ラファサイクルクラブ東京が主催するトークイベント、「三船雅彦さん パリ~ブレスト~パリの走り方」を取材させていただいた。



三船雅彦さんは、元プロレーサーにして現在はブルベをメインフィールドとして活躍されている方で、ロードバイクファンで知らない人はほぼいないはず。

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※会場は原宿にある「Rapha Cycle Club Tokyo」 ツール・ド・フランス開催中だったので、雰囲気はすっかりTeam Sky
\(^o^)/



三船雅彦さんプロフィール

中学のときにテレビで見たツール・ド・フランスに憧れ、高校入学と同時に本格的に自転車競技を開始。オランダへの自転車留学を経て94年にプロ登録。97年にはベルギーの名門チームへ移籍し、ツール・デ・フランドルやリエージュ~バストーニュ~リエージュに日本人として初出場。02年から日本に戻りレース活動を継続。08年の引退後は後進の指導や自転車普及活動、レース解説などを行う傍ら、ブルベへ積極的に参加。国内の第一人者として活躍中。2011年にはパリ~ブレスト~パリを完走している。


三船さんの個人ブログ、「Massa's Eye」はこちら




パリ~ブレスト~パリ・ランドヌール(PBP)とは、フランスで4年に1度開催される、1200km(!)を走る長丁場にしてブルベの最高峰。2015年は第18回めの開催になる。



三船さんは日本のブルベの第一人者として活躍されており、8月の2度めの参戦をされる予定だ。三船さんのPBPの走り方を、事前準備や必要な装備、当日の動きやポイントをセミナー形式で語っていただき、とても勉強になった。



ちなみに、パリ~ブレスト~パリ・ランドヌールはだれでも参加できる大会ではなく、2014年11月~2015年7月にBRM200,300,400,600の認定を取得していることが条件になる。

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「パリ・ブレスト」というフランスの伝統菓子。リングに絞って焼いたシューに、アーモンドクリームをサンド。パリ・ブレスト・パリの開催を記念して考案された自転車の車輪の形をした菓子が振る舞われた。香ばしいクリームがすごく美味しかった。




ここからが本題。


ロードバイクで出場する

ランドナーで参戦する人はほぼおらず、現在の主流はいわゆるレース用ロードバイク。泥除けはもちろんついていない。ところどころのポイントではアタックがかかることもあり、その瞬間は「これがブルベなのか?」と見間違うほどのスピードを出す選手もいるそうだ。


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上の写真は三船さんのブログから引用させていただいたスクリーンショット。リドレーのヘリウムSL。



ホイールはカンパニョーロの「ゾンダ」を選択

前回はカンパニョーロのユーラスを履いたけれど、今回は「ゾンダ(zonda)」で出場されるとのこと。ゾンダは自分も愛用しているホイールなので、なんだか嬉しくなった。と同時に、三船さんクラスの選手でも、ゾンダを使うんだって驚いたね。(もっと、何十万円もする高級ホイールを使うのだろうと思い込んでいた)



超ロングライドのレースだと、やはり粘りのあるスチール製のスポークの乗り心地がよいらしい。アルミの硬くて反応の良いホイールは序盤は快適でも、終盤で脚に来るそうだ。



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※こちらは私物のZONDA。三船さんと同じホイールに乗っているというだけで、なんだか気分がいい(笑)。



コンポーネントは電動(EPS)

指と手がラクであるのが電動を使う最大の理由。前回はワイヤーでの出場だったので、終盤は指がしびれてろくに変速できなくなってしまったそうだ。指が言うことをきかなくなるので、変速は手のひら(親指の付け根)でなんとか無理やり押し込んでやるんですって。



自分が週末にマイペースで走る100キロ程度のヒルクライムでさえ、終盤はフロントディレイラーの操作がおっくうになるので、ケタ違いの距離を走るブルベだと本当に大変だと思う。



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手前がRahpa代表の矢野さん。奥の白いシャツの方が三船さん。日焼けされすぎていて、表情がよく見えない(笑)。



仏の(朝晩の)寒暖差は激しい

ヨーロッパの気温変化は日本よりも激しいらしく、昼間は30度あっても、夜は15度とかになることはザラ。よって、夏用ウェアだけでは夜間走行で凍えてしまう。よってアームウォーマーは必須。



それと、雨を考慮してアウターも1着携行する。とくに、雨天でのダウンヒルはマジで体が冷える。なにしろ、下る走行距離も長いしね。身体が冷えると、指の感覚も失われて、ブレーキングに影響する死活問題なのだ。



