フィアットのパンダに乗りはじめて、5ヶ月経った。走行距離は5000キロちょっと。

ロードバイクを積んで栂池に行ったり、奥多摩まで運んだり、美ヶ原に連れて行ったり、ミニベロを積んで奥日光に遠出したり、小さいながらも自転車を運べるユーティリティがあるクルマだ。

これまで、細かすぎる装備品のインプレは書いたことがあったけど、5000キロ走ってみてのロングインプレッションを書いてみるね。

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ギアとパワーを使い切れる走行性能

900ccで85馬力(衝撃の2気筒)しかなく、まるでオートバイのようなスペックだが、信じられないくらい元気に走る。1,900回転からターボがかかるので、トルクは問題ないし、高速域ではエンジンの性能をフルに使い切って走ってくれる。個人的には、高速道を走らせているときがもっとも楽しいね。

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※小さなエンジンだけど、子犬のように元気に動く

ギアとパワーを使いきって走れるってのがミソ。ロードバイクもそうなんだけど、すべてのギアをまんべんなく使って意のままに操るのがロードバイクの醍醐味じゃないですか。いくら高性能であっても、回せないギアでは宝の持ち腐れ。自動車も自転車も、それは同じじゃないかな。

パンダは運転しているだけで楽しい。意味もなく遠出したくなるね。


一癖あるデュアロジックは、すぐに慣れると思う

デュアロジックというオートマチックトランスミッションが採用されていて、これは正直、好き嫌いが分かれるミッションかも。ギアチェンジのショックの少ないCVTに乗り慣れている人だと、「でかい変速ショックだなあ」と不満に感じるかも。

オクサマは「街中の低速ではひょこひょこするねぇ(苦笑)」って言っている。

たしかに20ー30キロの低速ではギクシャクするミッション特性だが、ひとたび走り出すととても楽しい。デュアロジックを運転したことがある人は激しく頷いてくれると思うんだけど、エンジンがまるで息継ぎをするかのごとく、呼吸をしながら走るんだよね。

ドライバーが車と呼吸を合わせながら走れるので、クルマと一体感を味わえるのだ。ただ、これを「めんどくせえ」って嫌がる人もいるかもしれない。


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参考記事

デュアロジック車をトコトン楽しもう (フィアットカルチャーマガジン)

コシのあるフロントシート

パンダのフロントシートは見た目は大したことないが、腰掛けると国産車シートとは座り心地がぜんぜん違う。しっかりとしたコシがあって、長時間ずっと高速を飛ばしても疲れない。スポーツカーのようなボリューミーなサイドサポートはないが、左右にぶん回すような乗り方はしないので、これで不満はない。

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ヘッドレストが安っぽい見栄えだけど、これも触れればチャチではなく、高さ、硬さ、角度どれをとってもいいかんじ。しっかりと頭部を守ってくれるって思える造りだよ。


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手抜きのないリアシートとヘッドレスト

ヘッドレストが3つあるけど、真ん中に人を乗せることは幅的にちょっと厳しい。足元にもスペースはないしね。パンダは4人乗りと割り切った方がいいだろう。

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後席は数値上は狭いはずなんだけど、不思議と窮屈さを感じさせない巧みなパッケージングだって感心する。スクエアなデザインをしているお陰で、スペースを一杯一杯まで有効活用しているね。頭上も頭の横も余裕があって、閉塞感もない。

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※しっかりとヘッドレストは伸びるので、後頭部をしっかりと守ってくれる

実は、パンダで一番驚いたのがその絶妙なパッケージングだった。外見からは想像できないくらい、内側のスペース活用がうまいのだ。試乗のとき、初めてシートに座って感じたのが「うわ、気持ちのいい空間だなあ。けっして広くはないのになぜ不快じゃないんだろう」だった。

程よくタイト、運転しやすいサイズとボディ形状、そしてどのシートに座っても嫌な感じがぜんぜんなかった。

このまま旅行にでも行きたいな」って思ったくらいだったのだ。

ドライビングポジションをオレサマの身長(173センチ)にあわせて後席に座っても、4センチほどは余裕がある。シートバックが立っていて、アップライトな姿勢で座らせるのも影響しているんだろう。後席の着差ポイントは前席より高めなので、見晴らしもよい。

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ただ、白っぽいカラーなので、汚れだけが気を使う。とくに、ロードバイクを逆さまにして積んでいるときは、スプロケットの歯の汚れかすが落ちることも。

1回やってしまった失敗なんだが、逆さにしたフレームにボトルを突っ込んだままにしてて、そこから水滴が垂れてシートを濡らしてしまったことがあった。ただの水でよかった。


リアのクォーターウィンドウ

これがあるおかげで、後方視野を十分に取れる。2007年まで乗っていたフォルクスワーゲンのゴルフにはリアのクォーターウィンドウがなく、Cピラーが死角になっていた。デザイン上のアクセントにはなるので、好きではあったが、高速道路の車線変更時とかは気を遣わねばならなかった。

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パンダはリアのクォーターガラスがあるだけではなく、全体の窓ガラスの面積がどこも平面かつ広めにとられているので、360度どの方向の視野も十分に確認できる。しかもスクエアなボディ形状のおかげで車幅感覚がつかみやすい。

実用性とデザインが両立されていて、目立たないファインプレーだ。

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※POLOには小さめのリアクォーターウィンドウがありました 


やや狭いトランク

ポロやフィットと比べて、あきらかに狭い。とくに前後の奥行きは期待しない方がいい。ミニベロ1台がギリで置けるくらいだ。2台はムリ。2台のときは、リアシートを畳む必要がある。

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※ミニベロ2台は無理です

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まあ、全長が3650ミリしかなく、ポロよりも24センチほど短いのだから仕方ないよね。ロードバイクを積むときは、ホイールを外してトランクに入れている。

ひとつ驚いたのが、トランクを閉じるときの把手がなく、代わりにヒモがネジでくっついている。衝撃のイタリアンクオリティ(笑)。

イタリア人はそんなもの必要しなくって、ドアをじかに持ってバシンと閉めるのだろうか?よくわからないが、考えてみれば別にあってもなくてもどうってことないので、不満はには思わない。

自分はドアをそのまま持って閉めている。ただ、背の低いオクサマには必要な装備らしく、「マジかよ・・・」って最初見たときは呆れていた(笑)。

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※ただのヒモ…!

以上、5000キロ走ってみてのインプレッションでした。

乗れば乗るほど愛着が増すパンダ。これまで、シビック、インプレッサ、ゴルフ、ポロと乗り継いできた中で、一番愛着があって、運転が楽しいのがパンダである。ドイツ車の質実剛健な走りは悪くはないのだが、ラテン車って面白いよ。じつに面白い。

ドライビングプレジャーと数値上のスペックは、必ずしも比例するわけではないのである。



輸入車のすべて 2014年


こういう雑誌ってさ、車を買った後にも関わらず読んでしまうのはナゼなんだぜ(笑)?

自分が乗ってるクルマの批評もついつい読んでしまうのだ・・・。


フィアット500のすべて(モーターファン別冊 ニューモデル速報/インポート 45)


このムックは面白かった。チンクエチェントが主役なんだけど、パンダも紹介されてるし、なによりパンダと中身は同じだからね。これを読んでから試乗にいくと、よりパンダをじっくりと楽しめるはず。