ヒルクライムはわりと残酷なスポーツというか、数字で決まってしまうモノでして、重量に対して出力できる力、つまりパワーウェイトレシオ(Power-weight ratio)の数値で優劣が計れてしまう。

つまり、筋力が同じ者同士なら、バイクが軽いほうが有利。体重が同じ者同士なら、筋力があるほうが有利。

筋力を増やすのは時間も努力も必要だけど、それ以上に手っ取り早い効果が見込めるのが「体重減」ですね。筋肉は同じままで、脂肪が落ちて体重が軽くなれば、それだけでグッとスピードも上がるし、楽に登れる。

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自分は2017年夏から始めた減量でようやく5キロ落とし、その成果を如実に感じられるのが坂。

がっ!「筋力アップもダイエットも、どっちもしたくないなぁ……」という場合はバイクを軽量化するしかない。お金さえかければ軽量化は可能なので、以下のCycling Weekly の動画(How to become a better climber | Operation Hill Climb | Cycling Weekly)で紹介されていた軽量化にくわえ、自分がこれまでに見聞きしてきた軽量化のコツを並べてみよう。



効果絶大!なロードバイクの軽量化

軽量フレームに交換する

クロモリよりはアルミ、アルミよりはカーボンが一般的に軽い。そして軽いフレームは漏れなく高い。しかし、効果も高い。予算に余裕があれば、なるべく軽いものを選びたいところだ。べつにヒルクライムをしないサイクリストでも、軽くて困ることはなく、メリットしかない。

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軽いホイールに交換する

鉄よりはアルミ、アルミよりはカーボンのほうが軽さを追求できるのはフレーム同様。これもフレームと同じで、軽さと価格は比例する。

個人的な目安としては、
  • 1,600グラム以上 やや重め
  • 1,500グラム台 標準的
  • 1,400グラム台 軽めの部類(アルミクリンチャーで1,400グラムを切るのはかなり難しいような気はする)
  • 1,300グラム台 そーとー軽い(昨今のカーボンクリンチャー辺りはこのへん)
  • 1,200グラム台 むちゃくちゃ軽い(カーボンチューブラーあたりがこのへんで、お値段もすごい)
  • 1,100グラム以下 異次元の軽さ(経験したことはないが、夢のような世界が待っている気がする。当然価格も異次元クラス)
※初めてホイールを買うなら、「1,500グラム台からスタートし、1,400グラム台に近づけていく」のがバランスが良く、お財布にも優しいかなと。

エントリーモデル的なアルミクリンチャーホイールは5万円前後からスタートし、小刻みに15~19万円くらいまで上がって、そのへんでストップする。が、カーボンクリンチャーやカーボンチューブラーホイールは20~40万円もザラで、最高峰はホイール(前後セット)だけで100万円(!)になるものもある。

ちなみにオクサマは「フレームが高いのはなんとなく許せるけど、ホイールがフレーム並に高いのがいまだに理解できない。針金と輪っか状の鉄を組み合わせただけのくせに…」とかいまだにほざいている。

効果まずまずなロードバイクの軽量化

消耗パーツに軽いタイプを選んでみる

たとえばチェーンやカセットスプロケット……見た目はどれも似たように見えるが、デュラエースはアルテグラより軽く、アルテグラは105より軽い。

サードパーティ製のチェーンやカセットスプロケットの中には、えげつない軽さを誇るものもあるが、コンポーネントとの相性(変速性能とか快適性)が若干犠牲になるという話は聞いたことはある。

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ただ、チェーンもカセットスプロケットも消耗品でどのみち交換するものだし、1回トライしてみる価値はある。なお、カセットスプロケットよりはチェーンの方が断然安い。

タイヤを細くする

細くすれば軽くなるし、パワーを掛けたときのグリップも良い。25cでも十分なグリップはあるが、「登坂でトルクを掛けたときのかかりが23cのほうが良いので、平坦レースでは25cを使うけど、ヒルクライムレースは23cを使う」ってプロ選手もいるくらい。

自分は彼らのようなパワーはないけど、なんとなく太いタイヤよりは細いタイヤのほうが思い切り踏み込むことができる(安心して踏み込める)ような気がしている。よって、自分は25cではなく、23か24cタイヤを常用している。

決戦用軽量チューブを使う

多くの人が見落としているのがチューブの軽量化。外からは見えない部分だけど、前後で50グラムくらいならわりとカンタンに落とせる。チューブは高いモノでもたかがしれているので、コストパフォーマンスは超高い。ただし、軽量=薄手なので、パンクリスクは高まるのはトレードオフとして受け入れよう。

ちなみに自分がチューブを買うときは、必ず軽量モデルを選ぶ。乗るたびに空気圧をチェックし、しっかり規定量まで入れるのを心がけており、それでパンクしたことはほとんどない(ここ3年半ほどパンクは皆無)。

