自転車って、楽しいんだけど乗れば乗るほどチェーンが汚れる宿命を持つ乗り物だ。なのでマメなルブの注油が必要。自分は150~200キロ前後で乾拭きして2回に1回ルブを挿す…を繰り返す。たまにパーツクリーナーぶっかけて汚れを落とすことも。

まあ、どんな乗り物でもメンテナンスは欠かせないので自転車オンリーってわけではないですが。

幸いにしてチェーンルブは安いし、1本買えば2年はもつ。めちゃくちゃ走っても年単位でもつ。ただ作業が面倒…あと汚れる…。

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チェーンの定期的な清掃と潤滑は避けられないこととして受け入れていたんだけど、ドイツ生まれの「イノテック 105」ってのを使えばすごくラクになると聞かされた。汚れにくい、500キロ走れる…って特徴があるそうで試しに買ってみた。 なお、105と聞くとサイクリストは無条件にシマノのコンポーネントを想像するだろうが、なんの関係もない。

普通のチェーンとは扱い方が異なり、ちょいと癖があるので、使い方とか注意点をまとめておきますね。

目次


イノテックの105ってなんじゃらほい

チェーンオイルと呼ばれることもあるが、油ではなくコーティング剤である。乾燥工程で強いフッ素皮膜が形成されて、チェーンやカセットスプロケット等接触部の潤滑になると同時に部品耐久性が向上するそうな。(見た目ではわかんない…) 

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※ドイツ語はチンプンカンプン

ふつうのチェーンオイルだと150~200キロで注油することが多いと思う。人によってはもっと頻繁かも。でもイノテックの105だと「500キロ行ける」そうな。オイルではないので乾くとか、落ちるとかが基本的にないんですって。まじで…?

イノテックの105の特徴

メリットは「チェーンが汚れにくい」こと。ふつうはちょっとでも走るとチェーンって真っ黒になるじゃないですか。でもイノテックの105はコーティングなのでそれがない。ちなみに、ミニベロは車輪径がロードバイクより小さいので、チェーン、スプロケット、プーリーがかなり地面に近い。よって砂埃を拾いやすく、すぐ汚れる宿命なのだが、ということはイノテックの105って、むしろミニベロに向いているんじゃないだろうか。

デメリットは、初回の施工がひたすらに面倒…。どれくらい面倒なのか?は次で説明する。

イノテックの105の施工は(最初だけ)大変

まず、チェーンを完全に脱脂しなくてはならない。なぜなら他のオイルと混ざると乾燥しないから。チェーンを外し、脱脂して塗布させ、乾燥させて取り付ける必要がある。チェーン単体だけでなく、チェーンリング、スプロケットとプーリーにも塗布したほうがいい。

作業工程は以下の通り。

1.灯油の入ったペットボトルにチェーンを入れてジャブジャブする

汚れがひどければ2回繰り返そう。汚れと元々のオイルが落ちたら水洗いし、さらに中性洗剤(アルカリではない)で洗浄してからイノテック105を使う。お湯で煮沸する人もいるそうだが、これは省略でもいいかなと。

2.ハンガーか物干し竿にかけて干す

垂れることもあるのでベランダとか庭がよい。屋内でやるなら下になにか敷いておこう。冬は乾きにくいので長めに干しておく必要があるし、屋内のほうがより時間がかかると思ったほうがいい。

.完全脱脂&完全乾燥したらチェーンを取り付ける

工程は以上。かなりの作業量かつ時間がかかるということがわかってもらえたと思う。

ここまでは初回の施工過程。

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※見た目では判別つかない

以下は(2回め以降の)日常での施工方法

さて、一度やってしまえばその後は比較的楽ちん。塗布するときは(通常のルブ同様)ペダルを逆回転させつつ、付属の刷毛でイノテック105をチェーンに当てる。粘度は低めで垂れやすいので、チェーンの下に布か新聞を敷くように。

ブラシでチェーンを擦りながら給油&洗浄しておこう。汚れがひどい場合は数回塗る→ウェスで拭くを繰り返す。洗浄効果もあるので、ケチらずにガシガシ塗布して汚れをかき落とす。

塗布したあとは、ウェスで軽く拭いてもいいが、ショップの大将によればそのままでもOKとのことだ。で、24時間放置して乾燥させる(天日干しならもうちょい早く乾く)。

このように、2回目以降のメンテ工程は簡単である。

イノテックの105を使ってみた感想

1.驚くほど汚れない!

