これまで、ダイハツのウェイク、スズキのハスラーなど、軽自動車にロードバイクが積めるのかどうかをディーラーで検証させていただいた。
今回は、マツダのデミオのクロスオーバー車、「CX-3」で確認すべく、マツダのディーラーに直撃してきたのだ。
やってきたのは、関東マツダ大宮店さん。快く取材にご協力いただき、ありがとうございます!
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街ナカでちらほら見かけるCX-3だが、間近で眺めるのは初めて。もちろん、インテリアを見るのも初である。
エクステリアは文句なしにカッコイイ。絞り込んだボディ、それを包むエッジの効いたキャラクターライン、後ろにいくにつれ、狭くなるウィンドウ、18インチの巨大ホイール。作りての愛情や思い入れを感じることができる。
扱いやすそうなサイズにまとまっているのも良い。(全幅があと2センチ小さければ…)
- CX-3の全長x全幅x全高は、「4,275mm×1,765mm×1,550mm」
- CX-5は全長x全幅x全高:4,540mm×1,840mm×1,705mm
- パンダは全長x全幅x全高:3,650mm×1,645mm×1,550mm
パンダに比べると、CX-3の全長は625mm長く、120mm広い。全高はまったく同じ、というわけだ。
ただ、リアウィンドウがかなり寝ているので、「トランクスペースが犠牲になっているんじゃないかしら?」と少しだけ不安に思った。
トランクを開ける。なるほど、たしかに広くはない。が、オレサマのパンダよりは1.5倍はある印象で、個人的になんの文句もない。これだけの広さがあれば、ダホンを折りたたんで積むことは余裕だ。ただ、2台は並べるのは厳いね。
※700Cのホイールを置いてみた
※こちらはパンダのトランク。(ダンボール箱が2個入るとイッパイイッパイの悲しい収納力)
トランクの容量よりも気にしていたのは「室内高」のほうだ。ロードバイクを寝かさず、ひっくり返してサドルを下に置いた状態でCX-3に置けるかどうか。
まず、BOMAのRefale(リファール)を逆さまにして、巻き尺で高さを測ると「78センチ」。ということは、5センチ余裕を見て、最低でも83センチは欲しい。85センチあれば、積み下ろしがやりやすいだろう。
CX-3の(トランクをたたんだ状態での)室内高結果は残念ながら「70センチ」だった。室内高はまったく足りないので、CX-3にロードバイクを積もうとしたら、トランクを倒し、両輪外して、寝かせるしかない。ということは、パンダのようにリアシートに2台クロスさせて積むことができないわけだ。
トランクの高さがやや低いかも?と思って、ホイール(700C)を縦に置いてみたら、なんと天井に干渉する。マジか…縦にすらホイールを積めないのね。寝かせればもちろん大丈夫なのだが、これでは1台しか運べないね。
※700cのホイールは直角では収まらない
結論は、「CX-3でロードバイクを運ぶとしたら、シアシートは全部倒して、ホイールもフレームも横に寝かせて運ぶ。バッグやヘルメット、シューズ類は助手席を使う」である。
さて、ディーラーの営業さんに、CX-3のセールスポイントを伺ったよ。
1.徹底的にカッコイイクルマを目指した
モーターショーに出展されるコンセプトカーのようなカッコよさを目指したんですって。
具体的には、「低い天井、天地が狭い窓、大きなホイール」。この3要素が揃えば、いわゆるカッコ良いデザインに仕上がるのだが、市販車でこれを実現するのは相当に難しいそうだ。
ただ、マツダはここを妥協しなかったとのこと。たとえば、本来ならこのジオメトリーの車に18インチの大口径ホイールを採用することはありえないそうで、ここもマツダのこだわりポイントなんだって。(アテンザと同じ?と思ったんだが、アテンザは19インチだそうです)
※どの角度から見てもカッコいい…ってうっとりするデザイン。
2.ユーティリティはある程度目をつぶった
カッコよさを追求すると、反比例して犠牲になるのがユーティリティと着座スペース。中途半端にスペースを確保しようとすると、カッコ良かったコンセプトデザインがダサくなっていく。
マツダは「ほどほどのスペースがあればいいでしょう」と割り切ることで、作りたかったデザインで世に出せたらしい。リアシートに座ってみたが、たしかに「うわー、広々~」と感激するような広さはなく、ほどほどにタイトではあった。SUVならではのタテ方向の開放感はなく、ふつうの乗用車に乗っているみたい。
※質感の高さにびっくり。パンダより2ランク上のクラスだ。
しかし、「広さ=気持ちよさとも限らない」のが自動車だと個人的に思っていて、タイトでも心地よいデザイン、上質な空間は造れるものだ。まあ、パンダのスペースに慣れてしまったオレサマには、CX-3は十分に広い。身長170センチ前半の人までであれば、フロントシートでもリアシートでも快適に過ごせるはずだよ。
