ロードレースの世界には疎い自分でも、「マーク・カベンディッシュは世界屈指のスプリンターのひとり」ということはなんとなく知っている。

自分は、自転車に本格的にハマるまでは、スプリンターとかクライマーとかパンチャーとかルーラーという言葉の意味がわかっていなかった。

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スプリントなんて、プロであれば誰でも出来るんじゃないの?あるていど筋肉をつければ、誰でもスプリンターになれるんでしょう?」くらいの、失礼にも程がある認識しかなかったのだ。


最近はようやく、「プロロード選手は、脚質や体形などによっていろんなタイプに分かれている」ということがわかってきた。


さて、Global Cycling Network の動画に「マーク・カベンディッシュのようにスプリントする5つのヒント」という動画があったので、すごく興味を持って視聴させていただいた。


How To Sprint Like Mark Cavendish – Cav's Top 5 Sprinting Tips





ちなみに、マーク・カベンディッシュ選手は、「チームディメンションデータ」というチームに所属している。


なお、チームディメンションデータは南アフリカ籍のUCIワールドチーム。


サイクリストの記事を引用すると、、、

2007年にチーム設立、翌2008年からUCIコンチネンタルチームとしての活動を始めたMTN・クベカ。

南アフリカや中東諸国を中心に携帯電話をメーンとする通信会社である「MTNグループ」と、貧しい家庭や子どもたちに自転車を贈ることで教育や環境の保全を目指すNPO(非営利組織)の「クベカ」が主要スポンサーを務めてきた。

設立以降、チームMTN、MTNサイクリング、MTN・エネルゲードと名を変え、2011年から現在のチーム名となった。

とのことだ。


ではさっそく翻訳して紹介しよう。(※カッコ内は、カベンディッシュ選手の言葉)


1.ゴールまでの距離を見極めろ! 焦って勝負してはいけない

「ラスト250メートルをスプリントするとしたら、たぶん12秒くらいかかる。アマチュア選手にはちょっと長すぎる距離かもしれない」


「見極めのキモは、スプリントをかけている間、何秒マックスのパワーを維持できるかどうか。一瞬だけピークを持ってこれても、意味は薄い」


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「この”何秒マックスをキープできるか”の長さは練習で見極めなくちゃいけないんだけど、やりがちなミスは”(その距離をスプリントする能力がないにもかかわらず)焦って勝負に出てしまうこと”なんだ」


「フィニシュラインが見えてくると、早く勝負しなくちゃって気持ちになるけど、周囲に流されないように」


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2.正しいギアの選択

「正しいギアでスプリントしよう。スプリント勝負では、53Tか54Tと11Tの組み合わせになると思うんだけど、かなりのパワーが要求されるギア比だ。これをぶん回せなくちゃいけない。僕(カベンディッシュ)は54T×11T、かつ短めのクランクで勝負しているよ」


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「ギアは”加速できる”程度を選ぼう。グリグリと回すのではなく、素早く回せられるくらいの組み合わせが良いね」


3.スプリントにコミットする

「スプリントをかけたら、何も考えずに突き進むこと。ペースを徐々に上げていくって考え方はない」


「きちんとトレーニングを積んで、自分の能力とその日のコンディション、風向きの方向を考慮していけば、いつ勝負を仕掛けるべきかはわかるはず。勝負するって決めたら、やりぬくんだ」


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4.バイクを脚に向かって引き付けるように漕ぐ

「多くのアマチュア選手がやりがちなミスが、スプリント時に脚を下(地面)に向かって踏み下ろすように漕いで、身体がアップダウンしてしまうこと」


「僕のやり方としては、“バイクを脚に向かって引き付けるように漕ぐ”のがオススメ。腕を使って、バイクを身体に引っ張る感じだね。逆に“脚をバイクに向かって寄せていくスプリント”では、力を出しにくい」


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※このへんのデモンストレーションは、動画を見たほうがわかりやすい


5.身体は低く保つ

「僕は脚が短く、胴体が長いから、身体を低くするように気をつけている。上体が起きていればいるほど、風が胴体にぶつかり、圧を受けてしまう。なるべく上体は低く維持しながら加速しよう」


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※こんなにも状態を下げてスプリントするのか…



以上がマーク・カベンディッシュによる「スプリントするときの5つのコツ」なのだが、4分30秒のところから、インタビュアーのダンさん(元プロサイクリスト)が、カベンディッシュにスプリント勝負をする。


もちろん、勝てるわけはないんだけど、2人がスプリントする様子はなかなか興味深い。


驚いたのは、ダンさんは元プロ(1980年生まれの35歳)にもかかわらず、スプリントの姿が素人目にもぎこちなく見えてしまうのだ。(失礼)


その点、さすがカベンディッシュのスプリントは凛々しくてカッコいい。やはり、同じプロサイクリストといえど、得手不得手は異なるということだろう。


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ロードバイクのトレーニング書籍」もたくさん出版されているし、速く(強く)なりたい方は探してみてはいかがだろうか。


それにしてもカベンディッシュの加速はすごすぎて、必死にもがくダンさんを一瞬でぶっち切ってしまう。

これがトップレベルのスプリンターの力というやつか…。