自分はヒルクライムは好きだが、好きなのはあくまで「マイペースで仲間たちと楽しく登る」ほう。
順位を競う系とかタイムアタック系のガチヒルクラレースはあまり興味がない。
/観戦は楽しい\
そんな自分には「レース中に敵を千切るテクニック」とか「心理的に追い詰めて蹴落とすノウハウ」は必要ないんだけど、個人的に興味はある。
Global Cycling Network でエマ・プーリーさんという元プロ女子選手が「ヒルクライムで敵を上手に蹴落とすためのテクニック(How To Climb Like A Pro: Emma Pooley's Guide To 'Climbing Nasty')」を披露していて、とても興味深く視聴させてもらった。
ヒルクライムレースをする人は知っておいて損のない情報なので、翻訳してご紹介しますね。
エマ・プーリー(Emma Pooley、1982年10月3日 - )さんは、イングランド、グレーターロンドンのワンズワース出身の女子自転車競技(ロードレース)選手。
/中央がエマさん\
その逆で、筋肉モリモリでも体重が重いとレシオ的に相殺されてしまう。要はバランスである。(が、痩せ型で体重が軽い方が総じて有利なのは事実)
ただ、これがレースになってくると勝敗は単純な「パワーウェイトレシオ」だけでは決まらず、別の要素も入ってくる。
なぜなら、レースは一人ではなく複数で走るわけで、敵がいれば揺さぶり、心理戦、駆け引きが存在するから。これはどんなスポーツでも同じだし、醍醐味でもある。
ウェイトリフティングのように完全な個人戦で他人からの邪魔が入らない競技であれば、純粋なフィジカル勝負になりやすいけど、それでもプレッシャーの掛け合いとか心理戦はあると思う。
つまり、競技の世界ではパワーウェイトレシオだけを突き詰めても勝てない。心理戦で揺さぶる、相手を苛立たせたり焦らす、負荷をかけて消耗させるテクニックを織り交ぜることで弱者が強者を打ち負かすこともある。
まあ、それはその通りなのだが、汚いテクか?というと別にそうでもない。
あと、己の力量とペース配分を把握していないと墓穴を掘るだけになるので、繰り返しトレーニングして見極める必要がある。
/右側のエマさんが仕掛けている\
/ライバルにとって目障りで気になる存在に\
なるほど、この付かず離れず感はたしかにうっとうしいかも。
そういえば、山の神の森本誠さんも雑誌がテレビで「敵の呼吸を聴いて観察し、披露具合を把握すると良い」と話していた。なぜなら、「呼吸はごまかしがきかないから」らしい。
後ろを走るだけでは、呼吸音は聞こえないので、斜め後ろってのがポイントである。
そこからエマさんが偶然発見した戦術なのだが、「いつの間にかじわじわとペースアップし、相手を追い込んで蹴落とす」のが有効らしい。
たとえば、自分が集団先頭で、後ろに数人が付いてきている状況だとしよう。
このとき、エマさんはしきい値(threshold)よりちょい低めのややきつめのペースをキープして走る。で、徐々にペースを上げていくのだが、ポイントは「ダンシングを使わず、シッティングのまま」でいること。そうすることで、後続には先頭がペースアップしていると悟られないようにするわけ。
仕掛けていることを敵に勘付かれないように、「自分は全然ペースアップしていませんよ?同じペースで走ってますよ?だから苦しくもなんともないですよ?」というフリはしなければならない。
後続の敵は「おかしいな……前の奴は同じペースで走っているはずなのに、こっちは苦しくなってきてる。自分の調子が悪いのだろうか…」という感情を芽生えさせることができる。
「現役の頃によく使ってて、かなり有効だった」と振り返るエマさんだが、
と忠告している。
「15秒間全力でもがく → 2分ペース走」……一旦仕掛けたら、ゴールするまでひたすら繰り返す。聞いただけで吐きそうな気分になる戦い方だ。
これも悪くない方法だが、エマ・プーリーさんは
と力説されていた。
敵の息遣いを観察し、「疲れてきているな」と思ったらわざと会話を仕掛ける。中身はなんでも良くて、どうでもいい雑談を振るのだ。
「あら、ステキな色のバーテープね」
「今日の天気、ちょっと曇りだけどむしろレース向きでよかったね」
「ほら見て、あの景色いいわねー」
「このレース終わったら、コーヒー飲もうと思ってるの」
「ねえ、今日何時に起きた?」
ヒルクライムをしたことのある人ならわかるだろうが、心拍が上がってキッツイときに喋るのはダブルで苦しいし、消耗が激しい。歯を食いしばっている状況で口を開いて言葉を発するのは、疲労が加速する。
まあ、それを悪用するわけである(笑)。
仕掛ける側は当然余力がある状態でやる。リラックスしており、会話がぜんぜん苦にならないよ(つまり疲れてませんよ)アピールにもなり、与えるダメージは計り知れない。ただし、多用すると嫌われるのでご注意をば。
プロでもこういう細かいテクニックを使うのかと驚いた。
と語っていた。うーむ、勉強になる。
