皆さんは自転車での「初めてのヒルクライムがいつ、どこだったか」を記憶しているだろうか。

自分は鮮明に覚えてまして、初めてミニベロでヒルクライムをしたのが2013年秋の定峰峠。ロードバイクだと2014年夏の白石峠。どっちも体力的にしんどかった。登って初めて気づいたのが、「登った後には、下らなくてはいけない」ってこと。(アホみたいな話ですが、知らなかった…)

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ヒルクライムは登りも下りもセットなので、同時にダウンヒルも体験することになったのだが、これが怖いのなんの。ミニベロは車輪の小ささによる不安定さに、ロードバイクはこれまで体験したことのない過剰なスピードに、それぞれ苦しめられた。

ほぼ裸同然の姿で、安全装備はヘルメットだけ。こんな軽装でもし落車したら、死ぬんじゃないのか…」って冷や汗を垂らしながら走った。

いっしょに走った先輩ローディの速さに舌を巻いた。両手を放して肩のストレッチをする余裕すらある。こっちはついて行くだけで必死なのに…。みるみる視界から消えて行く先輩を「無理して追いかけたら絶対自爆する」と思って、「待たせてゴメーン」とは思いながらも、自分のペースで下らせてもらった。

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下りの恐怖は、サイクリストすべてが通る道。ちなみにオクサマは「登りは好きだけど、下りが怖くて嫌い。登りだけならいいのに…」ってバカなことを言うほど下りが苦手。亀のようなスピードで降りるので、一緒に山に行くと麓で死ぬほど待たされる。

今では人並み(?)に下れるようにはなった気がしますが、「下りが苦手」って初心者サイクリストは多いかと思うので、totalwomenscycling.com で紹介されていた「ダウンヒルの恐怖を克服する7つのノウハウ(7 Easy Steps for Overcoming the Fear of Descending)」という記事を翻訳して紹介しますね。

教えてくれるのは、エマ・プーリー(Emma Pooley)さんという女性プロサイクリスト。世界屈指のヒルクライマーなのだそうだが、下りが死ぬほどヘタってことで有名らしい。(まあ、プロの世界でのヘタという意味なので、我々ホビーサイクリストとは次元が違うが…)


以下、エマ・プーリーさん直伝の「下りの恐怖を克服する7つのノウハウ」である。

ダウンヒルの基本テクニック

「コーナーでは軽くバイクを傾けて。ハンドル操作で曲がろうとするんじゃなくて、体重移動で曲がるイメージね。曲がる方向が左だとしたら、内側の手(左手)と外側の足(右足)に体重をかけること。

上体はバイクに対してまっすぐをキープよ。そうすれば、意図した方向にバイクは進んでくれるわ」

補足すると、コーナーリング時は内側(地面に傾けているほう)のペダルは上げること。下げていると体重が載せられないし、ペダルが地面に接触したら落車につながる。

最初はうまくいかなくて当たり前

「同じコースを何度も繰り返して走ると、自信がつきやすいわ。慣れてきたら違うコースを試してみましょう」

同じコースを走るといっても、「そんなに何度も登れないよ…」と思うだろう。そういう場合は、短めの周回コースが組める物見山のような場所が良いかもしれない。長〜い下りを1本するよりも、短い下りを5本やるほうが練習になるし、緊張感が持続しないのでとっつきやすいとは思う。

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分不相応なスピードを出さない

「重要なのはスピードではなくライン取り。コントロールできるスピードでコーナーに侵入する。コーナーが始まる前に減速開始するようにね。

イメージしたラインをスムーズに走ってみて。ゆっくりで大丈夫。ライン取りが思い通りにできるようになったら、徐々にスピードを上げていきましょう」

初めからスピードを求めるのは危険。怖さを感じない程度のスピードから初めること。一緒に走る人を待たせたところでたいした時間ではない。

下ハンドルを握る

「下りでは、重心はやや後輪に乗せるイメージで。下ハンドルを持つと、自然と重心は地面に近づくからやりやすいわ。ブレーキのトラクションは前後輪の両方にかけたいから、どちらか一方に過剰に体重が乗らないようにね」

