皆さんの「1日走った最長距離」は何キロだろうか。

経験と体力、脳ミソの壊れ具合によって大きく変わるのがこれで、ブルベな方々は「24時間で300~400キロ」だろうし、初心者サイクリストさんは「100キロ未満」、そこそこの経験者の方だと「200キロ前後」かなと。ボリュームゾーンは「150キロ〜180キロ」あたりではないかと予想する。

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ちなみに自分は160キロが過去最長。自宅(川口市)から秩父へ大きく円を描くように走ったときにそれくらいになった。

経験値の高い人には「ふーん(まだ百キロ台なんだ)」だけど、初心者や非サイクリストには「バカなの?ねえ、バカなの?」って呆れられるくらいの程よい距離。それが160キロ。

こないだ、前職の仲間に「軽井沢合宿行こう」と誘われまして、自走で行くことになりました。その距離なんと片道180キロ。自分にとって、前人未到の距離である。

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/ 高崎までで100キロか… \

今回は、川口市から軽井沢まで180キロ自走してみた結果をレポートしてみます。

1日走行距離にはいくつかの壁がある

1日で走れるマックスの距離って、徐々に伸びるものでして、まずは100キロが大台。すべてのサイクリストがまずここを目指す。

三桁への挑戦って精神的に負荷があって、「ちょっと怖い…ガス欠になって戻ってくれなくなるかもしれないし」って思考が働く。

それなりの距離を走ろうとすると、どうしてもコースが県境を越えることも。すると、ますます「自転車で越境するなんて!そんなの常識で考えて車ですることでしょう、怖い怖い…」ってなってしまうようだ。

だが、心配は無用。普段あまり運動していない方、部活で鍛えたことのない元帰宅部の人でも、1日かけてマイペースで走れば100キロは行ける。ただのオバハンのオクサマでもミニベロで余裕で走る。

>> オクサマ、ミニベロで定峰峠を登る(入間~秩父往復 100キロちょい)

>> オクサマ、人生初の100キロのロングライドに霞ヶ浦で挑戦する


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問題は体力ではなく精神面。心の扉にかかった「自転車で100キロは異常」という常識をいかに壊すかにある。あとはお尻が痛くなるかもなので、専用のパッド付きインナーショーツを履くとか、ですね。

>> 自転車で100キロ走ったことのない初心者サイクリストに、「気づいたら、100キロ走ってただと…?」と言わせる方法


100キロを一度越えるとそれが当たり前となり、150キロに到達するのに時間はかからないだろう。不思議なもので、日常的に100キロ走るようになると、心のタガが外れ、むしろ「体力の限界まで出し切ると、自分は何キロまで走れるんだろう…(ワクワク)」な方向にフレてしまう。そういうものである。

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なので、自分は「160キロの自己最長が、180キロに伸びる…!」と期待に胸を躍らせていた。

秋ヶ瀬公園>荒川>利根川

日没時刻が早いこの季節、余裕を持ったスケジュールをということで、早めの朝6時に集合し、すぐさま荒川へ。

荒川は平坦なので楽チン。淡々と走って数回トイレ休憩をし、途中でコンビニに寄って朝食を摂りつつ利根川を目指す。ほんの少し向かい風基調だが、手こずるほどではない。

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/ 利根川って景色の変化ないわね…\

利根川に入っても平坦な道は変わらず。埼玉県は、つくづく平らな県だなと思う。よく、サイクリストからは「利根川は景色がずっと変わらなくて退屈する」と聞かされるが、そこそこ景色は良いし、なにより開放感があるし、ちょっとした旅情を感じさせてくれるので嫌いではない。

ただ、荒川ほど道路の幅がなく、対向自転車とかジョガーとか犬の散歩の方々とのすれ違いには気をつかう。あと、車止めもかなりの数が設置されているので、列を組んで走る場合は、後続にハンドサインを出し合って事故防止に努めたい。

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利根川>高崎>横川

いい加減、利根川にも飽きてきたぞ…って感じるギリギリのところで高崎に到着。ここまで110キロくらい。長めの休憩を何度かとったため、時刻はすでに13時。

平地ばかりだったせいか、疲労はほとんどない。甘い物が欲しくなったので、ふだんは飲まない炭酸飲料を買う。

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別のルートから向かっていた仲間2名を、高崎市役所隣接の高崎公園で小一時間ほど待つ。

コンビニに寄ったり、補給食を買っているうちに時間はドンドン流れ、「あれ?昼飯食ってる時間がなくね?っていうか、このまま走ったら軽井沢到着前に日が暮れるで」ってなって、昼飯抜きで碓氷峠手前の横川駅まで走る。

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高崎駅から横川駅までは40キロ。ほんのりと登りにはなるが、斜度はほとんどない道だ。


2時半に出発すれば4時には着くかな…そこから先の碓氷峠は10キロほどだから、1時間あれば登れそう。17時に軽井沢に到着できればまだ陽は出ている、よし!


