こないだ、「ディスクブレーキで大怪我をしたベントソの言葉をまとめた」という記事を書いた。
「ロードバイクにディスクブレーキは有りか無しか」という議論はけっこう長い間続いているようなきがするんだけど、その議論に油を注ぐことになったのが、パリ・ルーベでの事故だったと思う。
ちなみに自分はエンデューロやセンチュリー系のイベントには参加するけど、いわゆる順位を競うレースには出ないタイプ。よって、ディスクブレーキの怖さを肌で感じることができない。見た目はカッコいいな~と思うが、べつに購入予定もない。
そんな中、あのGlobal Cycling Network が「ディスクブレーキはサイクリストにとって危険な機材なのか?」という動画をぶち込んできた。
Are Disc Brakes Dangerous To Road Cyclists?
ユーザーが気になるトピックをいち早く見つけ、オリジナルなコンテンツに仕立てあげ、スピーディに全世界に発信するその企業姿勢には恐れ入る。ということで、ありがたく視聴させていただいた。
なお、6分17秒から怪我の傷口の画像が流れる。血が苦手な人にはキツい画なのでご注意をば。
「ディスクブレーキは悪ではない」と主張するランプレ・メリダ
UCIはディスクブレーキの使用を中止したが、それに対する反論もあるそうで、ランプレ・メリダのマネジャーであるブレント・コープランド氏は、
「中止の決定を下す決断は、やや思慮に欠けるのではないか」
と異議申し立てをしている。
さらにコープランド氏は
「ベントソの怪我は、ディスクブレーキによるものではなく、エアロダイナミックなスポークによるものではないか」
と発言しているそうだ。ちなみに、ランプレ・メリダはパリ・ルーベにおいて、ほとんどのバイクにディスクブレーキを採用していた。
参考記事
新城幸也がランプレ・メリダに移籍 (シクロワイアード)
なお、蛇足だがオランダの「Roompot」というチームは、ディスクブレーキのバイクのみでシーズンを戦っている数少ないチームであり、UCIの決定によってバイクの総入れ替えを強いられることになった。
メカニックは文字通り死にものぐるいで作業にあたっているそうで、ご愁傷様というか、想像するだけで悪夢である…。
以下、動画を見た海外の人たちのコメント
ディスクブレーキのせいではないと主張する人々
「ディスクブレーキのローターは左側にあるのに、どうして左足を怪我することができるんだ?傷はローターによるものではなく、チェーンリングに違いない」
「切っているのは左足じゃないか!ディスクブレーキが原因であるはずがない。彼(ベントソ)は、個人的な好き嫌いで感情的にディスクブレーキを攻撃しているに過ぎない。ディスクのローターよりも、スプロケットのほうがよっほど危険さ。スプロケットが危険だからといって、内装ギアでレースをする気かい?」
「僕もそう思う。これはチェーンリングによる怪我だと思う」
「僕にもあの傷跡はチェーンリングのものに見えるね。UCIは選手をなだめるためにディスク禁止を早急に中止してしまうというミスを犯した」
「僕はチェーンリングで怪我をしたことがあるんだけど、あの傷跡はまさしくチェーンリングのよるものだ。ディスクのせいなんかじゃない」
「僕にもチェーンリングのよる傷跡に見えるね。シクロクロスやマウンテンバイクでは長い間ディスクブレーキが使われてきているし、選手から不満も聞こえてきていない。個人的にもっと問題だと思うのは、フロントタイヤが前方を走るバイクのディスクに接触して切り裂いてしまうことのほうだ。ディスクは電動のこぎりのようなものになってしまうかもしれない」
「クラッシュの可能性がよっぽど高いマウンテンバイクで禁止されていないのに、どうしてロードレースで禁止されてしまうのか、意味がわからない」
「僕はディスクブレーキを支持するね。もしも危険かものをすべて取り除いていくのなら、行き着く先はシングルギアでディスクホイールを履いたバイクしか使えなくなってしまうよ」
ふーむ、ディスクブレーキを支持する人、ディスクブレーキのせいではないとする人の声がコメント欄では目立つ。
それ以外では、こんな意見も。
カバーをすればいいじゃん派
「モトクロスバイクのように、ディスクを覆いかぶせるカバーをつければいいんじゃないの?」
たしかに、これがもっとも手っ取り早い対策のような気がする。交換作業のときに邪魔にならなければよいのだが。
ロードバイクにディスクブレーキは不要派
「ロードバイクにディスクブレーキのストッピングパワーは不要だ。今回の事故で、危険であることが証明されたじゃないか。一般サイクリストにはメンテナンスもし辛いんだし、使う意味を見出せないね」
危険云々以前の話題で、ロードバイクにディスク(とくに油圧)の制動力は不要どころか、効きすぎてむしろ危険いう声が自分の周りには多い。
しかし一方で、ダウンヒルの際は指が疲れなくてすごく便利という声も聞く。
ディスクブレーキ論争はまだまだ続きそうである。

コメント
コメント一覧 (16)
1、ホイールだけ変えて済む話ではない。
2、STIやホイールごと交換しなければならない。
3、シマノも積極的に油圧ブレーキの説明会や講習会を行っているが、ショップのメカニックも油圧ブレーキの仕組みから学んでいる状態
4、輪行した場合、現地でのセッティングが面倒そう。
5、今のキャリパーですら、その性能を活かしきれてない(笑)
6、キャリパーに比べて少ない力でブレーキコントロールが出来るが、機材に頼りすぎ。もっと己の肉体を鍛えろ(笑)
メーカーは次々と新製品を送り込んでくるけど、素人ホビーライダーにそれは必要なのかな?と思う(笑)
よく「これで100グラム軽量化出来た」とか大枚叩いている人がいるが、それより前に腹についてる脂肪を取る方が経済的だし、よっぽど速くなる。
昔は25T位でヤビツとか登ってたのに、最近じゃコンパクトギアだ、32Tだと金で解決しようとする。
それよりも前にカラダ鍛えろや!