ぜんぜん黒くならない。いつもピカピカ。これは気持ちがいい。以前は走るたびに乾拭きしていたのが、イノテックの105にしてからする必要がなくなった。もちろん、乾拭きすること自体は良いことなので、できればやってあげたほうがいい。

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※宇都宮城にて

2.変速動作が軽く、摩擦抵抗が少ない気がする

感覚的なものでしかないが、操作感が軽くて快適になった印象だ。スプロケットとプーリーに汚れカスも溜まりにくいし、わずかかもしれないが効果は出ているはず。

3.独特の匂いにはすぐ慣れる

使う前はさんざん「臭いよ~松ヤニっぽいよ~」って脅されていたのだが、鼻をボトルに近づけてクンクンとしない限り自分は気にならない。リビングで使っても家族から指摘されなかったので、恐れる必要はない。

4.パナモリ(FRCC22)でだけ使い、ミニベロには使わないことにした

FRCC22はチェーンを一新したタイミングでイノテックの105にしたのでこのままで行くが、ミニベロ(EEZZ D3とタイレルCSI、オクサマのボードウォーク)はすでに通常のルブでメンテしてきている。イノテックの105に切り替えようとすると(前述したとおり)完全脱脂作業をせねばならず、想像しただけで「やめとこ…」って気持ちになった。

105に切り替えるなら、チェーンとスプロケットを交換するタイミングかな…。

イノテックの105の使用上の注意点

1.他のルブとの併用はダメ

まったく相容れないので併用はNG。イノテックの105が乗ったチェーンに誤って通常のルブを挿してしまったら…残念ながら再び完全脱脂の工程をやり直さないとダメ。なので自分のように「このバイクにはイノテックの105、あのバイクにはふつうのルブ」って使い分ける人はくれぐれもご注意を。

2.乾燥しないまま走ると飛び散る

多少濡れててもいいじゃーん?って気もするが、これもNG。飛び散ったらフレームに付着するし、コーティングにムラが生じて効果を発揮しない。まずは最初の施工時は24時間は間を開けよう。指で触ってベタベタしてないのを確認してから乗るように。

あと、早く乾燥させたいなら屋外に置くのが良い(盗難リスクとかあるので玄関先に放置…とかは難しいかもですが)

3.雨天走行には不向き

イノテックの105は乾燥路での仕様を想定しており、雨天は向かない。雨天走行も想定するのなら、ウェットタイプのルブにしておこう。もしもやむをえず雨天時に走ることになったら、イノテック105をたくさん塗布して汚れを落としましょう。パーツクリーナーをぶっかけるのはNGなんだとか。つまり、いったんイノテック105を使い始めたら、それ以外のケミカルは使わないのが基本ってことですね。 

他のサイクリストにイノテックの105をオススメできるか?

モノは良いし、効果にも大満足はしているが、人を選ぶ…とは正直思う。使い方を理解して、メリット&デメリットを自分で考えて判断できるなら(初回が鬼めんどいとか)ぜひトライしてみてほしい。

「よくわかんないし、なんか面倒?それに一般的なルブで困ってないし」って人はそのままでオケ。チェーンとスプロケットを一式交換するタイミングでイノテック 105のことを思い出し、改めて検討すればいいだけなので。急いで切り替えるようなことじゃない。

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が、自分はFRCC22ではイノテックの105をずっと使い続けたい気持ち。初回の壁さえクリアすれば、かなり快適でメリットしかない。初回の施工は自分でしたくないってことなら、ショップに頼めばOK。2回目以降の作業は特別なスキルはいらないしね。


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