならまだ良かったものの、相談を持ちかけてもあからさまに面倒臭そうに、ろくに話も聞いてくれずにテキトーにあしらわれる始末。それも毎回です。

人間、感情の浮き沈みがあって当たり前です。疲れているときもあるでしょうし、常に丁寧に対応しろとは言いません。でも、その人は度を越えていました。

この間、3年ぶりにその店を訪れてみました。一度は車で。もう一度はロードバイクで。車で行ったときは相変わらずの素っ気ない対応で「なにも変わってないな」と思いました。 次にロードバイクで行ったとき、私のバイクを見たその人はとても物腰低く話しかけてきたんです。とても残念な気持ちになりました。

「こんなに楽しいスポーツなのに、店がこれじゃあな」と心から思いました。

自転車整備の専門学校や大学への進学も考え、両親に相談もしました。条件として出された課題もクリアし、それ以上のことをして再び話を持ちかけましたが残念ながら願い叶わず。

現実的に考えると、田舎には自転車屋の求人は無いです。いきなり田舎から出てきて見ず知らずの地で求人募集を探すのもやや非現実的。熱意だけでは如何ともし難い状況でした。

そんな流れで今は製造業に勤めていますが、いつかはこの夢を叶えたいと考えていて、専門学校への資金を貯めているところです。

専門学校に通う必要性があるのかどうか。それは正直迷っています。しかし、私のような”田舎のただの自転車好き”が都会のお店に認められるには、やはりこういった行動で本気度を示す他ないのかな。と思っています。

安全運転の心がけ・習慣にしていることはありますか?

3つあります。

Great Divide Disc はレーシーな走りは向いていないので、「スピードが控えめ」になりました。カーボンバイクに乗っていたころは、よく知る開けた平坦な道になればハンドルに肘を置いてTTポジションをとることもありましたし、そうでなくとも頭を下げてスピードを追い求めていました。それが今ではヒルクライム以外、ブレーキレバーから手を離すことがなくなりました。

2つ目に夜間は「反射ベストを着用+発光するアームバンドで視認性UP」しています。反射ベストを着用する人は少なくないですが、反射材は光が当たらなければ意味がありません。テールライトは[点灯]で使用する必要があるので、存在をアピールするにはやはり別に[点滅]ライトがほしい。そこでアームバンドを使うようになりました。

思わぬメリットもあって、たまに人と夜間ライドをしたとき「手首にアームバンドがあるからハンドサインが見やすい」と好評でした。


最後に「車を追い抜かない、すり抜けをしない」です。

信号待ちで車の前に出たがるロードバイクや原付バイクをよく目にします。でもどうせまたすぐ追い抜かれるんだから、出なくてもよいのでは。

正直、国内ではサイクルスポーツの体裁は良くありません。それは自転車に乗る人が[注意・逮捕されないから]とか、交通弱者であるがゆえに自分勝手な運転、思いやりのない運転をするからだと思います。そこを変えなければ、自転車界隈はこの先もずっと肩身の狭い思いをしていくことになると思います。

IMG_20200504_173605

十日町方面を訪れた人に食べてほしい名産はありますか?

やはり。へぎ蕎麦ですね。お米も美味しいですが、小嶋屋由屋のへぎ蕎麦を食べてもらいたいです。

お土産は、木村屋というお菓子屋さんの「星峠の棚田米フリアン」や「つぼんこ」がオススメです!


「自転車の整備士になる」って夢、いつか叶いますように…!
そのひたむきな姿、オッサンの私も見習います。
ありがとうございました!\(^o^)/ヽ(^o^)丿

【募集】取材させていただけませんか?

  「自分が取材相手になってもいいよー」「俺(私)のバイクを見てほしい!」って方はこちらからご連絡ください。会いに行ける距離なら参りますし、遠方でしたら電話取材(小一時間ほど)させていただきたく。
※愛車のお写真もご提供いただけると幸いですm(_ _)m

アーカイブはこちら


★ツイッターアカウントはこちら\(^o^)/<最近記事を常にお届け!

You Tubeチャンネルもやってます