自転車のパーツメーカーって、海外なのか国産なのか、社名で判断がつかないこと、ないですか。聞いたことがない社名で、しかもアルファベット3文字だったりすると、「なんの略称?どの国の会社…?」ってなりませんか。

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と、予防線を張った上で告白するのですが、つい2週間前まで、「IRC社はイタリアの企業」だと思い込んでおりました。

なぜイタリアかというと、IRC = I(Italian)R(Roadbike parts)C(Company)と勝手に想像していたからですね。思い込みって怖いです…。


が、実際は純国産企業!。社名は井上ゴム工業株式会社(Inoue Rubber Co. Ltd)。長い歴史があって、しかも自分の実家の愛知県(名古屋市)に本社があるなんて…。新卒で働き始めたオフィスが名古屋駅そばの中村区名駅だったので、むっちゃ近い。ジャンピング土下座でIRCさんにはお詫び申しあげたい気持ちである。

>> 公式サイト

ということで、IRCがどういう会社か、反省の気持ちを込めて調べてみた。


IRCが井上ゴム工業って常識だろ…なのか?

ベテランサイクリストの方々には常識かもしれないが、おっさんになってサイクリングを始めたので、自転車タイヤメーカーは(車で馴染みのある)ブリジストン、ミシュランくらい。他は初めて耳にする社名&ブランドばかり。

今でこそ、パナレーサーの「Race L Evo 3」を愛用しているが、社名を聞いたときは「パナソニックのパナとレーサーの組み合わせって、社名ダサすぎるし安直だろ。社名考えたの誰だよ」って思いましたもの。

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タイレル(Tyrell)のCSI にはシュワルベの「シュワルベワン」、オクサマのボードウォークには同じくシュワルベの「デュラノ」を履かせていますが、数年前は国産か海外産なのか気にもせずに使っていた。(シュワルベはドイツの会社です)

周囲ではコンチネンタルの評判がいいが、そういえばコンチネンタルって社名なのか、ブランド名なのか知らないことに今気づいた。(無知すぎる…。ちなみにドイツの会社です)

IRCの所在地

〒450-0003 名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号

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※新卒の勤務先のわりと近く…(名古屋駅の東側ですね)

IRCのビジョン

IRC社のビジョンはこう。

二輪車用タイヤ、チューブの専門メーカーとして1926年の設立から今日まで培ってきた製造、事業経験、また50 年以上の海外事業での経験を生かし、人々の生活を支えるタイヤから世界最高レベルのレースで勝利を勝ち取るためのタイヤまで、IRCブランドの製品を通じて人々の生活に新しい価値と楽しさを提供し続けます。

元はオートバイのタイヤから始まったそうな。タイヤとチューブ専門メーカーだったんですね。1926年って、和暦で言えば大正15年の昭和元年。91年前。歴史長すぎるだろ。1926年をウィキペディアで調べたら、ダイムラーベンツ、ボルボが設立された年であり、トヨタ自動車の前身である豊田自動織機が作られた年である。すごい。

逆に言えば、そのころから自転車は市民の足であったということか。

IRCの沿革

沿革はこんなかんじ。

  • 1926 井上護謨工業(株)の前身である井上護謨製造所を設立。自転車タイヤ、チューブの生産開始。
  • 1933 IRCブランドのタイヤ、チューブの輸出開始。
  • 1952 オートバイ用タイヤの生産開始。
  • 1959 スリランカに海外初の合弁会社設立。自転車タイヤ、チューブの生産開始。
  • 1966 北米へのタイヤ、チューブの輸出を行うためアメリカに事務所設立。
  • 1969 自転車タイヤ、チューブ増産のため宮城県に系列工場を設立(現:東北イノアック若柳工場)。
  • タイにオートバイ用タイヤ、チューブ製造の合弁会社設立。
  • 1973 韓国に自転車用タイヤ、チューブ製造の会社設立。
  • 1988 インドネシアに自転車用タイヤ、チューブ製造の合弁会社を設立。
  • 1996 ベトナムにオートバイ用タイヤ、チューブとゴム部品製造の合弁会社設立。

