人によって得てと不得手がはっきり分かれる自転車テクニックといえば、「ダンシング」だと思う。
ちなみに英語では「 Out Of The Saddle 」と書く。踊りのほうのdancingではないようだ。
で、なぜ苦手とする人がそこそこいるかというと、浮いた上体を体幹で支えなくてはいけないし、不安定だし、「やればやるほど疲れるやん!」ってなるからではないかなと。
個人的な感覚では、初心者女性サイクリストに多い印象。オクサマも苦手にしており、「やるとコケそうで怖い」とトライしない。だからどんな急勾配でもシッティングのみで登る。(それもある意味すごいが)
しかし、Global Cycling Network のエマさんによれば、「ダンシングは誰でもコツを掴めばできるわよ。テクニックが90%、努力50%だしね!」らしい。計算が合わないが、とにかくそういうことだ。
ということで、Global Cycling Network で紹介されていた「How To Climb Out Of The Saddle(ダンシングの上手なやり方)」という動画を翻訳紹介してみる。
の3つ。
ゴール前でのスプリントでも使えるが、そういうレベルの人はこの動画を見る必要はないだろう。「ヒルクライムで使う」ほうのダンシングに特化して書く。
副次的なメリットとして、立ち上がることで「お尻にかかる圧から開放される」もある。血流が良くなってリフレッシュできるのと、シッティングとは違う筋肉を使うことになるので、ちょっとした休憩にもなる。
ちなみにエマさんは元プロ選手だが、「フラットの長距離レースが好きじゃなかった」と振り返っている。理由は長時間ずっとサドルに座ったままだとお尻と腰が痛くなってくるから。
なぜなら、自重を支えなくてはいけないし、使う筋肉が多いぶん疲れやすくもあるから。よって大半のサイクリストは、ダンシング中は心拍数が上がる。よって、タイミングはきちんと見極めよう。
ちょっとシッティングで同じ筋肉ばっかり使って疲労がたまってきたら、30~60秒くらいの短時間だけ立ち上がって漕ぐ……で、シッティングに戻る…を繰り返す。ヒルクライムの最初から最後までダンシングで通す…のは不可能だと思った方がいい。
※ダンシング縛りで数キロ走るトレーニングはあるがそれはそれ
注意点として、ダンシング中に補給はできない。給水とか何かを食べようとは試みないように。ダンシング中はそれだけに集中しましょう。
※プロレベルだと片手でダンシングできたりして、「なんつう体幹とバランス力だ…」って感心するが、一般人はマネないほうがよい
あと、路面状況には気をつけたい。濡れていたり、砂地や砂利が散らばったり、苔が生えたような路面(交通量の少ない、日陰の山間部だとある)ではダンシングを控えること。
急坂だとどうしても体重が前輪にかかりやすくなり、しかも踏み込む力が高くなるので、後輪が空転しやすい状況になるからだ。どうしても登らざるをえなければ、”体重は後輪に乗せ、トラクションを失わないよう”慎重に回してほしい。
あと、すごく危険なのが「マンホール」とか「グレーチング」などの金属類。乾燥した平坦路ではあまり問題にならないが、濡れているときは超危険で、トルクを掛けた状態で乗るとものの見事にリアホイールがツルン!と半回転ほど滑る(むっちゃ焦る)。
登ることにばかり気を取られていると、一瞬何が起きたのかわからず、バイクが推進力を失なって一瞬静止→コテンと落車もある。序盤で体力があるうちだと咄嗟に反応して立て直せるけど、疲れていると反射も遅れてくる。金属物はなるべく踏まないように路面状況にも気を配ろう。
※道路の横一線に伸びたグレーチングは避けようがないが…やばいと思ったら、一旦降りてもOK
左右の人に触れないようにまっすぐ立ち上がるのはもちろん、トルクをかけすぎることで急にスピードが上がり、前走者の後輪に接触(&落車)しないように。
さらに、無意識にやってしまっているのが「キックバック」。「後ろに向けてペダルを蹴るように立ち上がる」のがそれ。蹴った力を推進力にしたい心理が働いているのだが、これをすると一瞬だけ後輪が後ろに動き、後続車の前輪に接触してしまう(=下手すると落車)させてしまう。
※動画で確認してほしい(3分5秒~)
やっている本人に自覚はないので、気づいたら互いに指摘し合いましょう。
集団の中でダンシングを開始するときは、
ように行うべし。 (まずは一人で練習しておくと安心)
あと、日本で通用するかどうかやや疑問だが、ダンシングを開始する前に、「お尻のあたりで軽く手を振る」と後ろの人に「いまからダンシングを始めます」というサインになって安全だそうな。
脚がスコンと下に落ちてしまわず、ちょうど疲れない重すぎでも軽すぎでもない良い塩梅のギアを選択しよう(勾配と脚力次第なので、組み合わせはひとそれぞれ)。
音で表現すると、
・スコッ…スコッ…→軽すぎ
・ギリギリ…ギリギリ…→重すぎ
・グッ…グッ…→ちょうど良し
なかんじ。