先頭に近いポジションでスタートすることがキモ

上位を狙うなら、なるべく先頭に近い場所を確保せねばならない。三船さんはそのために会場に4時間前に入っておく。そこまでするとかなりいいポジションを確保できる。



その代わり、炎天下の中で待ち続けなければならないので、その間の水分確保は忘れないように2リットル近くも飲んだそうな。勝利に対する、すさまじい執念を感じる。



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※松崎しげるさん並の日焼けっぷり。逆光でお顔がよく見えない……。




ライトは2個、予備バッテリーは4個

ハンドルにはライトを2個装着する。片方が壊れたりしてもいいようにだ。4年前と比べ、今のライトの性能は格段に良くなっているって三船さんも感じているそうな。



時差を考慮して早めに現地入り

海外から参加する人の敵が、時差からくる疲労や睡魔。ふつうに仕事をしていると、なかなかリードタイムを用意できないかもしれないが、直前に入国してろくに時差ボケを解消しないまま当日を迎えてしまうと、パフォーマンスに確実に影響する。



ちなみに三船さんは、前回より余裕を持って「5日前」に入国するんですって。



サイクルキャップは欠かせない

日光や雨、前を走るバイクの水しぶきから目を守るために、サイクルキャップは欠かせない。あと、おでこに直射日光が当たらないようにするだけで、ずいぶんラクに走れるそうな。ブルベってそこまで過酷なレースなんだって思わされた。



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※Raphaがウェアをバックアップする。どんな装備で走るのか、現物を使って紹介。



カギは持っていかない

運べる荷物に限りがあるので、なるべく少なくするためにカギは持っていかない。「盗難リスクは大丈夫?」と質問があったが、心配なときはレストランの中でもどこでもバイクを持って入っていく。レース直前にバイクを盗まれて、出場できなかった人はいたとのこと。



なお、レース中のレストランはかなりカオスな状況らしく、席で突っ伏して寝ている人、廊下に座り込んで食事する人、床に寝っ転がっている人がゴロゴロいるらしい。疲労が限界に達すると、そーゆー光景になってしまうそうだ。




落車は起きる

長いレースだし、真っ暗闇を夜通し走るレースなので、落車は起きる。中には、寝落ちしてコケる選手もいる。でもって、怖い話だが毎回死者が出てしまう。だから、細心の注意が必要だとのこと。



水分は路上の観客者からもらう

水分が切れたらどうするか。日本のように自販機やコンビニはなく、ひたすら道が続くだけ。そんなときは、路上で応援している人の飲み物をほぼ、奪い取るかのように「これ、もらってもいいですか?」っていただいてしまうらしい。三船さんもそうしている(笑)。パリ~ブレスト~パリを戦うには、それくらいの図々しさは必要なんだって。



ただし、水道水には注意が必要。硬水なので、日本人によっては腹を下すらしい。




お気に入りの補給食

三船さんは温かい食事はどちらかというと苦手とのこと。お気に入りは「バナナ」と「チーズとハムのフランスパン・サンドイッチ」ですって。意外にフツウな食事なんだね。



欧州のアマチュアはプロ顔負けのハイレベル

「表彰台は狙わないのですか?」との質問に対しては、現実的にはヨーロッパにはプロ顔負けの猛者がいっぱいいるので、そうそうカンタンなことではないとのこと。どれくらいプロ顔負けかというと、月間1万キロ走りこむレベル。1日に350キロ走っている計算になる。それってアマチュアとは呼べないんじゃないのって人がいるわけね。



サポートカーと連携して、事前にコースの下見までしているそうな。それも、1,200kmぜんぶをの行程をだ。そうすることで、夜間でもコースを熟知でき、自信を持って走ることができる。あと、チームを組んでライバルを蹴落とす集団もいたりするそうな(観察しているとわかるらしい)。三船さんにはそんな仲間はいないし、事前の下見もできない。時差もある。完全なアウェーなわけ。



ただ、今回はRaphaが三船さんをサポートするそうで、そういった意味では前回より上位を狙える可能性はある。


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以上、三船雅彦さんトークセミナー「パリ~ブレスト~パリの走り方」の様子をお伝えしました。



自分はブルベをしたことはないし、当面参加の予定はない。でも、自分の限界を越えるようなチャレンジを1回はしてみたいって気持ちにもなった。いきなりえげつない距離を走るのは無茶なので、まずは「日帰り150キロ走る」ことを目標にすることにした。



三船さんのご活躍に期待したい。


他媒体の記事も見つけたので、ご紹介しますね。



Rapha:三船雅彦さんトークセミナー「パリ~ブレスト~パリの走り方」盛況 (サイクルスポーツ)




Rapha Cycle Club Tokyoさん、取材させていただき、ありがとうございました!




Rapha Cycle Club Tokyo

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