2015年の9月27日開催された、UCIロードバイク世界選手権で勝ったのは、ピーター・サガンである。


「である」なんてエラソーに書いているが、自分はプロのロードレース観戦には興味は薄く、よって知識もあまりない。


イベント開催後にサイクリストとかシクロワイアードのサイトを見て、「あぁ、やってたんだ。優勝者は…へぇ、そうなんだ」くらいの関心しかない。


参考記事

ペテル・サガンが石畳で圧巻のアタックを決め王者に 世界選手権ロードレース男子エリート(産経サイクリスト)



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自分は観戦よりも、実際に走るほうが性に合っている。


で、先日偶然にCyclingTips でやけにシェアされている記事を見つけた。



Peter Sagan ‘kicking in some holy houses’ by not shaving his legs. Does the peloton care?」 (ピーター・サガンはなぜすね毛を剃るという伝統を守らないのか? 他チームの選手たちはそのことをどう思っているのか?)


興味深く読ませてもらったので、翻訳しつつ紹介してみるね。


2016年のサガンの最初のレースは、『ツアーオブサンルイス』で、レインボージャージを着用する過去の選手と決定的に異なる出で立ちで登場した。

※レインボージャージ=世界選手権勝者が着るジャージ


なんと、すね毛を剃っていないのだ。


ロード選手がすね毛を剃るのは、もはや常識と言ってもよいくらい。理由は様々あって、

  • エアロダイナミクス的に有利なため
  • マッサージを受けやすくするため
  • 怪我の治療を受けやすくするため


が一般的なところ。

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※自分は「レッグトリマー」で剃ってます。理由はただなんとなく。



サガンはロードレースの伝統や文化に敬意を払っていないのか?それとも、すね毛を剃らないことで、あえて新しいスタンダードを構築しようと目論んでいるのか?


で、なぜにサガンがすね毛を剃っていないのかだが、理由は明らかにされていない。


ステファン・ロシュ氏はやや否定的な立場をとっており、こう言及している。

「世界チャンピオンとして、サガンはよき模範となる義務がある。すね毛を剃らねばならないというルールは明文化されていないが、ではなぜ100年もこのような習慣が続いてきたのか?それは、剃っていない足は美しくないからだ。

“ファッションだから、とやかく言うべきではない”という意見もあるかのしれない。だが、私は彼の行いを真似する選手が現れないことを祈りたい」

※1959年生まれの元自転車競技ロードレース選手。1987年 (74回)のツール・ド・フランスの総合優勝者。同年にジロ・デ・イタリアとロードレースの世界選手権を制し、ダブルツールを越えたトリプルクラウンを達成した、エディ・メルクスとただ2人の名選手。


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※そろそろ、レッグウォーマーが不要な季節なので、毛の処理に悩むタイミングですね…


サガンがすね毛を剃らないことに対する、他の選手らのリアクション

Phil Gaimon (Cannondale)

もしサガンがすね毛を剃ってレースのスタートラインに現れたら、みんなびっくりしてホテルに帰ってしまうよ。

Taylor Phinney (BMC Racing)

僕はサガンがやっていることを支持している。

Chad Haga (Giant-Alpecin)

僕は常にすね毛を剃るけれど、ワールドチャンピオンは自由に決める権利があると思うね。

Chris Juul-Jensen (Orica-GreenEDGE)

もしすね毛を剃らずして誰にもとやかく言われないとしたら、その人はレジェンドにふさわしいだろう。

Alex Howes (Cannondale)

素直にすげえって思う。もし僕が世界チャンピオンになれたら、二度とすね毛を剃らないさ。

Tejay van Garderen (BMC Racing)

マッサージのときに痛むんじゃないかな?きっとたくさんのローションが必要になるだろうね。

KIEL REIJENKiel Reijnen (Trek-Segafredo)

すね毛を剃るってのが、いつサイクリストの義務になったんだい? 他の人に不快なことでないかぎり、すね毛をどうしようとその人の勝手だと思う。

BOSWELLIan Boswell (Team Sky)

僕はサガンという選手を尊敬しているし、彼が自身のすね毛をどうしようが僕はかまわないよ。定期的にすね毛を剃るようになったのは、じつは僕も最近のことなんだ。

僕自身、毛が薄い方なんでね。毛を剃るイチバンの理由は、マッサージを受けやすくするためさ。サガンはもしかしたら、(剃らないことで)新しいトレンドをつくるのかもしれないね。

Michael Gogl (Tinkoff)

個人的な意見だが、何の問題もないよ。シーズンオフのとき、サガンは毛を伸ばしたままで、周りの選手はそれをネタに彼を冷やかしたんだが、てっきりシーズンに合わせて剃るものだとばかり思っていた。

不文律だとはいえ、サガンがルールを破ったことでお怒りの方もいるみたいだけど、僕は面白いって思うね(笑)。

正直に言うと、僕もすね毛を剃るのをサボってしまうこともあるんだ。ちなみに、僕が初めてUCIレースで勝ったとき、毛は伸ばしたままだったよ。


・・・とまあ、基本的には「サガン本人の自由でよくね?」的な意見が選手側には多いようだ。まあ、想像できた内容である。



皆、サガンがすね毛を剃っていないことを話題にするが、では「なぜ剃らないのか」と問う人はほとんどいない。


ちなみに、ステファン・ロシュは、「なぜサガンが毛を剃らないと思うか?」と問われたとき、「さあ?皆目検討もつかないね。たぶん足が寒いからじゃないかな? それ以外の理由が見つからないよ」と答えている。


すね毛を剃らないことに関しては、「レースに勝つまでひげを伸ばし続けるというジンクスを持つ」選手もいて、サガンの場合ももしかしたら、ゲン担ぎ的な何かが関係しているのかもしれない。


もしそうだったとすれば、すね毛を剃る日も遠い未来のことではないのかも。



好意的な立場ではないロシュ氏ではあるが、こういう意見も述べている。





僕が現役のころ、トレーニングに明け暮れて、まだしっかりしたフォームを確立していないと感じている間は、髪の毛を切るとか、新しいソックスやシュースを履くとか、ということは気にしているヒマがなかった。見た目よりも、フォームのほうがよほど大切だからね



なお、CyclingTips の取材班が、サガンの所属チームのティンコフに回答を求めたところ、「そのような質問は、サガンのとっても、またチームにとっても重要な課題ではないので、コメントしない」と、至極当然な回答をされたとのこと。


まあ、そうだよね…(笑)。