自転車を何年にも渡って乗っていると、「え!こんなとこが壊れている!?身に覚えがないのにどうして??」と気づいて焦ることがある。なぜにこの箇所が傷が付いているのだろうとか、どういういきさつでここが曲がってしまったんだとか、首を傾げても答えは出ない。

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2ヶ月ほど前、タイレル(Tyrell)のCSI のフロントディレイラーのワイヤー調整ネジが曲がってしまったのがまさにそれで、ネジの頭がフレーム側にひん曲がっていた。フレームの左側を走るワイヤーを調整するパーツで、めったにいじることはない。ショップで別件で整備してもらった時に、メカニックさんに「あれ?曲がってますよ」と指摘されて気がついた。

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ちなみに、タイレル(Tyrell)のCSI はアルミフレームとカーボンバックのハイブリッド系フレームで、ブレーキワイヤー、シフトワイヤー共にフレームの外にむき出しになっている。

ネジが根元から曲がるとは、それなりの強い衝撃が加わったとしか考えられない。だからこそフレーム側に折れ曲がったはずだ。しかし、まったく身に覚えがない。電車輪行はCSI では1回もしたことがなく(輪行はロードバイクのBOMAでしかしないと決めている)、飛行機に積んだとか、宅急便で移動させたこともない。 ロードバイク以上に丁寧に扱っているのに、こんなことになるとわ…。

もしかして、車載輪行の際にどっかにぶつけたか?あるいは車内で荷重がかかっていたか?

と自問自答したが、それもない。そもそも、そんなピンポイントでショックを当てるのはまず不可能。後席に積むときはひっくり返して固定するので、ネジにはどこにも一切触れることもない。

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※こっち見んな

ひとつだけ「もしかして、あれか…?」と考えかけたのは、立てかけておいたのを風に煽られて倒したことが1度だけある。しかし、それを思い返しても、倒れたのは右側(リアディレイラーがむき出しの方)であって、曲がったネジがあるのは左側。なので、この可能性も消えた。

もしも風で倒れたのが原因だったとしたら、ネジ周辺のフレームにも傷が入ったはず。フレームはなんともないので、なにかしらの圧がピンポイントでかけられたとしか言いようがない。

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※黒いのはアルミのカス&溜まったホコリです

幸いにしてフレームは無傷だったので、ネジが曲がっていることを見落としていた。もしフレームに傷があれば、もっと早くに発見していたと思う。

とまあ、「あれでもない、これでもない」と過去の記憶をほじくり返したのだが、原因は結局わからずじまいだった。メカニックさんに「ふつうにシフト操作するだけで、調整ネジが曲がることってあるものですか?」と尋ねたら、「まず考えられない。何かの衝撃か圧力がかからないとこのように曲がることはない」とコメントしてくれたので、やはり何かがあったのでしょう。

ただ、可能性として挙げられるのは、ネジがやや緩まっている状態でフロントディレイラーを操作してしまうと、ワイヤーに引っ張られてネジがぐらついていくことはあるそうだ。自転車には「いつ、どうやって起きたかわからん」というトラブルもあるということですね。

ネジが曲がってはいるものの、フロントディレイラーはわりと問題なく動く。ワイヤーはふつうに引けてしまうのだ。これも発見が遅れた理由のひとつ。

メカニックさんには「そのままにしておくのはよろしくない。次に同じ場所に圧がかかったらネジが根元から折れるかも。なので、ネジは回さないように」と注意を受け、しばらくアウター縛りで走っていた。ネジがフレームの内側に残ってしまったら、取り外すのに相当難儀する。少なくとも、素人が自力で抜き取るのはまず無理。
※埼玉県南部と東京都内はアウターだけで走れるので助かった

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さて、どのように調整ネジを交換するかであるが、 フローはこうだ。


フロントシフトワイヤーを引っこ抜く

ネジをゆっくり(折らないよう慎重に)回して抜く

ネジ受け側が黒く汚れているので、パーツクリーナーをかけて流し落とす(アルミが擦れてできたカスです)

新しいネジをはめて、シフトワイヤーを戻す

フロントディレイラーの調整をする

完成

以上である。

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※思った以上に長かった


「以上である」とかカッコつけて書いているが、メカニックさんに作業はお願いした。自力で行うスキルはないです…(^_^;)

ワイヤーがほつれていたらどうしよう…ワイヤーまで交換するかで羽目になってしまうかも…と不安だったけど、無事であった。さすがデュラエースということなのだろうか、ワイヤーはまったくノープロブレム。引き続き使います。

折れ曲がったネジはまだ折れる直前ではなかったものの、目視ではっきりわかるレベルでねじ曲がっていた。そのまま使い続けていたらある日突然、「フロントギアが変速できない!山なのにインナーに落とせない!」となって死んでいたかもしれない。深刻化する前に対処できてよかった。

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今回学んだことは、「愛車はこまめにショップに持って行き、プロに診てもらうこと」だ。プロは自分のような素人が見ていない部分に視線が行くし、些細な見た目の変化や操作上の違和感をサッと見抜く。ネジの緩み、ホイールのフレ、各種ワイヤーの伸びやほつれ具合、タイヤのサイドウォールのひび割れ、サドルの位置、ブレーキのかかり具合…などなど。

自分は、とくに問題を感じなくてもショップに行き、おかしな部分はないか診てもらうことを習慣にしている。ライド後の帰宅前に行くとか、ライド前に立ち寄ってみるとか。家からちょっと距離があるなら、ルート上にショップを置くのもよいだろう。

自転車って歯医者のようなものだと思ってて、問題がないときは人は行かないもの。問題が起きてから行くころには症状が悪化してて、「なんでもっと早く来なかったんですか」と言われてしまう。早期発見しておけば安く治療できたのに、ボロボロになってからメカニックさんに見てもらった結果、ひとつのパーツのダメージのせいで周辺パーツの劣化まで加速させてしまった…ってことは実にあるある。

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完全な余談だが、自分は半年ごとに歯医者で定期検診をしてもらっている。診察が終わるやいなや、半年後の予約をその場で入れる。強制的にスケジュール化しておかないと、忙しさを言い訳にして足が遠のき、深刻な事態が起きる…のは何としても避けたいから。

その心がけのおかげだと思うのだが、ここ3年ほどはまったく問題がなく、先生にも「歯石除去以外、やることないですよ (^^)」とおっしゃっていただけている。

メカトラブルを深刻化させないように、こまめにお店に行ってチェックしてもらうと結果的にお財布に優しいというお話でした。加えて、ロードバイクのメンテナンス書籍を活用して「自力でできること」を増やせば、もっと節約できる。


というわけで、愛しのタイレル(Tyrell)のCSI は完全復活です。

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