存在は知っていたが、利用したことはないサービスに「自転車宅配サービス」がある。長距離移動するときは車か電車輪行で事足りていたので、これまでお世話になる機会はなかった。ただ、車でも電車でも厳しい長距離になると、ちょっと使ってみたい気もする。

たとえば東京方面からしまなみ海道に行くとなると片道730kmほど。これはもう新幹線輪行しかない(夜行という手もある)。が、電車で運ぶとはいえロードと荷物を抱えてその距離を移動するのはけっこうしんどい。車両内でバイクの設置場所が確保できるとも限らないし。

となると、俄然「自転車宅配サービス」が魅力的に映る。バイクを持たずに移動できると想像しただけで「じゃあ遠出してみようかな」と思えてしまうほど。ということで、自転車宅配サービスの「シクロエクスプレス」について調べてみた。ウェブサイトを調べてわかること以外に、書かれていないことは株式会社シクロエクスプレスさんに問い合わせて情報を教えていただいた。

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※スクショは公式サイトより

ちなみに同様のサービスで西濃運輸の「カンガルー自転車イベント便/輸送便」というのもあるが、今回はシクロエクスプレスのみで。(別の機会に調べるつもり)

目次


シクロエクスプレスってどんなサービス?

スポーツ自転車専門の宅配便サービス。ロードバイクだけかと思いきや、クロスバイク、マウンテンバイクもOK。サイズの小さいミニベロも当然問題ない。2009年にサービス開始したので10年以上の歴史がある。

ロードレースやトライアスロンの大会に出場する選手が利用することが多いそうだが、帰省や個人旅行、合宿にも使える。長期出張とか転勤、単身赴任でもかまわない。面白いのは「オークション」のやり取りでも大丈夫ということで、つまり片道配送という利用もできる。利用シーンはけっこう多そうだ。

配送料はいくらかかる?

距離によって送料は変わる。くわしくは料金表を見てほしいが、北海道~沖縄間の列島縦断な最長パターンだと12,000円(片道)。往復割引ははないので行って帰ってくると24,000円。東京からしまなみ海道だと5,800円(片道)と安くはないけど、高くもない…妥当な価格といったところ。

支払い方法は「クレジットカード決済・コンビニ決済・銀行振込」がある。自転車が自分より先に現地到着するわけなので、当然ながら着払いは対応していない

どんな箱にロードバイクを入れて送る?

当然ながら、バイクを入れる箱が必要。「配送キット」というものが有料(3,400円)で購入できる。外寸サイズは「横1260mm×奥行き375mm×高さ760mm」。箱以外にエアクッションとかホイールを入れる用のダンボール板、緩衝剤が同梱されている。3,400円は配送キットを指定場所に送る送料も込みである。なお、沖縄だと5,400円(税別)になってしまうが。

この配送キット、ダンボール製なのだが繰り返し使うことは可能だし、折りたたんで屋内保管もできる。繰り返しの利用も想定したそこそこ頑丈な作りになっているので、毎回3,400円かかる…ということはない。なので大事に使いたい。無梱包、輪行袋では運んではくれないのでくれぐれもご注意を。

すでに輪行箱を持っている人は、それを使える。ただし、取り扱い不可のものもあるので、こちらで確認をば。


PDFマニュアルもあるが、配送キットへの詰め込み方は動画がわかりやすい。



両輪を外す必要アリ。動画で紹介されているロードバイクは小さいので、そのままで箱に入れることができていた。しかし、サイズによってはシートポストを下げる必要もあるだろう。エアキャップ、エアチューブをくくりつけて メカ類は保護。

ちなみに「海外への配送はしているのかな?」と思って聞いてみたのだが、「それはしていないです」とのご回答だった。

重量何キロまで送ることができる?

配送キットは重量制限は「30kg以内」なので相当余裕がある。15kg位を予想していたのでこれは嬉しい誤算。制限内であればヘルメット、ボトル、ライト、サドルバッグ、グローブ、ウェアの同梱も可能。備品込みでロードバイクが多めに見積もって10~12kgだとして、まだ相当余裕がある。つまり自転車関連の装備をひとまとめにして送れそうだし、なんなら現地で使う私服も送ってしまえる。移動の荷物が最低限で済ませられそうで嬉しい。うまく利用すれば、金曜日の仕事帰りにそのまま直行してしまう……なんてこともできそうだ。これは夢が広がる。

フレームサイズによってはサドルを下げたりせねばならないので、アーレンキーの一式も同梱しておいてもいいかとは思う。

やる人はまずいないと思うが、電動自転車やママチャリは不可。3辺の合計が「260cm以内」の箱に収まれば取扱いはできるのだが、一般的な電動自転車やママチャリは収まらないので。

シクロエクスプレスで送れない場所はある?

