ミニベロって、そもそもフレームの選択肢がないものなので、あまりポジションをいじる要素がない。

ロードバイクほどシビアに走り(スピード)を追求しない乗り物でもあり、「ポジションはいじらず、納車された状態のまま乗ってますよ」というサイクリストも少なくないと思う。

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※ヘッドのスペーサーをマックスまで入れていたときの写真

とはいえ、50キロ以上を走るのが日常になってくると、ほんのちょっとのポジションのズレさえも気になってくる。実際、オクサマのボードウォークも複数回のカスタマイズを重ね、彼女用に最適化してきた。そのおかげで、今は80キロほどのライドでは「ぜんぜん疲れないねー」とまで言うようになった。

これはオクサマに体力がついたということではなく、「ポジションがぴったりしている」から。それほどまで、ポジションは大事である。逆に言うと、ポジションさえ出ていれば、人並みの体力でも100キロくらい楽勝で走れるもんです。

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※身長146センチで指が短いオクサマのポジション調整には、けっこう苦労した

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で、ここからタイレル(Tyrell)のCSIのお話しで、CSIはこれまで2回ポジション変更を行なってきました。 どんな経緯でどんなポジションチェンジを行なってきたか。その効果はいかほどだったかをまとめてみます。

ハンドルポストをカット

1月に買って、5月になるまではそのままで乗っていたのだが、「なんか、ハンドル位置が高くね?」と感じるようになった。乗りやすいのではあるが、あまりにもアップライト過ぎてスピードが出しにくいように感じたので、「ではハンドルポストをカットしてみるか」という気持ちになった。

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※大将にカットしてもらう

ハンドルポストをカットするときは、「もう後戻りできないぞ」というちょっとした緊張感を味わう。何センチ切るかは迷うところだが、ここは大胆に3センチほど切ることに。独断でやって、あとで後悔…ということがないよう、心配な人はお店でメカニックさんに相談するのがよいだろう。

自分の場合、すでにロードバイクでポジションがわかっていたので、それに合わせることができたのも、思いきれた理由。

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※3センチほど切りました

ハンドルを切った結果だが、バッチリであった。ロードバイクと同じ高さにハンドルを持っていったので、BOMA の Refale(リファール) と同じ感覚で乗れる。

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※記事冒頭の写真と見比べると、カットした長さがわかる

「やれやれ、これでCSIのポジションが出たぞ…」と安心しきってさらに五ヶ月ほど乗っていたのだが、今度は新しい違和感が現れ始めた。 なんとなく、ハンドルが近い感じがして、腕と脇が窮屈なのだ。

ステムを2センチ延長(暫定措置)

Refale(リファール) とCSIのトップチューブ長を厳密に計測してみたら、想像したとおりCSIのほうが短いことが判明。そのぶん、腕が窮屈に感じるのは当然の結果だ。

とりあえずの暫定措置として、ステムを延長することにした。元々ついていたのが9センチのステム。これを11センチのモノに交換しようと決意しかけたのだが、懇意にしているメカニックの大将にこうアドバイスを受けた。


( ´ー`) 「ステム延長すればとりあえずの解決にはなるけど、根本的な見直しにはならないね

(´・ω・`) 「えっ、ステムを長くしたらハンドルが遠ざかるんだから、それでいいのでは?」

( ´ー`) 「長さ的にはそうなんだけど、単純にステム延長すると、前荷重になってしまって、ポジションがアンバランスになってしまうんだ

(´・ω・`) 「なるほど…。体重がセンターにあるほうがいいですもんね。では、どうすれば?」

( ´ー`) 「ステム交換よりも、セットバックシートポストを導入した方がいいと思う

(´・ω・`) 「セットバックシートポスト??」

( ´ー`) 「こういうやつね

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※一番上の部分がやや後ろにズレた形状をしている

(´・ω・`) 「あー、Refale(リファール)もそれだ。数センチ後ろにポジションを持っていけるタイプのシートポストね。こーゆーのをセットバックシートポストって呼ぶのか」

( ´ー`) 「そうそう。いたずらに前目にポジションを持っていくのではなく、サドルを後退させたほうがキレイにポジションが決まると思う


前(ステム)を伸ばすのではなく、後ろ(サドル)を後退させるというメカニズム。理屈的にはどちらもトップチューブ長延長になるわけで、どっちでもよいのだが、迷ったら「重心がセンターに近いほう」を選んでおくとよいかなと。

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ということで、延長ステムではなく、タイレル(Tyrell)のセットバックシートポストを発注。その間の暫定措置として、大将のステム(11センチ)を借りることにした。9センチを11センチに。2センチの延長である。

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これだけでもグンと乗りやすくなったのだが、指摘されたとおり、「たしかに、やや前のめり感が否めない…」と思った。勢いでステムを買うのではなく、アドバイスにしたがってセットバックシートポストにしておいたのは賢明な判断だと思った。

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こういうとき、気軽に相談できるメカニックさんが身近にいると本当に助かる。 そして、ついにタイレル(Tyrell)から待望のセットバックシートポストが届いたのである…。

セットバックシートポストを導入し、ステムを元に戻す

ぱっと見はデフォルトのシートポストと同じ。どっちもアルミだし、色はブラック。モノ自体に高級感があるわけではなく、ごくごくふつうのアルミシートポストといった佇まい。

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交換そのものもカンタン。アーレンキー1本で数分で終わる。ただし、サドルの取り付け角度は好みが分かれるし、サドルとハンドルの落差にも左右されるので、微調整が必要。

ちなみに自分は「水平 or やや下がり目」が好み。角度をちゃんと合わせておかないと、「股間が不快…圧迫感が…」ということになる。このあたりは何度か試乗を繰り返しながら最適な角度を探ろう。

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ということで、セットバックシートポストにした結果は大正解。ステム延長ではなく、サドル後退で2センチ拡張し、ちょうどピッタリのポジションを見つけることができた。

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※元のストレートのシートポスト(左)に対して、セットバックシートポスト(右)はオフセットしていることがわかる

ためしにオクサマと葛西臨海公園まで行き、そのついでに都内をグルっと周遊して90キロ走ったのだが、これがもうぜんぜん疲れない。むしろ物足りないレベル。ポジションがいかに大切かを思い知らされたと同時に、大将に深く感謝したのであった。

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ということで、ポジション調整に迷ったら、いたずらにステムを伸ばす以外に、サドル調整(角度と位置をずらすこと)も試してみてはいかがでしょうかというご提案でした。
(*^^*)