仲間と3人で富士チャレンジ200に参加してきたお話しの続き。
前回はツインリンクもてぎと富士スピードウェイの両方を走った経験を元に、データと並べて比較してみたんだけど、今回は「雨天時の安全なサーキット走行のコツ」について。
参加した3人共に富士スピードウェイは未経験だったので、試走も兼ねて『安藤コーチによる初心者講習会』という事前レッスンに参加させてもらった。 当日は雨模様だったこともあって、3人共に不安を抱えており、結果的にこのレッスンを受けておいてとてもよかった。そこで、皆様にも情報共有したいと思った次第である。
なにしろサーキット走行はスピードがむちゃくちゃ出る。信号も歩行者もない専用道路なのでスピード制限もない。ごく普通の体力の人でも、下りで回せば軽く時速50キロは出る。オラオラオラ~っと踏めば時速60キロも出せてしまう。時速50キロを越えると、街中では味わえない快感が沸き起こってきて、別世界が楽しめる。 「あぁ、これがきっとプロサイクリストの走っているスピード感なんだろうな」という考えも一瞬よぎる。
しかし、走り慣れていないスピードを出した状態のときに前走者が急にスピードを落としたり、最悪落車が起きてしまったときに危険回避できるか?それを把握していないと、巻き込まれる可能性が高い。
プロサイクリスト(に近い)スピード域で走っているときに、ハンドサインは片手運転になってしまうのでむしろ危険だし、そんな悠長なことをしている余裕もない。よって、声でのコミュニケーションが必須。
ポイントはシンプル。「理解しやすい単語(&フレーズ)を大声で」である。文章をしゃべるのではなく、「ブレーキ!!」、「右!!」、「左!!」、「落車!!」の4つを覚えておけばいいとのこと。
声はリレーのように前から後ろに伝えていくのも大事な点。前方で「落車!!」と叫びを聞き、「そうか落車か、ではスピードを落とそう」ではなく、自分も「落車!!」と叫んで後続に伝える義務がある。さもないと、自分が減速した後に、聞こえていなかった後続が自分に突っ込んできて、二次災害を引き起こしてしまうかもしれないから。
前を向かって後方に伝えるわけなので、ちょっとやそっとの声では伝わらない。ロードノイズもあるし、雨天時はなおさらノイズが大きい。怒鳴るくらいの気持ちで発声しよう。 「自分の身を守るためにも、大声で周囲に伝え合うことを心がけましょう」とのことだった。
なにかあったときに止まることができるか、ブレーキをかけてから静止できるまでに何メートル必要なのか、どのあたりでタイヤがグリップを失うのか、「それらを知識としてではなく、感覚として覚えておくべき」との教えだった。
そこで、サーキットの脇のスペースを使って、走っては止まる、走っては止まるを繰り返した。「なるほど、たしかに急ブレーキをするとリアが滑る感覚があるな」とか、「路面もリムも濡れていると、ふだんの6~7割の制動力しか発揮しないな」ということが体感できる。
自分の使っているシャマルミレ(カンパニョーロ)は、リムが電酸化処理されているために雨天時のブレーキング性能が落ちにくいという特徴があるんだけど、それでもハッキリと「静止できるまでの距離が予想よりも長い」のでビビった。電酸化処理加工されたシャマルミレのリムですらそうなのだから、ふつうのアルミリムはなおさらだと思う。
ちなみに、チューブラーのカーボンホイールで出場した知人も、「うわっ、ぜんぜん止まらない…!」って驚いていた。アルミだろうが、カーボンだろうが、雨天時の走行はいつも以上に慎重になっていただきたい。
さて、エンデューロ等のサーキットイベントでは、まず間違いなくスタート1時間前くらいから試走タイムが設けられている。個人的には、やっておくことをオススメしたい。初めてのコースであればなおさらだし、雨天であればゼッタイやっておいて、「お、ここが危なそうだな」とあらかじめ知っておくべし。
試走するには現地の到着時間を早めなければならず、ひいては出発時間(起床時間)を前倒しする必要があるので、「めんどくせぇ…」って感じるかもだけど、その価値はある。
※蛇足だけど、試走って人が少なくって、しかもゆっくりめに走れるので、風景を楽しむ余裕もあるし、じつはすんごく快適で楽しかったりするよ(笑)。
その理由は、「目線を向けた方に、無意識に身体が近づいてしまう」から。これはなんとなく言わんとしていることはわかる。公道で走っているとき、自分の右側を大型ダンプやトレーラーが通り過ぎようと近づいてくると、怖くなって、つい車体に目を向けてしまうことがある。これをすると、高い確率で吸い寄せられるように近づいてしまうのだ。
自転車を始めて間もないころ、その情報を書籍から仕入れていた自分は、「んなことってあるんか?」と首を傾げたものだったが、果たして本当であった。だから今は車体を直視するようなことはせず、視野の端っこで「うむ、バスが来るのか」といったかんじで視線は走行方向を据えたままにしている。
