サイクリングの新規コースを探すのって、何気に難しくないだろうか?人間、易きに流れる生き物なので、気づくと「知ってるコースばかり走ってる…」ってなってしまうような気がする。

「退屈だけどラクなんだよなー」って気持ちと、「新しいコールを開拓したいけどめんどいなー」って気持ちがぶつかり合うこともあると思う。

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毎回、道に詳しい先輩経験者が同伴してくれるわけでもないし、ソロライドであればなおさら1人で何とかするしかない。

サイクリング歴8年になってようやく「新規コース開拓のコツとか心構え的なもの」がわかってきた気がするので、皆さまにお伝えしたい。

目次


具体的な目的地を設定しよう

「いやいや、目的地を決めるのは基本中の基本でしょ?」

そうなのだ。そうなのだが自分が勧めるのは「すごく具体的に決める」こと。市町村レベルやエリアだとややあいまい。ピンポイントな観光スポットとかランドマークがベスト。

三浦半島ではなく堂ヶ島、鎌倉ではなく江ノ島、行田市ではなく忍城(おしじょう) 。

◯◯坂の上から見下ろす景色・・・っといった絶対に逃げないモノでもOKだ。

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/埼玉の越生にある「上谷の大クス」です\

ぼんやりではなく、ハッキリとイメージできるものを目的地にしたほうがよい。なぜ具体的であるべきかというと、途中で気が変わったり、心が折れてしまうことがないから。

ただ、そこにどう行くか?の”ルートはあえて決めない”でおく。(理由は後述する)

「なるほど。じゃあ場所じゃなくて、食事(カフェ、レストラン)でもいいんじゃない?」

食事がモチベーションになるならそれもあり。行き先の土地(&名物)を知らないと美味しいお店の見つけようがないという制限はあるが、名物(江ノ島のシラスとか宇都宮の餃子)のような名の知れたものを食べに行くってのは自分もよくやる。

事前に調べてから向かうか、まず行ってみて着いてから出たとこ勝負で飛び込んでもいいだろう。ただ、ローカルなお店は臨時休業することもあるし、観光地の人気店だと長蛇の列で待つ・・・といった不確定要素もある。

それと自分の場合、食に対するこだわりが薄いのか、食事を目的にしても途中で「ま、いっか」と気が変わることが多い。「なんかうまいものでも食おう」レベルの気持ちで出発すると、だいたい想定外のコースで終わってしまう。

カフェレベルだと空腹に負けてしまい、「わざわざそこまで行かなくてもセブンイレブンで100円で飲めるし…」とか考えてしまう。そこにしかない名物、たとえば「宇都宮のぎょうざの正嗣で焼き2枚、水1枚、合計18個の餃を食す!」と設定すると心は折れない。4号線をひたすら下った道中は決して面白いものではなかったが、数回リピートしている。

目的地(&食)はなるべく具体的に決めよう。

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目的が第一、ルートは二の次と考えてみる

目的は設定した。次はルートを考えたくなるが、自分はガチガチに決めずにあえてルーズにさせておく。前日の晩にようやくgoogle mapを眺めて「さーて、どう行こうかな…」と考え出す。下手すると、ルートを決めずに走り出すことも多い。

こんなにアバウトに走ると、困ることもある。道が狭くて走りにくいとか、渋滞でスピードダウンさせられるとか、坂の多さに辟易するとか、路面の状態の悪さにヒヤヒヤする…といったマイナス要素に出くわす。が、”それもサイクリングの一部”って考えるようになった。

サイクリングってつい「道中がいかに走りやすいか、快適か、車が少ないか、景色が良いか、ストレスが少ないか」で考えません?というか、それが自然だと思う。自然なのだが、それだとどうしても「走れるコースが限定されてしまう」というデメリットがある。

まあ、住んでいる地域にもよるけど、むちゃくちゃ快適なサイクリング向きの道路なんてそうそうない。日本は車社会であって、道路も車中心で作られているわけで、それに抗おうとすると選択肢が限られてしまうわけ。

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/常にこんな道ならいいのだが\

風光明媚な景色はそれなりに遠くに行かなくちゃいけないのでそうしょっちゅうは無理だし、交通量が少ない道は必然的に田舎になるし、田舎になれば路面状況は悪くなりがちだし、坂も多くなる。つまり、全てを兼ね備えたコースはなかなかない(しまなみ街道はさぞかし素敵だと確信してるけど、誰でもおいそれと行けるわけではないし)。

何が言いたいかというと、道基準でコースを設定しないってことです。減点方式でルートを探し求めると「ここはダメ、そこも無し、あそこも却下」となり、いつまでも新規開拓できない。

