9月6日にRapha Cycle Club Tokyo(CCTYO)で開催された三船雅彦さんのトークショー「三船雅彦が語るパリ~ブレスト~パリ2015」に参加し、三船さんと現地でサポートを務めたRapha代表の矢野さんのイベントの振り返りを取材させていただいた。



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ご存知の方も多いと思うが、パリ~ブレスト~パリ2015で三船雅彦さんがすごい記録をたたき出した。1,200キロを43時間23分で走りきったのだ。それも不眠不休で。



ロードバイクに乗らない方は、「それってすごいの?」と首を傾げるかもしれないが、とんでもない偉業である。



参加直前の取材記事を掲載した時点では、「50位以内は難しいだろう」とお話していたが、終わってみれば2番でゴールイン。もちろん、ぶっちぎりで歴代日本人トップタイム。

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ラファサイクルクラブ東京が主催するトークイベント、「三船雅彦さん パリ~ブレスト~パリの走り方」を取材させていただいた



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アイスコーヒー、ごちそうさまです! この日は120キロのロングライドに行ってすごく疲れていたんだけど、ぐったりした身体に染みて美味しかった! サッパリ&すっきりなお味だった。




パリ~ブレスト~パリってどんなサイクルイベント?

フランスで4年に1度開催される、1200km(!)を走る長丁場にしてブルベの最高峰。2015年は第18回めの開催になる。

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※パリから出発し、またパリに戻ってくる




どれくらいの人が参加したの?

全体で6,000人くらい。日本人参加者は230名ほどで過去最大数だったとか。



三船さんの事前の目標タイム

当初の目標は「46時間」だった。つまり、目標を2時間半以上も上回ってしまったのだ。順位は全体で2位(!)。6,000人中で2位である。


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※三船さんのマシン、リドレーのヘリウムSL。コンポーネントはカンパニョーロのレコードEPS。ホイールはゾンダ。タイヤは26Cだ。



同じ道を引き返してくるコース設定

パリから西に走り続けてブレストという港町(600キロ地点)で折り返し、来た道を戻ってパリまで帰る。合計で1,200キロの道のり。



1,200キロのコースと言われても、長すぎてピンとこないかもしれない。日本列島に置き換えると、秋田市から広島市がほぼ同じ距離。軽く日本列島を縦断していることになる。



秋田市から広島市まで43時間ちょいで走る」ことを想像してほしい。しかも一睡もせずに……気が遠くならないだろうか?



ちなみに、折り返し式のコースなので、先頭集団の選手らは、対向車線の後続選手をずっと見続けることになる。


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※スタート直前の三船さんの腕が一番前に出ている。勝利への執念の現れである。



レースではないのだが、まぎれもない闘いの場

パリ~ブレスト~パリは、厳密にはレースではない。しかし、本質はレースといっても過言ではない。



ヨーロッパで9年間、プロの実績のある三船さんをして、「パリ~ブレスト~パリはサイクルイベントと定義されているが、実際はレースの雰囲気をビシビシ感じる」場であったそうだ。ただのブルベではない、「現役時代に引き戻されたかのような感覚」を味わったとのこと。


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民家や集落の町並みは昔から変わらない様子で、まるでタイムスリップしたような風景の中を走る。日本で言えば、さしづめ城下町を走るようなかんじだろうか。



出場選手間でもライバル心むき出しで、ベルギー人は「ベルギー同盟」、フランス人もこれまた同盟を組んで互いに潰しあうんだって。国旗カラーのジャージを着込んだりして、やる気は満々。



なお、フランスはベルギーを格下扱いする(自転車の世界でね)そうだ。2011年のときも、トップ集団のフランスとベルギーは協調体制をとらなかったとのことで、「牽けよ」、「やだ」、「牽けっつてんだろ」、「うっせ」みたいな会話を繰り返していたんだそうな(笑)。



プロでもない選手であっても、個人間でのナショナリズムが激しくぶつかりあう場所なのだ。こういう話を聞くと、興奮でゾクゾクくる。



とはいっても、パリ~ブレスト~パリで本気でトップを狙う選手は40〜50人程度で、それになんとか食らいついていこうとするシリアスライダーが100名かそこら。大半の出場者が勝ちを狙いに行くわけではない。


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※三船さんの両隣には、ベルギーのナショナルジャージを身にまとった選手らが




最初のコントロールポイントが不安だった(矢野さん)

前回(2011年)、三船さんはソロで出場したが、今回はRaphaのバックアップを受けて走った。ただ、矢野さんはパリ~ブレスト~パリが初体験で、どこで何を提供すればいいのか、どんなサポートをすれば三船さんが喜ぶのか、未知の世界だった。



スタートして最初のコントロールポイントでボトルをリフィルしたり、補給食を手渡す手はずになっているのだが、そこまではクルマで移動。コース内はクルマは走ることを許されていないので、大回りする形で先回りし、物資を運んで、食事や機具を並べて待ち構える……のだ。



前回はハンガーノックになってしまったそうで、同じ轍は踏まないよう細心の注意を払って物資を用意した。


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ただ、補給食を用意するにせよ、三船さんが何キロ地点で何を食べたくなるか?どんな物資が必要になるかが想像を絶する世界なのでわからない。



三船さんに訊いても、「うーん、走ってみないとわからないよ…」としか答えられない。よって、いろんなケースを想定して、考えつくあらゆるものを持参した。面白いところでは、カップラーメンとサッポロ一番味噌ラーメンも同梱したとのこと。



主催者に渡された工程表が雑シンプル極まりない

矢野さんがナーバスになっていたのは、「万が一、サポートカーの到着が遅れて、三船さんが補給を受け取れなかったら…」という不安。



なにしろ、主催者がくれたスタート~ゴールの工程表がA4ペラ一枚。「え、これだけ?」である。地図はなく、各自で調べるしかない。地図とスマートフォンとカーナビを駆使してなんとかルートを決めたが、予想外の作業で3時間近く取られてしまったそうな。


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※矢野さんが指差しているのが工程表。紙一枚。テキストのみというシンプルさ(笑)



コントロールポイントでもレースの雰囲気

パリ~ブレスト~パリのような超ロングなブルベの場合、自分は「ゆっくり補給食を食べて10分くらい休憩するとか、横になって疲労回復するんだろうな」と思っていたが、そうではない。



選手は駆け足で通過証となるスタンプをもらいに行き、補給を受け取ったら脱兎のごとく走り去るのだ。その間、わずか2~3分。まるでF1のピットインのようだ。



スタンプは屋内で押されるんだけど、入り口と出口が別。要領を得ているサポート隊は、スタンプをもらうまでの時間を使ってバイクを出口近くまで運んだりと、時間短縮のためならなんでもやってくる。



この辺も初サポートとなる矢野さんは気づけず、最初のコントロールポイントで慌ててしまったそうだ。



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※7月まで、自分も履いていたカンパニョーロのゾンダ。三船さんとの共通点があって、すこし嬉しい (*^^*)




まだまだレポートは続きますが、いったんここで終了。とにかく三船さんと矢野さんのお話が面白すぎてしかたない。(取材ノートを6ページも使ったのは初めて)



検索しても出てこない話とは、まさにこのこと。

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※「三船さんのブルベ道」が読めるよ!