車道に慣れていなかったころのオクサマは、大型車両の多い幹線道路を走るのが苦手で、自転車1年目は、「お願いだから常に荒川サイクリングロードを走ろうよ。車道を一切走らずにサイクリングを楽しむルートを考えてよ。バスやトラックと並走するなんて、狂気の沙汰でしかないよ」と半泣きだったが、徐々に慣らしていった過去がある。
今ではオクサマも、恐怖心を飼いならすことができるそうで、ほぼどんな車道でも走れるまでに成長した。
サーキットでの集団走行では、ふだんより速いスピードで、ふだんより近い距離に、しかも前後左右にたくさんのローディがいるわけで、初めて経験するとけっこう怖い。 「この状況で一人こけたら…確実に全員お陀仏やんけ…」という恐怖を味わうことと思う。
サーキットを走る際は、我が身を守るためであるのは当然として、自分のミスが大勢の迷惑になる可能性をしっかり認識しておきたいものである。みなさまにおかれましても、サーキットにお出かけの際は、
1.コミュニケーションは声(ハンドサインではなく)
2.ブレーキ性能と制動距離を確認
3.左右は周辺視野で、目線は進行方向に
をお忘れなく!
\(^o^)/
前回はツインリンクもてぎと富士スピードウェイの両方を走った経験を元に、データと並べて比較してみたんだけど、今回は「雨天時の安全なサーキット走行のコツ」について。
参加した3人共に富士スピードウェイは未経験だったので、試走も兼ねて『安藤コーチによる初心者講習会』という事前レッスンに参加させてもらった。 当日は雨模様だったこともあって、3人共に不安を抱えており、結果的にこのレッスンを受けておいてとてもよかった。そこで、皆様にも情報共有したいと思った次第である。
サーキット走行のコツその1: ハンドサインではなく、声でコミュニケーション
ハンドサインをまったく使わないというわけではないし、実際に使う場面は結構あるんだけど、安藤コーチが指摘していたのは「下り」と「停止」の場面において。なにしろサーキット走行はスピードがむちゃくちゃ出る。信号も歩行者もない専用道路なのでスピード制限もない。ごく普通の体力の人でも、下りで回せば軽く時速50キロは出る。オラオラオラ~っと踏めば時速60キロも出せてしまう。時速50キロを越えると、街中では味わえない快感が沸き起こってきて、別世界が楽しめる。 「あぁ、これがきっとプロサイクリストの走っているスピード感なんだろうな」という考えも一瞬よぎる。
しかし、走り慣れていないスピードを出した状態のときに前走者が急にスピードを落としたり、最悪落車が起きてしまったときに危険回避できるか?それを把握していないと、巻き込まれる可能性が高い。
プロサイクリスト(に近い)スピード域で走っているときに、ハンドサインは片手運転になってしまうのでむしろ危険だし、そんな悠長なことをしている余裕もない。よって、声でのコミュニケーションが必須。
ポイントはシンプル。「理解しやすい単語(&フレーズ)を大声で」である。文章をしゃべるのではなく、「ブレーキ!!」、「右!!」、「左!!」、「落車!!」の4つを覚えておけばいいとのこと。
声はリレーのように前から後ろに伝えていくのも大事な点。前方で「落車!!」と叫びを聞き、「そうか落車か、ではスピードを落とそう」ではなく、自分も「落車!!」と叫んで後続に伝える義務がある。さもないと、自分が減速した後に、聞こえていなかった後続が自分に突っ込んできて、二次災害を引き起こしてしまうかもしれないから。
前を向かって後方に伝えるわけなので、ちょっとやそっとの声では伝わらない。ロードノイズもあるし、雨天時はなおさらノイズが大きい。怒鳴るくらいの気持ちで発声しよう。 「自分の身を守るためにも、大声で周囲に伝え合うことを心がけましょう」とのことだった。
サーキット走行のコツその2: ブレーキの制動力と距離を確認
ふだんより遥かに速い速度で走れるサーキットはたいへんに気持ちが良いものだが、そのぶんブレーキングには細心の注意を払わなばならない。集団走行でそのことをわかっていない人が一人でもいると、集団全員が迷惑を被る。なにかあったときに止まることができるか、ブレーキをかけてから静止できるまでに何メートル必要なのか、どのあたりでタイヤがグリップを失うのか、「それらを知識としてではなく、感覚として覚えておくべき」との教えだった。
そこで、サーキットの脇のスペースを使って、走っては止まる、走っては止まるを繰り返した。「なるほど、たしかに急ブレーキをするとリアが滑る感覚があるな」とか、「路面もリムも濡れていると、ふだんの6~7割の制動力しか発揮しないな」ということが体感できる。