そこで提案したいのが、「ルートの快適性は一旦捨ててみる」だ。「過程」は忘れて「目的地」だけ決める。あるのは出発点(自宅)と目的地の2点。それを眺めると、無限にコースが思い浮かんでくるのではないだろうか。そう、道は無限の組み合わせができるのだ。

ちょっと遠回りして走ったことのない街を経由する、太めの道路中心で迷わず走る、最短距離を模索する、途中に別の目的地を設けて2箇所制覇するってのもアリ。迷いかけたらスマホのgoogle map を見てチェック。迷っても、道を外れてもリルートしてくれる。それを繰り返しながら目的地に向かえばいい。

もちろん、綿密にルート計画していないぶんハプニングは多くなる。

「目的地は良かったけど、国道◯◯線はすごく走りにくかったぞ」
「自転車進入禁止ルートが意外に多くてえらい迂回させられちゃったよ」
「◯◯と◯◯の間にコンビニがなくて補給食が買えずにひもじかった」

ってストレスフルな思いもするかもしれない。

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/那須で見つけたミニストップ\

でも、そんな刺激があるからこそ面白いのではないだろうか。ハプニングならではの意外性、予想外もこみで楽しもうってマインドがあると、何が起きようが「いい1日だった」ってなる。

迷子は悪ではなく、むしろ積極的に味わうものである

「でも、迷子になりそうでイヤだなあ」

たしかに迷子は不安だ。だが、逆に考えるのだ。「知らない土地にいる時点ですでに迷子である」と。迷子をあえて楽しむのだ。迷子がデフォルトであれば、いちいち不安がる意味もなくなる。ここはどこだろう?この道を行くとどこにつながるのだろう?遠くに見えるあのビル群が中心街かな?ってかんじで楽しめば、ウロウロするのも悪くない。 

サイクリングにおける迷子っていうほど悪いことはなくって、(方角さえミスってなければ)フラフラ走るうちに「あ、ここに着くのね~」って正規ルートに戻れるもの。

それに、ハプニングは悪いことばかりではなくって、

「あれぇ?こんな良さげな店があるんだ(今度行ってみよ)」

「子供を遊ばせるのにちょうどいい公園だな(今日は寄らないけど今度子供を連れて行こう)」

「あっ!地元にしかないレストランチェーンがこんな場所に進出していたのか…嬉しい。今度車で来よう」

「迂回はしたものの、途中で偶然土手から見た夕日がむっちゃキレイだったな」

「なるほどぉ…!この道ってあそこにつながってああでこうで最終的にそこに出るのか…(脳内マップが上書きされたぞ)」

って経験もできる。

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つまり、新しい経験と知識が得られたと思えばムダではなかったってことだし、得るものがゼロだったとしてもムダを楽しむのが趣味なわけで、それはそれでワンアンドオンリーな体験だったと考えてみてはいかがだろうか。よって、どっちに転んでも楽しい1日だったってなるので得しかない。

「コースがマンネリ化しているな~」
「新しい刺激が欲しいな~」

ってお悩みがあれば、

  • 具体的な目的地を設定する
  • ルートはその後にまったり考える(あるいは考えすらしない)
  • 快適なルートしか走りたくないと考えない
  • ハプニングを楽しむマインドをもつ

なんだか精神論っぽくなってしまったけど、自分が最近感じているのはこういうこと。

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/上谷の大クスは一見の価値あり\

「歴史視点」を持った途端、見慣れた景色がまったく別物になった

ちょっと話が逸れますが、大の歴史嫌いだった自分がひょんなきっかけから歴史に目覚めまして、というかズブズブにハマりしまして、それからというもの行きたい目的地が激増して大変なことになっております。

OVEの散走イベントで都内の武家屋敷をめぐった結果、日本史嫌いな自分が歴史に目覚めてしまった

最近行って楽しかったのは、小田原城(神奈川県小田原市)、忍城(埼玉県行田市)、殺生岩(栃木県)。

小田原城は……

戦国時代から江戸時代にかけての城でして、大森氏が小田原地方に進出した15世紀中ごろに建築されたと言われている。北条氏の本拠地として有名。江戸時代には小田原藩の藩庁があった場所でもある。主要部のすべてに石垣を用いた総石垣造りの城なのだが、建築者は不明。3代当主北条氏康の時代には「難攻不落、無敵の城」と呼ばれたそうな。上杉謙信や武田信玄の攻撃に耐えたことでも有名。最大の特徴は、豊臣軍に対抗するために作られた広大な外郭で、小田原の町全体を総延長9キロメートルの土塁と空堀で取り囲んでいた。江戸時代の寛永10年(1633年)と元禄16年(1703年)の2度も大地震に遭い、天守が再建されたのは宝永3年(1706年)。石垣は大正12年(1923)の関東大震災で崩壊し、その後明治3年に解体され、廃城となった……