むっちゃキツイ坂だと、ギアを重くする必要がないこともある。なぜなら、ダンシングしてようやく回せるのが軽いギアになってくるから。
やがて、「もうこれ以上軽くできない!一番軽くして、しかもダンシングまでしているのにペダルが重い!」という状態になる。
一番軽いギア(フロント:インナーギア、リア:ローギア)の組み合わせでも脚を回せない…(or 疲れやすい、足が売り切れる)のであれば、カセットスプロケットの交換を検討する時期かも。28Tか30T以上のギアがあると山でも安心だ。
あと、ペダルにも体重を乗せにくく、非効率な走りになってしまう。
ダンシングに慣れていないサイクリストは、(疲れてくるととくに)肩と頭を激しく左右に振ってしまうことがあるが、ただの体力の消耗にしかなっていない。筋力を効果的に推進力に変えるには、体の軸は振らず、頭の位置も一定にしたまま体重をペダルにかけることに意識する。
あと、バイクもまっすぐ走らせるように意識したい。フロントホイールがS字(スラローム)を描くようになっていたら、身体がグラグラになっている証拠。
それでもうまくダンシングができないなら、体幹トレーニングに取り組んでみてはいかがだろうか。もしかすると、技術を発揮する基礎体力が不足しているのかもしれない。強い体幹があると、ラクに身体を維持しやすいものだ。
この辺の記事が参考になるかと。
キッツイけど効果てきめん!ヒルクライマー向けの体幹トレーニング5選
サイクリストは「筋肉の柔軟性」があるほうが良いのは常識だとして、パフォーマンスも向上するのか?
自分もロードバイクを買った初期はダンシングに苦手意識があった。たしかにパワーは出るが、10秒も続けると疲労が溜まって、逆にしんどくなってしまってた。
「経験者はどうして延々とダンシングを平気で続けられるんだろう?体重の掛け方、ポジション設定、使う筋肉が違うのかなあ?」
と悩んだ結果、2016年の暮れに宮ヶ瀬湖で開催された3RUNさん主催のヒルクライムセミナーに参加したのだが、これを境に一気に改善した。 (プロの実地講習はやはりわかりやすい…)
実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した
ダンシングをうまく使えば
といいことずくめ。
ダンシングの苦手意識がなくなると、不思議とヒルクライムが楽しくなってくるものです。
※だからといって、苦しさから開放されるわけではないですが…(笑)
以上、Global Cycling Network で紹介されていた「How To Climb Out Of The Saddle(ダンシングの上手なやり方)」という動画の翻訳紹介でした。
このへんもどうぞ( ^^) _U~~
ヒルクライムでライバルを上手に蹴落とすための、プロの(ある意味汚い)技いろいろ
体力を一切アップしなくても、ヒルクライムが速くなる5つの方法
筧五郎のヒルクライム強化書
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ちなみに英語では「 Out Of The Saddle 」と書く。踊りのほうのdancingではないようだ。
で、なぜ苦手とする人がそこそこいるかというと、浮いた上体を体幹で支えなくてはいけないし、不安定だし、「やればやるほど疲れるやん!」ってなるからではないかなと。
個人的な感覚では、初心者女性サイクリストに多い印象。オクサマも苦手にしており、「やるとコケそうで怖い」とトライしない。だからどんな急勾配でもシッティングのみで登る。(それもある意味すごいが)
しかし、Global Cycling Network のエマさんによれば、「ダンシングは誰でもコツを掴めばできるわよ。テクニックが90%、努力50%だしね!」らしい。計算が合わないが、とにかくそういうことだ。
ということで、Global Cycling Network で紹介されていた「How To Climb Out Of The Saddle(ダンシングの上手なやり方)」という動画を翻訳紹介してみる。
目次
ダンシングをやる意味とメリット
そもそもなぜダンシングで走るのか? そのメリットは- 体重を利用してトルクをかけられる
- 背筋や腕力も動員できる
- シッティングでは出せない強い力を出せる
の3つ。
ゴール前でのスプリントでも使えるが、そういうレベルの人はこの動画を見る必要はないだろう。「ヒルクライムで使う」ほうのダンシングに特化して書く。
副次的なメリットとして、立ち上がることで「お尻にかかる圧から開放される」もある。血流が良くなってリフレッシュできるのと、シッティングとは違う筋肉を使うことになるので、ちょっとした休憩にもなる。
ちなみにエマさんは元プロ選手だが、「フラットの長距離レースが好きじゃなかった」と振り返っている。理由は長時間ずっとサドルに座ったままだとお尻と腰が痛くなってくるから。
いつダンシングするのが効果的なの?