以上、Global Cycling Network でエマ・プーリーさんが紹介されていた「ヒルクライムで敵を上手に蹴落とすためのテクニック(How To Climb Like A Pro: Emma Pooley's Guide To 'Climbing Nasty')」の翻訳でした。
余談だが、実業団選手選手といっしょに山を走ったとき、自分の後ろを走っていたその人が「あ、中山さんはジュニアスプロケットを使っているんですね」とことも無げに言い当てて驚いた。
回転しているスプロケットを一目見て、どのタイプのスプロケットを使っているかはふつうにわかるようだ。
まあ、自分のような素人ですら「ローが28Tだな」とか「32Tか34Tっぽいな」くらいは目視でわかるので、実業団クラスの選手が正確に言い当てられるのは驚きでもなんでもない気はする。
そういう意味でも、敵のちょっと後ろを走っているとき、息遣いだけでなく「どんなスプロケットを使っているか」も観察すると良いかもしれない。
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順位を競う系とかタイムアタック系のガチヒルクラレースはあまり興味がない。
/観戦は楽しい\
そんな自分には「レース中に敵を千切るテクニック」とか「心理的に追い詰めて蹴落とすノウハウ」は必要ないんだけど、個人的に興味はある。
Global Cycling Network でエマ・プーリーさんという元プロ女子選手が「ヒルクライムで敵を上手に蹴落とすためのテクニック(How To Climb Like A Pro: Emma Pooley's Guide To 'Climbing Nasty')」を披露していて、とても興味深く視聴させてもらった。
ヒルクライムレースをする人は知っておいて損のない情報なので、翻訳してご紹介しますね。
エマ・プーリー(Emma Pooley、1982年10月3日 - )さんは、イングランド、グレーターロンドンのワンズワース出身の女子自転車競技(ロードレース)選手。
/中央がエマさん\
ヒルクライムレースは単純なパワーウェイトレシオの勝負ではない
理屈だけで言えば、ヒルクライムの速さは「パワーウェイトレシオ」で決まる。体重が軽い方が有利だが、痩せているだけでパワーがなければ意味はない。その逆で、筋肉モリモリでも体重が重いとレシオ的に相殺されてしまう。要はバランスである。(が、痩せ型で体重が軽い方が総じて有利なのは事実)
ただ、これがレースになってくると勝敗は単純な「パワーウェイトレシオ」だけでは決まらず、別の要素も入ってくる。
なぜなら、レースは一人ではなく複数で走るわけで、敵がいれば揺さぶり、心理戦、駆け引きが存在するから。これはどんなスポーツでも同じだし、醍醐味でもある。
ウェイトリフティングのように完全な個人戦で他人からの邪魔が入らない競技であれば、純粋なフィジカル勝負になりやすいけど、それでもプレッシャーの掛け合いとか心理戦はあると思う。
つまり、競技の世界ではパワーウェイトレシオだけを突き詰めても勝てない。心理戦で揺さぶる、相手を苛立たせたり焦らす、負荷をかけて消耗させるテクニックを織り交ぜることで弱者が強者を打ち負かすこともある。
Full Gas(全力でもがく)
相手より長時間もがき続けることができる確信があればこれで千切れる。
まあ、それはその通りなのだが、汚いテクか?というと別にそうでもない。
あと、己の力量とペース配分を把握していないと墓穴を掘るだけになるので、繰り返しトレーニングして見極める必要がある。
Armpit Stalking(敵の脇腹にくっつく)
敵よりほんの少し後ろを走るテク。前にも出ず、並走もしない。あえて1メートルほど下がった位置をキープする。敵の周辺視界に入ることで目障りになれるし、こっちはペースがつかみやすい。
あと、敵の息遣いも聞きやすく、ボディランゲージも観察しやすいので、消耗度と疲労具合が推し量れる。ひいては、アタックをかけるタイミングも見極めやすい。
/右側のエマさんが仕掛けている\
/ライバルにとって目障りで気になる存在に\
なるほど、この付かず離れず感はたしかにうっとうしいかも。
そういえば、山の神の森本誠さんも雑誌がテレビで「敵の呼吸を聴いて観察し、披露具合を把握すると良い」と話していた。なぜなら、「呼吸はごまかしがきかないから」らしい。
後ろを走るだけでは、呼吸音は聞こえないので、斜め後ろってのがポイントである。
Fartlek Approach(一定ペースで走りつつじわじわ引き離すワザ)
Fartlekはスウェーデン語で「地形の変化に関係なく長い距離を一定ペースで走るトレーニング」を指す言葉らしい。そこからエマさんが偶然発見した戦術なのだが、「いつの間にかじわじわとペースアップし、相手を追い込んで蹴落とす」のが有効らしい。
たとえば、自分が集団先頭で、後ろに数人が付いてきている状況だとしよう。