あと、インパネ周りの質感はびっくりするほど良かった。パンダのプラスチッキーなインテリアに比べたら、まるで高級車。Touring L Packageが280万円越えとニュースで知った瞬間は、反射的に「デミオベースなのに、高過ぎるだろ?」と思ったものだが、このインテリアを見たら、「さもありなん」と感じた。
※プラスチッキーなパンダと比較したら雲泥の差(笑)。
3.装備は上位車種と同等レベルにし、プレミアムなコンパクトSUVにした
日本車のこれまでの売り方でよくあったのが、「上級車は装備が充実しているけれど、下に行くにつれて装備がしょぼくなる」だ。昨今は車のダウンサイジング化が当たり前になり、大型サルーンに乗っていた裕福な方が、あえてコンパクトカーをチョイスするパターンが増えているとのこと。そのとき、寂しい装備では舌の肥えた層の購買意欲を刺激できない。
そこで、マツダはグレードや車のサイズに関係なく、装備を一律で充実させることにした。「こうしてもらえることで、販売サイド(ディーラー)はとても売りやすくなりましたね」とおっしゃっていた。
余談だが、オレサマのオトンはアテンザのセダン、次男はCX-5、三男はロードスター(初代)に乗っており、それぞれとても満足している。
とくにオトンは、15年ほどボルボを何台も乗り継いできたが、「ボルボのどの車種と比較しても、あらゆる面でアテンザのほうがいい。高速道路で長旅しても、気持ちよく走るし、ぜんぜん疲れないぞ。にもかかわらず、アテンザのほうが車体本体は安いし、スカイアクティブのディーゼルエンジンの燃費も言うことなし。マツダは完全復活したな。もうボルボに乗ることはないだろう」って言ってた。
個人的には、アテンザの車体はでかすぎて、都内では運転したくないけどね(笑)。
話が脱線したが、CX-3は実用性は最低限にとどめ、とにかくかっこいい車にする!という潔さのある車だ。所有欲を十分に満たしてくれる車だなって、間近で見て思ったね。
なお、CX-5であればロードバイクの積載は余裕だろう。ボディの絞り込みはCX-3ほどはなく、全長も全幅も全高も全方向に余裕があるので、荷物を運びたい人にはCX-5がオススメ。
とくに、リアシートは4:2:4で分割して倒せるのが特徴で、真ん中の2の部分をたためば、長尺物も積みつつ、4名がゆったりと乗車できる。しかも、どのシートもトランク側からレバーひとつで操作できてしまう。こういう痒いところに手がとどく配慮は、国産車が頭ひとつ抜けているね。フィアットには望むべくもない(笑)。
※CX-5のユーティリティと使い勝手の良さは、ハンパない。
※トノカバーはこのように床下収納できる。地味なナイスプレー。
個人的にCX-3とCX-5のどっちが欲しいかと訊かれたら、間髪入れずにCX-3を選ぶ。コンパクトカーが好きなのと、デザインに惚れた。ロードバイクが積みにくてもかまわない。ホイールを外して横に寝せれば大丈夫。最悪、ルーフキャリアを導入する(笑)。
「CX-3の立体的なキャラクターラインは、実車でないとなかなかわからないので、ぜひお店で堪能してほしい」とは、営業マンさんの弁。その点はオレサマもはげしく同意する。ぜひ、斜め後ろからのセクシーな姿を味わっていただきたい。まさにプレミアムコンパクトという名前がふさわしいと思う。
ちなみに、株式会社関東マツダのウェブサイト上では、CX-3を1日丸々借りて、心行くまま味わい尽くせる特別な試乗サービスも提供しているよ。お申し込みはリンクからどうぞ。
関東マツダ大宮店さん、ありがとうございました!
店舗情報&リンク
大宮店の公式サイト
過去記事のまとめ
【取材記事まとめ】 ロードバイク&ミニベロが自動車に積めるかどうか
※全部の取材記事をここにまとめてます。
コメント
コメント一覧 (10)
なんとなく始めた一人称がいまさら辞められず、ずっと続いています。
なにとぞご辛抱のほどよろしくお願いします(汗)
全長4200ミリ、全幅1750ミリくらいのジオメトリで、ちょうどいいワゴンってなかなかないですね。レヴォーグがそれに近いのかな…。ただ、内装がまったく心に響かない…。
月間アクセス数が約10分の1の私のブログでも可能でしょうか?
自転車でディーラーに行き、こういうブログを書いているものなんだが、実際に試して、その様子をブログにさせてもらえます?ってお願いするだけ。
で、公開後はちゃんとご報告します。
一度も断られたことがないばかりか、どのお店も親身に対応してくださいますよー。
(^^)
どれどれ...あーー...スバルさんもデザイナーに少しはお布施を払いませんと、ねえ。昔からアルシオーネみたいに、外装はキレたデザインを試す会社なのに、本当に不思議です。
走りには定評があるので、もうちょいがんばってほしいところです。
ベンツとレクサスはさすがにまだチャレンジする勇気が無いですが、やってみようかしら(笑)。