伊豆七島(伊豆大島・利島・新島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島)が送れない。 送付可能なのは以下。ただし、追加料金はかかる。

  • 北海道:利尻島(6,000円)
  • 新潟:佐渡市(2,500円)
  • 沖縄:石垣島・宮古島(16,000円)
  • 沖縄:久米島(6,000円)
  • 鹿児島:屋久島(5,000円)
  • 鹿児島:奄美大島・徳之島(8,000円)
  • 広島県:廿日市市(宮島)(1,500円)
  • 愛媛県:越智郡上島町、松山市(中島)(2,000円)
  • 長崎:五島市、対馬市、壱岐市(2,000円)
※金額は通常運賃以外にかかる追加料金

シクロエクスプレス申込時の注意点

シクロエクスプレスのウェブサイトから申し込んで、その後に入金する。入金が確認されると配送キットが送られてくる。なので日数には余裕を持って申し込む必要あり。伝票は集荷時にドライバーが持参するのでこちらで用意しなくてもOK。受け渡しは路上や広場では不可で、自宅とかホテル等の場所である必要がある。

なお、手配後のキャンセルはキャンセル料が発生し、発送後のキャンセルは不可となる。ということは、もしも悪天候でイベントがキャンセルになってしまった場合でも、バイクだけは現地に到着してしまう…ということか…。最悪、ホテルに連絡して再び佐川さんに集荷してもらうことになりそう。この場合の往復の送料は自分負担なのは言うまでもない。

配達先は自宅や宿泊先、もしくは佐川急便の営業所留めを設定すること。大島を含む伊豆七島などの離島、またシクロエクスプレスの受渡し窓口のない空港などは設定できないのでご注意をば。

佐川急便の配達時間帯指定が可能な地域であれば、午前中、12~14時、14~16時、16~18時、18~20時で配達希望時間帯を選ぶことができる。ただし、交通状況や配達状況によって時間は前後する場合があり、時間帯はあくまで目安である。何時必着という形での配達はしていない。

ホテル等での荷物の受け渡し方法

宿泊先(ホテル)等での集荷・配達を申込む場合、予め自転車等の大きな配送荷物の預かりが可能かどうかは利用者自身で確認しておかねばならない。(あまりないとは思うが)宿によっては受け取りや保管はできないって言われるかもしれず、その場合はシクロエクスプレスは使えない。

あと、帰りの際に「バイクの集荷時間より先に自分がホテルを出発する」場合もあるだろう。その際には、ホテルの方に集荷予定日時と佐川急便のドライバーが集荷にやって来る旨を伝えておくこと。なお、伝票はドライバーが持ってくるので客側で用意するものはない。

オークションのやりとりにも利用可能

出品者・落札者どちらの方でも申込が可能。
手渡しが難しい場合、こういう方法もあるということで。

輸送中に事故があった場合は?

もっとも心配なのが輸送事故だろう。佐川急便の賠償責任には責任限度額(荷物1個につき30万円)があるにはある。

シクロエクスプレスのサイトにはこう書かれている。

受取時に配送キットやケース等に破損がある場合、速やかに配達店にご連絡ください。配達店の担当ドライバーと損傷の確認が取れないもの、佐川急便の免責事項に該当するものに関しては、保険の適応範囲外となりますので、ご注意ください。輸送事故があった場合は佐川急便とお客様のやりとりとなり、弊社は関与致しませんのでご了承願います。

あくまでシクロエクスプレスはサービス提供者なので、運送そのものの責任は取らない。委託先の佐川急便と利用者間で交渉することになる。自分はいまだかつて運送サービスでモノが破損してたって経験はゼロなので、ちゃんと梱包すればほぼほぼ問題は起きないとは思うが、心に留めておいたほうがいいとは思う。


ということで、不安要素がゼロではないけど、うまく活用すれば一味違った自転車旅行体験ができるのは間違いない。新型コロナが収束したらシクロエクスプレスを利用して遠出してみたい。

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※富士山五合目のホテルで受け取れば、ダウンヒルだけする…のも可能ではある(笑)。


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