で、結局ロードバイクのタイヤ空気圧はいくつにすべきなの?に対する解答
そもそも、空気圧の表記はBARとPSIの2種類がある。どちらが主流なのかはよくわからないが、日本で買えるたいていのタイヤには、サイドウォール(タイヤの横)に両方の数字が記載されている。基本的に、空気圧はその中に収まるように入れればオーケー。
ちなみに、BARの読み方は「バール(バーではない)」。(←そうだったんだ…調べて判明w) 。PSIは、「Pound per Square Inch」の略である。
ロードバイクにおいての、おおよその目安となるのが7BARで、これをPSIで表すと101PSI。つまり、「7BAR=約100psi」である。いわゆるスポーツタイプ(クロスバイクやロードバイク)の空気圧は7BAR(100PSI)となるので、体重や乗り方や道路コンディションによって微調整を加えていくかんじ。
ただ、「表記が2種類あって、基準が7BAR(100PSI)なのはわかったけど、じゃあ自分のタイヤはいくつの空気圧にすべきなの?」という疑問が湧いてくると思う。ということで、Global Cycling Network の「Bike Tyre Pressure Explained(自転車の空気圧についての説明)」という解説動画を翻訳紹介してみよう。
なにはともあれ、自分のバイクのタイヤをチェックする
どの空気圧にすべきか悩む前に、まずしなければならないのは「自分のタイヤのサイドウォールに記載された空気圧の許容範囲の確認」である。あったりまえのことですが、自分のタイヤの空気圧の上下限、空で言えますか?たとえば自分のロードバイクにはパナレーサーの Race L Evo3 を、ミニベロにはシュワルベワンを履かせているのだが、それぞれこんなかんじ。- パナレーサー Race L Evo3 :7~10.5 bar(100~150PSI)
- シュワルベワン:7~11 bar(100~160PSI)
空気圧は、MAXとMINの間に来るようにセッティングしよう。これは安全のためにも知っておくべき数値。絶対にやってはいけないのが、基準値を越えた圧にしてしまうこと。最悪の状況では、バーストもありえるので、くれぐれもご注意を。
※若干のセーフティマージンは確保されているだろうが、命をかけて確認するようなことではない
※タイレル(Tyrell)のCSI に装着している、シュワルベワンです
正確な空気圧を毎回入れられるよう、フロアポンプを用意しておく
PSIとBAR両方のゲージが記載されたフロアポンプを買っておき、乗るたびに空気圧をチェックしてほしい。ゲージのないミニポンプでは正確な圧がわからないし、そもそも腕が死ぬほど疲れる。あくまで出先でトラブルに遭遇した場合の非常用と考えるべき。こういう自立するポンプですね。
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それに加えて、指に空気圧を覚えさせるのもひとつ。タイヤのサイドウォールを両側から指でつまんで、思いっきり潰してみる。7BAR入っていれば、ほぼほぼ凹むことはない。かすかな凹みを感じるくらいなら大丈夫。ムニムニと余裕で潰せるようなら、空気圧がぜんぜん不足している。
※感覚的なアドバイスだが、あくまで参考までに。
※ぐっと両サイドから押し込んでみよう
タイヤの太さと乗り手の体重の関係
一般論として述べると、細いタイヤのほうがより高圧が必要で、体重が重いほど空気圧は高くせねばならない。さらに説明を加えると、グリップも考慮せねばならなくって、あまりにも高すぎる空気圧ではタイヤと地面の接地面積が少なくなり、グリップが悪くなる。体重をタイヤに載せたとき、ほどよく変形するのが好ましい。 (その「ほどよさ」が難しいのだが…)
グリップと空気圧の最適解については、昔から様々な研究がなされており、とある研究によれば、タイヤの高さの15%ほど変形するときにおいて、もっともグリップを発揮する…らしい。しかし、ロードバイクのタイヤにおいて、その15%を計測するのは至難の業…というかムリなので、あまり意味はない(笑)。
転がり抵抗と空気圧の関係
かつてサイクリング界では、「(パンパンに空気の入った)硬いタイヤのほうが転がり抵抗が低く、よって速く走るには高めの空気圧で硬いセッティングすべき」という考えが浸透していた。科学が進歩し、実験室で比較調査する時代になると、たしかに高めの空気圧のほうが転がり抵抗が低く、速く走れる結果が出た。しかし、実際の外界の道路は凸凹があって実験室のようには走れない。
柔らかめにセッティングされたタイヤのほうが、凸凹のショックを吸収してくれる。しかも、場合によってはそのほうが速く走れることもある。凹凸のショックを受け止めきれない硬いタイヤでは、逆にスピードが落ちてしまうこともある。
パンクリスクと空気圧の関係
「では、空気圧は低めにして乗れば良いのか」というとそうでもない。空気圧が低すぎるとパンクリスクが増えてしまう。固くすべきなのか、柔らかめにしたほうがいいのか、なかなか難しいところだ。柔らかすぎるとパンクリスクが増すだけでなく、コーナーリングのコントロールがしにくくなるし、そもそもそれってすごく危険なこと。くどいようだが、ちょうどよい空気圧にすべきなのだ…。
※圧が不足すると、リム打ち(スネークバイト)パンクしてしまう
で、結局いくつの空気圧にすればいいの?
