ひとつの世界にいったん染まってしまうと、かつての知らなかった昔には戻れない…なんてことはよくあります。

趣味の世界もそうだし、仕事でも同じでしょう。最近、印象的なシーンに連続で出くわしまして、それは「フロントディレイラーの操作」でした。

そういえば、フロントディレイラーって初心者にとっては地味に使い方がややこしいかも?と改めて思わされたので、どう説明→解決したかをまとめてみます。



目次


平地なのにすごく苦しそうに見えた

一人は男性(アラサー)、一人は女性(20代)。

男性は初のロードバイクを買って三ヶ月目で、女性は人生2回目のロードバイク…という初心者の方です。

どっちのケースも、フロントディレイラーがうまく使えていないために、快適に走れていない状態でした。いっしょに走ってて、なんとなく違和感があったので、しばらく観察していたら、ギア比が合ってないのと、フロントディレイラーがインナーに入ったまま

リアはトップに入った状態。つまりインナートップ。
漕いでも漕いでも進まない…ので苦しそうに見えたわけです。

自転車の専門用語は通じない

「フロントをアウターにしたほうがいいよ」と伝えても、「はて?アウターとは?フロント=前って意味は分かるけど、ギア操作における『前』ってなんのこと?」って反応だったので、「そうか、自転車用語じゃない言葉で説明せねば」と思いました。

自転車を停め、ロードバイクには前後にギアがあり、右手がリア、左手がフロントの変速に使うことを說明。

「左手にもギアがあるけど、そういうことだったのか」

と、ここで初めて『左手=前側変速』と認識してもらえました。

リアの操作概念はわかりやすいが、フロントはそうではない

2人とも、リア変速はすぐ理解しました。なぜならシンプルだから。

  • カチカチと小さいレバーを押す→重くなる
  • ブレーキレバーごとレバーをぐいっと押す→軽くなる

ここの說明は秒で終わります。

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しかし、難しいのがフロント変速。
なぜなら、左右での変速操作が逆だから。

  • リアの変速と同じように小さいレバーを押すと、逆にインナーに入って軽くなる
  • 重くする(戻す)には、ブレーキレバーごと押し込まねばならない

これが、ややこしさに拍車をかけているわけです。

「フロントメカを重くしよう」って指示に対し、「OK!右手のリアと同じように、小さいレバーを押せばいいのね」って発想になるんですね。でも、逆に軽くなって「あれ?」となる。

「左右の操作は逆だよ。リアを重くしたいときは小さいレバー、でもフロントの場合はブレーキレバーごと…なんたらかんたら」って張り切って說明すると、「まって~理解が追いつかない」ってなります。

「前後メカの操作を正しく伝えるのって、意外に難しい…」と感じました。

チェーンとギアの位置を見せて說明を試みる

ギア比を概念として説明するのがマズイのかも?と考え、今度はチェーンの位置を見せながら説明してみます。

ここでもリアはわかりやすく、

・小さい歯:重い
・大きい歯:軽い


とすぐ理解してもらえました。

慣れ親しんだママチャリや、子供の頃の自転車の記憶とリンクしやすいみたいです。

驚いたのがフロントで、

・小さい歯:軽い
・大きい歯:重い


…と説明してようやく、「リアと逆なんだ!」「大きい歯(前) × 小さい歯(後) = 最大に重いギアなのか~」って反応が返ってきたこと。

そうか…そうだったのか…とこっちもびっくりしました。道理で、インナーに入ったままのフロントチェーンを見せても「これの何が問題なの?」というリアクションだったわけです。

2020-08-05 17.24.38

チェーンの位置でもって、軽いギア or 重いギア or 中間の概念をわかってもらえました。これで、「今後、ギア選択で違和感があったら、信号待ち等でチェーンの位置を確認すればよいのだ」と安心してもらえました。

レバー操作以前に、「チェーンの位置とギアの重さの関係」を理解してもらうことの大切さを私も知りました。

概念がつかめると、レバー操作もスッと頭に入る

チェーンを見て「今は重い(or 軽い)」が理解できると、安心してギア操作の說明に入れます。

そもそもチェーンの位置関係を理解していなければ、ギア操作の意味もわからないですからね。

「左右で逆になる」という說明は刺さらないので、もっとシンプルにしてみました。

1.「フロント(右)はいったん忘れよう。右手だけのギア操作(小レバー=重い、両レバー=軽い)だけでOK」

これだけです。
前述の通り、ここはすぐに理解。

2.「平地を走るときは、左のギアは触らなくてOK!」

ただし、前のチェーンが大きい方のギアに乗っていること。これだけ。

ギアが軽すぎで進まない…と感じたら、信号待ちで足元に目を落として、チェーンが大きい方にあるか確認しよう!としました。

3.「リアの操作は、坂がきつい…もう踏めない…となるちょっと前に!」

リアの操作は、「もうこれ以上軽くならない…」ってなったときの最後の手段として、としました。

(関東圏の)街中や河川敷を走るとき、フロントを落として登るシチュエーションはめったにありません。であれば、フロントギアは普段は触らない「緊急事態用」ってことにし、まずはリア操作だけで快適に走れるようになればよいのです。

フロントとリアを織り交ぜて微調整できるようになるのは、追々で大丈夫だと思いました。まずはリアを習得し、次にフロントの役割を学ぶ…というふうに、順を追って慣れていけばOKでしょう。


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2人とも、フロントをアウターに入れた途端、「うぉぉぉぉ!!めっちゃ走る!快適だぁ~」って反応をしてくれました。

その後、買って3ヶ月になる青年は、「左のギアは、意味がよくわからないから、ずっと触っていなかったんです」と証言してくれました。

「ロードバイクって速い乗り物って聞いていたけど、ぜんぜん進まないじゃん…でも、こういうものなのかな。自分の期待が大きすぎたのかも…」って疑問を抱えながらずっと乗っていたようで、ということは、買った時点がフロントがインナーだった…ということ。あるいは、何かのはずみでインナーに落とし、そのままだった…か。

納車時にショップで操作法は教えてくれたそうですが、サラッとでしかなくて、ぜんぜん伝わっていなかったんでしょうね。

ロードバイクはすっごく速くて、快適な乗り物だとようやく知れました!

と喜んでもらえたので、一件落着です(^^)

初心者の方が窮屈そうに走っていたら、もしかしたら上記が一因かもしれません。


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