スリランカを皮切りに、アメリカ、タイ、韓国、インドネシア、ベトナム、中国にも拠点を広げている。1933年から1952年の間の19年間は第二次世界大戦があったので、スッポリ抜けているのだと想像する。

IRCならではのコンテンツ

勉強になるコンテンツも用意されていて、タイヤの機能、タイヤの構造、トレッドの意味、タイヤに使われている主な素材、などが書いてある。が、ちょっとぶっきらぼうというか、もうちょい丁寧に解説してくれてもいいかな。

気になる製品:クリンチャーのフラッグシップモデル、「Aspite Pro」

チューブレスで有名らしいのだが、クリンチャータイヤも作っている。フラッグシップモデルの「Aspite(アスピーテ) Pro 」がそれ。アスピーテと読む。(アスパイトではない)

irc2

ケーシングの外側にビード to ビードで配置した耐パンク層が、レーシングタイヤの重量ながらサイドカットを含むパンク要因を強力にガード。またタイヤと一体化したフィン構造により、空気抵抗を低減。エネルギーロスを最小限に目的地まで導く。

んですって。難しい表現を使っているが、要するに「軽いのにパンクしにくい構造で、なおかつ速く走れる」のが「Aspite Pro」である。

軽い走行感と優れたグリップ性、耐パンク性をハイレベルでバランス化させた、太くて軽い次世代クリンチャータイヤ。180TPI の軽量ケーシングの上に、40 ×40t pi のクロス織りメッシュ繊維をサイドウォール部分まで延長し、サイドカットを大幅に軽減。24c・26c の2 サイズ展開で、シーンに合わせてセレクトできる。

とのこと。TPIとかケーシングとか、初心者サイクリストにはナンノコッチャだと思うが、丈夫で頑丈。なのにレースでも使えるほどの性能を持つ…のだと理解してもらえればオーケー。

ふつう、ロードバイクのタイヤレース向けになるほど軽さを追求するので、耐パンク性能は低くなってしまう宿命があった。その二律背反する要素をテクノロジーでもって取り除いたわけですね。

面白いのは、23c、25cではなく、「24c」と「26c」の2サイズ展開されていること。これも、初心者サイクリストは「だからなんだ」って感じだろうが、一般的なロード用タイヤは23cと25c(太さのこと。数字が小さくなるほど細くなる)が主流で、その上は28c…となることが多かった。

そこに、あえて中途半端な24cと26cである。実に不思議。下記のシクロワイヤードの記事を読むと、その辺のエピソードにも触れられている。

なお、ウェットタイプもある。

ウェットコンディションに照準を合わせた専用モデル。基本設計は「Aspite(アスピーテ) Pro 」と同じだが、トレッドパターンは排水性を考慮。コンパウンドはフォーミュラプロシリーズなどで実績のあるRBCC を採用。雨の日でも安定したグリップ力を約束する。サイズは24cのみ

お詫びの気持ちも込めて、次のタイヤはIRCでいきます

周囲のIRCの評判は良いですし、パナレーサーのRace L Evo 3 を3回連続で履くのも芸がないなと思い、次回はIRC社のフラッグシップクリンチャータイヤ、「Aspite(アスピーテ) Pro 」を履くことにしました。

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こないだ、シクロワイヤードさんでもインタビュー記事が載っていましたね。

>> Ircが誇る“自信作” 妥協なきレーシングタイヤ「Aspite」シリーズを再検証する(シクロワイアード)


関連記事もどうぞ( ^^) _旦~~

>> ロードバイクでパンクしないために心がけていること(パナレーサーのRace L Evo2のインプレを添えて)

>> パナレーサー Race L Evo2 で4,800キロ走った劣化具合とインプレッション