ビンディングペダルをSPDからエッグビーター3に交換して200キロほど走ってみた。使い心地に大きな差はないのでとくに慣れは必要ないけれど、細かな部分でSPDとはちょっと違うので、エッグビーターの感想、メリット、デメリットをまとめてみる。

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「エッグビーターとかクランクブラザーズってそもそも何?」って人はこちらをどうぞ。

クランクブラザーズの「エッグビーター」とはどんなペダルなのか



目次


エッグビーターのデザインに惚れた

まるで棒のようなスッキリしたデザインが良い。自転車に乗らない人が単体でエッグビーターを渡されたらきっとなんの道具かわからないんじゃなかろうか。このデザインが気に入って交換してみたのだが、細いパイプのクロモリには似合う気がする。

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重量は280グラムなのでまあまあ軽いほう。ただ、もともと使っていたPD-A600が286グラムと、SPDの中では相当軽い部類なので実はほぼ変わらない。まあ、かっこいいから許す。

エッグビーターの取り付け方法

いちおうパッケージには取扱説明書が付いてくる。が、QRコードを読み込むタイプで日本語での用意がない。あるのはドイツ語、イタリア語、英語、フランス語、ポルトガル語、スペイン語、中国語…の7カ国語のみ。まあ、とくに難しい使い方ではないし、はめ込むだけなので不要だけど。

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まず悩むのは左右のペダルがどっちかわからない問題。なんせ見た目が瓜二つなのだ。LとかR表記はないだけで、左右のペダルはちゃんと決まっている。取付時には要注意。見分け方は「シャフトの付け根の部分に一本線が入ってる」かどうか。左ペダルは線が入ってて、右ペダルはツルッとしている。

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なお、ペダルをクランクにねじ込むときはグリスを塗っておきましょう。(そのままだと固着しやすいので)

金色のクリートのせいでちょっと気分が上がる

見た目が派手で、お~って気分になるが真鍮製なのでわりと削れやすいそうな。実際、数回走ってすぐ傷だらけになった。消耗品なのでまあよいのだが。

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※これは新品(クリートにはLとRの表記有り)

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※200キロ後(あっという間に傷だらけw)

シム(スペーサー)が付属されており、これはクリートの高さが不足する場合、靴底とクリートの間に入れて底上げするために使う。シューズとの相性があるので、「なんじゃこりゃ?」と捨ててしまわないように。

エッグビーターのキャッチ感はSPDと大差なし

装着感はSPDと大差なく、パチっと音がするし手応えもある。4面あるので探りながら装着する必要がないのが良い。適当に踏み込んでもスコンとハマってくれる。ペダルの脱着って無数に繰り返すので、こういうのってとてもありがたい。街中を走る機会が多い人にはメリットだと思う。

ただ、棒の上に足を乗せるかんじなので、クリートをキャッチする面は狭い印象だった(すぐ慣れたけど)。あまりにハマりやすくて手応えが薄くいせいか、初日は「あれ?ハマっている?ハマってない?どっち?」って脚をひねって確認することが何度かあった。

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地味に便利なのが「つま先側からでも、カカト側からでも装着できる」こと。カカトから装着するシーンなんてないでしょって思ったけど、クリートが前にずれたときは「えいっ」と足を引くように戻すと装着できて「なるほど、意味がある」と感じた。前からでも後ろからでも雑に装着できるのは、ものぐさな自分にはピッタリ。

エッグビーターのリリースはラクすぎてビビる

足首をちょっとひねるだけでヌルッと外れる。しかも音がまったくしない。SPDはそれなりにカカトに力を加えてひねる必要があったし、バチって音がしたものだったが、エッグビーターはラクすぎて怖いほど。「ダンシングでめっちゃもがいたら取れるんじゃないか?」とすら思った。しかも、バネの硬さが調整できない(シマノ等はできる)のでそのままで使うしかない。めちゃくちゃパワーがある人が本気でスプリントしたらちょっとどうかな……あまりオススメしないかも。レース志向ならSPD-SLとかLOOKのほうがベターだと思う。

いちおう、激坂で何度かもがいてみたけど大丈夫だった。(MTBで使われるペダルなのでそりゃそうだ)

エッグビーターのペダリングはケイデンス重視っぽい

いったんはめてしまえば、走行中の印象はSPDとほぼ変わらない。とういうか、何も変わらないので慣れるもへったくれもない。癖が全くなく、ビンディングペダルに慣れている人なら誰でも1回使えばすぐ馴染むと思う。

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やや太めの棒に脚を乗せているかんじなので、踏み込むというよりもクルクルとハイケイデンスで回すのが向いている。エッグビーターに乗っていたら、自然にケイデンス重視なペダリングになる気がする。

エッグビーターの3つの特徴

1.リリース角度を変えられる(15度と20度で選べる)

バネの硬さは替えられない代わりに、リリース角度を15度か20度で選べる。当然、15度のほうが外しやすい(角度が浅いので)。角度を20度にしたいなら、クリートを左右逆に取り付ければOK。200キロ走ってみて、15度はちょっと浅いかな?と感じたので、クリートを入れ替えて20度で使っている。外れることはないと思うが、登坂中に万が一でも外れたらイヤなので。

まず15度で試してみて、ちょっと不安を感じたら20度にすればいいと思う。

2.Qファクターが短い

正確なQファクターの計測ではないが、「ペダルの根本←→クリートがハマる中心位置の長さ」をPD-A600とエッグビーターとで比較したら、エッグビーターのほうが2ミリほど短かった。

  • PD-A600:55ミリ
  • エッグビーター:53ミリ

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左右で4ミリほど内側に狭まったわけだけど、個人的にはペダリングしやすくなって改善になった。

3.フローティングのせいで膝に負担がかかりにくい

フローティングなので遊びがけっこうあって、シューズがわりと動かせる。PD-A600よりもエッグビーター3はさらにフワフワと動く。これをどう感じるかは個人差があって、かっちりした装着感が好みの人には違和感しかないだろう。膝周りと足首がルーズになっているのが好きな自分にはすごく好みである。なので、「SPDは緩くて嫌い」って人は、けっしてエッグビーターを選ぶべきではない。

エッグビーターはこんな人におすすめ

  • 人とちょっと違うルックスを演出したい人
  • 単純にデザインが「かっこいい」と思える人
  • 街乗りが多い人(軽い力で外れるのでひんぱんなストップ・アンド・ゴーに適している)
  • 足首と膝周りに遊びのある装着感が好みの人
  • SPDのバネを最弱にしてもまだ固いって人(女性とか)
  • MTB、クロスカントリー、シクロクロスをする人

逆にレース志向の人、足元をがっちり固定したい人、タイムトライアル的に山を攻めることが多い人は積極的に選ばなくて良いかなと。

そうそう、エッグビーターはミニベロにはすごく似合うと思う。小さいホイールにはSPDのペダルですらゴツく見えてしまうものだが、エッグビーターはいい意味で主張しないので馴染む。ミニベロでビンディングペダルっていうとSPDがもっとも無難な選択肢になるけど、エッグビーターも十分あり。街乗りマシンにならむしろエッグビーターのほうが適していると思えるほどだ。

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※知人のタイレルCSI(うーむ、よく似合う)

なお、ダホンのEEZZ D3はいままでフラットペダルで乗ってきたけど、これを機に(いちばん安いモデルの)エッグビーター1に交換しようかなと考えているところである。


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