【事故らぬ先の杖】 車も自転車も、“相手の視点”をイメージすることが事故予防になる (ドライバー編)
みなさんは「FRAME」という自転車メディアをご存知だろうか?
FRAMEのテーマは、“マイペースに自転車を楽しむためのメディア”である。サイクルガジェットのコンセプトと似ているね。
ミニベロやロードバイクだけに限らず、ママチャリとか交通法規とか、自転車を降りた後のライフスタイル(食とかファッション)まで幅広くカバーしているのが特長。
運営母体は、株式会社 自転車創業(Bike Startup & Co .)。
都内の遊休地を活用した月極め駐輪場事業、『PEDALRest(ペダレスト)』を運営する会社と聞けば、「あぁ、あの会社か!」とヒザを打つローディの方は多いと思う。
自分も、「ロードバイク専用の駐輪サービスがあればいいなぁ」と夢想することはあったけど、「本当に始めちゃう会社があるんだ!?」ってサービスローンチのプレスリリースを読んで驚いたのを覚えている。
その株式会社 自転車創業の中の人達にお会いする機会があり、自転車トークをしているうちに、「いっしょに共同コンテンツを企画しませんか?(^^)」となったのだ。
企画したのは、「車から見たローディ&ローディから見た車」のそれぞれ2つの視点から、日常に潜むヒヤリハットなシーンを挙げ、どうすれば危険回避できるか、何を注意すれば事故予防できるか、というアイデア。
平たくいうと、「ドライバー目線でローディへの意見、注文、アドバイス」をサイクルガジェットが書き、「ローディ目線でドライバーへの意見、注文、アドバイス」を自転車創業さんが書く。こうすることで、お互いに学びがあり、他人を思いやった運転ができると思うからだ。
自転車メディアに「車目線」のコンテンツってなかなか掲載されないので、「だったら、自分たちでやってみよう」と決まったのである。
前置きはこのくらいにしよう。
今回取り上げるヒヤリハットは、「交差点で右折する車と直進する自転車」だ。
※FRAME編集部と協力して、新宿某所で撮影した。
こんなシチュエーションをイメージしてほしい。
- 1.右折レーンで対向車線の車が途切れるのを待っている車
- 2.直進する車の流れに合わせて、対向車線から直進してくるロードバイク
- 3.しかし、ロードバイクは併走する車の影に隠れている
- 4.右折レーンのドライバーは、死角に入ったロードバイクが見えない
- 5.車が途切れた瞬間を見計らって、エイっと右折したそのとき、車の影にいたロードバイクに接触しそうになる
で、ドライバーはこう思う。
「危ないなあ! 死角に入ったまま走ることが危険だと、なぜわからない?」
図にすると、こうなる。
※ロードバイクがキレイに車の陰に隠れている。
自分はロードバイクにも乗るが、車の運転も好きだし、よく乗る。自転車側の心理もわかっているつもりなので、車道のローディには比較的寛容な方だとは思うのだが、死角に入ったまま直進し、右折レーンの車の死角に入っていることをまったく気にしていないというか、そもそも危険性に気づいていない人が多い印象だ。
セダン、軽自動車くらいだと車の屋根が低いので、奥に「あ、ヘルメットが見える」と気づけて、自転車を意識した右折ができるのだが、トラックやバスの影に入ると、右折レーンからは100%見えない。
自転車側からすれば、「こっちは青信号走っているのに、なんで曲がってくるんだ!」って思うんだろうけど、「もしかして、自分の走り方にも問題があるかも?」と冷静になってほしい。
※ちょっと背の高い車になると、ヘルメットも見えない。(かろうじて車の間にバイクが見えるが)
とくに車の流れが早い幹線道路だと、右折する車も「急いで曲がらねばっ」と焦るものだ。
あと、目線はどうしても後続の車に行ってしまい、ぐっとアクセルを踏んで加速したくなる。まさか走り抜けた車の真後ろに自転車が隠れているなんて考えないのがほとんど。
※うわっと、お互い肝を冷やす。
ドライバーの立場で言わせてもらうと、自転車で信号を直進するときは、「右折レーンの車が真横から突っ込んでくるかもしれない」、「自転車が見落とされているかもしれない」と考え、死角のポジションで併走しないことで事故予防ができる。
下図のように、スピードダウンして周囲を観察するとか、車と並走しないよう、”自分が対向車線からも視認される”ポジションを取ってもらうと、事故予防になる。
↓
<死角に入る危険な走り方>
<視界に入る安全な走り方>
交差点の事故は、ひとつの事故が次の事故の原因になってしまう。無関係の人(後続車や横断歩道の歩行者)まで巻き込んでしまうのが交差点事故の怖いところ。
自転車で車道を走っている人に言いたいのは、「ドライバーは、自転車なんてかなり見落としているもんだよ」ってこと。
※交通量の多い信号では、いともカンタンに隠れてしまう。自転車側はなおさら「見られる」努力が求められますね。
ドライバーが最優先して注意を払うのは他の車であり、次に歩行者と自転車。自転車は小さいし、目立たない。いくらハデなサイクルウェアとヘルメットで視認されやすいよう心がけていても、影に入って見えなかったら無意味だもんね。
車道を走るときは、「自分は車から視認されているかな? 見落とされているかもしれないぞ」という意識を持っていただきたい。
ということで、今回はあえてドライバー目線で書いてみた。車も自転車も同じ公道を走る者同士。道路を共有しあって、仲良く走りたいものだ。
なお、ロードバイク目線の記事は、「FRAME」で書いていただいた。
↓
【事故らぬ先の杖】 車も自転車も、“相手の視点”をイメージすることが事故予防になる (自転車編)
同じシチュエーションを逆(自転車側)の視点でみるとどうなのか? ローディからドライバーへのお願いとかメッセージを知ることで、より深く理解できるので、ぜひ合わせてお読みください。