動画の中で、サイモンさんは「理想の空気圧は◯◯BARです」とは言及していない。それは本人も自覚しており、動画の最後で具体的な数値に触れる。サイモンさんの体重は73キロ。23c、25c、28cでの彼のそれぞれの空気圧は以下の通り。
- 23c:フロント95PSI リア100PSI
- 25c:フロント80PSI リア85PSI
- 28c:フロント60PSI リア65PSI
自分は体重70キロなので、サイモンさんより少し減らしても良さそうだ。目安としては、体重が1キロ減るごとに1PSI下げる。つまり、サイモンさんに倣うと、彼より体重が3キロ軽い自分は…
- 23c:フロント92PSI リア97PSI
- 25c:フロント77PSI リア82PSI
- 28c:フロント57PSI リア62PSI
にすれば良いということが分かる。逆に体重が重い人は、1キロ上がるごとに1PSI増やしていけば良い。たとえば体重が80キロであれば…
- 23c:フロント102PSI リア107PSI
- 25c:フロント87PSI リア92PSI
- 28c:フロント67PSI リア72PSI
となるわけ。
ちなみに、BARで計算しようとすると、25キロの体重変化で1BAR増減することになるのだが、大雑把すぎる単位なので、PSIを使ったほうがより最適値が導き出しやすい。
「わーい、自分の最適値がわかったぞ」と走り出す前に
体重とタイヤサイズ(太さ)でだいたいの数値を算出することは可能だが、サイモンさんは「ちょっと待った」と語る。計算式に頼るのもいいけど、大事なのはちゃんと自分で乗って走って確かめることだ。なぜなら、人によって走り方は違うし、感じ方も異なる。もっと言えば、ふだん走る道路コンディションにだって差はあるから。
路面がきれいな場所に住む人は高めの空気圧でも快適だろうし、凸凹道が多い地域の人はそれに合わせて微調整した方がいい。
表記されている数値の間でいろいろ試してみよう。怖がらないことだ。ただし、安全第一でね。
自分も最近はちょいちょい空気圧を替えて実験しているところ。サイモンさんのオススメ数値でも試してみようと思う。
最後にサイモンさんからもうひとつ注意点をば。
そうそう、もうひとつ忘れないでほしいのが、見るべきは「タイヤの空気圧」だけではないってこと。カーボン製の軽量クリンチャーホイールなどでは、ホイールそのものにマックスの空気圧が記載されていることがある。その場合、ホイールで許されているMAXの空気圧を越えて入れてしまわないように。
自分のKitt design Carbon Tri-spoke Wheel(キット・デザイン カーボン トライスポーク)がまさにこれで、ホイールに許されたMAX空気圧は8.5BAR(123PSI)まで。まあ、ふだんフロント7BAR、リア7.3BARで乗る自分には全く問題ない数値だけど、これが逆転する場合もありえるので、そういった特別なホイールを持っている方はチェックいただきたい。
※目立つようにシールが貼られています(英語で読めなければショップで確認しましょう)
まあ、アルミのクリンチャーホイールであればまず問題ないし、そもそもホイールにMAX空気圧は記載されてはいないのでご安心を。あと、チューブラーホイールなら、ホイール側に上限圧が設定されていることはまずない。
※ホイール側でMAX圧が決められている場合、Warningのシールがリムに貼られています。
余談になるが、初心者サイクリストほど「高めの空気圧を入れたがる」傾向がある気がする。高めの方がパンクしにくいだろうし、転がり抵抗が減ってキビキビと走れると考えるから…だと思う。
自分がまさにこれで、ロードバイク購入直後にタイヤに記載されたMAX値(9BAR)入れて走っていた時期がある。「カッチカチにすれば、きっとパンクしないだろう」とばかり、オラオラとポンピングしまくっては悦に入っていた。
しかし、サドルに振動がガンガン響いて尻が悲鳴を上げたので、すぐに辞めた経緯がある。何事も、過ぎたるは及ばざるがごとしなのだと学んだ。
空気圧については、ロードバイクセミナーでも学んできたので、参考にどうぞ。
↓
>> MAXのパフォーマンスを引き出すには、どの機材でカスタマイズすべき? ヒルクライム、エンデューロ、ロングライド別に解説いただいた
以上、Global Cycling Network の「Bike Tyre Pressure Explained(自転車の空気圧についての説明)」という解説動画のご紹介&翻訳でした。 適正な空気圧で、安全にロードバイクをお楽しみくださいませ…。
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