ロードバイクにおけるポジションは、上級者も初心者も「何が正解なんだ?」と悩む大テーマ。まあ、正解ってものはなくて、時間経過や習熟度によっても変化するし、各自で探求していくしかないプロセスではある。

ただ、セオリーというものはあってそこから大きく逸脱はしないほうが良い。まずはセオリーから始めて、叙々に変化を加えて試行錯誤していくのがオススメ。

娘はロードを買ったときに合わせてもらった状態でなんの疑いもなく半年以上乗ってきたのだが、そろそろ違和感が生じてきたというか、「このポジションとペダリングで問題ないのだろーか?」と疑問を発するようになった。

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そこで、ビチアモーレの山岸店長(通称:山ちゃん)が主催する「フィッティング講習会&走行講習会」に親子揃って参加して、学ばせてもらってきた。結論から言うと、ポジションの微調整とそれに伴うペダリングの仕方にちょっと変化を加えたことで、すごくペダリングが楽になった。その時の様子をお伝えします。

ちなみに山ちゃんはビチアモーレYou Tubeチャンネルでもお馴染みのアイドル(?)です。 

目次


ペダリングしつつポジションを微調整するのが山ちゃん流

山ちゃんのやり方にはポリシーがあって、「手足の長さを測るだけ…つまり数値のみでポジションを判断しない」ということ。データは大事だけど、体格、骨格、筋肉のつき方に個人差はあるわけで、やはり実際のペダリングを見ながら微調整していくのだとか。

ロード乗りの方はわりと同意してくれると思うが、大抵の初心者はサドルを高くしてしまいがち。見た目がカッコよくなるので、ついついやってしまう人が多い。何を隠そう自分もロード購入直後に独断で「ちょっとくらい上げてもいいんじゃないか…?」と根拠なくいじって、ついに4センチも上げてしまい、とあるビルダーさんに「あんた、なんつーポジションで乗ってんの!?」と驚愕されたことがある。

指摘される瞬間まで「我ながら最高のポジションを編み出してしまった…俺、天才かも…」って信じてましたからね。思い出すだけでマジ恥ずかしい…。

【ロードバイク初心者に読んでほしい】プロショップ・タカムラ製作所でポジションを徹底的に改善してもらった話

かように、独断でポジションをいじると人はついサドルを上げてしまう習性があるというのは覚えておきたい。

ポジションに変化を加えるとしばらくは違和感ある

これは当然だと思う。間違っていたとはいえ慣れ親しんだ動作をサッと変えられる人はなかなかいない。最初は違和感があるけど「1ヶ月くらい意識して走り続けると効果を実感できる。早い人だと数日であー、この感覚かーって腹落ちする」とのこと。

山ちゃんの言葉を借りると「頭からペダルまでバイクと一体化する感覚を得られる」とのこと。ただ、最初のうちは忘れないように呪文の如く意識したほうがいいだろう。中にはトップチューブにメモ用紙を貼っておく人もいるそうな。

お一人目(ニールプライド NAZARE)のオーナーさん

ということで、参加者全員が一人づつ固定ローラーに乗ってポジション調整をし、回しながらペダリングのコツを習得していく。

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お一人目のニールプライドのオーナーさんは「いろいろ独断でいじってて、自分の中ではベストポジションが出せているつもり」と話していた。しかし、結果は1センチほどサドルが高いことが判明した。

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教わった通りにペダリングすると、「ハムストリングに負荷がかかるのが実感できる」そうで、逆にこれまではハムストリングスを使わずに太腿前面の筋肉しか使えていなかったことがわかった。

お二人目(コルナゴ C64)のオーナーさん

お二人目のC64オーナーさんは、サドル高が3センチ高い!とわかり、会場がどよめいた。オーナーさんは「高すぎって自覚あったんです……実はC64はまだ買ったばかりで、どうやらフレームがやや大きいって気づいて、そのせいもあるのかなと」とおっしゃっていた。

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このように、微かな違和感があるってことは、何かしらポジションに無理が生じているということなのだろう。ただ、専門知識がないと「違和感は自覚できるが、何をどうすれば解消するのかわからない」という堂々巡りをする羽目になる。

三人目は娘(GUSTOのRCR Team DURO TL)

続きまして我が娘。やはりサドルを5ミリほど下げることに。さらに、ややアップライト過ぎたのでスペーサーも抜いて、ハンドルも一気に一番下まで下ろすことにした。その状態でペダリングしてみる。

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山ちゃんによると、「足首が硬いせいで効率的なペダリングができていない」とのことだった。足首の柔軟性ってあまり考えたことないけど、たしかにペダリングには影響しそう。