ロードレーサーのエンジンは己のカラダ。
分かったか!
俺(爆)
と自分を戒めないと、Di2に手を出しそうで(笑)
しかし!
メンテやコスト面でキャリパーブレーキが不十分ならともかく足りているのだから素人には不要品と言いたい!
でもミニベロにディスクブレーキ付けてる人見たことあるけどカッコ良かったんだよなぁ~(-_-;)
油圧ディスクならメンテも基本不要ですし、輪行でのセッティングも不要。
下りビビリな人には必需品ですよ。
私は性能の素晴らしさは(とくに油圧)は左脳では理解出来つつも、右脳の何処かが「まだ怖い・・・(扱いのほうが)」ので手が出せてないです。
でも、他の人が使っているのを見るのはなぜか大好き(笑)
ブレーキ調整のためにわざわざショップに持ってかなきゃならないなんてね
軽整備程度なら自分でできるのがロードの良さだと思ってるから必要ないや
というか、メカに詳しくない自分には手が出せないので、ふつーのワイヤーで十分だと私もおもってます。
良く聞くフレーズですが、そんな大変な物を
遥かに流通している自動車に何故採用しているのですか?
また、頻繁にブレーキのメンテナンスをディーラーでしているのでしょうか?
モータースポーツの世界なら、コンディションやコースレイアウトに応じて、パットやディスクローターを変えてセットアップしますが、
一般ユーザーは、車検時にパット交換やオイル交換をするだけで普段のメンテナンスなどしていないですよねf^_^;
キャリパーブレーキの方が、トーインの調整に始まりワイヤーの伸びに合わせた調整、ホイール交換時に再度トーインの調整等、メンテナンス頻度はキャリパーブレーキの方が遥かに高いと思いますが…
私はディスクロードも、ディスクブレーキのMTBも、オートバイのロードレースも経験していますが、メンテナンスが大変と思った事は有りません。
MTBのダウンヒルレースに匹敵する速度で
走るロードバイクに、キャリパーブレーキと
言うのは、逆に制動力に不安を感じこそすれ、
到底十分だと考えられません。
止めたきゃ滑らないタイヤにした方がいい
その場合人間が飛ぶ可能性が高いがね
油圧のコントロール性は
・パッドがディスクに当たる瞬間がわかる(指先の反力が変わる)
・指先の微妙な力加減に正比例して減速Gが変化
・必要であれば、そのままロック。
これが指1本でできる。これをメリットと感じない人には確かにブレーキシステムが重いし、油脂のメンテは増えるし、不要でしょう。
ちなみにキャリパーに比べて機械構造的には効きが悪いので、致し方なく油圧倍力装置がレバーに一体化しているのが、現在の一般的な油圧システムのようですよ。
総じてMTBには恩恵が多いけど、ロードバイクには過剰装備かな。ただし、ホイールやフレーム、ブレーキシステムも含めて重量と強度の最適化が進めばロードにディスク(メカニカルを含む)の時代が来ても不思議ではないと思います。
飛行機、新幹線、自動車、オートバイと、一度ディスク化されてから元のブレーキシステムに戻った話は聞いたことがありません。自転車はどうなるのでしょうね^^
指先一本でコントロールできてしまうのは大きな魅力ですね。私もマウンテンバイクに乗せていただいたことがありますが、タッチの軽さはキャリパーブレーキとは比較にならないですね。
ロードバイクも、ディスク化が当たり前になったら戻ってこれない…ような気はしますね。
(*^^*)
単純な話として鋭利な回転体が2ヶ所ふえるってことでリスクは増していると思います。
ロードレースは肌の露出が速度に対して異常に高いですからね。
ブレーキの極致ともいえるMTBトライアル界では油圧リムブレーキが今でも一定の地位を確保しているらしいので
多数のロード乗りが期待するブレーキコントロールは「油圧駆動」の恩恵といえるでしょう。
「ディスク」の恩恵は環境耐性とリム軽量化ですがどちらもキャリパーを駆逐するほどの有意差は無いでしょうね。
>MTBトライアル界では油圧リムブレーキが今でも一定の地位を確保しているらしい
そうあんですか。マウンテンバイクの世界はとんと知らないので勉強になりました。
ディスクのある一部の性能面だけを切り出せばキャリパーより優れているんだと思いますが、たしかにキャリパーブレーキを駆逐するとはまだしばらく考えられませんね。