このとき、エマさんはしきい値(threshold)よりちょい低めのややきつめのペースをキープして走る。で、徐々にペースを上げていくのだが、ポイントは「ダンシングを使わず、シッティングのまま」でいること。そうすることで、後続には先頭がペースアップしていると悟られないようにするわけ。
仕掛けていることを敵に勘付かれないように、「自分は全然ペースアップしていませんよ?同じペースで走ってますよ?だから苦しくもなんともないですよ?」というフリはしなければならない。
後続の敵は「おかしいな……前の奴は同じペースで走っているはずなのに、こっちは苦しくなってきてる。自分の調子が悪いのだろうか…」という感情を芽生えさせることができる。
「現役の頃によく使ってて、かなり有効だった」と振り返るエマさんだが、
ただ、これを使うなら事前のトレーニングが欠かせないわ。かなりの負荷が自分にもかかるわけで、どれくらいのペースで何分続けられるかも見極めておく必要があるからね。さもないと、自分の脚が先に売り切れてしまうハメになるわよ。
と忠告している。
「15秒アタック→2分のペース走」の繰り返し
昔からある伝統的なアタックテクニックがこれ。「15秒間全力でもがく → 2分ペース走」……一旦仕掛けたら、ゴールするまでひたすら繰り返す。聞いただけで吐きそうな気分になる戦い方だ。
これも悪くない方法だが、エマ・プーリーさんは
私はシッティングでアタックするトレーニングを積んで、実戦で使えるようにしたわ。シッティングでアタックをかけられるのってとても効果的よ。
と力説されていた。
誰でもすぐマネできる心理攻撃
さきほどのArmpit Stalking(敵の脇腹にくっつく)とか、並走してるときに使う技。敵の息遣いを観察し、「疲れてきているな」と思ったらわざと会話を仕掛ける。中身はなんでも良くて、どうでもいい雑談を振るのだ。
「あら、ステキな色のバーテープね」
「今日の天気、ちょっと曇りだけどむしろレース向きでよかったね」
「ほら見て、あの景色いいわねー」
「このレース終わったら、コーヒー飲もうと思ってるの」
「ねえ、今日何時に起きた?」
ヒルクライムをしたことのある人ならわかるだろうが、心拍が上がってキッツイときに喋るのはダブルで苦しいし、消耗が激しい。歯を食いしばっている状況で口を開いて言葉を発するのは、疲労が加速する。
まあ、それを悪用するわけである(笑)。
仕掛ける側は当然余力がある状態でやる。リラックスしており、会話がぜんぜん苦にならないよ(つまり疲れてませんよ)アピールにもなり、与えるダメージは計り知れない。ただし、多用すると嫌われるのでご注意をば。
プロでもこういう細かいテクニックを使うのかと驚いた。
現役時代にもっとも効果的だったテクはどれ?
ダンさんとサイモンさんが、「現役時代にもっとも多用したテクは?どれがうまくいった?」と質問しており、それに対してエマさんは、「シッティングのままアタック」がいちばん効果的だったわね。アタックしていることが敵に悟られにくいから、意表を突くことができるし、アタックが成功しやすかったわ。
と語っていた。うーむ、勉強になる。
以上、Global Cycling Network でエマ・プーリーさんが紹介されていた「ヒルクライムで敵を上手に蹴落とすためのテクニック(How To Climb Like A Pro: Emma Pooley's Guide To 'Climbing Nasty')」の翻訳でした。
余談だが、実業団選手選手といっしょに山を走ったとき、自分の後ろを走っていたその人が「あ、中山さんはジュニアスプロケットを使っているんですね」とことも無げに言い当てて驚いた。
回転しているスプロケットを一目見て、どのタイプのスプロケットを使っているかはふつうにわかるようだ。
まあ、自分のような素人ですら「ローが28Tだな」とか「32Tか34Tっぽいな」くらいは目視でわかるので、実業団クラスの選手が正確に言い当てられるのは驚きでもなんでもない気はする。
そういう意味でも、敵のちょっと後ろを走っているとき、息遣いだけでなく「どんなスプロケットを使っているか」も観察すると良いかもしれない。
最強ホビーレーサー6人が教える ロードバイクトレーニング
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★サイクルガジェットストア そろそろ品切れに差し掛かってきました…
コメント
コメント一覧 (2)
風呂場で他のチームの選手に「いやー、体がほぐれちゃったなー。」と話を振ると、レース後で
体中の筋肉がバキバキになってる他の選手に大層ウザがられるそうで。こういうのは相当強い
選手でなければ出来ない芸当でしょうね。
それはそれは、風呂場で・・・ですかぁ。地味にいやらしいちょっかいのかけ方ですね。ワンデーよりもステージレースで多用されそう(笑)。たしかにツワモノでないとできないでしょうね。