サドルのやや後ろに座ると、「前に吹っ飛ばされそう」な感覚が消え、恐怖心も薄まる。

ただ、下ハンはそれなりにコツが必要なので、「下ハンがむしろ走りにくい」って方もいるはず。そういう場合は無理せずブラケットを握って走りましょう。
※ブラケットでブレーキングしっぱなしだと握力を消費しやすいが

あと、ブラケットに手を乗せるだけ…は絶対にNG。小指、薬指も使ってブラケットを握りましょう。

疲れてくると、ついブラケットの握りを疎かにしがち。段差や穴ぼこでバイクが跳ね上がったりしたとき、手を預けているだけだと、ハンドルから放れてしまう。そうなったら確実に落車となる。

しっかりと前方を見る

「下っている最中、地面を凝視してはダメよ。頭と目線はなるべく上げて、進路を確認し、障害物や車や路面の荒れを察知するようにしましょう。

コーナーを抜けるときは、コーナーの出口に視線を送り、とっさに対応できるよう準備しておくようにね」

不思議なもので、視線の方向にバイクは向かって行く。つまり、壁が怖い、ガードレールが怖いとそちらばかり見てしまうと、自然と身体とバイクがそっちに進んでしまう。進みたい方向を見るのが基本である。

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プロサイクリストから学ぶ

「テレビや動画サイトでプロの動きを見て学ぶのもいいわ。ただし!スピードまでマネしようとしてはいけないわよ。気づいたことをメモしておくと、次回坂を下るときに覚えていられるわよ」

言わんとしていることはわかるが……動画を見ただけで学べるのは、そこそこ経験を積んだ人だけ…な気がする。初心者であれば、ステップバイステップで解説してくれる専用DVDがベターだろう。

自分も専門DVDで勉強してみたが、良い例、ダメな例、初心者がやりがちなポジション…などを比較しながら噛んで含めるように教えてくれるので、よっぽど役に立つ。

あと、もっとオススメは実地でプロに学ぶこと。専門家がリアルでダメ出ししてくれるのは、何者にも変えがたい貴重な学びだ。指摘されない限り、自分では気づけないし、ずっと間違ったポジションやペダリングのまま悪い癖を覚えてしまう。一度身についてしまった悪癖を抜くのは難しい。学ぶなら、早いほうがよい

自分は宮ヶ瀬湖でウォークライドの須田さんに学んだことで、これまでの登り方がガラッと変わった。目からウロコがボロボロ落ち、勉強になりまくりだった。プロのリアル講習会に勝る勉強の場はないと断言する。

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リラックスする

リラックスできたら苦労しないよ…という声が聞こえてきそうだが、これも事実。スポーツはなんでもそうだけど、心も筋肉も適度に弛緩していないとよいパフォーマンスはできない。ロードバイクも同様で、ガチガチに力が入った状態ではうまくは下れない。

ただ、いきなりリラックスしろって言ってもそれはムリなので、上記に書いたプロセスを地道に繰り返すこと。慣れてきたら少しづつスピードを上げるとか、斜度がある坂を下ってステップアップ。余裕を感じてきたらしめたもの。近道はない。

どーしても下りに慣れない!リラックスできない!怖いものは怖い!

という場合、もしかしたらポジションがしっかり出ていない可能性がある。たとえばサドルが高すぎる…ステムが長すぎる…ブラケットが下を向きすぎている…かもなので、ショップでメカニックさんに診てもらいましょう。

ポジションが最適化されるだけで、「なんという乗りやすさ…これが同じバイクなのかっ!?」ってたまげるほど、ミリ単位で操作性は変わるものです。

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あるいは、「そもそもブレーキの調整ができていない」がためにスピードダウンできず、恐怖を感じているだけかもしれない。ブレーキは命綱なので、ワイヤー点検、ブレーキシューの残量は定期的にチェックしておくことも忘れないでほしい。


以上、「ダウンヒルの恐怖を克服する7つのノウハウ(7 Easy Steps for Overcoming the Fear of Descending)」のご紹介でした。


どうか下りでは安全第一で…。


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