お恥ずかしながら、現代のカーボンフレームってほぼモノコック製法一択だと思っていました。

(厳密には間違いではないようなのです)が、じつはいろんな製法があるってことを最近学びました。

大きくわけると、

  • モノコック
  • ラグド
  • チューブtoチューブ
  • ボンデッド

の4つがあるそうです。

どんな製法の違いがあるのか、メリットとデメリットについて知人の桑田さんに教わって勉強になったので、備忘録兼ねつつ、まとめてみます。

目次


モノコックとは

高い精度の金型でフレームを丸ごと成型する方法です。

1928

正確には「モノコックかつオートクレーブ=特殊な圧力釜で焼成する製法」とか、「RTM=レジントランスファーモールディングス=TIMEの独自製法」に分かれますが、細かくなりすぎるのでここではカット。


※オルベアの製造風景です(モノコック)

モノコックのメリット

1.とにかく軽量(にすることは可能)

2.メーカーが意図する走行性能に割りきったフレームにできる

3.金型があれば量産が可能なので、製造コストや製造時間が比較的抑えられる


軽量フレームをうたうほとんどのフレームはモノコック。

ラグのようにパーツを結合する部分が少ないので、高剛性かつ軽量になり、ヘッドとかボトムブラケットあたりの設計自由度が増します。

ちなみに、UCIワールドチームともなると、中身もジオメトリも既製品とは違い、各選手用のワンオフ(特注品)だそうな。フレームだけでなく、ステムの長さや角度もより細かく刻んでいたりしますよね。

で、プロコンチネンタルとかだと資金力にもよりますが、市販品をそのまま使うことが多い…とのこと。

モノコックのデメリット

1.割りきった性能を出せるが故に、ユーザーの好みや使い方に合わないと「使いにくい」(せっかくハイエンドを買っても、違和感があることも)

2.工場の工員側技量にバラツキがあり、個体差が出てしまう(職人といえど、現地雇用の研修を積んだ人がやるので)

3.金型で一本化したサイジングとなるので、ジオメトリーの変更が不可


ひとつの金型から1サイズしか成型できないため、細かなサイズ調整はできません。よって、複数サイズを作るには、それだけの金型と製造工程が必要になります。

ラグとは

文字通り、カーボンフレームのパーツ同士をラグでつなぎ合わせる製法。

モノコックのように大きな1ピースではなく、各パーツを小分けにして1つ1つを小さくすることで、金型自体も小さく出来ます。

ラグド

ラグのメリット

1.ラグとパイプ双方の精度がキッチリ出ていないと、ラグ(継ぎ手)にパイプを差し込めないので、自ずとフレーム精度が高いフレームに仕上がる

2.乗り味(パイプのしなり方)が自然でアナログな感覚になるので、シチュエーションや体調等のコンディションに左右されず、使いやすい

ラグド2

3.金型で一本化されている訳ではないので、カスタムサイズ=ジオメトリー変更や各種個別オーダーに対応可能

ラグのデメリット

1.重量を見た場合、どうしてもモノコックに比べて不利になる ↑継ぎ目の剛性確保のため、ラグ周辺の重量が増しやすい

2.工程数が多く製造数に限りが出る ↑コストに反映されるので、販売価格が高騰しやすい。また、熟練の職人さんが必要になるので量産には向かない

3.経年劣化で接合部が外れてくる場合がある

チューブtoチューブとは

ラグ製法の発展型なので、メリット、デメリットは似たようなモノだと思ってOK。

ラグを使わず、チューブ同士をカーボンで巻いて形成する「ラグの発展型」だそうですが、基本はオーダーメイドになります。ラグレスなので、そのぶん若干軽くできます。

チューブtoチューブ

剛性バランスの調整がしやすい反面、手間もかかるのでコストに跳ね返ってはしまいますが。

カザーティ、チポッリーニのMCM、カレラの初代エラクル、フィブラ1あたりがチューブtoチューブ製法で出来ているそうな。

市場に出回っているフレームは「ほぼモノコック」

外注(委託製造=OEM)がメインな今のご時世、工場から好かれるのはモノコック。

今やブランドの本国で製造をしているほうが少なく、もっぱら台湾や中国…最近ならマレーシア等の工場で委託生産として世界中のブランドの車体が作られています。

作業するのは、研修を修了した現地の社員さんたち。生粋の職人さんがいなくても、量産できるのはモノコックならでは。


※こっちはICANのモノコックフレーム製造風景

ボンデッドってどういうもの?

FONDRIEST(フォンドリエスト)というイタリアのブランドがあって、その中のTF ZEROとTF1はボンデッド製法で作られています。


※TF ZEROの紹介動画(英語)

カーボンのパイプを金属製のインナーラグで留める製法でして、パット見はモノコックだけど、じつはラグという…。外見でラグってわかるかわからないかが大きな差で、メリット・デメリットはほぼ同じ。

LOOKの695とブレードになる前の795も似ているそうですが、(カーボンの)インナーラグだそうで、正確にはボンデッドではないとのこと。

いまはかなりレアで、趣味の世界のフレームです。 手間かかるので、もちろんすごーく高価です。

いつか、試乗してみたいものです…(^^)


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