オクサマと自分は2010年からミニベロを嗜むようになったため、自転車歴はそこそこある。

しかし、歴の長さが経験の豊富さや知識量の多さを示すわけではない。とくにオクサマの機械に関する無知さはハンパなく、これまでに数々の勘違いをしてきた。

06

たとえば、「フロントディレイラーはリアディレイラーの一番軽いギアを使い切った後でないと操作できない」という思い込みがあった。アウターローで坂を苦しみながら登り、「もうあかん」となったらフロントをインナーに落とすわけ。あとはそのまま。 

>> 「フロントディレイラーをインナーに落としたら、リアディレイラーを動かすことは許されないし、動作しない」という、オクサマのトンデモ勘違い


彼女のリアディレイラーは6700系アルテグラ×フロント2段なので合計20段なのだが、勝手に「10段+1段の11段」だと思い込んでいたわけ。いったんインナーローにしたらリアディレイラーは操作できないってずっと信じていたのだ。

重すぎるギアか軽すぎるギアしか使えず、坂で難儀していた彼女を見て、「なんか走り方が決定的におかしい…」と気づいたのは、フロントディレイラーを使い始めて一年近く経過してからであった。とまあ、これくらい機械オンチなオクサマが、また新たなトンデモ勘違いを披露してくれたので、謹んでご報告したい。

電動コンポーネント解説しているときに事件は起きた

越谷市にあるレイクタウンイオンモールに出かけたある日、ワイズロードに立ち寄った。ぶらぶらとウィンドウショッピングしていたとき、トレックのドマーネSL6(ディスクブレーキ仕様&Di2デュラエース)に目がとまり、「かっこいいねえ」、「そうだねえ」と他愛のない会話していた。


J( 'ー`)し ねえ、ここ(※リアディレイラー)からビヨーンって伸びてる紐(※シフターケーブル)が、このトレックはたらーんとしているけど、どうして?

無題
※電動コンポーネントのケーブルはテンションが掛かってないので、ダランとしてる

Di2は電動なので、シフターケーブルは存在しない。電気を送るケーブルがあるが、べつにテンションをかけてあるわけではない。よくそんな部分に気がついたなと感心しながら、


(´・ω・`) 「これは電動コンポーネントなんだよ。ワイヤーで操作しているわけではないからこうなっているの」

J( 'ー`)し あ、そう…

(´・ω・`) 「オレもいつか使いたいなって考えているけど、高いからちょっとね」


R8000アルテグラのDi2を密かに狙ってる身ゆえ、こういう機会を利用して細かく洗脳しておこうと考えた。しかし、それを聞いたオクサマは怪訝な顔をする。


J( 'ー`)し いや、電動コンポーネントは使わないほうがいいんじゃないかなあ。なんか、あなたには似合わないというか、向いていない気がする


うーむ、こちらの狙いを読み取ったのか、ピシャリと否定して「買わせないわよ作戦」を仕掛けてきたようだ。それにしても、何を根拠に電動コンポーネントが夫に似合わないと言い切るのか。どうせ適当なでまかせを言っているだけにすぎない。

そこで、電動コンポーネントのメリットを力説した。ヒルクライムやロングライドの終盤は疲れているのでディレイラーの操作ですら重たく感じること、とくにフロントディレイラーのケーブルを押し込む動作は指と手首にけっこうこたえること、ツールド妻有のような100キロ以上のヒルクライムでのラスト20キロは左手首がマジで死ねること、グランツール選手や国内トッププロのバイクの主流は電動コンポーネントであり、ホリデーライダーだって使わない理由はないこと…。

すると、オクサマが軽く怒り出した。


J( 'ー`)し えっ!プロ選手って電動コンポーネントを使っているの?それ、許可されているんだ?

(´・ω・`) 「けっこう前からそうだよ。いや、コンマ何秒の世界で戦う選手にとっては、変速操作のスムーズさで勝敗も分かれることがあると思うよ。まあ電動じゃないコンポーネントを使っているチームや選手もまだいるけどね」

J( 'ー`)し いやいやいやいや、邪道でしょ?スポーツとしてあるまじき行為じゃないの?


なんか会話が噛み合っていないな…と思い、「まさか」と閃いた。勘の良い方々ならすでにピンときていたであろう。そう、彼女は「電動コンポーネント=電動アシスト」だと思い込んでいたのである。


(´・ω・`) 「…えっと、電動コンポーネントって、ギアの操作だけを電気でするって意味だからね?電気がペダリングのアシストをしてくれるわけじゃないよ」

J( 'ー`)し ん?

(´・ω・`) 「電動コンポーネントを使っても、べつに坂を楽に登れないよ。ペダリングの動力源ではないんだからね」

J( 'ー`)し …あっ(察し)


ビンゴであった。道理でツールドフランスの選手の大半が電動コンポーネント使っているよ…のくだりで目を向いて「ずるい、ひどい、そんなの純粋な競技って呼べない」とわめき始めたわけだ。

周囲にお客さんもいたので、「なんて低レベルな会話をしているんだろう」と呆れらたのは間違いない。我々は恥ずかしさのあまり、何も買わずにコソコソと退店したのであった。


電動コンポーネントの存在は知っていたそうだが、ずっと「体力がない人のための特殊な機材」という認識だったんですって。これでまたひとつ、彼女は賢くなれた。

種明かしされれば、「あなたには向いていない」という否定もまあ理解できる。「どんな激坂でも、己の力だけで登れよ」というエールだと受け止めた。(言い換えれば、電動コンポーネントを買える可能性はわずかながらあるということか…ふふふ)

03
※前からアホだとは思っていたが、まさかここまでとは…


余談だが、店内にあるロードバイクを眺めていて、オクサマが「セクシーでマジカッコイイ。店内のバイクの中でダントツに美しい」と大絶賛していたのがピナレロのドグマ(フレーム価格79万円くらいだったような)だった。本当に優れたデザインは、機械オンチ&知識ゼロの彼女すら魅了してしまうのだなあと妙に感心してしまった。

キャノンデールは「ふーん」で、トレックは「まあまあかっこいい」で、コルナゴは「もっとカッコいいって期待してたんだけど、大したことないね」って評価だった。

まあ、価格差がありすぎるので純粋な比較とは言えない。コルナゴなんて、完成車で15万円くらい廉価版だったし、それとドグマを比較するのはレクサスLSと日産マーチを比べるくらい不毛だ。コルナゴの上位モデルなんて、息を呑むほど美しいからね。

自分はピナレロの一分の隙もない、問答無用なかっこよさがなんとなく鼻に付くので、トレックのドマーネ6(ディスクブレーキ仕様)のほうが好きになった。

以上、電動コンポーネントと電動アシストは月とスッポンの差がありますよというお話でした…。


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