みなさまは、ハンガーノックになったことがあるだろうか?


ロードバイクにそこそこ乗っている人であれば、「うん、あるよ。あれは酷いものだ」って体験があったりするものだが、自分は5年半の自転車生活の中で一度も経験したことがない。


お世話になっているショップの店長からもハンガーノックにならない方法をお聞きしたりして、気をつけているからかもしれない。


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体験者の話によれば、突然ペダルを回せなくなり、その場にへたり込んでしまい、食べても回復せず、甚だしく気分が悪くなる……らしい。


そもそもハンガーノックは、筋肉と肝臓に蓄積されたエネルギー源(グリコーゲン)を使い果たしてしまうと起きる。


一般人の場合、約300グラムの炭水化物を体内に蓄積できる。300グラムの炭水化物は、およそ1200カロリーに相当する。


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運動をすると、そのエネルギーを徐々に使って身体を動かしていくことになる。ハードな運動をすれば、その分消費スピードがアップする。


いったんエネルギーが空っぽになると、身体に力が入らず、気分が悪くなり、その場に横たわって動けなくなるほどになってしまう(らしい)。



そんな恐ろしいハンガーノックだが、Global Cycling Network に「How Not To 'Hit The Wall' Or 'Bonk' (ハンガーノックにならないための方法)」という動画を見つけたので、翻訳してご紹介しよう。


ちなみに、英国ではハンガーノックを「ボンク(Bonk)」もしくは、「壁にぶつかる(Hit the wall)」と呼ぶ。bonk には、ぶつかる、衝突する、殴る、などの意味がある。


How Not To 'Hit The Wall' Or 'Bonk'





1.バイクに乗りながら補給する

サイクリングに親しみのない人は、「運動しながら食事するってなんなの?」と驚くかもしれない。しかし、サイクリングのカロリー消費はハンパない。なにしろ、運動時間が他の競技より圧倒的に長いからね。


90分以上走るのであれば、補給食(or 現金)は持っておくべし。

※最近は、スポーツようかんとか、チョコ入りようかんという新ジャンルの製品もあるそうで、驚いた。

なお、吸収の良い炭水化物系であれば、好きなよいモノを食べてOK。


市販のジェルやエナジーバーはサイクリングに最適だが、「べつにそこまでは…」という方はカロリーメイトとかSOYJOY、スニッカーズ、シリアルバーという手もある。

手作りが好みであれば、ジャムとはちみつを含ませたロールパンでもいい。

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※個人的には、すあまのモチモチした食感が好きです(*^^*)



途中でエネルギーを補給することで、ガソリンタンクを空っぽにしないってことだね。


では、「じゃあ、ドカドカと食ってさえいればハンガーノックにならないってことか」かというと、話はそう単純ではない。なぜなら、消化器系内蔵が消化できる量は人それぞれ限界がある。


一般人が1時間で吸収できる炭水化物はだいたい60グラム。エナジーバーがちょうどそれくらいの量を含むので、1時間に1本がちょうどいいくらい。



ペースを維持する

1時間に60グラムずつちゃんと炭水化物を補給していればいつまでも走り続けられるかというとそんなことはなく、やはりどこかのタイミングでガソリンタンクは空っぽになる。


そこで重要になるのが「ペースの維持」だ。


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※バナナは最高の補給食だけど、皮の処理に悩むので家で食べてから出かける



グループライドではどうしても周囲の人のペースに付いて行ってしまったり、ムリをして追い込むこともあるだろう。しかし、身の丈に合わない走り方は消耗スピードを早め、ハンガーノックになる可能性を高めてしまう。


自分のペースを守り、気持ちよく走れるペースを守ろう。ペースをも持っていれば、走りながらの補給もしやすいし、安全だ。


カーボローディング

走る前の段階で、しっかりと栄養補給をし、体内に十分なグリコーゲンを蓄積しておくこと。いわゆる「カーボローディング」だ。備えあれば憂いなし、である。


ただし、カーボローディングにもやり方があって、レースの前日にキロ単位のパスタを胃袋に詰め込めば良いという話ではない。


「レースの2日前」から行うのがオススメだそうだ。


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Global Cycling Network での解説によれば、摂取量は、通常の食事に加え、「8グラム × 体重(キログラム)」の炭水化物を2日間食べるとバランスが良いとのこと。


体重60キロの人であれば、1日あたり8×60=480グラムの炭水化物を追加するということになる。


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米、パスタ、オーツ麦が適しているとのこと。オーツ麦は、「グラノーラ」や「オートミール」、「ミューズリー」などの主な原料である。



ちなみに、プロは食べる以外のカーボローディング法もあって、エナジードリンクで補うそうな。


ただし、カーボローディングの副作用として、1グラムの炭水化物を体内に蓄積するには、その倍の2グラムの水分もあわせて体内に維持することになる。


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よって、カーボローディングをするとちょっと体重が増えてしまう。


ロングライド系イベントであれば心配することではないが、(少しでも身体を軽くしたい)ヒルクライムレースに出場する方にとっては、結果を左右しかねないので、ご注意いただきたい。


まとめ

結局のところ、事前にしっかり食事をし、補給食を途中でこまめにとり、自分のペースを守って走れば、たいていのハンガーノックは防げる。


サイクリングに夢中になっていると、補給のタイミングを失ったり、忘れてしまうこともある。そういうクセのある方は、携帯電話でアラームをかけておくなどするといいだろう。


ちなみに自分がハンガーノックにならないのは、単純に食いしん坊だからだと思う。


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昨年の夏に出場したツールド妻有では、エイドステーションの補給食が美味しすぎて、レース後に体重が増えてしまうこともあった(笑)。


以上、皆様の快適なサイクリングライフの助けになれば幸いである。