心がけ次第でパンクは避けられるので、レース用軽量モデルの恩恵を味わってはいかがだろうか。

アウターリングを取り外す

ロードバイクのチェーンリングはだいたい大小2枚で構成されている。ヒルクライムでアウターリングを使うことはまずない(瞬間的に平坦路があるコースもあるので、なくはないが)ので、「だったら取っ払ってしまえ」という理屈。同じ発想で、フロントディレイラーも取り外してしまえばさらに軽量化できる。

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/デカいほうを外すという手\

効果はまずまず高いものの、気軽に脱着できないのがデメリットだ。イジるスキルがある方&苦にならない方は、試す価値はあるかもしれない。
※ここまでやるなら、いっそヒルクライム専用機にしてしまうのもアリだ

パンク修理キット(サドルバッグ等)を取り外す

ツーリングとしてのヒルクライムではなく、レースに限られるワザとして、サドルバッグやミニ空気入れを取っ払ってしまう…がある。万が一レース中にパンクしたら修理する術はないが、パンクしたらどのみちタイムは狙えないので「まあ、いいじゃん」ということか。

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/自分はココにケージを付けてます\

あと、サドルバッグは重心が高い場所にあり、それを取っ払ってしまうだけでもダンシング時の振りが軽くなって、走りやすいというメリットがある。

ボトルに水をいっぱい入れない

これもレースオンリーのテクニック。ヒルクライムは(速い人で)1時間前後で終わるレースが多く、長くても1.5時間前後で終わる。満タンにしても全部飲みきらないのであるなら、水の量を半分とかにしてその分を軽くするわけだ。

ただ、気候や気温、乗り手の所要時間、その日の体調にも影響されるので、どれだけ水を飲むかは個人差が激しい。レース本番に、走ったこともないコースで、適当に水を減らすのはちょいとリスクが高すぎる。

そのコースを何度も走ったことがあるとか、自分の必要水分量をしっかり把握している経験者でないのなら、安全を考慮して満タンを入れておくことをオススメする。途中で水が切れたら命に関わるので。

最後の手段

バーテープを取り外す

ここまでやる人は少数派だと思うが、気持ち程度軽くできる。むき出しになったハンドルバーはやや滑りやすいので、そこだけはご注意を。

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/カーボン地をあえて出し、最小限にしかバーテープは巻かないです\

あと、ドロップハンドル先端のキャップがグラグラになり、取れやすくなるのも覚えておいてほしい。レギュレーションによっては、キャップがないと走行を許可しない場合がある。

ヘルメットをエアロにする

スピードがでないヒルクライムでは、ヘルメットの形状をエアロにしても大きな効果は見られないかも。むしろ、形状よりは「軽さ重視」で選ぶ方がいいかと思う。

下ハンドルを切り取る

これに手を出せば、完全なるご病気である(褒め言葉です)。「ドロップ部分は握らない」って人なら検討の余地ありだ。下ハンドルで登坂でもがくのが好きなクライマーもいるが、そうでない専用機をお持ちの人は試しては?

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/ややブルホーンバーちっくなルックスになります\

下ハンを切り落としたルックスは「こ、こいつ、只者ではない…」感が溢れており、「相当なツワモノに違いない…」と会場で周囲を威圧できるかもしれない。

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ただ、動画内で「けっこうな軽量化になると期待して切ったけど、そうでもなかった(笑)」とコメントしていた。

髪の毛を切る

正直、やってもあまり意味は無い 。が、心理的な効果というか、試合前に己を高ぶらせることはできるかと思う。ロン毛の人なら数十グラムは落とせるだろうか。

その他

ダイエットに励んで体重を落とす

ぶっちゃけ、フレームやホイールを新調するよりも圧倒的に効果があるのがこれ。自分も5キロ落とせたおかげで、びっくりするほど登りが楽になった。

5キロといえば、やや重めのアルミクリンチャーホイールセット3組に匹敵する。標準的なフレーム(1.4キロ)とホイール(1.5キロ)を足しても3キロかそこら。自転車1台分に近い脂肪が剥がれ落ちるということが、こんなに快感だとは…。

「んなこと、わかっとるわ!」と言われるのを百も承知で減量をオススメしたい。
※パワーはちっとも上がっていないので、平地での変化は感じない。

ヘルメットを被らない(レギュレーションで許されれば)

上記動画内のレースでは、ヘルメットを被っていない参加者もけっこういた。「プロではない、一般人の大会とはいえ、ヘルメットを装着しなくてよいなんてことがありえるかしら?」と訝しく思って視聴し続けていたら、後半で「ヒルクライムレースではスピードがさほど出ないこともあり、装着するかしないかは参加者の判断に委ねられている(ものもある)」とコメントがあった。なるほど。

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※もちろん、事故って頭を打って何かあっても自己責任だろうが…。
※下りのときどうすんだ…と思うが、預ける手荷物に同梱しておけば良いのだろう


以上、ヒルクライムレースのために軽量化を徹底追求するコツとかノウハウをご紹介しました。自転車にとって「軽量化は正義」であり、「揺らぐことのない真理」なので、できるところからパーツ交換したり…されてはいかがでしょうか?


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