「ダンシングはシッティングより力が出せるんなら、ずっとやっていればいいじゃん」と思うかもしれないけど、そうもいかない。なぜなら、自重を支えなくてはいけないし、使う筋肉が多いぶん疲れやすくもあるから。よって大半のサイクリストは、ダンシング中は心拍数が上がる。よって、タイミングはきちんと見極めよう。
ちょっとシッティングで同じ筋肉ばっかり使って疲労がたまってきたら、30~60秒くらいの短時間だけ立ち上がって漕ぐ……で、シッティングに戻る…を繰り返す。ヒルクライムの最初から最後までダンシングで通す…のは不可能だと思った方がいい。
※ダンシング縛りで数キロ走るトレーニングはあるがそれはそれ
注意点として、ダンシング中に補給はできない。給水とか何かを食べようとは試みないように。ダンシング中はそれだけに集中しましょう。
※プロレベルだと片手でダンシングできたりして、「なんつう体幹とバランス力だ…」って感心するが、一般人はマネないほうがよい
あと、路面状況には気をつけたい。濡れていたり、砂地や砂利が散らばったり、苔が生えたような路面(交通量の少ない、日陰の山間部だとある)ではダンシングを控えること。
急坂だとどうしても体重が前輪にかかりやすくなり、しかも踏み込む力が高くなるので、後輪が空転しやすい状況になるからだ。どうしても登らざるをえなければ、”体重は後輪に乗せ、トラクションを失わないよう”慎重に回してほしい。
あと、すごく危険なのが「マンホール」とか「グレーチング」などの金属類。乾燥した平坦路ではあまり問題にならないが、濡れているときは超危険で、トルクを掛けた状態で乗るとものの見事にリアホイールがツルン!と半回転ほど滑る(むっちゃ焦る)。
登ることにばかり気を取られていると、一瞬何が起きたのかわからず、バイクが推進力を失なって一瞬静止→コテンと落車もある。序盤で体力があるうちだと咄嗟に反応して立て直せるけど、疲れていると反射も遅れてくる。金属物はなるべく踏まないように路面状況にも気を配ろう。
※道路の横一線に伸びたグレーチングは避けようがないが…やばいと思ったら、一旦降りてもOK
Kick Back をしないように
グループで走っているときに重要になるのが、周囲に迷惑をかけない&落車原因を作らないこと。ライン取りだったり、ブレーキングもそうだけど、ダンシングも当てはまりまして、立ち上がっる前には前後左右の状況に気を配ること。左右の人に触れないようにまっすぐ立ち上がるのはもちろん、トルクをかけすぎることで急にスピードが上がり、前走者の後輪に接触(&落車)しないように。
さらに、無意識にやってしまっているのが「キックバック」。「後ろに向けてペダルを蹴るように立ち上がる」のがそれ。蹴った力を推進力にしたい心理が働いているのだが、これをすると一瞬だけ後輪が後ろに動き、後続車の前輪に接触してしまう(=下手すると落車)させてしまう。
※動画で確認してほしい(3分5秒~)
やっている本人に自覚はないので、気づいたら互いに指摘し合いましょう。
集団の中でダンシングを開始するときは、
- スピードは維持したまま
- すっくと自然に真上に立ち上がる
ように行うべし。 (まずは一人で練習しておくと安心)
あと、日本で通用するかどうかやや疑問だが、ダンシングを開始する前に、「お尻のあたりで軽く手を振る」と後ろの人に「いまからダンシングを始めます」というサインになって安全だそうな。
ギアの選択も大事
(やる必要も意味もないが)ハイケイデンスでダンシングはしなくてOK。ほどほどにゆっくり回せればよし。「ペダルに体重かけると、軽すぎて脚が落ちてしまう」のなら、2,3個ほどギアを重くして調整する。脚がスコンと下に落ちてしまわず、ちょうど疲れない重すぎでも軽すぎでもない良い塩梅のギアを選択しよう(勾配と脚力次第なので、組み合わせはひとそれぞれ)。
