三船雅彦さんがパリ~ブレスト~パリを振り返るトークショーが、Rapha Cycle Club Tokyo で開催されたので取材させていただいた。



あまりに盛りだくさんだったので、3記事に分けて書いている(今回はラストの3回目)

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さて、今回は三船さんのパリ~ブレスト~パリの道中の補給食やバイク、装備について書こう。



ライトは全行程での電池はもたないので、途中で交換する。そこはサポートカー(矢野さん)の出番だ。GPSのバッテリーもレース途中で渡し、三船さんはバーテープに固定しておく。



補給食はおもにバナナ、フランスパン(ハムとチーズのサンドイッチ)、そしてパスタ。



マカロニを塩水で茹でてオリーブオイルをかけただけなのだが、「現役時代は飽き飽きしていたのに、むちゃくちゃ美味しかった」とのこと。トークショー会場でも同じものが振る舞われ、試食させてもらえた。

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※Raphaさんのこういう演出が心憎い




補給食でパスタを出すときのコツは、「アルデンテにしない」こと。食べにくく、消化に時間がかかり、胃の負担になるからだ。喉に流し込めるくらい、柔らかく茹でるのがよいとのこと。

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ものすごく美味しい! ほっぺたが落ちる!……なんてことはなく、ただのオリーブオイルがかかったマカロニであった(笑)。



終盤でカップラーメンを食べたが、「あれは失敗だった」とのこと。味が濃くて、ものすごく美味なのだが、弱った身体には重すぎて、胃がもたれてしまったそうな。やはり、油を多く含む食事はレース時の補給には向いていない。



カップ麺ではなく、スープにすべきだった」とは矢野さんの弁。レース後半は温かい食べ物が欲しくなる。スープなら食べやすく、消化もよく、身体もあたたまる。

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※カップ麺をすする三船さん

あと、機材の点で失敗したこともあった。



それは「昼用のアイウェアを用意し忘れた」こと。昼はシェードの掛かったアイウェア、夜はクリアレンズで走るのだが、夜が明けたところでサポートカーが交換の手伝いをする。



が、昼用のアイウェアを渡しそこねたことが1回あって、三船さんは夜用のクリアレンズで昼間を走ることを余儀なくされた区間があった。



不幸中の幸いだったのが、逆ではなかったこと。昼から夜だったら「シェードの掛かったレンズで走るわけにも行かず、アイウェアを外すことになっていた」と胸をなでおろしたそうな。

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※サポートする矢野さんも、始めての体験でてんやわんやだったそうだ。




2011年はソロだったので、夜間はアイウェアをはずして裸眼走行していたそうだが、目に入る砂や埃、風圧がとてもキツかったそうだ。アイウェアは必ずせねばと思わされたね。



服装はかなり気を遣ったとのこと。夏であっても昼夜の気温差が激しく、夜間はかなり冷え込む。それに天気予報がぜんぜんアテにならないほどコロコロ変わるので雨対策も必須。今回はRaphaの半袖のメリノウール製ジャージを着用し、アームカバー、レッグウォーマーを持って走った。




ちょっとカワイイなと思ったのが、三船さんといえどもレース終盤は愚痴をこぼすこと。



もうヤダ、走りたくない」、「なんでこんな苦しいことをしているんだ、オレはなにをしているんだ」、「(脱いだ靴を)履きたくない」って子供のように駄々をこねては、矢野さんに「つべこべ言わず走れ!とにかくサドルにまたがれ!」と叱咤されつつ、しぶしぶ走ったらしい(笑)。

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※疲れて駄々をこねる三船さん




1,000キロ地点で、矢野さんに「ラスト200キロだ、行ける!がんばれ!」って激を飛ばされたときは、「200キロを“ラスト”とは言わないよ…」と思わず突っ込んでしまったらしい。たしかに200キロは1日で走るにしてもなかなか大変な距離だ(笑)。


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※サンドイッチを噛む気力すら失っている三船さん



最後に、質疑応答の様子をば。


Q 「疲労が極限にまで達すると、幻覚を見るそうですが本当ですか?」

A 「今回はたぶん見ていません。知人で、途中でカッパの街を見たって言い張る人はいました。パリ~ブレスト~パリではないですが、岡山のブルベを走っていたとき、耳元で”家はアンテナ付きを買え”と助言が聞こえてきたことがあります。なぜアンテナ付きの家なのかはナゾです(笑)」


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※ゴールインした三船さん(足元の紙切れは完走証明書)


Q 「トラブルはありましたか?」

A 「ほぼなかったです。パンクもしませんでした。というか、ブルベでパンクした経験は数えるほどしかありません。テールライトがよく落ちるので、ビニールテープでぐるぐる巻きにして落下防止しました」


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Q 「メカや機材で“こうしておけばよかった”という反省や後悔はありますか?」

A 「機材に関しては、トラブルもなく、よい選択をしたと思っています。電動コンポ(カンパニョーロのレコードEPS)は操作しやすかったです。指のしびれは残りますが、ワイヤーに比べたら段違いに疲労は少ないですね」


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Q 「リアカセットのギア比は?」

A 「なるべくインナーにしたくなかったので、ローギアは29Tを使いました」


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じつに貴重な体験をお聞きでき、感激だった。



Raphaジャパンさん、三船雅彦さん、取材させていただきありがとうございました!


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