『第34回 東京ブロガーズミートアップ』に参加してきた。



今回のテーマは「好きなブログを褒めちぎろう」である。ブログに対するほかの人の「嗜好、思考、重み付け」がわかるので、こういう会って意外な発見があるんだよね。



それと、自分が好きなブログを他人に紹介することで、「自分ってなぜこのブログが好きなんだろう」って客観的に考えるキッカケにもなる。

東京ブロガーミートアップとは

ブロガーがブロガーと出会い、ブログを書く考え方と出会い、そしてブログを成長させて新しい世界と出会うことを目指す、ブロガーの勉強会。



実際、会で紹介された10個以上のブログは1つを除いて全部知らないものばかり。旅行とかガジェット系、雑多ニュース系ブログを自分はあまり読まないから知らないだけで、その世界ではかなり名のしれたブログらしい。後でゆっくり拝見させていただくつもり。



ちなみに、他の参加者が紹介したブログの中で、唯一自分が知っていたのが「ももねいろ」。お金(&節約)、育児、仕事、家、人生の様々な悩みの解決のためのブログである。レシピとか時事ネタを取り上げることもあり、どんな記事がアップされるかが当日までわからない。それが逆に面白さと味になっている気がする。



書いているのは、38歳の主婦&フリーランスなのだが、自分もRSSリーダーに登録して毎日読ませてもらっている。



一人の主婦が、背伸びをせず、女性ならではの優しさを込めて書いている雰囲気がえもいわれず良くって、うまく説明できないが自分も好きなブロガーさんだ。




さて、自分が東京ブロガーズミートアップでは、個人的に好き(というかリスペクトしている)人を紹介した。ブロガーではなく、ユーチューバーなのだが、ブログ・ライティングにも通じる部分があったので紹介させてもらったのだ。



そのユーチューバーはノースカロライナ在住の24歳のアメリカ人。大学を1~2年ほど前に卒業して、社会人になって間もないカイル・リンジーさんという男性。

Aboutheader

※画像引用元はSAABKYLE04



彼が運営するのが「SAABKYLE04」というYouTubeチャネル。扱っているのは自動車のレビューのみ。実家が自動車ディーラーということもあり、幼少期から車に囲まれて育った結果、カイルさんも車好きになってしまった。



大学在学中に、「暇つぶしに」と実家の車を手持ちのデジカメで動画撮影しては、YouTubeにアップしていたのだ。それで有名になろうとか、お金を稼ぎたいとは露ほども考えておらず、純粋に車が好きだっただけ。



ところが、これがなぜか評判になり、アクセスが伸びていく。カイルさんは手応えを感じ、次第に車の撮影とレビュー動画作りにのめり込んでいく。



実家のディーラーだけでは飽きたらず、ついに家を飛び出して近所のカーディーラーに「YouTubeで紹介したいので、車を撮影させてほしい」と頼んで回ることになった。


※カイルさん自己紹介ビデオ


お客でも何でもない、ただの車好きの学生の相手をするほどカーディーラーもヒマではない。最初は門前払いを喰らうこともあったそうな。



しかし、彼はめげずに「自分のチャネルがけっこうな人気である」、「かなりのビューを稼いでいるのでお店のPRにもなる」と訴え続け、ひとつ、またひとつと許可をとって回ったのだ。うーむ、なかなかの行動力の持ち主だ。



しかも、彼はカーディーラーから一切の謝礼を受け取らない。彼の動画のおかげで商談が増え、販売が伸びているディーラーはたくさんあるが、カイルさんは「それは僕の関知することではないから」と気にも留めない。彼は、ただ純粋に車を撮影してネットで紹介したいだけなのだ。



そんなカイルさんの運営する「SAABKYLE04」の登録数は約80万(2015年10月時点)ある。日本のユーチューバーのトップクラスのヒカキンとかはじめしゃちょーには及ばないが、かなりのクラスであることは間違いない。



しかも、自動車レビュー動画というニッチなセグメントでこの実績は素晴らしいという他ない。もちろん、自分も登録して、彼からの動画を楽しみに待っている。


※TV局に取材されたときの映像



なお、アメリカ国内の「自動車レビュー動画のチャネル」は群雄割拠で、多数の企業も参戦しているのだが、そのほとんどにカイルさんは(登録数で)勝っているのだ。



たった一人で撮影、編集、交渉、運転しているカイルさんが、企業より評価されているのは、興味深いと同時に「ネットの世界では、個人も企業も関係ない。個人だって、工夫次第で評価されることは可能だ」ということに気付かされるのだ。



カイルさんは「大手企業と正面から勝負しても面白く無い。僕は差別化を図りたいし、この分野でパイオニアになりたいんだ」と語っている。2つの差別化法もを持っており、彼は「徹底的にディープで先入観のないフラット目線な動画を作る」ことにこだわっている。




※ときには自動車に乗りながらナレーションしたり



彼の動画はムチャクチャ長い。大手企業のチャネルがせいぜい10分以下のところ、彼は30分前後、長いときで40分以上も1台の車を重箱の隅をつつくように細かくレビューしてくれる。ここまでやる企業はまずない。これがひとつめの彼の強み。



もう一つが、バイアスが一切かかっていないという点だ。彼はディーラーやメーカーから貸出車を提供されても、報酬を受け取らない。それが動画内容の信頼性を担保してくれている。「感じたことを、感じたまま、率直にレビューしてくれる」という強固な評価を得ているのはそのためだ。


※奥さんもいっしょに登場して、近況を語ったり



ここが、(仕事としてレビューしている)企業がどうしても勝てない彼だけの強みだ。では彼はどのように収益を上げているのかというと、察しの良い方はおわかりだろう、YouTubeからの広告収入である。そのお金でもって、彼は4台のマイカーを持てるくらいにはなったそうな。まあ、それくらいの仕事はしているので何の問題もないだろう(笑)。



さらに面白いのが、自動車レビューユーチューバーのカイルさんの本業はこれではない。本業はフルタイムの薬剤師だ。月〜金は普通に仕事をし、休日を使って交渉、貸出、撮影、編集、公開、ソーシャルシェア、取材をこなしている。



「休みはほとんどないよ」と笑うカイルさんだが、その表情に辛さはみじんも感じられない。楽しくて仕方がない様子だ。



彼の「企業にできないことをする」という差別化の視点は、多くのブロガーさんの参考になるのではないだろうか。自分は大いに触発されたよ。




※フィアットユーザーとしては気になる「500X」を延々とレビューしたり




そして行動力もあっぱれである。活動初期のころは、ディーラーの相手にされなかったり、周囲から「何やってんの」とか「くだらない」とバカにされたりもしたそうだ。母親ですら「意味のない、時間の無駄な行為をし始めた……」と呆れていたとのこと。まあ、ふつうの母親世代の感覚からしたら、そうかもしれないけれど(笑)。



このような障害を乗り越えて今がある。千里の道も一歩からとはまさにこのこと。自分も、カイルさんの爪の垢を煎じて飲ませていただきたいくらいである。



自分が好きなユーチューバーさんを熱く紹介してしまったが、『東京ブロガーズミートアップ』はいつ参加してもたいへん勉強になる。主催者のみなさま、参加させていただき、ありがとうございました!