余談だが、自分は2019年5月から毎晩寝る前に下半身を中心としたストレッチを欠かさないようにしている。理由はペダリング向上のためで、ハムストリングスが硬いと下ハンで回しにくかったり、とにかくペダリングの邪魔にしかならないから。体が柔軟ってだけでペダリングは劇的に改善できる。8ヶ月続けてきたせいで、今はかなり前屈できるようになり、両手で足裏の母子球を握る…くらいにはなった。ここまで届くようになったことは、人生においてなかったので素直に嬉しい。

四人目は自分(パナソニックのFRCC22)

ついに自分の番に。流れ的に「サドルを下げさせられるのだろうか…」と冷や冷やしていたが、なんと意外にもサドルを上げる結果になった。え、そうなんだ。低すぎたんだ。

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で、ハンドルは逆に5ミリほど下げ、ややアグレッシブな姿勢に変化した。ペダリングを診てもらって、自分は「引き足がうまく使えていない」と判明。足首の角度、使う筋肉と力を入れるタイミングを指導された通りに修正したら、なるほど!ハムストリングが発動していると感じられる。

やってる動作そのものは些細なことで、側からのぱっと見は何が変わったの?って映るかもだけど、回している本人からすると「あーーーー!こういうことか、これまでとはぜんぜん違うな!」って実感できて面白い。最大の収穫は「足全体の筋肉を満遍なく使えるとこんなにも疲れにくいのか」って発見だった。今までいかに太ももの前側の筋肉だけで漕いでいたのかってのがよーくわかった。

荒川での実走編

ローラーの上で新しいポジションとペダリングに慣れたら今度は実走。御徒町から荒川まで移動して実際に走りながらアドバイスをもらい、微調整を行っていく。上半身とペダリングのコーディネーションが大事で、やはりこのへんは実際に走りながらでないと掴みにくい。

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再び山ちゃんの言葉を借りると、

いくらフィッティングをやってポジションが変わっても、根本の走り方を実走で確認しないと、せっかくのフィッティングの効果も薄い」と考えた上でのフィッティング&実走講習会とのこと。 

考えてみれば、屋内のローラーでペダリングを診断し、サドルやハンドルの位置を変えて一丁上がり!終了!ってやったほうが手離れが良いわけで、ビジネスとして割り切ればそういうこともできてしまう。それをしないでわざわざ実走講習までしてくれるのは、ものすごくありがたい。

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立ち漕ぎしたり、ケイデンスを上げたり、瞬間的にもがいてみたり、いろんな姿勢と強度で走って横から見てもらって助言してもらう。自分の変化としては「やや前傾姿勢」になったおかげで、

1.体重をペダルに乗せやすくなった

2.太ももの表と裏(ハムストリングス)をバランス良く稼働させられるようになった

3.同じスピードを維持するのが楽に感じる

という変化がすぐに現れた。ハムストリングスを使うってこういうことだったのか〜。てっきり使えていると思ってたけど、まるっきり自分はできていなかったことを痛感してしまった……。この事実を知り、矯正できたことが本日の最大の収穫だった。

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もちろん、エンジンは同じなわけで、巡航速度が一気に上がるってことはない。それよりもより少ない負荷で快適に走れるってのが大きい。ロングですごく効果がありそうだ。ただし、教わった内容を意識しないと、長年の習慣で染み付いた元のペダリングに戻ってしまいそうな気はする。

後日談:100キロライドで試してみた

風が強く、終始向かい風でややキツめのライドをしたあと、走り終えても疲労感がほぼなかった。いや、正確には走り終えたときはじんわり疲労が残っているんだけど、太ももとハムストリングス、両面の筋肉をまんべんなく使えているせいか、ちょっと休むとすぐに回復する……と言ったほうが正しい。

試しにこれまでの(太もも前面の筋肉をメインで使う)ペダリングに戻すと、なるほど一定の場所の筋肉のみが疲れやすくて、いかに非効率な回し方をしていたのかが分かった。

ペダリングって誰が回してもいちおう円運動をしてしまうせいで、上手い下手が素人が見ただけでは判別しにくい。だから、おかしな漕ぎ方をしていても気づきにくい&気づかれにくい…ってことになり、人から指摘をされず、ずーっと間違ったペダリングを続けてしまう可能性がある。

走り方が最適化されれば疲れにくくなり、疲れにくくなればより長い距離を走れるようになり、そして行動半径が広がり、翌日に疲労が残らないので、休日最終日でも体力をセーブせずに走ることができる。

体力を上げる、筋トレをするのも素晴らしいことだが、ポジションがずれていたりペダリングに無駄があると、せっかく鍛えた努力が無駄になる。そういう意味で、有償のポジション&ペダリング講習会ってのは参加しておいて絶対に損はない。 詳しい情報は「BICIAMORE CYCLE PARTS 御徒町」をどうぞ。ちなみに現状は「フィッティング+実走」で税込み9,000円だが、価格はかなり抑え気味で提供しているとのことで、今後は値上げ(と言っても正常価格の範囲内)の可能性もあるのでお早めに!
  




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