ロードバイク初心者は、ポジションを間違ったまま乗り続けてしまっているかもしれないって話を、自分の経験談を元にお話しよう。

2014年7月に、一般財団法人日本自転車普及協会が主催するセミナーに参加した話を書いた。


<参考リンク>
自転車セミナー「高村式フレーム論及びトレーニング論について」に行ってきた

講師の高村さんは、ラバネロというチームの監督を務めつつ、本職は自転車プロショップ・タカムラ製作所のフレームビルダーさんである。

セミナーで図々しくも、「ポジションを診断してほしい」とお願いしたところ、「いつでもお店においで(^^)」と快諾くださったので、仕事の後に練馬にあるお店に伺った。


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※住宅街にあるショップ。(むちゃくちゃ分かりにくい場所にあるので、初めて行く人は注意してね)

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※工場の中。ところ狭しとクロモリフレームやホイールが並べられている。

高村さんから、自分のBOMA の Refale をひと目見るなり、「サドルもハンドルも、ポジションが全然あってないねぇ」ってダメ出しされた。

え?マジですか? 自分なりに、試行錯誤してサドルを上げたり、ブラケットの角度を調整して今のポジションにたどり着いたつもりなんですど。しかも、またがってもいないのにわかっちゃうの?

いったい何が間違っているのだろうか。

まず、サドルが高すぎ。バイクにまたがってみて


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バイクにまたがり、ペダルを下死点まで下ろし、かかとをペダルに乗せようとすると・・・届かない。2センチ弱浮いている。

膝をまっすぐにして、かかとがペダルに触れるか触れないか…が正しいサドルが位置だよ。かかとが浮いていると、パワーをかけて踏み込めない

高村さんはさっとサドルを下げ、自分を再びバイクにまたがらせた。

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すると、ひざをまっすぐに伸ばした状態でかかとがペダルに微かに触れる。「そうか、こんなに下げていいんだ」って驚いた。

聞いたところによれば、踏み込む力の弱い(不慣れな)ロードバイク初心者は、“ついサドルを上げる傾向にある”そうだ。

そういえば、自分は「購入したショップでセッティングされたサドルを、自分の勝手な判断で2センチほどあげてしまっていた」ことを思い出した。そうか、すべては自分の責任だったのだ。

サドルを下げて、ブラケットを握ってみる。当然ながら、ハンドルが近くなったので、なんだか窮屈に感じてしまう。

それを見た高村さんは、「スペーサーはいらないね。全部外しちゃおう」 と、あっという間にスペーサーを全部取っ払い、ハンドルを一番下まで下ろしてしまった。 「うむ、このほうがかっこいい。乗ってごらん

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 ※え、スペーサー取っちゃうの?しかも全部?
 

い、いやー、そのー、ぼくってガチンコのレーサーじゃないですし、っていうか、ロードバイクはまだ初心者で、腕も短いからわざわざショートリーチのハンドルに交換したくらいで、いくらなんでもこれは下げすぎなんじゃないですかね。ブレーキかけたとき、前転してこけそうで怖いんですけど・・・

と、言い訳しながらハンドルを握ったら…


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あれ?ぜんぜん怖くないどころか、窮屈じゃないし、ハンドルも遠くない。っていうか、快適にブラケットが握れますよ!

でしょ?前のポジションがそもそもかなりアップライトだったから、ハンドルが遠く感じていただけだね。これなら、ちゃんと体幹を使って踏み込めるし、楽に走れるようになるよ


ひゃっほーい、これで完成ですか!?

いや、サドルの角度が水平状態なのが気になるな。前かがみに変更したから、水平のままだと尿道が少し圧迫されない?

たしかに言われてみれば、ちょっと圧を感じます。

前下がりにしてあげるよ。ほんの少し角度を変えるだけで、すごく感触が違うからね。これでどう?


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むっ、圧が消えました!

よし、これで走ってごらん

試乗してみた。サドルを下げたせいで、ペダルが近くなったので、ペダリングが窮屈になったようにも感じるが、そもそもこれが正しい位置で、自分が間違っていただけだ。すぐに慣れるはず。それ以外の部分では、何の違和感もない。

たしかに、身体の奥の筋肉を使って、全身で漕げているような気がする。

後ろから見たら、ペダリングの姿勢が曲がっているね。上半身が右に傾いているよ。これまで、高すぎるサドルで漕いでいたから、無意識のうちに身体を左右に振りながら漕ぐクセがついたんだね

あらー、自分ではまっすぐに美しい姿勢で漕いでいるつもりなんですが…。

そーゆーもんだよ。自分のポジションは自分では正しく診断できないよね(笑)

姿勢を矯正するにはどうすれば?

3本ローラーで練習すれば、ちゃんとしたペダリングは身につくよ

ついに、3本ローラーを入手すべき理由が見つかった…。あんなもん、ガチでマジなレーサーが己を追い込むために使うストイックな修行アイテムだと思っていたが、オレサマのような素人こそ、これで練習すべきなのか。

あとね、ハンドルの角度とブラケットも位置も少し変えてもいいかな

あら、なんか変ですか?

前に送りすぎで、下ハンを握ったときの具合が良くない。もがくことはできるけど、休んで走りにくいよ。ハンドルはもう少し戻して、それに合わせてブラケットを調整しなさい


承知しました!

でも、乗っているうちに違和感も感じるだろうし、慣れてくればいじりたくなる部分も見つかるだろうから、そのときはまだお店においで

ありがとうございます!ぜひよろしくお願いします!

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※その後、サドルを変えたり、ホイールを交換したりなど、いろいろいじったが、ポジションだけはタカムラさんに言われたことを守っている。(2016年10月追記)


というわけで、抜本的にポジションを修正いただいて、感謝感激である。もっと早くポジションを診てもらえばよかった。

こういう記事を書いて、ようやく自分なりのポジションに到達できたと思ってたことが、恥ずかしい。やはり、プロに診ていただくのがベストなのだと身を持って知った。

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<参考記事>

ロードバイクを1,000キロ走って、わかったことをまとめてみる

ポジションで悩みまくり、ショートリーチのカーボンハンドルを勢いで買ってしまうの巻

オレサマ、ポジション出し地獄にハマる(笑)

というわけで、ポジションに悩んだら、自己解決しようと思わず、まずはプロにお願いしてみようという教訓を得たのでしたとさ。


<今回、お世話になったショップ>
176-0002 東京都練馬区桜台5-28-13
Tel: 03-3991-3686  Fax: 03-3991-6331
E-mail:shop@ravanello.com

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