音で表現すると、
・スコッ…スコッ…→軽すぎ
・ギリギリ…ギリギリ…→重すぎ
・グッ…グッ…→ちょうど良し
なかんじ。
むっちゃキツイ坂だと、ギアを重くする必要がないこともある。なぜなら、ダンシングしてようやく回せるのが軽いギアになってくるから。
やがて、「もうこれ以上軽くできない!一番軽くして、しかもダンシングまでしているのにペダルが重い!」という状態になる。
一番軽いギア(フロント:インナーギア、リア:ローギア)の組み合わせでも脚を回せない…(or 疲れやすい、足が売り切れる)のであれば、カセットスプロケットの交換を検討する時期かも。28Tか30T以上のギアがあると山でも安心だ。
体重のかけかた
体重をどこに置くかだが、なるべく中心〜サドル側にかける(つまり後輪に体重が乗る)ように。 前かがみでハンドルバーに体重を乗せるようにすると後輪がトラクションを失いやすく、ウェット面とかグラベルでスキッドしやすくなる。あと、ペダルにも体重を乗せにくく、非効率な走りになってしまう。
上体の位置と振り方
バイクを左右に振るのはアリだが、身体は振らないように。バイクのほうが軽いので、振るのであればそっちを振る。ダンシングに慣れていないサイクリストは、(疲れてくるととくに)肩と頭を激しく左右に振ってしまうことがあるが、ただの体力の消耗にしかなっていない。筋力を効果的に推進力に変えるには、体の軸は振らず、頭の位置も一定にしたまま体重をペダルにかけることに意識する。
あと、バイクもまっすぐ走らせるように意識したい。フロントホイールがS字(スラローム)を描くようになっていたら、身体がグラグラになっている証拠。
それでもうまくダンシングができないなら、体幹トレーニングに取り組んでみてはいかがだろうか。もしかすると、技術を発揮する基礎体力が不足しているのかもしれない。強い体幹があると、ラクに身体を維持しやすいものだ。
この辺の記事が参考になるかと。
キッツイけど効果てきめん!ヒルクライマー向けの体幹トレーニング5選
サイクリストは「筋肉の柔軟性」があるほうが良いのは常識だとして、パフォーマンスも向上するのか?
自分もロードバイクを買った初期はダンシングに苦手意識があった。たしかにパワーは出るが、10秒も続けると疲労が溜まって、逆にしんどくなってしまってた。
「経験者はどうして延々とダンシングを平気で続けられるんだろう?体重の掛け方、ポジション設定、使う筋肉が違うのかなあ?」
と悩んだ結果、2016年の暮れに宮ヶ瀬湖で開催された3RUNさん主催のヒルクライムセミナーに参加したのだが、これを境に一気に改善した。 (プロの実地講習はやはりわかりやすい…)
実走セミナーでプロに指導を受けたら、ダンシングと体重移動が劇的に変化した
ダンシングをうまく使えば
- 使う筋力を分散できる
- よって疲れにくい
- だから坂でも楽&速く走れる
といいことずくめ。
ダンシングの苦手意識がなくなると、不思議とヒルクライムが楽しくなってくるものです。
※だからといって、苦しさから開放されるわけではないですが…(笑)
以上、Global Cycling Network で紹介されていた「How To Climb Out Of The Saddle(ダンシングの上手なやり方)」という動画の翻訳紹介でした。
このへんもどうぞ( ^^) _U~~
ヒルクライムでライバルを上手に蹴落とすための、プロの(ある意味汚い)技いろいろ
体力を一切アップしなくても、ヒルクライムが速くなる5つの方法
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