11月28日、29日に長野県の野辺山で開催された「Raphaスーパークロス野辺山」の取材をさせていただいた。
行ってきたのは29日の二日目のほう。生まれて初めてのシクロクロス観戦なのでドキドキである。
八ヶ岳の美しい山々に囲まれた滝沢牧場
中央道の長坂ICで降りて向かう。信号もほとんどないので道はスイスイだ。休憩時間を含め、埼玉県から3時間半で到着した。この日は好天に恵まれて、風もほぼなく、サイクリングには絶好の日和だった。
駐車場にはすでに大量の車が停められていて、ローラーでアップしている選手もチラホラ。
※プレス枠として、ビブも着用しつつ撮影
会場である滝沢牧場は、レースの状況をリアルタイムで伝えるDJの方の実況と、明るいBGMで包まれている。
※予想以上のすごい人出
シクロクロスの勝手なイメージとして、「眼光鋭い猛者たちが、無言で斬り合う修羅の国」的な殺伐とした雰囲気を想像していたんだけど、実際はぜんぜん違って、自転車と野外音楽フェスが合体したような感じ。
しかも、家族連れがすごく多い。キッズレースも行われているので当然ではあるんだけど、穏やかな、ピクニック感もある。
※ポカポカ陽気で気分がよい!
真剣なレースなんだけど、和気あいあいな雰囲気
パーツやバイクメーカーのブースもたくさん出展されていて、最新シクロバイクやパーツを見学することもできた。会場は八ヶ岳の牧場につき、周囲にコンビニ等は当然ない。それを見越してちゃんと食事や飲み物のコーナーも多数用意されていた。
コーヒー、スコーン、キッシュという定番メニューはもとより、本格的なソーセージプレート、ハンバーガー、やきいも、もつ煮込み、うどんといった暖かいメニューも充実。
来場者の方々の中には、テントやバーナー等を持ち込んでいる方も多く、自分らで食事を作ったり、バーベキューを楽しんでいらっしゃった。シクロクロスのレースだけではなく、1日かけてイベントそのものを楽しむ術を心得ていらっしゃるようだ。
バイクラックまで組み立てているところを見ると、チームでの出場も多いのだろう。(実際、お揃いのジャージはあちこちで見かけた)
レースしている選手たちは真剣だし、ドーピングした選手の名前を掲示するコーナーもあって、「さすがUCIレースだな」と思わされた。でも会場全体からは悲壮感は微塵もなく、とにかく楽しさと華やかさ一色。
※お客さんが歩いている真上をドカドカと駆け上がっていく選手たち
さて、まず観戦したのは10時スタートの、「C3」だ。
事前に知人からは、「シクロクロスはロードレースと違って、観戦に向いている」と聞かされていた。理由は、周回なので何度も選手を間近で見られること、それとスピードが遅いので走る様子が手に取るように分かること、だそうだ。
で、実際に言われたとおりだった。凸凹道やぬかるみがあるコーナーはあるし、坂道はあるし、全体的なスピードは(ロードレースに比べて)ゆっくり。
※コーナーリングは難しそう
ちなみに「コースマップ」はこんなかんじ。
選手のゼェハァする息遣い、ギアチェンジの音、ブレーキシューの鳴る音もよく聞こえる。ジャパンカップのクリテリウムは昨年観戦したので比較すると、舗装路を走るトッププロは速すぎて、なにがなんだかわからない。
それはそれで「速いな~さすがプロは違うな~」と感心できるんだけど、5~6周したころには、徐々に飽きてくる。シクロクロスはその点、じっくりと眺めて観察できる。
泥にタイヤを取られて滑る選手がいたり、轍にフロントホイールが入って四苦八苦しながら抜ける選手がいたり、バイクを降りて障害物を飛び越えるのに手間取る選手がいたり、クリートに泥が詰まって数秒ロスしてしまう選手がいたり。
小さな障害が全員に常に起きているのだ。そして、それが目の前によーく見える。こりゃ面白い。
※マウンテンバイクで走る選手もちらほら
ちなみにオクサマは、「ロードバイクって、速すぎて一瞬で観戦が終わってしまうからつまらない」という理由でこれまで誘っても観戦についてこようとしなかった。
ジャパンカップもさいたまツール・ド・フランスクリテリウムも「どうぜものすごい人混みだし、速すぎてワケわらないし」というのが彼女の言い分だ。
たしかに一般人の感覚からすれば、ロードレースってそういうものなんだろう。「フルームが来ているんだよ!キッテルとかサガンも来日しているんだよ!サッカーで言えばクリスチャーノ・ロナウドとかメッシクラスの選手なんだよ!そんな選手、なかなか拝めないよ!」って力説してもムダだった(笑)。
そのオクサマをして、「シクロクロスって見てて飽きないし、楽しそう。自分も乗ってみたいかも」とまで言い出すほど。シクロクロスを実際にやるには、かなりの体力が必要なのは間違いないので、今すぐ始めるわけにはいかないけど、シクロクロスの観戦は面白いってことは間違いない。
興味深かったのが、女性と男性は別々のレースなんだけど、レースそのものは同じコースを同時に走っていた。時間の関係なのかどうかはわからないのだが、コースの長さが充分にあって、同時進行させても問題ないのかもしれない。
シクロクロスがこういうものなのか、Raphaスーパークロス野辺山限定のローカルルールなのかは不明である。
※メカトラブルにより、リタイアされた選手
オクサマは「女性がロードレースをする様子」を観るのも初めてだったんだけど、目をキラキラさせて、「脚の筋肉質なラインがキレイ!」と連呼していた。たしかかっこ良い体躯の選手は男女問わずに多かったね。
Raphaスーパークロス野辺山名物のカウベルを使った応援も面白かった。威勢よくカラカラカラカラカラカラと鳴らす音がそこらじゅうから聞こえてきて、選手に「回せ回せ!」、「がんばれ!後ろから来てんぞ!」、「パパ、がんばってーーー」と激励を送る姿も、真剣勝負ではあるのに、どこか牧歌的でなんだかよかったね。
観戦しながら、「シクロクロスって、大人の運動会なんじゃないか」と思った。
自転車を担いで、脚で走っている選手もけっこうな数で見たのだが、メカトラブルだった。泥を走るシクロクロスはふつうのロードレースとは比べ物にならないほどトラブルがある。自分が確認した限りでは、リアディレイラーがもげてしまっている選手がほとんどだった。
※メカトラブルもなんのその、意地で走る選手
メカトラに遭った選手に「右側にコケたの?」と訊いてみたら、「コケなくてもリアディレイラーが外れてしまうのはよくあること。泥を噛んだ勢いで外れてしまった」と話していた。ということは、どんなテクニックがある選手でも、メカトラリタイアする危険性はあるわけだ。
※レースが終わると、こんなに汚れます
参考までに、産経サイクリストとシクロワイアードの記事リンクを付けておくね。Elite等のレース結果等は下記記事が詳しい。
産経サイクリスト
「Raphaスーパークロス野辺山」初日UCIレースの男子は竹之内、女子はジェイコブスが制覇
ザック・マクドナルドが念願の大会初勝利 「Rapha スーパークロス野辺山」2日目
シクロワイヤード
野辺山シクロクロス一般カテゴリー 高原で繰り広げられた熱き戦いDay-1
野辺山シクロクロス一般カテゴリー 高原で繰り広げられた熱き戦いDay-2
中編&後編に続きまます。
合わせて読んでいただきたい
Raphaスーパークロス野辺山で、生まれて初めてシクロクロスを生体験した (中編)
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