自分の使っているシャマルミレ(カンパニョーロ)は、リムが電酸化処理されているために雨天時のブレーキング性能が落ちにくいという特徴があるんだけど、それでもハッキリと「静止できるまでの距離が予想よりも長い」のでビビった。電酸化処理加工されたシャマルミレのリムですらそうなのだから、ふつうのアルミリムはなおさらだと思う。
ちなみに、チューブラーのカーボンホイールで出場した知人も、「うわっ、ぜんぜん止まらない…!」って驚いていた。アルミだろうが、カーボンだろうが、雨天時の走行はいつも以上に慎重になっていただきたい。
さて、エンデューロ等のサーキットイベントでは、まず間違いなくスタート1時間前くらいから試走タイムが設けられている。個人的には、やっておくことをオススメしたい。初めてのコースであればなおさらだし、雨天であればゼッタイやっておいて、「お、ここが危なそうだな」とあらかじめ知っておくべし。
試走するには現地の到着時間を早めなければならず、ひいては出発時間(起床時間)を前倒しする必要があるので、「めんどくせぇ…」って感じるかもだけど、その価値はある。
※蛇足だけど、試走って人が少なくって、しかもゆっくりめに走れるので、風景を楽しむ余裕もあるし、じつはすんごく快適で楽しかったりするよ(笑)。
サーキット走行のコツその3: 視線は前方に置き、左右は周辺視野で捉える
安藤コーチから言われて、「なるほど…その発想はなかった」と思ったのが、「(集団走行中は)目線を左右に振らないこと」だった。「視線は常に正面に置き、左右は周辺視野で捉えるようにしましょう」というアドバイスである。その理由は、「目線を向けた方に、無意識に身体が近づいてしまう」から。これはなんとなく言わんとしていることはわかる。公道で走っているとき、自分の右側を大型ダンプやトレーラーが通り過ぎようと近づいてくると、怖くなって、つい車体に目を向けてしまうことがある。これをすると、高い確率で吸い寄せられるように近づいてしまうのだ。
自転車を始めて間もないころ、その情報を書籍から仕入れていた自分は、「んなことってあるんか?」と首を傾げたものだったが、果たして本当であった。だから今は車体を直視するようなことはせず、視野の端っこで「うむ、バスが来るのか」といったかんじで視線は走行方向を据えたままにしている。
車道に慣れていなかったころのオクサマは、大型車両の多い幹線道路を走るのが苦手で、自転車1年目は、「お願いだから常に荒川サイクリングロードを走ろうよ。車道を一切走らずにサイクリングを楽しむルートを考えてよ。バスやトラックと並走するなんて、狂気の沙汰でしかないよ」と半泣きだったが、徐々に慣らしていった過去がある。
今ではオクサマも、恐怖心を飼いならすことができるそうで、ほぼどんな車道でも走れるまでに成長した。
サーキットでの集団走行では、ふだんより速いスピードで、ふだんより近い距離に、しかも前後左右にたくさんのローディがいるわけで、初めて経験するとけっこう怖い。 「この状況で一人こけたら…確実に全員お陀仏やんけ…」という恐怖を味わうことと思う。
サーキットを走る際は、我が身を守るためであるのは当然として、自分のミスが大勢の迷惑になる可能性をしっかり認識しておきたいものである。みなさまにおかれましても、サーキットにお出かけの際は、
1.コミュニケーションは声(ハンドサインではなく)
2.ブレーキ性能と制動距離を確認
3.左右は周辺視野で、目線は進行方向に
をお忘れなく!
\(^o^)/
コメント
コメント一覧 (4)
逆に、カーブでは「曲がろう、曲げよう」ではなく、カーブのその先に視線を向ければ自然に曲がっていくのが自転車、といえますね。
と書いたところで気づくのは、身体運動的にスキーと自転車はほんとうに共通項が多いなぁ、ですね。
スキーヤーがオフシーズンの練習で自転車に乗るのはうなづけます。
勉強になります!!!!
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給水時にちょっっとふらつくこともありますからね。私も前後左右に人がいるときは、片手運転にならないように気をつけています。
>スキーヤーがオフシーズンの練習で自転車に乗るのはうなづけます
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そうなんですか。知りませんでした。体重移動とか、スピード感とか、たしかにスキーに似ている気がしますね。
>知識で覚えるのではなく、感覚で覚えるのですね
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とくにサーキットでの走行は、習うと同時に慣れも必要だと思います。初めてもてぎで走ったときは、ものすごい緊張感がありました。