…と計算をたてたが、物事はたいてい予想通りには進まないもので、何度か道を間違えたり、メンバーの1人が体力的に厳しくなって輪行で横川駅まで先回りすることになってその手伝いをしたり…。

そんなこんなで時間が流れ、横川駅に到着できたのがなんと17時過ぎ。出発したのが17時45分くらい。予定の2時間ビハインド。

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すでに陽は傾きかけており、マージンを持たせたはずのスケジュールがかなり狂ってしまった。

「日没までに軽井沢到着は、クリス・フルームばりの豪脚で駆け上がればまだしも、どう考えても我々の脚ではムリ」

となって観念。覚悟を決めて、ナイトヒルクライムを敢行することに。

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すでに165キロほど走っていたが、不思議とあまり疲れていない。平坦なのと、涼しい天候が幸いしたようだ。真夏だったら、もっと早くへばっていた可能性が高い。

人生初のナイトヒルクライム in 碓氷峠

「明るいうちに少しでも距離を稼ごう!」と頑張ってはみたものの、しょせんただのオッサンの登坂力などたかが知れている。前半5キロ過ぎたあたりで急速に辺りが暗くなる。

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18時半には夕日は落ち、完全なる漆黒の世界に。電柱一本立ってないので、ライトがないと絶対登れません。車も走る峠道なので、前後から時々車とはすれ違う。ライトがなかったら轢き殺されても文句言えないレベル。

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かろうじて、ガードレールに反射板はあるが、ライトで照らされて効果を発揮するものなのでしかない。

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どんなに余裕を持ったスケジュールを作ったとしても、こういうことがあるのでライトは(とくに秋冬は)前後にしっかりと備えておきましょう。ポータブルなバッテリーも携行すれば鬼に金棒。

ちなみに、自分はオウルアイのハイラックス30(フロント)とknogのBlinder Mini (リア)を愛用していて、むっちゃ明るいので夜道も安心である。防水機能も備わっているので、悪天候もなんのその。

碓氷峠は激坂ではなく、助かった

体感でいうと、斜度は「6~8パーセント」くらいかなと。10パーセントを越えるキツさは一度もなかったと思う。粛々とペダルを回せばふつうに登れる坂だ。

まあ、すでに160キロ走ってからのヒルクライムはけっこう辛かったですがね…。

「碓氷峠=定峰峠(5キロ)を2本分」の印象。 (ライトで照らした範囲だが)路面はそこそこキレイで、ひどい荒れや凹凸は少なかったと記憶している。

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/ 峠の頂上 \

片側1車線のよくある峠道で、後続からの追い抜きは気をつかうかなと。が、どちらかと言えば登りやすい部類の峠道だと思う。

碓氷峠を登りきるとこんな標識が。群馬と長野の県境を越えたようだ。夏用ジャージの上からウインドブレーカー(&指切りグローブ)を着ただけでは寒い。

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「ここから下るのか…かなり冷えそうだ」と不安になったが、なんと軽井沢は目と鼻の先にある。数キロ下れば軽井沢駅、そして目的地の軽井沢プリンスホテルだ。すでに身体が寒さで震え始めていたので、よかった。

180キロ、大したことなかった

ということで、軽井沢プリンスホテルの到着時刻は19:00でした。峠越えしたにもかかわらず疲れはさほどでもなかった。昼ごはんが補給食のみだったので腹の減り方がハンパなく、コッテリ系の中華に決定。

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サイクリングした日はダイエット解禁と決めており、「カロリーなんて知らん!1.5人前食ったるで!」と鼻息荒く青山椒担々麺、ギョウザ大盛り、ライスを躊躇なくオーダー。本日初めての温かい食事…。本当に美味しかった。

宿にチェックインした後はツマミとお酒を買い込んで、コテージで酒盛りなど。0時を過ぎた頃には全員睡魔に耐えられなくなり、就寝。

180キロを走ってみた感想は、「150も160も180も変わらんな」に尽きる。200キロも全然行けるなと思った。

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ただ、一人ぼっちで200キロは退屈するし、途中で心が折れそうな気もする。仲間とワイワイしたり、励ましあったりすることでいつの間にか時間と距離が過ぎるのであって、ソロ200キロはかなりの苦行になるだろう。

「体力と精神力、2つがシンクロしたときに走行距離は伸びるのだな」と理解した軽井沢での夜であった。


後編はこちら(^o^)

軽井沢に自走で行く一泊二日ツーリング (軽井沢周遊&碓氷峠編)




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