って知ってから訪れると実に味わい深い。ついでに小田原駅から徒歩2分のとこにある北条氏の墓にも立ち寄ってみたり、侍博物館にも入ってみた。

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「ロードバイクで城跡を見に行く」という愉しみ方を発見してしまったので全力でオススメしたい(小田原城編)


行田市の忍城もよかった。

埼玉県民である自分も、忍城という目的地がなければ、ひょっとしたら生涯一度も行田市に来ることはなかったかもしれない。そのキッカケを与えてくれた忍城に感謝したい気持ちだ。

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忍城を舞台にした「のぼうの城」なんて映画が2012年に作られていたことも現地で知ったし、その日の晩にAmazonプライムで観た。忍城のことを知らなかったら、「何の話だこれ?」ってスルーしてただろうけど、歴史を知ったうえで視聴すると、

「そっか…石田三成の水攻めに対して忍城の侍さんたちはこうやって防御したのか。しかも2万の軍勢に対して農民らを含めても3千強で戦うなんて…すごいというか…無茶にもほどがあるな…」って感心しながら観た。自分が好きな俳優の佐藤浩市がいい味出していた。

しかし、行田市ってひたすら平坦なんだが、本当に水攻めが正しかったんだろーか?地形的に無理がありすぎでは?と疑問に思った。結果、城は落ちず失敗しているわけだし。功を焦った石田三成のミスだったのかなと。

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歴史という興味対象が生まれたことで、サイクリングが一粒で2度美味しい的なかんじにグレードアップした。

あと、最近読んだ「太平記」の登場人物、新田義貞のあっぱれな生き方に感銘を受け、ぜひ祀られているお墓に行ってみようと思った。新田氏は上野国(群馬県)を治めていたので輪行で行ける距離のお寺かな…って祀られている場所を調べたら、なんと福井県にある称念寺ってお寺なんですね…。 

これまで福井県を走ろうなんて考えもしなかったけど、新田義貞の墓という目的地をセットしたら話は別。一泊二日で出かけようかと目論んでいる。

今の自分は、事あるごとに「おいおい、おれはいい歳してまだまだ行ったことのない場所が日本に山ほどあるぞ!サイクリングコースのマンネリ化とか言ってる場合じゃねーぞ!グズグズしてると寿命が来て死んじまうぞ」って自問自答とするいうか、言い聞かせている。

歴史に興味はないよって場合

「歴史の面白さは認めるけど、俺(私)はさほど興味がないんだよねー」

って場合どうするか。

思いつくまま挙げてみると、

  • 小・中学生時代に過ごした場所に行ってみる
  • 幼少期に家族で旅行した観光地に再訪する
  • 漫画やアニメの舞台(聖地)を見に行く
  • 久しく会っていない友人、知人に会いに行く
  • 家族旅行で行く場所の候補地を下調べする

ってのはどうだろう。

それぞれが目的として成立するはずだし、異なった感情を刺激されると思う。

ハプニングが起きてもいいよう、装備は抜かりなく

ただ、慣れない道を走る以上、トラブルも起こりやすい。よって装備はしっかり持っておこう。

  • 前後のライト(帰宅時間が遅れるかも)
  • 外付けバッテリー(充電用ケーブルも)
  • 輪行バッグ(自走プランが崩れることも)
  • ちょっと多めの補給食(田舎ならとくに)
  • ボトルは2本(夏場ならとくに)
  • パンク修理キット&ミニポンプ(チューブは2本あると安心)
  • 多めの現金(現金オンリーってことも多い)
  • クレジットカード&キャッシュカード

起きて欲しくはないが、事故や怪我で医療施設に行くこともあるかもなので、自分は健康保険証の携行を習慣にしている。ついでに血液型やオクサマの連絡先、住所、「エマージェンシーカード」も。
※幸いにして、これを使う場面に出くわしたことはないが

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あと、目薬とかリップクリームとか日常的に使う人であればそれも荷物にならないので持っておこう。(不快感を抱えたまま走るのは辛い)

装備がしっかりしていれば、「多少のトラブルなんかどんとこい」とリラックスした気持ちになって焦らない。焦らないから余裕を持って走れる。余裕があるから、事故に遭いにくいという理屈ですね。

サイクリングコースがマンネリ化してきている方々の「新しい視点の発見」のお役に立てばこれ以上の幸せなしでございます…。( ◠‿◠ )


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